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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都豊島区を拠点に、東京23区で活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。コンサルティングなどの仕事の実際の中身は守秘義務の関係で書くのが難しいため、書評が中心となっている点は何卒ご容赦あれ。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
所属組織など
◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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最新記事

2013年05月24日

【無料セミナー】ものづくり企業のための板橋区簡易型BCPセミナーのご案内


 私が所属する東京都中小企業診断士協会・城北支部内の「板橋区中小企業診断士会」のメンバーが講師を務める無料セミナーのご案内です。板橋区内の中小製造業の方に限られますが、万障お繰り合わせの上、是非ともご参加ください。

 下記URLからセミナー案内および申込用紙をダウンロードできます。
 http://bit.ly/ZfqFM2

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 緊急事態に あなたの会社を守ります ! !
 ものづくり企業のための板橋区簡易型BCPセミナーのご案内


板橋区BCP無料セミナー

 経営者の皆様、板橋BCPセミナーにぜひご参加ください!!
 ※板橋区簡易型BCP(Business Continuity Program)とは・・・
 災害時に事業を早期復旧する手法です。

 ■簡易型BCPなら
  (1)時間がかかりません
   既存のデータを活用するので事前準備が必要ありません。
  (2)労力はいりません
   中小企業診断士による個別サポートを受けられます。

 ■セミナー内容
  ●今BCP(事業継続計画)がなぜ必要か
  ●災害への事前対策と事例の紹介
  ●板橋区簡易型BCPの概念と策定支援について

 ■主催:板橋区

 ■企画・運営・講師:板橋区中小企業診断士会

 ■第1回
  ●日時:6月10日【月】18:30~20:30
  ●会場:ハイライフプラザ いたばしAホール
     (住所:板橋区板橋1-55-16)
  ●地図:http://goo.gl/maps/Zd3Sh(※Googleマップ)

 ■第2回
  ●日時:7月11日【木】18:30~20:30
  ●会場:板橋区立グリーンホール 601会議室
     (住所:板橋区栄町36-1)
  ●地図:http://goo.gl/maps/lD2cZ(※Googleマップ)

 ※第1回、第2回は同じ内容ですので、
 ご都合のよろしい日程をお選びください。

 ■参加費:無料

 ■定員:各セミナー40名(先着順)

 ■対象:板橋区内で製造業を営む中小企業の方

 ■申込:下記URLより申込用紙をダウンロードし、
     「板橋区 産業経済部 産業振興課 活性化戦略グループ 宛」に
     FAX(03-3579-9756)または
     eメール(sg-senryaku[at mark]city.itabashi.tokyo.jp)
     にてお申し込みください。
     http://bit.ly/ZfqFM2
2013年05月22日

【ドラッカー書評(再)】『乱気流時代の経営』―(無謀な予測だが)2020年までに開花しそうな7つの技術(後半)


「新訳」乱気流時代の経営 (ドラッカー選書)「新訳」乱気流時代の経営 (ドラッカー選書)
P・F. ドラッカー Peter F. Drucker 上田 惇生

ダイヤモンド社 1996-06

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 (前回の続き)

(3)再生医療
 【概要】再生医療とは、事故や病気によって失われた身体の細胞、組織、器官の再生や機能の回復を目的とした医療を指す。再生医療の発展を担うのが、ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞(人工多能性幹細胞)である。ES細胞とiPS細胞には、以下のような違いがある。ES細胞とは、着床寸前の段階の胚から、胎児の体のすべての元になる細胞を取り出し、多能性を保たせたまま培養して増やしたものである。これに対してiPS細胞とは、既にできあがった体の分化した細胞を取り出し、そこに数個の遺伝子を人工的に組み込むことでES細胞と同じような多能性を再び獲得させたものである(※9)。

 ES細胞の歴史は1981年に遡る。同年、2つの研究グループによって、初めてマウスのES細胞が樹立された。1つはケンブリッジ大学のマーティン・エヴァンスとマシュー・カウフマンらによるものであり、もう1つはカリフォルニア大学のゲイル・R・マーチンによるものである。それから17年後の1998年、ウィスコンシン大学マディソン校のジェームズ・トムソンらにより、初めてヒトのES細胞が樹立された(※10)。iPS細胞の歴史については、昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏(京都大学iPS細胞研究所所長・教授)がカリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所に着任してiPS細胞の研究を始めたのが1993年である(※11)。

 【市場規模】今後、幅広い疾患において再生医療が行われれば、現行の製品開発パイプライン上にある開発品目の市場だけではなく、iPS 細胞などの多能性幹細胞活用を含めた将来的な市場や、糖尿病を始めとする慢性疾患を中心とした医療費の削減など、再生医療の経済効果が期待される。2030年には約1兆円、将来的な市場として2050年には2.5兆円となり、我が国における今後の大きな経済効果がもたらされる(※12)。

 【実用化上の問題】様々な問題がありここでは逐一列挙することができないが、大きく分けて制度上の問題、コスト上の問題、倫理上の問題がある。詳細は(※12)を参照。

(4)カーボンナノチューブ
 【概要】カーボンナノチューブとは、ダイヤモンド、非晶質、グラファイト、フラーレンに次いで、1991年に物理学者・飯島澄男氏によって発見された炭素材料。原子5~10個分の太さのチューブ状の炭素原子集合体で、構造によって金属にも半導体にもなるという特性を持つ(※13)。鋼鉄の数十倍の強さを持ち、いくら曲げても折れないほどしなやかで、薬品や高熱にも耐え、銀よりも電気を、ダイヤモンドよりも熱をよく伝える(※14)。

 【用途】トランジスタ、LSI配線、半導体トレイ(帯電防止シート)、蓄電デバイス、リチウムイオン二次電池、燃料電池、水素吸蔵、太陽電池、キャパシタ、透明導電膜、導電ペースト、機械的強度向上を目的とした用途、衣類、カテーテルなど(※15)。

 【市場規模】IDTechEx Ltd.が発行した報告書"Carbon Nanotubes (CNT) for Electronics & Electrics 2013-2023: Forecasts, Applications, Technologies"によると、電子および電気用途向けのカーボンナノチューブ市場が2023年までに世界で28億米ドル以上の規模に拡大すると予測されている(※16)。

 【実用化上の問題】製造コストの問題以外に、健康被害が懸念されている。

 ⅰ)日本トキシコロジー学会が発行する『ジャーナル・オブ・トキシコロジカル・サイエンス』(2008年2月号)において、がん抑制遺伝子欠損マウスによる実験で発癌性がある可能性が報告されており、健康影響に関する研究、予防的曝露防止対策などに関する検討を推進すること、さらに安全対策が早急に図られるよう国に対して提案要求がなされた(※17)。

 ⅱ)カーボン・ナノチューブ技術を用いた製品は、アスベストに似た健康被害を及ぼす可能性があることが2008年5月21日、イギリス科学専門誌「Nature Nanotechnology」に掲載された論文により明らかとなった。この研究発表を行ったのはエディンバラ大学のケネス・ノナルドソン教授を中心とする研究グループである。研究グループによると、ナノチューブ一般、特に、カーボン・ナノチューブ技術を用いた素材はアスベストに似た健康被害を及ぼし、肺癌などを誘発する危険性が高いと論じている(※17)。

(5)準結晶
 【概要】準結晶とは、結晶ともアモルファス(非晶質)とも異なる、第三の固体物質とも言うべき状態である。1984年、ダニエル・シェヒトマンによって、液体状態から急冷したAl-Mn合金から発見された。初期に発見された準結晶は熱力学的に不安定であり、熱を加えると、より安定な結晶相が析出してしまっていたが、東北大学金属材料研究所(当時)の蔡安邦らによって、Al-Cu-Fe(1987年)やAl-Ni-Co(1989年)といった安定な準結晶が次々と発見された。2011年、準結晶の研究に大きな貢献をしたダニエル・シェヒトマンにノーベル化学賞が授与された。

 準結晶に特有の物性として、金属としては異常に高い電気抵抗が挙げられる。例えば、アルミニウム、銅、鉄はいずれも良導体であるが、これらからなる準結晶Al-Cu-Feでは電気抵抗が10万倍にも達する。また、温度が低くなると抵抗が上昇する、欠陥が存在する場合の方がむしろ抵抗が低い(いずれも通常の金属の性質とは逆)などの特殊な性質を示す(※18)。

 【用途】医療用メスとして既に多用されている。その他の用途としては、400℃の耐高温自動車用ディーゼルエンジン部品、ハードディスク駆動装置の軸受け、ドリルなど(※19)。また、準結晶を利用することで極めて性能の高いレンズを作ることが可能になる(※20)。フライパンのコーティングに応用されたこともあるが、重量が重く、高価になるため、あまり普及しなかった(※21)。

 【実用化上の問題】カーボンナノチューブほど応用例がまだ見つかっていないことが課題だろうか?(市場規模のデータも発見することができなかった)

(6)燃料電池自動車
 【概要】燃料電池自動車は、搭載した燃料電池から水素または改質水素を燃料とし、空気中の酸素を反応させて発電して電動機を駆動する自動車である。電気自動車と同様、走行時に排ガスを一切出さない(※22)。環境対応車としては電気自動車が先行しており、日産など大手メーカーが多大な投資を行ってきたものの、消費者の反応は鈍く、普及は進んでいない。業界では、電気自動車に代わって、燃料電池自動車の開発に注目が集まっている(※23)。

 燃料電池そのものの歴史は古く、原理が発見されたのは今から200年あまりも昔である。その後、長らく研究が途絶えていたが、1960年代にアメリカの宇宙船に搭載されて話題となって以来、世界各国で開発が進められるようになった。日本でも、低いエネルギー自給率や化石燃料の枯渇など、様々な将来への不安が高まりを見せてきた1980年代から、国が本格的な開発支援に取り組んでいる(※24)。

 【市場規模】富士経済によると、燃料電池車の世界市場規模は、2010年が56億円、185台だが、2025年に105万8000台にまで成長し、市場規模は2兆1000億円になると予想されている(※25)。ちなみに、富士経済は今年に入ってから、電気自動車については、2030年の世界市場規模が307万台にとどまるとの見通しをが立てている。昨年の調査では1,300万台を超えるとしていたが、昨年予測に比べ77.7%減と大幅に下方修正した(※26)。

 【実用化上の問題】
 ⅰ)燃料電池は、水や天然ガス、バイオマスなどから水素を生成し、貯蔵のために圧縮や液化する必要があり、利用者に運んで燃料電池で電気に変換する過程において損失が生じる。実際に使用するまでに、約25%が減少する。”風力から車輪”の効率を比較した場合、風力発電の電力を水素に変換して燃料電池自動車で使用するより、電気自動車に充電する場合の方が3倍効率がよい(※22)。

 ⅱ)水素の製造工程で発電効率が33%から48%の火力発電による電気を使用する場合、結果的に二酸化炭素を排出する(※22)。

 ⅲ)水素ステーションのインフラ整備は規制緩和と併せて進める必要がある。既にガソリンスタンドがあるため、水素ステーションは場所に困らないと言われているが、現在の法制下では、住宅地のステーションでは水素の貯蔵量が極端に限られる、地下に貯蔵庫を造ることができないといった制限がある(※27)。

 ⅳ)燃料電池自動車はナンバーを取得できるが、現在の法制度では、トラックに燃料電池自動車を乗せると“危険物”扱いになる。燃料電池自動車を積載したトラックは、“燃料以外に可燃性の気体を積載したクルマ”ということになり、一部のトンネルなどを通ることができない(※27)。

(7)6次産業
 【概要】最後に取り上げる6次産業は、技術的なイノベーションというよりも、社会的なイノベーションである。6次産業とは、農業や水産業などの第一次産業が食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態を表す。第一次産業者は、農畜産物、水産物の生産だけでなく、食品加工(第二次産業)、流通、販売(第三次産業)にも主体的かつ総合的に関わることによって、加工賃や流通マージンなど今まで第二次・第三次産業の事業者が得ていた付加価値を取得する。これによって、農水産業を活性化させようというものである(※28)。「6次産業」という言葉は、農業経済学者の今村奈良臣氏(東京大学名誉教授)が1994年に提唱した(※29)。

 【市場規模】経済産業省は2012年、6次産業の市場規模を現行(1兆円)から5年間で3兆円に拡大するという目標を発表した(※30)。

 【産業発展上の問題】
 ⅰ)農水産業者側の課題としては、経営意識を高め、経営の仕組みを整備することが挙げられる。農水産業者を対象としたアンケートからは、生産品目共通の課題として、「ビジョンの明確化・共有化」、「マーケット・インの実践」、「組織管理の実行」という3つが抽出された(※31)。

 ⅱ)行政側の課題としては、以下のものが挙げられる(※30)。
 a.6次産業化事業者への成長資本の提供やハンズオン支援(経営支援)を一体的に実施するため、国および民間の出資により「農林漁業成長産業化ファンド」を創設する。

 b.輸出戦略を立て直す。第一に、安全神話から脱却し、新たな信頼を獲得するための安全・品質管理体制を構築する。GAP、HACCPなどのグローバルスタンダードに対応する。第二に、「ジャパンブランド」の確立に向けた国家戦略的マーケティングを行う。例えば、日本食文化の世界無形遺産登録を目指す。

 c.再生可能エネルギーとの兼ね合いにおいて、食料供給や国土保全を確保しながら再生可能エネルギー電気の発電を促進するための国の基本方針・市町村の基本構想を策定する。また、地域の耕作放棄地の適切な利用など、土地の合理的な利用に関する措置を講ずる。

 >>シリーズ【ドラッカー書評(再)】記事一覧へ


(※9)「ES細胞とiPS細胞の違いを教えてください。―Yahoo!知恵袋
(※10)「研究者になりたい助手の日記 : ES細胞研究の歴史 その1
(※11)「山中伸弥―Wikipedia
(※12)「再生医療の実用化・産業化に関する報告書 最終取りまとめ
(※13)「カーボンナノチューブ とは―コトバンク
(※14)「驚異の新素材カーボンナノチューブ
(※15)「カーボンナノチューブの開発・用途・安全対策の状況について
(※16)「電子および電気用途向けのカーボンナノチューブ市場が2023年までに28億米ドル以上の規模に拡大|株式会社グローバルインフォメーションのニュースリリース
(※17)「カーボンナノチューブ―Wikipedia
(※18)「準結晶―Wikipedia
(※19)「ノーベル賞に関して―taiganosaisinkagakugijutsu
(※20)「Topic 10 3成分ブロック共重合体からなる準結晶の実現―SPring-8 Web Site
(※21)「インタビュー 蔡 安邦 氏(東北大学多元物質科学研究所 教授)「第3の固体『準結晶』の謎解きをした男 ―第2回 不思議な準結晶の魅力」 科学技術 全て伝えます サイエンスポータル / SciencePortal
(※22)「燃料電池自動車―Wikipedia
(※23)「 焦点:電気自動車に失速の兆し、燃料電池車で提携相次ぐ|ビジネスニュース|Reuters
(※24)「燃料電池とは:燃料電池の歴史―ecoねん
(※25)「燃料電池車、2025年に105.8万台・2.1兆円市場…富士経済予測 | レスポンス
(※26)「「2030年のEV市場は307万台」富士経済、昨年予測から8割下方修正―SankeiBiz(サンケイビズ)
(※27)「日産に聞いた“燃料電池車”の実力と課題―ITmedia LifeStyle
(※28)「第六次産業―Wikipedia
(※29)「6次産業化による農業・農村の活性化手引き書!―普及の力は人・地域を変える―
(※30)「6次産業化の推進について
(※31)「6次産業化を推進するに当たっての課題の抽出と解決方法(調査報告書)
2013年05月21日

【ドラッカー書評(再)】『乱気流時代の経営』―(無謀な予測だが)2020年までに開花しそうな7つの技術(前半)


「新訳」乱気流時代の経営 (ドラッカー選書)「新訳」乱気流時代の経営 (ドラッカー選書)
P・F. ドラッカー Peter F. Drucker 上田 惇生

ダイヤモンド社 1996-06

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 1950年代、60年代、70年代の「新技術」は、第1次大戦前、遅くとも1929年以前の「科学」や「知識」を基にしていた。(中略)今日、新しい技術を、新しい製品やサービスに具体化するためのリードタイムが短くなっていると考えられている。しかし、これも実際はそうではない。はるか昔と同じように、およそ30年から40年である。
 本書の原書"Managing in Turbulent Times"が出版されたのは1980年である。ドラッカーは、新技術が製品・サービス化されるリードタイムを30年~40年と設定することにより、1980年代以降に産業化が進みそうな技術の予測を行った。すなわち、1940年代から50年代にかけて登場した技術に着目し、その中でも

 「エレクトロニクス(特に情報通信技術)」・・・1930年代後半から40年代前半にかけて基礎的な知識が発見された。
 「遺伝子工学」・・・フランシス・クリックとジェームズ・ワトソンが、1930年代から50年代に研究。1953年にDNAの二重らせん構造を提唱し、その後の分子生物学の発展に大きく貢献した。両氏は1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。
 「NC工作機械によるオートメーション」・・・1947年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のサーボ機構研究所でNC(Numerical Control:数値制御)の研究が始まり、1952年にはNCフライス盤が開発された。

が1980年代以降に加速すると論じている。そして現在、3つとも我々にとっては馴染み深い技術になっていることを踏まえると、改めてドラッカーの高い先見性が示されたと言ってよいだろう。

 では、無謀な取り組みかもしれないが、私もドラッカーに倣って、2020年までに飛躍的に進歩しそうな技術を予測してみることにしよう。ドラッカーは製品・サービス化のリードタイムを30年~40年としているけれども、実際にはもう少し短くなっているような気がする(あくまでも私の肌感覚だが・・・)。そこで、リードタイムを20年~30年とする。よって、1980年代~90年代にかけて発見された技術の中に、2010年代の新産業を担う技術があると考えられる。

(1)メタンハイドレード
 【概要】「燃える氷」と呼ばれ、地球温暖化対策にもつながる新エネルギーとして注目されている物質。「ハイドレート」は「水和物」の意。水分子は、特定の温度・圧力環境でかご状の構造を作る。そのかご構造の中にメタン分子が含まれているものをメタンハイドレートと呼ぶ(※1)。日本では1980年、南海トラフ周辺でメタンハイドレードが発見され、その後も発見の報告が続いた。1990年代前半になると、財団法人エネルギー総合工学研究所などで、非在来型天然ガスの1つとしてメタンハイドレートの研究が開始された(※2)。

 【日本の埋蔵量】日本のメタンハイドレートの資源量は、1996年の時点で解っているだけでも、天然ガス換算で7.35兆立方メートル(日本で消費される天然ガスの約96年分)以上と推計されている。もし将来、石油や天然ガスが枯渇するか異常に価格が高騰し、海底のメタンハイドレートが低コストで採掘が可能となれば、日本は自国で消費するエネルギー量を賄える自主資源の保有国になり、尖閣諸島近海の海底にあるとされている天然ガスなどを含めると、日本は世界有数のエネルギー資源大国になれる可能性があるという見方もある(※3)。

 【実用化上の問題】
 ⅰ)メタンハイドレートを不用意に掘削すると、その下層や周辺のハイドレート層にかかる圧力が減少して分解し、大量のメタンガスが噴出する。万一それが一帯のメタンハイドレート層に連鎖的に広がれば、貴重な資源を大量に失うだけではなく、そのまま大気中に放出してしまうと大量のメタンガスが排出されることになるため、地球温暖化に影響を与える懸念がある(※4)。

 ⅱ)メタンハイドレートを採掘することにより、地層が変形して地盤沈下や海底地すべりのような現象が生じるのではないかと懸念されている。政府の見解によると、地盤沈下の大きさは、水深500m以深の海底面で数10cm程度とされている。海底地すべりに関しても、平坦な場所を選んで開発すれば問題ないと考えられている(※4)。

(2)二足歩行ロボット(ヒューマノイドロボット)
 【概要】二足歩行ロボットが工学の研究対象となったのは1970年頃からである。1980年頃からさまざまな拘束条件や制御方法、ハードウエアが研究されたが、その後主流になったのはZMP(ZMPとは動力学的な重心位置のことで、ZMPが足裏上に来るような拘束条件を与えることで、二足歩行が実現できる)を軌範とする歩行である。

 ZMP理論に基づく2足動歩行は、早稲田大学の加藤一郎と高西淳夫によって開発されたWL-10RDにより、1985年に実現された。ZMPは、早稲田大学のグループを除くと、1970年代から1990年代半ばまであまり注目されていたわけではない。しかし、今日ではホンダのASIMOをはじめ、完成度の高い2足歩行ロボットのほぼ全てが、ZMPを用いた軌道生成と制御を用いている(※5)。

 【用途】最も実用化が有望なのは、人間が入れない危険な作業空間を伴う原子力産業であった。しかし、事故の想定を嫌う原子力サイドの対応は極めて消極的であった。数々の原発事故や災害において、日本の歩行ロボット技術は何ひとつ貢献できていないという厳しい見方もある(※5)。その他、BtoBビジネスの分野では、工場内の産業ロボットなど、BtoCビジネスの分野では、介護ロボットやレスキューロボットなどの用途が見込まれる。

 【市場規模】ヒューマノイドロボットのみの市場規模を推計したレポートは見つからなかったが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が経済産業省と共同で発表したロボット産業の市場予測によると、2015年には1兆5,990億円、2020年には2兆8,533億円、2025年には5兆2,580億円、2035年には9兆7,080億円に拡大するとされている。製造業を除いたサービス分野(清掃、移動支援[業務用]、次世代物流支援など)に限定すると、2015年が3,733億円、2020年が1兆241億円、2025年が2兆6,462億円、2035年が4兆9,568億円と推計されている(※6)。

 ちなみに、社団法人日本ロボット工業会は、2001年のレポート「21世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査報告書」の中で、

 ⅰ)人間機械協調生産システム、エコファクトリ、ネットワーク対応工場に代表される製造業分野
 ⅱ)自動分析技術、自動合成装置、バイオ工場に代表されるバイオ産業分野
 ⅲ)災害の発生観測・予測、災害の発生防止、災害の対処作業に代表される公共分野
 ⅳ)予防、診断、治療、リハビリテーション、医療施設内の省力化・インテリジェント化、医学教育に代表される医療・福祉分野
 ⅴ)教育、家庭内バーチャルトレーニング、エンタテイメント型リハビリテーションシステム、コミュニケーション支援及び生活支援システムに代表される生活分野

の5分野においてロボット化が進み、その市場規模が2010年には3兆円、2025年には8兆円になると予測していた(※7)。それに比べると、現在の産業化のスピードは随分遅いようである。

 【実用化上の問題】家庭用ロボットに関しては、以下のような問題点が指摘されている。

 ⅰ)家庭用ロボットを実際に運用しようとすると、故障や衝突の際の修理などに要する費用負担、移動時に他者と接触したりすることで他者に怪我を負わせた場合の損害賠償、ロボット内部に保存された情報が外部に漏洩した場合のリスクなど、主に自動車・オートバイなどの運用時によく似たリスクが存在する。これらのリスクの多くは既存の保険商品でカバーすることも可能だが、今後家庭用ロボットが広く普及した際には、自動車における自動車損害賠償責任保険のような強制保険や、それらを含む自動車保険のようなパッケージ商品の開発が必要であることが指摘されている(※8)。

 ⅱ)ロボットはその性質上内部に多数の可動部品やモーターを持つため、現時点ではメンテナンスフリーでの長期運用は難しいと考えられている。また、人間の操作ミスが原因で他者に何らかの被害をもたらす危険性もあることから、やはり自動車・オートバイの場合と同様に、運転免許や車検に類似する制度が必要ではないかという意見もある(※8)。

 (続く)

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(※1)「メタンハイドレートとは何か?―メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム
(※2)「メタンハイドレート研究の歴史―メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム
(※3)「メタンハイドレード―Wikipedia
(※4)「メタンハイドレードの基礎知識
(※5)「二足歩行ロボット―Wikipedia
(※6)「ロボットポータル―ロボナブル―2010.04.23ロボット/RT市場規模、2035年に9.7兆円、サービス分野は約5兆円、NEDO・経産省予測
(※7)「平成12年度 21世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査報告書(要約版)
(※8)「家庭用ロボット―Wikipedia

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