お問い合わせ
お問い合わせ
プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
アクセスカウンター(PV)
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

最新記事
タグクラウド

2013年03月27日

『持続可能性 新たな優位を求めて(DHBR2013年4月号)』―コットンと環境問題


Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2013-03-09

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 本号で勉強になったのは、「コットンは環境負荷が高い」ということ。コットンは天然繊維だから、化学繊維に比べて環境に優しいと思っていたが、実はそうではないようだ。
 エスケル(※香港に拠点を置くプレミアム・コットンのシャツメーカー)はコットンのほとんどを、主に地下水源に頼る中国北西部の新疆地区から買いつけていた。同地域で伝統的に行ってきた灌漑方法は、定期的に畑に水を張る湛水である。それは、害虫や病気の温床となる非効率的なもので、大量の農薬を使う必要があった。
(ハウ・L・リー「パートナーとの連携による 持続可能なサプライチェーンの構築」)
 (※ボストンにオープンしたアウトドア衣料メーカー・パタゴニアの新店舗で)スタッフの体調不良を引き起こした原因も調べてもらったところ、根本的な問題は、地下に在庫しているコットン製品から放出されたホルムアルデヒドだった。(中略)その後、主に使用している4種類の繊維について環境への影響を調査したところ、最も有害なのはコットンだと判明する。栽培時に化学薬品を大量に使っているからだ。
(イヴォン・シュイナード、ヴィンセント・スタンリー「40年かけて学んだ パタゴニア流企業の責任とは」)
 そこで、ざっくりとだがコットンが環境に与える影響を調べてみた。

 ・世界の耕作面積の約2.5%に綿が栽培されているが、1990年代には農薬使用がピークに達し、殺虫剤などは世界の使用量の20数%が綿の栽培に使われた。その後、使用量は減らされてきたが、それでも2008年の段階で、殺虫剤は15.7%も使われており、殺虫剤をはじめ落葉剤・除草剤などの農薬全体としては、6.8%を占めている(※1)。Tシャツ1枚分の綿花約200グラムに対して、約150グラムの農薬と化学肥料が使われるという(※2)。

 ・コットンは、コットンボール(綿花の部分)を大きくするために大量の栄養分と水を必要とする。ウズベキスタンでは、アラル海や周辺の河川から水を引くための灌漑施設を作ってきた。しかし、コットンの栽培によって、かつて世界第4位の大きさ(17,158km2。四国の面積とほぼ同じ)を誇ったアラル海は干上り、農薬で汚染された広大な塩湖と化した(※3)。

 ・慣行栽培の綿は、収穫が機械化されているため、収穫の前になると葉を薬品で枯れさせる(ヴェトナム戦争で甚大な健康被害をもたらした枯葉剤が使われる)。その時期の綿畑は2~3日間、立ち入り禁止となる。人の健康への悪影響が懸念されなくなったら、大型機械で綿花が刈られる。排水の環境への影響を軽減するため、排水は1所のみに集約され、排水を飲んで野鳥が死なないよう、レンジャーまで配置されている(※2)。

 ・全世界で毎年2万人が農薬事故で死亡し、その疾病患者数は、毎年300万人とされている。コットン農家は、農薬使用量、回数、種類(防虫、除草、殺虫、枯葉剤)が多く、農薬使用時による事故の確率もその分高いのが現状である(※3)。

 ・遺伝子組み換えの種や農薬にかかる費用を、栽培を始める前に農民の借金でまかなわなければならない(※1)。コットンの一大産地であるインドでは、農薬を買うために借金苦に陥り、 それが原因となって自殺したとみられる農民は6年間で10万人にもおよんでいる(※4)。

 ・子供たちが学校にも行けずに労働者として農業に駆り出されており、人権問題となっている。インドでは結婚にあたって、女性が持参金を用意する習慣がある。この持参金確保のため、南部の貧しいアンドラブラディシュ州などでは、少女達が学校通いを諦め、綿花栽培に関わる児童労働についている。インド全体で約40万人の児童が綿花栽培に従事、その54%が14歳未満、7~8割が女子だ。児童労働は主に、ハイブリッド種の種苗生産のための、雌花採取で行われている。木の丈が低いため、大人がなかなか従事したがらない労働だ。子どもたちは、朝の家事を終えた後、9~10時ごろまで、30℃を超える酷暑の炎天下、日没まで働きづめだ。児童には労働だけでなく、家事の負担も多い。6~9月の収穫期には、ほとんど休みのない子もいる(※2)。

 ・ウズベキスタンでは、中央政府の強制政策により、児童の綿花栽培が行われている。毎年9月になると全国の学校は2カ月以上も休校となり、生徒たちは中央および地方当局の命令で綿摘みを強要される。子どもたちは時に何日も休みなく1日8時間以上の労働を強いられ、収穫前に使用された化学薬品、殺虫剤、枯れ葉剤の残留物で一杯の粉塵を吸い込む。綿摘みを拒否すれば、退学処分となってしまう。学校職員に殴打された事例もある。ロンドンに本部を置く人権団体「環境正義財団」(EJF)によれば、綿花栽培地域フェルガナではおよそ20万の子どもが働いているという(※5)。

 ・綿花の染色前の脱脂、そして染色も化学染料が多用され、工場労働者の健康被害などが懸念されている。染色の後は、脱色防止のための色止め工程、柔軟材仕上げ、縮み防止の薬品処理と、服や製品の価値を高めるべく薬品処理の連続である(※2)。

 従来のコットンに代わって注目されているのが、「オーガニック・コットン」である。オーガニック・コットンとは、3年間農薬や化学肥料を使わないで栽培された農地で、農薬や化学肥料を使わずに生産された綿花のことである。栽培に使われる農薬・肥料については厳格な基準が設けられており、認証機関が実地検査を行っている。そして、紡績、織布、ニット、染色加工、縫製など全ての製造工程を通じて、化学薬品による環境負荷を最小限に減らして製造されたものを、オーガニック・コットン製品と呼ぶ(※6)。

 しかし、ウェブ上では製造工程で極力化学薬品を使っていないことを謳っているオーガニック・コットン製品のページが散見されたが、本号を読む限りまだまだ課題も多そうだ。エスケルやパタゴニアも、製造段階で苦労している様子がうかがえた。
 さらに事態を複雑にしていたのは、オーガニック・コットンの繊維が普通の綿よりも弱く、物理的性質が違っていることだった。余分な処理を必要とし、生地生産の際に出るスクラップ(くず)率も高い。そのうえ、通常の綿に使用されるものよりも環境的に有害でかつ高価な薬品や染料が必要になる。こうしたもろもろの事情によりコストがかさみ、オーガニック・コットンの環境へのプラス効果が帳消しになっていた。
(ハウ・L・リー「パートナーとの連携による 持続可能なサプライチェーンの構築」)
 オーガニック・コットンに切り替えた最初のシーズンは、農家に資金援助をする必要もあった。カリフォルニアの銀行は化学薬品を使わない農家にお金を貸してくれなかったからだ。化学薬品漬けのコットンをきれいに取り除いてから我々の綿繰りをしてくれる工場も探さなければならなかった。紡績や織り、編みなどの工場についても、同じようにしてくれるところを探さなければならなかった。
(イヴォン・シュイナード、ヴィンセント・スタンリー「40年かけて学んだ パタゴニア流企業の責任とは」)

(※1)「なぜ、オーガニック・コットン?|日本オーガニックコットン協会|JOCA」より。
(※2)「児童労働や環境問題を抱えるコットンを問う|JanJanニュース」より。
(※3)「オーガニックコットンとヘンプ|麻の総合利用研究センター」より。
(※4)「オーガニック・コットンって何?【オーガニックを着よう!】」より。
(※5)「ウズベキスタン|不買運動の呼びかけ、子どもの強制労働による綿花栽培|IPS Japan
(※6)「オーガニックコットンとは@JOCA」より。
2013年03月26日

『持続可能性 新たな優位を求めて(DHBR2013年4月号)』―顧客を啓蒙するサステナビリティ指標の開発がカギ


Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2013-03-09

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2013年4月号の特集はサステナビリティ(持続可能性)。サプライチェーン全体を通じて環境負荷を低減することができているか?適切な労働環境で製品を製造しているか?工場が立地している地域のコミュニティの維持・発展に貢献しているか?製品の製造だけでなく、製品のライフサイクルにも責任を持っているか?などといった点から企業活動を評価し、各社のサステナビリティの度合いを可視化する動きがアメリカでは広まっている。何でも指標化・定量化して競合他社と比較できるようにしようとするのは、相変わらずアメリカの得意とするところだ。最近では、1つの業界にいくつもの評価体系が乱立しているようで、さながら戦闘のような様相を呈しているという。
 持続可能性の基準づくりは複数の参加者による乱闘であり、グリーン・フレンジーと呼ぶことができる。野生動物が餌に群がって奪い合う状態(frenzy)に似ているからである。環境活動家、シンクタンク、ブロガー、業界団体、コンサルタント、ライバル企業など多くの利害関係者が次々に加わって、自分の環境基準をルールとして正式に採用するよう声高に要求して、死闘を繰り広げている。
(グレゴリー・アンルー、リチャード・エッテンソン「リーダーとなるか、フォロワーとなるか 環境基準競争を制する」)
 だが、結局のところ、サステナビリティ経営が成功するかどうかは、ひとえに「顧客の啓蒙」にかかっていると思う。なぜならば、どんなに企業側がサステナビリティ経営のために努力しても、顧客が今までと同じように価格や短期的なベネフィットだけで製品やサービスを選択するのであれば、せっかくの企業努力も台無しになるからだ。したがって、顧客にとって解りやすい指標体系を作ることが重要なポイントとなる。先進的な企業は業界標準を確立することに加えて、顧客向けの指標作りにも本腰を入れている。本号では小売業の巨人・ウォルマートと、アウトドア衣料メーカー・パタゴニアの事例が紹介されている。
 同社(ウォルマート)は、2009年に野心的なゴールを設定した。アリゾナ州立大学とアーカンソー大学が中心となり、現在100以上の企業やNGO(非政府組織)などが参加する中立機関「サステナビリティ・コンソーシアム」と連携し、商品のサステナビリティを評価するための「サステナブル商品インデックス」の開発に着手することとしたのである。

 このコンソーシアムとの連携の下、ウォルマートは、原材料から廃棄までの製品ライフサイクルに関する世界的なデータベースの構築を目指し、最終的には個々の製品のサステナビリティ情報を、消費者にとってわかりやすい形に数値指標化して提供することを目指している。

 これにより、近い将来、消費者の購買行動も変わっていくだろう。価格か品質かという二者択一ではなく、あるいは、原材料など部分的な情報だけを頼りにするのではなく、製造から店頭に届くまで、総合的に見ていかに環境や社会に寄与している商品かどうかを判断することが可能となるからだ。
(「リーダー企業の責務 ウォルマートの挑戦:サステナビリティとビジネスの両立」)
 我々が属するアウトドア業界は、業界団体のアウトドア産業協会を通じてエコ・インデックスという評価ツールを開発した(ここまでできたのは、ナイキの貢献が大きい)。エコ・インデックスでは、顧客によるメインテナンス方法や使用上の注意点、リサイクル素材の含有率、リサイクル性などのほか、製造、梱包、流通における負荷も評価する。これにより、サプライチェーン全体を評価・管理し、水の利用や水質の改善を図る、温室効果ガスを削減する、有害化学物質や廃棄物を削減するほか、製造現場の労働環境や待遇をチェックすることができる。

 エコ・インデックスは透明性が確保されており、かつ、規模を問わずに対応できる。そのため、規模の大きいサステナブル・アパレル・コーリション(参加メンバーは世界で販売される衣料品と履き物の三分の一以上を製造している)はアウトドア産業協会の成果を活用し、新しい業界規格のヒグ・インデックスを生み出している。(中略)

 前出のエコ・インデックスと同様に、ヒグもオープンソースなのだが、将来的には消費者向けの評価にしたい、たとえばジーンズにつけられたQRコードにスマートフォンをかざしただけで社会や環境に対する負荷がわかるようにしたい、そういう点を見比べながら買い物ができるようにしたい、と我々は考えている。
(イヴォン・シュイナード、ヴィンセント・スタンリー「40年かけて学んだ パタゴニア流 企業の責任とは」
 パタゴニアの事例の最後でも示唆されているが、サステナビリティがもっと浸透すると、小売業の売り場デザインは大きく変わるだろう。従来のように、特売を謳うPOP広告を至るところに張りつけ、製品を高々と積み上げて、衝動買いやついで買いを誘うような窮屈な陳列はなくなる。

 むしろ、個々の製品のサステナブル度をじっくりと比較検討できるような、ゆったりとした陳列に変わるはずだ。自ずと製品在庫のスペースは狭くなり、情報提供のためのスペースが広くなる。POP広告の代わりに、製品のサステナブル度に関する情報を表示する媒体(タッチパネルが有力だろう)が置かれる。また、書店に書籍検索の端末が置かれているように、サステナブル度による製品検索が可能な端末が店舗のあちこちに設置されるようになるかもしれない。

 ECサイトも、価格や性能による検索に加えて、個々の製品のサステナブル度による検索機能が加わるだろう。そして、おすすめの製品には、(アマゾンが得意とするような)過去の購買履歴の統計的分析から導かれた製品だけでなく、他の顧客がサステナブル度を高く評価している企業の製品が表示されるようになる。今後5年から10年の間に、サステナビリティを重視した新しい小売業の業態が登場するに違いない。
2013年03月24日

【ベンチャー失敗の教訓(第10回)】自社ができていないことを顧客に売ろうとする愚かさ


 >>シリーズ【ベンチャー失敗の教訓】記事一覧へ

 前回の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第9回)】額縁に飾られているだけの行動規範」で紹介した5つの行動規範のうち、「体現主義を貫くことで深い信頼を築く」だけは表面的にすら実行できていなかった。X社は様々な研修を提供していたが、「体現主義を貫く」と言うからには、研修で教えている内容がX社でも実践できている必要があるだろう。だが、実態はそうではなかった。

 「組織営業研修」ではチームセリングの重要性を説いていたが、たった4、5人ぐらいしか営業担当者がいないにもかかわらずお互いの仲が極端に悪く、個人プレーに走っていた。また、この研修では、自社にとって重要な顧客についてアカウントプランを作ることを勧めていたが、X社のクライアントについてアカウントプランを作ったことはない。ある時、X社の売上に対して大きな比重を占めるクライアントから、「我が社についてのアカウントプランをX社の方で作ってくれないか?」と逆提案を受けたことがあるにもかかわらず、A社長はそれを無視するありさまであった(ちなみに、そのクライアントを担当していたのは私だった)。

 X社は世代別の「キャリア開発研修」を売りにしており(といっても、実際のところ売上に占める割合は低かったが)、講師陣はほとんどキャリアカウンセラーの資格を持っていた。しかし、彼らがX社の若い社員を対象にキャリア開発の支援を行ったことはない。コンサルティングファームの出身者が前職で使っていたキャリアパス説明用のA4の用紙1枚をX社用に少しだけ手を加えたものが、標準的なキャリアパスとしてX社の社員に提示されただけである。ある時、人事部長の発案で四半期ごとの面談制度が導入されることとなり、キャリア開発支援の絶好のチャンスになるはずであったが、肝心の制度自体がわずか1四半期で頓挫してしまった。

 「キャリア開発研修」がキャリア開発を行う本人を対象とした研修であるのに対し、キャリア開発を支援する側の人を対象とした研修として「メンタリング研修」があった。だが、ここまでの流れから察しがつく通り、メンタリング制度などX社にはなかったし、非公式にメンターが存在したことすらない。それにもかかわらず、X社はメンタリング制度の設計・導入・運営のコンサルティングをクライアントに提案し、そこからメンタリング研修の受注につなげようとしていた。

 うつ病の増加が社会問題化し、メンタルヘルス・マネジメント検定試験が実施されるようになったことに合わせて、「メンタルヘルスマネジメント研修」がeラーニング形式で提供されたこともある。ところが、私の5年半の在籍期間中に、3社合計で少なくとも4人のうつ病患者を出してしまった(そのうち1人は退職後に自殺している)。3社の社員数は最大で50人ちょっとであったから、罹患率は約8%である。なお、うつ病の”生涯”罹患率は6.5~7.5%とされているから(※)、5年半で約8%という数値がいかに高い数値であるかお解りいただけるだろう。

 私が知る限り、うつ病以外にも、ストレスが原因と思われる腎臓結石で入院した人が3人、同じくストレスに起因すると考えられる気管支炎に長い間悩まされた人が2人、自律神経失調症になった人が1人と、メンタルヘルスマネジメントは全く行われていなかったと言ってよい。

 私は、どんな製品・サービスであっても、その最初の顧客は自社の社員であるべきだと思う。自社の社員が納得し、愛用し、価値を感じることができてこそ、顧客にも自信を持って提案できるというものだ。アップルが新製品を発表する時にいつも自信満々だったのは、競合他社の既存製品に不満タラタラであったスティーブ・ジョブズが、自分だったらどういう製品がほしいかを徹底的に考え抜き、シンプルで解りやすい答えを発見したからであろう。そして、多くの人がジョブズのプレゼンテーションに惹きつけられ、実際に製品を手にしたのである。これとは逆に、自社でできていないことをクライアントにやらせようとするのは、効果が実証されていないサービスを「効果があります」と言い切って押しつけるようなものであり、はなはだ詐欺的である。

 私自身は5年半の間に、これまで述べてきた研修をクライアントに提供したことはない。私がクライアントに提供していたのは、実は「ビジネスプロセス改革(BPR:Business Process Reengineering)研修」1種類しかない。

 私が入社後に最初にアサインされたコンサルティングプロジェクトが、ある製造業のBPR案件であった。しかし、マイケル・ハマーの『リエンジニアリング革命』で読んだ程度の知識しかなかった私は、現場でその知識をどうやって使えばよいのか戸惑っていた。私が失意のままプロジェクトを終えた頃、実はX社にBPR研修があることを知り、その中身をのぞいてみた。すると、まさにプロジェクトで必要だったノウハウが詰まっていたのである。「この研修を受けていれば、プロジェクトでもっと高い成果が上げられたのになぁ・・・」という後悔が私を襲うと同時に、私はこのBPR研修にすっかり惚れ込んでいた。だから、BPR研修”だけ”を売り続けたのである。
(※注)
 X社(A社長)・・・企業向け集合研修・診断サービス、組織・人材開発コンサルティング
 Y社(B社長)・・・人材紹介、ヘッドハンティング事業
 Z社(C社長)・・・戦略コンサルティング
 >>シリーズ【ベンチャー失敗の教訓】記事一覧へ


(※)厚生労働省「うつ対策推進方策マニュアル-都道府県・市町村職員のために-」を参照。

  • ライブドアブログ
©2009 free to write WHATEVER I like