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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2017年09月05日

『致知』2017年9月号『閃き』―大きな声を出す経営で社員を健康に


致知2017年9月号閃き 致知2017年9月号

致知出版社 2017-09


致知出版社HPで詳しく見る by G-Tools

 やや古い調査レポートになるが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」によると、16%弱の事業所でメンタルヘルスに問題を抱えている社員がおり、その人数は増加傾向にあるという。また、厚生労働省の「平成27年「労働安全衛生調査」(実態調査)」によれば、「メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者の状況」は、休業者が0.4%、退職者が0.2%であった。さらに、「現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスになっていると感じる事柄がある労働者」の割合は55.7%と、平成25年調査より3.4%増加している。

 メンタルヘルス不調者が増加している要因は様々あるだろうが、個人的にはデスクワークが増えて、1人で黙々と仕事をする時間が長くなっていることが影響しているのではないかと思う。職場で言葉を発する機会が少なくなると、どうしても気分が憂鬱になるものである。よって、メンタルヘルス対策の第一歩としては、非常に凡庸な解決策だが、「職場で大きな声を出す機会を増やす」ことが有効であると考える。実際、「大声健康法」なるものも存在するそうだ。

 大声を出すと、身体に「オフ」の状態を作ることができる。大声によって心がすっきりするだけでなく、血行が良くなり、腹筋が収縮してお腹の働きもよくなる。すると、お腹と反対側の腰にもよい影響を与え、腰痛を和らげる効果もあるという。また、大声を出すと呼吸が深くなり、筋肉への血流も増加する。そして、ストレスホルモンのアンバランスさも低下し、ストレスが溜まりにくい身体になる。さらに、大声を出すと横隔膜の上下運動が激しく促進され、それに伴って胃や腸、肝臓などの内臓にマッサージ効果が起こって動きも血行もよくなり、身体も温まると言われている。

 大声健康法からはやや外れてしまうのだけれども、『致知』2017年9月号には、教育の現場に「速音読」を取り入れている教師の記事があった。
 速音読は、指定された範囲をできるだけ速く読む音読法ですが、速く読もうとする中で、素早く言葉のまとまりを掴むことができるようになり、また読む範囲の少し先を見る力もつきます。速く読めるようになると、普通の速さで読む時に余裕を持って音読できるようになりますし、脳科学的にも速音読は前頭前野を活性化させる度合いが高いそうで、短い時間で集中力や学習意欲を引き出せるのを感じています。
(山田将由「音読で子供たちの未来を開く」)
 大声健康法にも、ひょっとしたら脳を活性化させる効果があるのではないかと思う(そういう研究データをご存知の方がいらっしゃったら是非教えていただきたい)。かつて、日本の多くの企業では、朝礼で社員が皆揃って自社の企業理念を唱和する習慣があった。朝礼は企業理念を社員に浸透させ、社員の結束力を高めるのが主目的であるが、実は朝から全員で大きな声を出すことで、社員の脳や消化器の健康のために役立っていたのではないかと感じる。

 最近は、裁量労働制やフレックスタイム制の導入によって社員の出勤時間がバラバラになったこともあり、朝礼を行う企業が減少している。その影響かどうか解らないが、自社の経営理念を覚えていない人も増えている。先日も、ある研修で「自社の経営理念を覚えていますか?」と質問したら、誰も手が挙がらなかった。これは非常に残念なことである。難しいことかもしれないが、朝礼をもう一度復活させることは検討に値すると思う。朝礼では、経営理念を何度か繰り返し唱和するとよい。最初はゆっくりと読み上げ、経営理念に書かれた言葉の1つ1つの意味をかみしめる。そして、段々と唱和のスピードを上げ、脳の前頭前野を活性化させる。すると、社員は朝から経営理念を意識しながら全開モードで仕事に取り組むことができるだろう。

 朝礼はどちらかと言うと一方通行のコミュニケーションである。社員の健康をより高めるには双方向のコミュニケーションが効果的である。「コミュニケーション活発な人は健康度も高い かんぽ生命調査」によると、日常的な話ができる「知人・友人が11人以上いる」という人の53.5%が「現在、体調はよい状態である」、64.6%が「精神的な癒しやリラックスする時間を持つようにしている」と答えたのに対し、「知人・友人が0人」という人はそれぞれ36.5%、40.4%にとどまっている。知人・友人の数が多いほど、身体の健康だけでなく、心の健康への意識も高い。これは職場の人間関係においてもあてはまることだと思う。
 齋藤:最近、私が感じているのは、笑っている瞬間にアイデアが生まれることが非常に多い、ということです。昔、研究を1人でやっていた時はひたすら本を読んだり、思索に耽ったりしていたわけですが、いま学生と一緒にいる時は、とにかく爆笑できるくらいのものでなくては閃きは生まれないということを強く言うんです。それでニーチェの「祝祭的空間」という言葉にあやかって、それを授業でも実践しています。

 くだらない発言でも拍手をしハイタッチをしようと決めていて、どよめく練習までやるんですね。「おおーっ」って(笑)。誰が何を言っても盛り上がるように安全ネットを張った上で、私自身自分が思いついたことを喋り続け、彼らにもそれをやってもらう。
(川口淳一郎、齋藤孝、石黒浩「閃き脳をどう創るか」)
 こういうコミュニケーションは社員の心身を健康にするとともに、新しいアイデアを生み出すのに有益である。最近は、職場内にオープンスペースを設けて、社員のコミュニケーションの活性化を試みる企業が増えている。私はここで、2つのことに注意するべきだと思う。1つ目は、オープンスペースは誰でも自由に出入りできるものの、プライバシーは保護しなければならないということである。オープンスペースで話している内容が、外部で仕事をしている同僚に筒抜けであっては、突飛な意見を自由に言うのもはばかられる。もう1つは、いくら親しい同僚との間の会話であっても、また上司と部下という上下関係があるとしても、お互いに丁寧な日本語を使うべきだということである。粗雑な言葉遣いは知性を低下させ、ひいては心身の健康をかえって損なう。

 本号では、占部賢志氏が将棋の藤井聡太四段や卓球の張本智和選手などのインタビューに注目して、次のように述べている。
 中学生というと、中途半端な時期で影が薄かった。それが、ここにきて俄然注目されるようになったことは、いいことだと思いますよ。これだけ人気があるのは、彼らが以前のヒーローやヒロインに比べて言葉遣いが正しく、しかも内容も聞かせるものがあるでしょ。その点が際立っているからだと私は見ています。
(占部賢志「天晴れ中学生に拍手 「敬意」と「感恩」の教育」)
 確かに彼らは非凡な才能の持ち主である。だが、大人が中学生に負けているようでは恥ずかしい。何も高尚な言葉を使う必要はない。相手に敬意を払い、相手に対して解りやすい言葉を使って、大きな声ではっきりと語りかけることが重要である。相手のことを慮る気持ちもまた、心身を健康にするのにプラスではないかと考える。

 私は以前、中小企業向けの補助金事業の事務局員をしていたことがある。採択された中小企業について、補助金で何を購入したのか伝票類をチェックし、補助金を適正に支払うのが主な仕事である。事務局員は総勢60名ほどいたが、約6割が私と同じ中小企業診断士であった(残りの4割は大手企業のOBなど)。だが、大半が50~60代であり、私のような30代の人間はほとんどいなかった。50~60代の中小企業診断士には、大手企業出身者の人も多かった。大企業で経験を積んでいるのだからさぞ仕事もできるだろうと思いきや、中には中小企業の経営者に対して大声で乱暴な口を叩く人もいた。「こんな書類で補助金がもらえると思うなよ」、「この書類をこういうふうに直せと何回言ったら解るんだ」といった具合である。彼らはこんな態度で何十年も仕事をしてきたのかと驚くと同時に、彼らはきっと早死にするに違いないと思ったものである。

 社員の心身の健康を高めるために、大きな声で双方向のコミュニケーションをとる機会を設けようと言っても、いきなり実践するのは難しいかもしれない。そこで、取っ掛かりとして、「失敗分析」をお勧めする。どんな企業でも、製品開発や製造、マーケティングや営業で何らかの失敗をするものである。何か失敗が起きれば、関係者の間で原因を分析し、解決策を議論する。青森大学の男子新体操部で監督を務める中田吉光氏は次のように述べている。
 自分から発信する子は強いですね。人工知能が目覚ましい発達をしているような時代ですから、自分というものを持たない人間、それを発信しない人間は必要とされなくなると思うんです。ですから指示待ちも絶対に許さない。練習中に何か失敗をしたら、なぜ失敗したのか、じゃあどうすればいいのか、必ず本人に喋らせるなどして、少しでも発信する機会をつくるようにしているんです。
(中田吉光「男子新体操で人の心を揺さぶりたい」)
 ここでも、決して感情的になって乱暴な言葉を使ってはならない。また、失敗した人の人格を攻撃してもならない(日本人はよくこれをやりがちである)。失敗の原因を人に求めるのではなく、組織の制度や仕組みといったシステムに求めなければならない。こうした前向きなコミュニケーションをとることができれば、失敗からの立ち直りも早いであろう。

 私の前職の人事・組織コンサルティング&教育研修サービスのベンチャー企業は、業績が非常に悪かったのに、営業で失注してもその原因を全く分析していなかった。コンサルティングと自社のマーケティングを兼務していた私は、本来は営業会議に出席する権限を与えられていなかったのだが、社長にお願いして何度か営業会議に出席させてもらったことがある。すると、驚くべきことに、会議では営業担当者が手持ちの案件の進捗を淡々と報告するだけであった(以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第28回)】営業で失注しても「敗因分析」をしない」を参照)。

 当時、前職の会社では、Salesforce.comを使って商談管理を行っていた。ITの管理も部分的に任されていた私は、営業担当者に失敗分析の意識を植えつけるために、システムで案件のステータスを失注に変更する際には、失注の理由を入力しなければ更新できないように仕様を変えたことがあった。しかし、今振り返ってみると浅はかな策だったと思う。システムに向かって1人で失敗の分析をすれば、余計に気分が落ち込むばかりである。やはり、会議の場で、まずは失注した営業担当者自身の口から失注の原因を発言させ、それに対して他の営業担当者がどのように考えるか意見を引き出し、参加者の見解を集約して受注確率を上げるための方策を建設的に議論できる方向へ持っていくべきだったと反省している。

 企業によっては、人間関係が非常にギスギスしていて、失敗分析を行おうものならば、失敗した人が周囲からつるし上げられてしまうことがあるかもしれない。社員の心身の健康が極度に損なわれた企業において、それでもなお大きな声でコミュニケーションをとり、社員の健康を取り戻そうとするならば、最後に残された手段は「挨拶」だと思う。出社したら「おはようございます」と言い、それを聞いた他の社員も「おはようございます」と言う。退社する時は「お先に失礼します」と言い、それを聞いた他の社員は「お疲れさまでした」と言う。挨拶は定型化されており、絶対に失敗がない。決められた言葉を元気よく発すれば、それだけでコミュニケーションが成立する。

 もちろん、コミュニケーションが機能不全に陥っている企業では、最初は挨拶すらまともに返ってこないだろう。それでも、企業のトップが率先して挨拶をする。これを最低でも2~3か月は続ける。心理学には「返報性の原理」というものがある。人は、相手から何かをしてもらうと、相手に対して見返りを与えたくなるという心理を説明したものである。社長から毎朝のように大きな声で挨拶をされる社員は、最初はうるさいと感じるかもしれないが、やがては返報性の原理に従って社長に挨拶を返さねばと思うようになる。こうして、社員が皆大きな声で挨拶をするようになれば、心身の健康の回復の糸口が見えてくるに違いない。
2017年09月01日

双極性障害で入院したところ40日の予定が1週間で退院してしまった事の顛末


頭から煙を出す男性

 《参考記事》【シリーズ】中小企業診断士を取った理由、診断士として独立した理由
  1.中小企業診断士という資格を知ったきっかけ
  2.中小企業診断士を勉強しようと思ったきっかけ
  3.ベンチャー企業での苦労
  4.長い長い病気との闘いの始まり
  5.増え続ける薬、失った仕事
  6.点と点が線でつながっていく
  7.これから独立を目指す方へのメッセージ
 上記のシリーズ記事をご覧いただいた方はご存知かもしれないが、私はここ5年ほど双極性障害(Ⅱ型)という精神病に罹患している。双極性障害(Ⅱ型)という診断に変わる前は4年ほど通常のうつ病だと思って治療を受けていたので、治療期間はトータルで9年近くに及ぶ。私の人生の4分の1は闘病生活で占められている。ここ2年ほどはまずまず仕事ができていたものの、調子に乗って仕事を入れまくった結果、休みが取れなくなり、抑うつ症状が強く出てしまった。もう7年ぐらいお世話になっているかかりつけの医師に相談したところ、このままだと身体が持たなくなるため、休養目的で入院した方がよいと言われた。

 実は、私は5年前のほぼ同じ時期にも、休養目的で都内のある病院の心療内科に入院している。その時は約40日入院し、人生で初めて全く何もしない夏休みを経験した。私が退院してから約半年後、その病院の心療内科が閉鎖されてしまったのだが、今年に入ってから心療内科が復活したというので、慣れている病院がいいだろうということでその病院に入院することにした。

 私が入院直前に飲んでいた薬は以下の通りである。
 リボリトール1mg×2錠【抗不安薬】
 ジェイゾロフト25mg×2錠【抗うつ薬】
 リーマス200mg×1錠【抗精神病薬】
 サインバルタ30mg×1錠【抗うつ薬】
 ジプレキサ5mg×1錠【抗精神病薬】
 メイラックス1mg×1錠【抗不安薬】
 入院前に外来で診察を受けた時、担当医から「双極性障害の場合、抗精神病薬と抗うつ薬や抗不安剤を一緒に飲むことはない。抗精神病薬のリーマスだけに絞って200mgから600mgに増量し、他の薬は中止しよう」と言われた。この時点で私の頭には2つの不安がよぎった。

 1つは、抗うつ薬や抗不安薬を急に中止することで生じる離脱症状である。離脱症状とは、薬を止める時に出る副作用のことだ。長期間、薬を飲んでいると、薬の成分が定期的に身体に入ってくる。すると、身体は定期的にその成分が入ってくるものだと思い、その予定で身体の中を調整する。そのような状態でにいきなり薬を止めると、身体は入ってくるものと思っている薬の成分が入って来ないので、身体の中の色々なバランスが狂ってしまう。具体的には、めまい、頭痛、吐き気、だるさ、しびれ、耳鳴りなど、様々な症状をきたす。私の場合、長期間にわたって抗うつ薬や抗不安薬を服用しているため、離脱作用が出る可能性が高い。

 もう1つは、リーマスの急激な増量に伴う副作用である。血液検査の結果、私の血液中のリーマスの濃度が低かったので担当医は増量の判断を下したのだが、リーマスには様々な副作用がある。手の細かいふるえ、口の渇き、吐き気、食欲不振、下痢、めまい、立ちくらみ、眠気、脱力・けん怠感などである(ちなみに、リーマスには「リチウム中毒」という重篤の副作用もあるが、600mg程度では発症することがほとんどないらしい)。この2つの不安はやがて現実となる。

 私が入院したのは8月4日(金)である。外来の時の担当医に加えて、主治医がもう1人つくことになった。2人とも5年前とは別の先生である。2人体制で盤石かと思いきや、全くそんなことはなかった。5年前に入院した時は、主治医1人だけで担当医はいなかったにもかかわらず、1日朝夕の2回回診があり、さらに週に2回30分程度の面談があってじっくりと私の話を聞いてくれた。ところが、今回は回診が毎朝1回だけで、定期的な面談もないという。医師が2人に増えたのに回診の回数が半分に減っているのだから、医療サービスの質は4分の1に落ちている。

 さらに言えば、5年前に比べて看護師の質も落ちていると感じた。5年前は、少なくとも朝晩の2回患者の様子を見に来て、血圧と体温を測ってくれた。私が時折こぼす弱音にも耳を傾けてくれた。しかし、今回は朝しか様子を見に来ない。しかも、他の診療科にかかっている患者の元には夜も看護師が訪れるのに、私のところだけ看護師がやって来ない。

 6日(日)、本来主治医は休日で休みのはずだが、なぜかこの日は病棟に来ていた。そして、私に対して驚くべきことを言った。「前回入院した時の記録も含めてこれまでの治療歴を見てみると、どうも双極性障害ではない気がする」。これには私も混乱した。5年間双極性障害だと思って治療を受けてきたのに、主治医は記録を見ただけであっさりとそれを否定しようというのである。この時点で、主治医は双極性障害ではないかもしれないと思っており、一方でもう1人の担当医は私が双極性障害だと思ってリーマスを増量しているのだから、2人の間で治療方針が矛盾している。私は一体何を信じればよいのか解らなくなった。「では、何の病気なのですか?」と聞いたところ、「それは入院中に病理検査を受けてもらわないと解らない」との返答であった。

 私は経営コンサルタントの端くれなのだが、コンサルティングの仕事をしていると、顧客企業が以前に使っていたコンサルティング会社の成果物を否定することがある。否定するとそれだけで仕事をした気分になるからだ。しかし、否定される側は、こんなにも不愉快な気持ちになるものなのかと、恥ずかしながら私はこの時初めて知った。確かに、前のコンサルティング会社の成果物が滅茶苦茶で、この通りに顧客企業が経営を行ったら危ない方向に行ってしまう場合には、その成果物を否定しなければならない局面というのはある。ただ、その場合には、すぐさま新たな仮説を提示して、顧客企業が真に進むべき方向性を照らすのがコンサルタントの責任である。

 もちろん、医師はコンサルタントと違って、不確かな仮説を簡単には提示できないという事情はあるだろう。だから、主治医は病理検査を私に勧めてきたわけだ。しかし、現状調査をするのであれば、すぐさま開始するべきだと思う。私が最初の病理検査を受けたのは、入院してから1週間が経過した10日(木)であった。しかも、入院中にどういう検査を受けるのか、その全体像は教えてくれない。あまりコンサルティングの常識を医師に押しつけるのもよくないのかもしれないけれども、コンサルティングであれば必ず事前に現状調査の全体像やスケジュールを顧客に提示するものである。何をいつまでに調査するのかをあらかじめ顧客に納得してもらう。今回のように、ずるずると病理検査を続けようというのは、私からすると考えられない。

 百歩譲って、その1週間が経過観察期間だったとしよう。しかし、本当に患者の経過を観察する気があったのかと疑念を抱かざるを得ない。案の定、入院して4日目ぐらいから、頭がガンガン揺れる感覚に襲われるようになった。離脱症状が出始めたのである。そのことを主治医に訴えたところ、最初に処方されたのは普通の頭痛薬であった。こんなものは効くはずがない。5日目になると、頭の不調に加えて吐き気がするようになった。もう1人の担当医に相談したら、コントミンを処方された。コントミンは古くからある統合失調症の薬らしい。だがこのコントミン、調べてみると命に関わる重篤な副作用をもたらす危険性があるため、やむを得ない場合に限って処方される薬だそうだ。担当医からはそんな説明は一切なかった。

 それでも一応コントミンを飲んでみたところ、その日は症状が治まった。しかし、翌6日目には激しい胸やけと吐き気に襲われた。めまい、手足の冷え、手先の震えといった症状も出てきた。私はここに至って、これは離脱症状だけのせいではないと思うようになった。というのも、以前も私は何度か薬を1週間ぐらい切らしてしまったことがあり、離脱症状に襲われたことがあるのだが、日に日に症状が悪くなるということは経験したことがなかったからだ。

 となると、考えられるのは、もう1つの可能性であるリーマスの副作用である。リーマスの血中濃度が徐々に上がったことで副作用が出たのかもしれない。ところが、主治医はリーマスのことは全く頭にないのか、「離脱症状で手足の冷えはない」と言い切るばかりである。ひとまず、対処療法的に吐き気止めと胸やけの薬を処方してもらった。入院中はゆっくりと本が読めると大量の本を病室に持ち込んだのに、長時間文字を見続けると気分が悪くなるし、本の内容をメモに取ろうとしても、手が震えて満足に字を書くことができない。

 7日目の10日(木)、いよいよめまいがひどくなってきた。前述の通り、この日は1回目の病理検査があり、簡単な知能テストのようなものを受検した。しかし、途中で気分が悪くなったため、半分しかテストを消化することができなかった。私はコントミンの効きが悪いので、普通のめまいの薬を出してほしいと看護師に何度かお願いした。看護師は院内の薬局に連絡を取ったらしく、夜になればめまいの薬が出ると言った。だが、夜になって夜の看護師にめまいの薬をもう一度お願いすると、明日の朝主治医の診察を受けてもらわないと出せないと言う。

 11日(金)~13日(日)は3連休で、主治医も担当医も基本的には休みであり、回診も十分にできない。そこで、この3連休は外泊してもよいとあらかじめ主治医からは告げられていた。このこと自体には私は怒っていない。ちょうどお盆休みにかかるから仕方のないことだ。前回入院した時も、主治医は夏休みを1週間とっていた。主治医の言葉を受けて、私は、11日の10時に病院を出て、13日の17時に病院に戻ってくる計画を事前に申請していた。ただ、10日の私がこんな状態であったので、主治医は私が外泊する翌11日の10時より前に回診に来ることになった。

 さて、11日になったのだが、待てど暮らせど主治医が来ない。11時になって私が看護師を呼んで確認してもらったら、まだ病棟に来ていないと言われた。仕方なくもう少し待ってみたものの、12時になっても来ない。しびれを切らした私が看護師に言うと、看護師が主治医の携帯に電話をしてくれた。ところが、主治医は夕方にしか来ないと言う。朝10時までに来ると言っておきながら、何の連絡もよこさずに来るのが夕方になるというのは非常識極まりない。民間企業でこんなことをしたら、即刻取引停止である。私は夕方まで待てないと言って、めまいの薬をもらわずに外泊した。これが5年前と同じく1日2回の回診ならば、10日の夕方に問題は解決していたはずだ。

 3連休は地獄であった。めまいはするし、頭はガンガン揺れるし、脳みそがギューッと締めつけられるような感覚が続いた。身体は火照っているのに、全身からは変な汗が出て、手足が冷えた。下痢もするようになった。食事も十分に摂れなかった。実は、食事は入院5日目あたりから満足に摂れなくなっていた。そのせいで、入院わずか1週間で体重が3kgも落ちた。入院前に取引先に頭を下げてせっかく休暇をもらったのに、これでは全く休暇にならなかった。ストレスから解放されるどころか、かえってストレスがたまる一方であった。

 あまりに症状が悪化したので、12日(土)に病院に電話したところ、一度病院に戻ってきてくれとのことだった。私は主治医も担当医もいないのだからどうせ薬は処方されないだろうと思っていたが、やはり看護師の力だけでは薬は出なかった。完全に無駄足であった。私はこのまま入院しても満足な治療が受けられないと感じ、退院を願い出た。だが、週末は退院手続きができないと言う。そこで、外泊を14日(月)の午前中まで延ばし、14日に病院に戻ってきて退院手続きをするということで話は落ち着いた。13日(日)、私はあまりよくないとは思いつつ、自宅に残っていたサインバルタとリボトリールを飲み、リーマスの服用を止めた。すると、症状はかなり改善した。

 14日の朝、病院に戻ると、主治医が悪びれる様子もなくやってきた。3連休の様子はどうだったかと尋ねるので、「お前のせいで最悪だった」と言ってやりたいところだった。私はその思いをぐっとこらえて淡々と前述の症状を説明した。すると、「部分的に離脱症状が混じっているが、下痢は離脱症状で説明ができない」と返された。

 私は、リーマスを3倍に増やした影響ではないのかと言うと、主治医は最初「リーマスは増やしていない」と言い放った。この主治医は、自分が患者に処方した薬の内容を忘れていたのである。私がそのことを指摘すると、やや慌てふためいた様子で、「それでもリーマスの副作用で下痢はあり得ない」と強弁してきた。私は3連休中にリーマスの付属書類も読み、リーマスの副作用に下痢があることを把握していた。リーマスの副作用で下痢を生じることがあることを報告する論文も見つけていた。そのことを言ってやろうかと思ったものの、ここで喧嘩してもストレスになるだけだと思い止めた。私はさっさと退院させてくれと言って、とっとと病院を後にした。こういうわけで、当初40日ほど入院する予定だったのが、実質1週間になってしまった。

 再びコンサルティングの話を持ち出すことをお許しいただきたいが、コンサルティングで顧客企業に何か改革を提案する時は、改革に伴うリスクも提示する。そして、リスクに対する2次対応策を一緒に提案するのが普通である。今回のケースでも、リーマス以外の薬を全て中止し、リーマスを増量することに伴うリスクは、医師であれば把握していて当然であるし、リスクが生じた場合にはすぐに対策を打つべきであろう。相手が入院患者であれば、なおさら迅速に手を打たなければならない。そうでなければ、何のために患者を入院させているのか解らない。

 もう1つ、この主治医には妙な癖があった。それは、人の言うことを何でもすぐに否定したがるということである。「双極性障害でないかもしれない」、「離脱症状で手足の冷えはない」、「リーマスの副作用で下痢はあり得ない」といった具合だ。さらに私は、夜眠りが浅いので、以前服用したことがあるサイレースという入眠剤を出してほしいとお願いしたことがあった。すると、「サイレースは健忘症の副作用があり、欧米では犯罪に使われることもあるため、販売が縮小されている。日本でも今後そのような動きになる。だから、サイレースは使わない方がよい」と言われた。これらの主治医の言葉に共通するのは、「では、代わりに一体何なのか?」という代替案がないことである。頭の中の知識(しかもその一部は誤っている可能性がある)だけで処理をして、目の前の患者と向き合おうとしない姿勢には無性に腹が立った。

 それでも1つだけ入院してよかったことがあるとすれば、医師が私の病気にどんな名前をつけようとも、実はそれは私の元々の性格の一部であって、治療でどうにかなるものではないのかもしれないと気づいたことである。そう考えると、多少は気持ちも楽になった。予期せぬ形で短期間で退院してしまったわけだが、まずはかかりつけの医師のところに戻って、薬を入院前の状態に戻してもらおうと思う。これは離脱症状対策である。その後は徐々に減薬をして、年末をめどに薬をゼロにできればと考えている。そうすれば、9年間の闘病生活にピリオドを打つことができる。
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2017年08月31日

「理論政策更新研修」を聞きながら前職のWebマーケティングを思い返していた


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 今年2回目の理論政策更新研修を受講してきた。これで無事に資格更新が完了した。診断士活動11年目に突入である。前回の理論政策更新研修の2時限目「中小企業の国際化支援について」は受講していてブチ切れそうな内容だったが(以前の記事「東京都の中小企業向け補助金・助成金など一覧【平成29年度】」で書いた)、今回の1時限目「新しい中小企業政策について」も聞いていて半ば殺意を覚えた(直球)。

 講師は、ものづくり補助金、IT導入補助金、創業補助金、小規模事業者持続化補助金、経営力向上計画、経営革新計画の概要を説明しただけである。概要ならばHPを読めば十分に解る。受講者のニーズは、それぞれの補助金について、審査員が納得する事業計画をどのように作成すればよいのか、できれば事例を交えながら紹介してほしいということにある。講師が「それはコンサルタントとしてのノウハウだから開示したくない」と言うのであれば、お金を取って研修の講師を務める資格はない。受講者はお金を払ってノウハウを購入しに来ているのだから。

 2時限目は「中小企業のIT利活用支援」というテーマであった。こちらは、SEO/SEMやリスティング広告を活用した売上高向上、基幹業務効率化のためのIT導入によるコスト削減といった、オーソドックスな内容であった。以前の記事「【城北支部国際部】「ここがポイント!”地方のインバウンド誘致”と”越境EC”」 ~現場での支援事例に基づく現状、課題、未来~(セミナーメモ書き)」で、最近はSNSと自社HPを連携させるマーケティングが重要になっていると書いたが、中小企業、特に小規模企業の場合は、未だに古典的な手法が十分に効果を発揮すると思う。私は前職の人事コンサルティング&教育研修のベンチャー企業でマーケティング業務も兼務していたこともあり、その当時のことを思い出しながら講義を聞いていた。成功した取り組みもあるものの、ほとんどは今振り返ると「あの時ああしておけばよかった」と後悔することばかりである。

 私がマーケティング担当になった時、最初にやったのは自社HPのリニューアル作業であった。前任者が突然退職したため、作りかけのHPを公開まで持っていかなければならなかった。通常、HPをデザインする際には、HP上で訪問者に期待するアクション(私の前職の場合は、「お問い合わせ」をしてくれること)に導くために各ページの導線をどのように設計するか、また、検索エンジンで上位に表示されるようにするためにSEO対策をどうするのかといった点を検討するものである。だが、私はいきなり作成途中のHPを渡されて、社長から「これを○月○日までに公開してほしい」と命じられた。だから、とにかく公開日に合わせて作業するので精一杯であった。

 何とかHPが無事に公開された後で、私が手始めにやった小さな改革が、無料セミナーの告知ページの改善であった。前職の企業は、研修サービスという目に見えないサービスを売るために、まず人事担当者向けに無料セミナーを開催して研修の概要を説明し、見込み顧客を獲得した後に営業担当者がフォローして商談につなげていく、という流れを想定していた。ところが、私がマーケティングを担当する前の無料セミナーは閑古鳥が鳴いている状態であった。私がやったのは、競合他社のセミナータイトルを眺めながら、それまで月並みな表現になっていた自社のセミナータイトルに一ひねり入れただけである。これだけで、無料セミナーはすぐに満員になるようになった。無料セミナーは2週間に1回のペースで行い、1回あたりの定員がだいたい20名であったが、1年間で述べ500社以上の見込み顧客を獲得することができた。

 だが、問題は述べ500社以上も見込み顧客を集めたのに、一向に売上につながらないということであった。「この間のセミナーに来たあのお客様から受注できたよ」という話を営業担当者から一度も聞くことがなかった。原因を調べたところ、営業担当者に見込み顧客のリストを渡した後、営業担当者は参加者のフォローを全く行っていなかったのである。これにはさすがに愕然とした。なぜ参加者のフォローをしないのか聞いてみると、「セミナーに来る人は担当者レベルで意思決定権がないから、フォローしても無駄だ」、「我が社がターゲットとする顧客としては社員規模が小さすぎる」、「手持ちの商談で手いっぱいで、フォローどころではない」などと、色々と言い訳を並べ立ててきた。フォローをした結果、無料セミナーには意味がないと主張するならまだしも、フォローもせずに言い訳をするのは、職務放棄ではないかと憤りを覚えた。

 私がマーケティングで自由に使える予算は、事実上0円であった。毎月7万円のHP維持コスト(今考えると随分と高かった)と、毎年1回人事・教育研修関連のソリューションを集めた展示会に出展するための小間料約500万円があったのだが、これは私が自由に使えるお金ではない。展示会は私がマーケティング担当になる前に3年連続で出展していたものの、商談には結びつかなかった。私は、費用対効果がないため、マーケティング担当になった暁には出展を取り止めようと社長に提案するつもりだった。ところが、展示会主催会社とパイプがある営業部長が、勝手に私を展示会の責任者にして出展を申し込んでしまった。しかも、後から話を聞くと、前職の社長が展示会主催会社の役員と仲良しで、関係上断れないから出展を申し込んだのだと言う。

 退職してから、大企業で国内や海外の展示会に出展したことのある人からあれこれと話を聞いた結果、展示会というのは、たまたま会場を訪れた新規顧客をつかまえることはほとんど期待できないことが判明した。展示会に出展する場合には、あらかじめ既存顧客や見込み顧客をリストアップして招待状を送り、自社のブースを訪れてくれるように仕込んでおく。そして、ブースで最新の製品・サービスを見せながら、具体的な商談へと持ち込むのである。このことを在職中に知っていれば、もっと違ったアプローチができたかもしれない。

 在職時の私は、効果のない展示会出展に何百万円も使うくらいならば、SEO対策とリスティング広告に使いたいと考えていた。今回の理論政策更新研修を聞きながら、Webマーケティングには大きく2つの柱があると感じた。1つは、いわゆるビッグワードで検索された場合に、自社のHPが上位に表示されるようにすること、もう1つは組み合わせキーワードによるリスティング広告を大量に登録し、検索者のニッチなニーズをかき集めて自社HPに誘導することである。

 私は、自社HPのリニューアルが終わった後、自力でSEO対策を行うことにした。<title>タグに重要なキーワードを入れ、余計な単語は入れないというのは、SEOでは基本中の基本である。前職では、「キャリア開発研修」と「リーダーシップ研修」を売りにしようとしていた。それぞれの紹介ページの<title>には、この名前が入っていた。しかし、SEOの観点からすると、「開発」という言葉が余計である。「キャリア開発 研修」よりも、「キャリア 研修」で検索するのが普通であろう。また、「リーダーシップ研修」は「リーダー研修」としたかった。これも、「リーダーシップ 研修」で調べる人より「リーダー 研修」で調べる人の方が多いからである。しかし、社長は妙にこのサービス名に思い入れがあるようで、私は研修名を変更するよう説得し切れなかった。

 自力でSEO対策をすると言っても、予算が0円ではできることにも限りがある。外部リンクを獲得するために、私が個人的に運用していたブログからリンクを貼ったこともあった。検索エンジンでトップ3(検索エンジンでは、トップ3に表示されなければ、表示されていないのと同じである)に表示させたいページに関しては、お金をかけてでも外部のSEO業者の力を借りた方がよかったと思う。幸いにも、研修業界それほど市場規模が大きいわけではないため、1ページあたり月10万円ぐらいでSEO対策ができるようであった。よって、主力となる3つ程度の研修について、外部業者を使ってSEO対策をする。これで、10万円×3ページ×12か月=360万円となる。

 そして、残りの140万円をリスティング広告に投入する。リスティング広告は、ビッグワードだとどうしても入札価格が高くなる。そこで、ニッチなキーワードで大量の広告を出すのが効果的である。ニッチなキーワードで検索する人は、ニーズが明確であるから、そういう人を低コストで自社HPに誘導できれば非常に有効である。前述のリーダーシップ研修であれば、「管理職 育成 研修」、「課長 育成 研修」、「部長 育成 研修」、「マネジャー 育成 研修」、「管理職 コミュニケーション」、「管理職 モチベーションアップ」、「管理職 部下育成」、「管理職 マネジメント力」、「チームビルディング 研修」、「若手リーダー 育成」、「次世代リーダー 育成」、「リーダー ビジョン」、「リーダー 価値観」、「リーダー 研修 効果」など、思いつく限りのキーワードを登録する。ものの本によると、キーワードは1,000個ほど用意するべきだと言う。

 以上のSEO対策とリスティング広告を行うと、自社HPのアクセスがどの程度増加するのか、その結果コンバージョン率はどのくらい上がるのか、その結果、成約に結びつく商談がどれぐらい増えるのか、投資はちゃんと回収できるのかをきちんと計算して社長に提案すればよかった。それができず、予算0円の現状を嘆いてばかりいた当時の私は能力不足であった。

 私が自社HPをちょこちょこと改善する中で解ったこともある。リニューアル後からしばらくの間は、それぞれの研修紹介ページの内容を充実させることに力を注いでいた。キャリア開発研修であれば、キャリア開発とはそもそも何なのかという話から始まり、我が社が考えるキャリア開発の説明をし、その後で研修コンテンツの内容を紹介するという、かなり冗長なページになっていた。だが、GoogleAnalyticsの解析結果を見ていると、研修紹介ページでの離脱率が非常に高かった。私は情報量が多すぎるのがいけないと考えるようになった。そこで、あれこれと試行錯誤した結果、私が退職する直前には、研修の概要と研修で得られる効果のみを記載するシンプルなページに落ち着いた。研修概要の部分には、開示できる範囲でテキストやワークを載せ、研修の具体的なイメージを持ってもらえるようにした。すると、今までほとんど売れていなかったある研修で、売上高が兆単位の超大企業から問い合わせがあり、見事受注につながった。

 製品・サービスの紹介ページはできるだけシンプルにした方がよい。せいぜい1スクロールで全ての情報が解るようにする。ただ、研修サービスは目に見えないサービスであるため、工夫が必要である。その1つが、前述のように、テキストやワークのイメージ図を挿入することであった。私はそれに加えて、研修の一部分を動画で配信することも考えていた。さらに、受講者の声を掲載するというアイデアもあった。受講者の声は、テキストで記述するとその会社が適当に作文したものに見えるので、実際のアンケートをスキャンして、画像を貼りつけるのがよいと思っていた。しかし、これらは私の怠慢で在職中に実現できなかった。

 もう1つ解ったことがある。それは、コンテンツがリッチであることと、ページ数が多いことはイコールではないということである。私がマーケティングを担当していた頃、それまでの習慣で、講師やコンサルタントが定期的にコラムをHPにアップすることになっていた。コラムを載せることでHPを充実させ、我が社には信頼できるプロフェッショナルが揃っていることをアピールし、それぞれの研修紹介ページへと誘導するのが目的であった。私もその方針を引き継いで、講師陣にはコラムを書けと随分発破をかけたものである(その講師陣〔皆、私よりも年上である〕がちっとも締め切りを守らないため、私がストレスを溜めていたことは以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第40回)】ダメ会社の典型=遅刻や締切遅れが当たり前の体質」で書いた)。

 しかし、私が退職する間際に解ったことだが、GoogleAnalyticsを見ていると、コラムページの直帰率や離脱率が非常に高かった。コラムページには関連する研修紹介ページへのリンクが張ってあったにもかかわらず、クリック率は低かった。つまり、コラムを読む人はコラムだけが楽しみであり、研修の発注にはつながらないということであった。この点にもっと早く気づいていれば、コラムを作成するという徒労に振り回されることもなかったのにと悔やまれる。ページ数が少なくても、それぞれの研修紹介ページが解りやすくデザインされていれば、それで十分なのだ。

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