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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都豊島区を拠点に、東京23区で活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。コンサルティングなどの仕事の実際の中身は守秘義務の関係で書くのが難しいため、書評が中心となっている点は何卒ご容赦あれ。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
所属組織など
◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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 持病の悪化により、今年の3月に続いて再び入院することとなりました。皆様にはご心配をおかけして申し訳ございません。復帰は8月末~9月上旬の予定です。それまでは過去の記事をお楽しみいただければと思います。
2013年03月26日

『持続可能性 新たな優位を求めて(DHBR2013年4月号)』―顧客を啓蒙するサステナビリティ指標の開発がカギ


Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2013-03-09

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 『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2013年4月号の特集はサステナビリティ(持続可能性)。サプライチェーン全体を通じて環境負荷を低減することができているか?適切な労働環境で製品を製造しているか?工場が立地している地域のコミュニティの維持・発展に貢献しているか?製品の製造だけでなく、製品のライフサイクルにも責任を持っているか?などといった点から企業活動を評価し、各社のサステナビリティの度合いを可視化する動きがアメリカでは広まっている。何でも指標化・定量化して競合他社と比較できるようにしようとするのは、相変わらずアメリカの得意とするところだ。最近では、1つの業界にいくつもの評価体系が乱立しているようで、さながら戦闘のような様相を呈しているという。
 持続可能性の基準づくりは複数の参加者による乱闘であり、グリーン・フレンジーと呼ぶことができる。野生動物が餌に群がって奪い合う状態(frenzy)に似ているからである。環境活動家、シンクタンク、ブロガー、業界団体、コンサルタント、ライバル企業など多くの利害関係者が次々に加わって、自分の環境基準をルールとして正式に採用するよう声高に要求して、死闘を繰り広げている。
(グレゴリー・アンルー、リチャード・エッテンソン「リーダーとなるか、フォロワーとなるか 環境基準競争を制する」)
 だが、結局のところ、サステナビリティ経営が成功するかどうかは、ひとえに「顧客の啓蒙」にかかっていると思う。なぜならば、どんなに企業側がサステナビリティ経営のために努力しても、顧客が今までと同じように価格や短期的なベネフィットだけで製品やサービスを選択するのであれば、せっかくの企業努力も台無しになるからだ。したがって、顧客にとって解りやすい指標体系を作ることが重要なポイントとなる。先進的な企業は業界標準を確立することに加えて、顧客向けの指標作りにも本腰を入れている。本号では小売業の巨人・ウォルマートと、アウトドア衣料メーカー・パタゴニアの事例が紹介されている。
 同社(ウォルマート)は、2009年に野心的なゴールを設定した。アリゾナ州立大学とアーカンソー大学が中心となり、現在100以上の企業やNGO(非政府組織)などが参加する中立機関「サステナビリティ・コンソーシアム」と連携し、商品のサステナビリティを評価するための「サステナブル商品インデックス」の開発に着手することとしたのである。

 このコンソーシアムとの連携の下、ウォルマートは、原材料から廃棄までの製品ライフサイクルに関する世界的なデータベースの構築を目指し、最終的には個々の製品のサステナビリティ情報を、消費者にとってわかりやすい形に数値指標化して提供することを目指している。

 これにより、近い将来、消費者の購買行動も変わっていくだろう。価格か品質かという二者択一ではなく、あるいは、原材料など部分的な情報だけを頼りにするのではなく、製造から店頭に届くまで、総合的に見ていかに環境や社会に寄与している商品かどうかを判断することが可能となるからだ。
(「リーダー企業の責務 ウォルマートの挑戦:サステナビリティとビジネスの両立」)
 我々が属するアウトドア業界は、業界団体のアウトドア産業協会を通じてエコ・インデックスという評価ツールを開発した(ここまでできたのは、ナイキの貢献が大きい)。エコ・インデックスでは、顧客によるメインテナンス方法や使用上の注意点、リサイクル素材の含有率、リサイクル性などのほか、製造、梱包、流通における負荷も評価する。これにより、サプライチェーン全体を評価・管理し、水の利用や水質の改善を図る、温室効果ガスを削減する、有害化学物質や廃棄物を削減するほか、製造現場の労働環境や待遇をチェックすることができる。

 エコ・インデックスは透明性が確保されており、かつ、規模を問わずに対応できる。そのため、規模の大きいサステナブル・アパレル・コーリション(参加メンバーは世界で販売される衣料品と履き物の三分の一以上を製造している)はアウトドア産業協会の成果を活用し、新しい業界規格のヒグ・インデックスを生み出している。(中略)

 前出のエコ・インデックスと同様に、ヒグもオープンソースなのだが、将来的には消費者向けの評価にしたい、たとえばジーンズにつけられたQRコードにスマートフォンをかざしただけで社会や環境に対する負荷がわかるようにしたい、そういう点を見比べながら買い物ができるようにしたい、と我々は考えている。
(イヴォン・シュイナード、ヴィンセント・スタンリー「40年かけて学んだ パタゴニア流 企業の責任とは」
 パタゴニアの事例の最後でも示唆されているが、サステナビリティがもっと浸透すると、小売業の売り場デザインは大きく変わるだろう。従来のように、特売を謳うPOP広告を至るところに張りつけ、製品を高々と積み上げて、衝動買いやついで買いを誘うような窮屈な陳列はなくなる。

 むしろ、個々の製品のサステナブル度をじっくりと比較検討できるような、ゆったりとした陳列に変わるはずだ。自ずと製品在庫のスペースは狭くなり、情報提供のためのスペースが広くなる。POP広告の代わりに、製品のサステナブル度に関する情報を表示する媒体(タッチパネルが有力だろう)が置かれる。また、書店に書籍検索の端末が置かれているように、サステナブル度による製品検索が可能な端末が店舗のあちこちに設置されるようになるかもしれない。

 ECサイトも、価格や性能による検索に加えて、個々の製品のサステナブル度による検索機能が加わるだろう。そして、おすすめの製品には、(アマゾンが得意とするような)過去の購買履歴の統計的分析から導かれた製品だけでなく、他の顧客がサステナブル度を高く評価している企業の製品が表示されるようになる。今後5年から10年の間に、サステナビリティを重視した新しい小売業の業態が登場するのではないかと予測する。
2013年03月24日

【ベンチャー失敗の教訓(第10回)】自社ができていないことを顧客に売ろうとする愚かさ


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 前回の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第9回)】額縁に飾られているだけの行動規範」で紹介した5つの行動規範のうち、「体現主義を貫くことで深い信頼を築く」だけは表面的にすら実行できていなかった。X社は様々な研修を提供していたが、「体現主義を貫く」と言うからには、研修で教えている内容がX社でも実践できている必要がある。だが、実態はそうではなかった。

 「組織営業研修」ではチームセリングの重要性を説いていたが、たった4、5人ぐらいしか営業担当者がいないにもかかわらずお互いの仲が極端に悪く、個人プレーに走っていた。また、この研修では、自社にとって重要な顧客についてアカウントプランを作ることを勧めていたが、X社のクライアントについてアカウントプランを作ったことはない。ある時、X社の売上に対して大きな比重を占めるクライアントから、「我が社についてのアカウントプランをX社の方で作ってくれないか?」と逆提案を受けたことがあるにもかかわらず、A社長はそれを無視するありさまであった(ちなみに、そのクライアントを担当していたのは私だった)。

 X社は世代別の「キャリア開発研修」を売りにしており(といっても、実際のところ売上に占める割合は低かったが)、講師陣はほとんどキャリアカウンセラーの資格を持っていた。しかし、彼らがX社の若い社員を対象にキャリア開発の支援を行ったことはない。コンサルティングファームの出身者が前職で使っていたキャリアパス説明用のA4の用紙1枚をX社用に少しだけ手を加えたものが、標準的なキャリアパスとしてX社の社員に提示されただけである。ある時、人事部長の発案で四半期ごとの面談制度が導入されることとなり、キャリア開発支援の絶好のチャンスになるはずであったが、肝心の制度自体がわずか1四半期で頓挫してしまった。

 「キャリア開発研修」がキャリア開発を行う本人を対象とした研修であるのに対し、キャリア開発を支援する側の人を対象とした研修として「メンタリング研修」があった。だが、ここまでの流れから察しがつく通り、メンタリング制度などX社にはなかったし、非公式にメンターが存在したことすらない。それにもかかわらず、X社はメンタリング制度の設計・導入・運営のコンサルティングをクライアントに提案し、そこからメンタリング研修の受注につなげようとしていた。

 うつ病の増加が社会問題化し、メンタルヘルス・マネジメント検定試験が実施されるようになったことに合わせて、「メンタルヘルスマネジメント研修」がeラーニング形式で提供されたこともある。ところが、私の5年半の在籍期間中に、3社合計で少なくとも4人のうつ病患者を出してしまった(そのうち1人は退職後に自殺している)。3社の社員数は最大で50人ちょっとであったから、罹患率は約8%である。なお、うつ病の”生涯”罹患率は6.5~7.5%とされているから(※)、5年半で約8%という数値がいかに高い数値であるかお解りいただけるだろう。

 私が知る限り、うつ病以外にも、ストレスが原因と思われる腎臓結石で入院した人が3人、同じくストレスに起因すると考えられる気管支炎に長い間悩まされた人が2人、自律神経失調症になった人が1人と、メンタルヘルスマネジメントは全く行われていなかったと言ってよい。

 私は、どんな製品・サービスであっても、その最初の顧客は自社の社員であるべきだと思う。自社の社員が納得し、愛用し、価値を感じることができてこそ、顧客にも自信を持って提案できるというものだ。アップルが新製品を発表する時にいつも自信満々だったのは、競合他社の既存製品に不満タラタラであったスティーブ・ジョブズが、自分だったらどういう製品がほしいかを徹底的に考え抜き、シンプルで解りやすい答えを発見したからであろう。そして、多くの人がジョブズのプレゼンテーションに惹きつけられ、実際に製品を手にしたのである。これとは逆に、自社でできていないことをクライアントにやらせようとするのは、効果が実証されていないサービスを「効果があります」と言い切って押しつけるようなものであり、はなはだ詐欺的である。

 私自身は5年半の間に、これまで述べてきた研修をクライアントに提供したことはない。私がクライアントに提供していたのは、実は「ビジネスプロセス改革(BPR:Business Process Reengineering)研修」1種類しかない。

 私が入社後に最初にアサインされたコンサルティングプロジェクトが、ある製造業のBPR案件であった。しかし、マイケル・ハマーの『リエンジニアリング革命』で読んだ程度の知識しかなかった私は、現場でその知識をどうやって使えばよいのか戸惑っていた。私が失意のままプロジェクトを終えた頃、実はX社にBPR研修があることを知り、その中身をのぞいてみた。すると、まさにプロジェクトで必要だったノウハウが詰まっていたのである。「この研修を受けていれば、プロジェクトでもっと高い成果が上げられたのになぁ・・・」という後悔が私を襲うと同時に、私はこのBPR研修にすっかり惚れ込んでいた。だから、BPR研修”だけ”を売り続けたのである。
(※注)
 X社(A社長)・・・企業向け集合研修・診断サービス、組織・人材開発コンサルティング
 Y社(B社長)・・・人材紹介、ヘッドハンティング事業
 Z社(C社長)・・・戦略コンサルティング
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(※)厚生労働省「うつ対策推進方策マニュアル-都道府県・市町村職員のために-」を参照。
2013年03月21日

青木国夫他『思い違いの科学史』―「花粉はブラウン運動で動く」は誤り


思い違いの科学史 (朝日文庫)思い違いの科学史 (朝日文庫)
青木 国夫 市場 泰男 立川 昭二 板倉 聖宣 鈴木 善次 中山 茂

朝日新聞社 2002-02

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 暖かくなって花粉症が気になる季節だが、今日は花粉に関するトリビアをこの本から1つ。皆さんの中には、中学校の理科で習った「ブラウン運動」を覚えている方もいらっしゃるだろう。花粉を水の中に入れると不規則な運動をするというもので、発見者のロバート・ブラウンにちなんで「ブラウン運動」と呼ばれる。しかし、花粉が水の中で動くというのは、実は誤りである。本書では、花粉研究の第一人者である岩波洋造氏の『植物のSEX―知られざる性の世界』の冒頭部分が紹介されている(孫引きになる点はご容赦ください)。

植物のSEX―知られざる性の世界 (1973年) (ブルーバックス)植物のSEX―知られざる性の世界 (1973年) (ブルーバックス)
岩波 洋造

講談社 1973

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 花粉は水の中でほんとうにブラウン運動をするであろうか。本文中にくわしくのべられているように、花粉の大きさは、ふつう30μ(ミクロン)から50μぐらいで、大きなものは100μから200μもある。こんな大きな粒子が水の分子運動によって起こるブラウン運動をするはずがない。事実、著者は20年近くも毎日、花粉を顕微鏡で見ているが、花粉が水の中でびくびく動いているところなど見たこともない。

 ブラウン運動の発見者のブラウンも、”花粉が動く”と聞かされたなら、さぞびっくりすることであろう。なぜなら、当時ブラウンが見たものは花粉そのものではなく、花粉の中に含まれているデン粉粒などの細粒子の動きであったからである。今日、多くの人が”花粉を水に入れると動く”と思い込んでいるのは、おそらく最初にブラウンの仕事を紹介した日本の偉い物理学の先生が、花粉粒の粒と花粉の中の細粒子の粒とを混同して訳してしまったためであろう。
 では、「最初にブラウンの仕事を紹介した日本の偉い物理学の先生」とは一体誰なのか?その”犯人”の中には、何と昭和の物理学界を代表する学者あり、現在の原子モデルの基礎を作った長岡半太郎が含まれているというのだ。
 その2年後の(1910年)5月、やはり東京帝大の物理学教授長岡半太郎(1865~1950)が、東京物理学校同窓会学術講演会で行った「ブラウン運動に就て」という講演の筆記(『東京物理学校雑誌』1910年7月号)は、次のように花粉のことから話が始まっている。

 「その起源を申せば、英国の植物学者Brownが1827年に植物の花粉を研究して、それがあたかも生きているように運動するのを見てはなはだ不思議千万だと思ったのが始まりです。その後の学者も同様な観察で微細な物体が顕微鏡下に液体内において活動するのを認めました。その当時は花粉が生きているのであると考えた人もあったでしょう。しかし、後に必ずしも花粉に限らず小さいものならばみなこういう運動をして小さくなればなるほど活動が盛んになることが確かめられました。かくのごとく微細なものの運動をブラウン運動と名づくることになりました」

 というのである。ここでは明らかに、花粉そのものがブラウン運動するものとして話がすすめられている。長岡半太郎といえば、カミナリ親父としておそれられた日本の物理学界の最大の権威であった。その長岡先生自身が1910年にブラウン運動を初めて紹介したときから、花粉そのものがブラウン運動をすると誤解していたのである。
 ブラウン運動に関する誤解はついに正されることがなく、著者が調べた限りでは、この後に出版された物理学者の本(ノーベル賞を受賞した湯川秀樹の本も含まれる)も、百科事典も、一般人向けの科学書も、児童向けの科学書も、そして当時の学校教科書も、ほとんど全てにおいて「花粉がブラウン運動をする」とされており、壊滅状態だったという。さらに興味深いことに、この誤りは日本だけのものではなく、ブラウンの論文を翻訳した海外の論文にも見られるそうだ。ここまで世界中の人が勘違いした科学的事実もそうそうないだろう。

 本書では他にも科学史上の様々な”思い違い”が紹介されており、それが後の研究の中でどのように克服されていったかのが、科学の専門知識がなくても理解できる平易な文章で解説されている。例えば、昔は「血を抜けば病気が治る」と信じられており、血管を物理的に切り開いて血液を取り除くことを「瀉血(しゃけつ)」と呼んだ。日本でも、江戸時代までは瀉血療法が行われていたそうだ。現在、理髪店の店頭に置かれている赤・青・白のサインポールは、赤=動脈、青=静脈を表しており、外科医を兼ねていた床屋が瀉血療法を行っていたことの名残だという。

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