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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
所属組織など
◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長、および国際部員を務めています)

NPOビジネスサポート特定非営利活動法人NPOビジネスサポート
(監事を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

Experian海外企業信用調査 海外企業信用調査(Experian)
(一緒にお仕事をさせていただいている「コンサルビューション株式会社」は、世界最大の信用調査会社Experianの正規代理店です)

中小企業診断士の安い通信講座なら「資格スクエア」資格スクエア
(以下の資格の講師をしています。
 ―ITパスポート
 ―情報セキュリティマネジメント
 ―経営学検定(初級・中級)
 ―中小企業診断士(企業経営理論、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策)
 谷藤友彦と株式会社サイトビジット代表取締役・鬼頭政人氏の対談動画(1)(2)(3)
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2017年07月26日

【感想】Mr.Children新曲「himawari」(映画『君の膵臓をたべたい』主題歌)の歌詞を解剖する

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Mr.Children

トイズファクトリー 2017-07-26

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君の膵臓をたべたい (双葉文庫)君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
住野 よる

双葉社 2017-04-27

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 映画「君の膵臓をたべたい」の主題歌で、Mr.Childrenの今年2枚目のシングルとなる「himawari」の歌詞を私なりに解剖してみた。以下、「キミスイ」のネタバレを一部含んでいるので注意してください。また、私は普段は小説を滅多に読まない人間であり、まして小説のレビューなど書いたことがないから、ぎこちない文章になっている点はご容赦いただきたい。
 優しさの死に化粧で
 笑ってるように見せてる
 君の覚悟が分かりすぎるから
 僕はそっと手を振るだけ
 いきなり「死に化粧」という言葉が登場する衝撃的な始まりである。【秘密を知っているクラスメイト】くんこと志賀春樹は、クラスメイトの山内桜良が膵臓の病気であり、あと数年の命であることを偶然知ってしまった、桜良の家族以外の唯一の人間である。実は、桜良の葬儀には、春樹は出席していない。だから、桜良の死に化粧も、春樹は直接見ていない。いつもケラケラと声を立てる闊達な桜良は、死に化粧をしても笑っているように見えるというのは、春樹の想像であろう。

 桜良の覚悟とは何だろうか?残り少ない余命を悔いのないように生きるという覚悟ではない。確かに、桜良に残された時間は少ない。しかし、桜良よりも春樹の方が、不慮の事故などで先に命を落とす可能性もある。よって、死が予定されているからと言って1日の価値が上がるわけではなく、どんな人にとっても1日は等価である。そのことを覚悟しているという意味である。
 「ありがとう」も「さよなら」も僕らにはもういらない
 「全部嘘だよ」そう言って笑う君を
 まだ期待してるから
 実は、桜良が病気とは別の理由で突然命を落とす結果となったため、春樹も桜良も、桜良が生きている間にはお互いに「ありがとう」と素直に言う機会がなかった。そして、桜良が死ぬ時も、お互いに「さよなら」を言えなかった。ところが、桜良が膵臓の病気を知ってからつけ始めた『共病文庫』という日記の最後に、桜良があらかじめ用意しておいた春樹向けの遺書で、春樹が桜良の本当の想いを知った時、2人は完全に心を通わせることができた。桜良はもうこの世にいないけれども、桜良は春樹の心の中でこれからも生き続ける。だから、敢えて「ありがとう」と言う機会を探る必要はないし、まして「さよなら」と言う必要もない。

 ただ1つだけ、桜良には「全部嘘だよ」と言ってほしかった。無論、実は病気ではありませんでしたなどという安物の嘘ではない。いつも明るく周りにはたくさんの友人が集まってくる桜良は、病気が判明してからも変わらない様子で振る舞っており、春樹はそれが桜良の天性によるものだと思っていたが、本当は桜良も死が怖かったのではないかということ。1日の価値は等価だと覚悟を決めていたが、本当は寿命が1日、また1日と削られていくことに深い悲しみを抱いていたこと。そうでなければ、桜良は『共病文庫』を作ったり、「死ぬまでにしたいこと」を書き出してそれを実行したりしなかったはずだ。春樹は桜良の矛盾を見抜いていた。
 いつも
 透き通るほど真っ直ぐに
 明日へ漕ぎだす君がいる
 眩しくて 綺麗で 苦しくなる
 桜良は、傍目にはもうすぐ死ぬ人間にはとても見えない。いつも通り学校に来て、いつも通り友人と騒いで、いつも通り試験を受けて、いつも通り透き通った笑い声をこの世に響かせている。桜良には明日がないかもしれないのに、明日もまた今日と同じように生きようとしている。それが春樹には「眩しくて綺麗」に見える。しかし、春樹は桜良が心の奥底から垣間見せていた闇を知っていたから、桜良が「眩しくて綺麗」であるほど、春樹の心は「苦しくなる」のである。
 暗がりで咲いてるひまわり
 嵐が去ったあとの陽だまり
 そんな君に僕は恋してた
 「キミスイ」の作者である住野よる氏は、Mr.Childrenの「himawari」を聞いて、「楽曲のタイトルが『himawari』、桜良をヒロインとしたこのお話の主題歌に夏の花のタイトルがついていたことに想像を悠々と超えられた感覚があった」とコメントしている。

 おそらく、桜良の寿命は(普通に生きていれば)高校3年の春頃までだったと思われる。他の高校生とは違い、春に大学入試の合格発表を見ることができない。いや、たとえ合格発表を見て吉報を得たとしても、桜が散る4月上旬には寿命が尽きて、大学の入学式に出席できなかったに違いない。そういう切なさを込めて、主人公の名前を桜良にしたのだと思う。しかし、桜良は春樹の心の中に存在し続ける。春を終え、夏を迎える。そこには大きな、とても大きな一歩がある。だから桜井和寿さんは、主題歌のタイトルとして、敢えて夏の花であるひまわりを選択したのだと思う。さらに言えば、「嵐が去ったあとの陽だまり」とは、台風の後の太陽が水たまりを照らす様子を指している。つまり、春から夏へとだけでははなく、夏から秋へとも時間は進んでいく。

 「そんな君に恋してた」とあるが、春樹と桜良は恋人関係にあったわけではない。このことは桜良が『共病文庫』の中で明確に否定している。2人は、友達とも恋人とも違う特異な関係にあった。桜良は、もし相手が親友や恋人であったら、病気のことを絶対に知られたくなかったと言う。病気を知ってしまった親友や恋人は、病気に過剰反応して、普段通りに桜良に接してくれなくなる。桜良の病気を知った家族が、高校生には似つかわしくない豪華なテレビやテーブルなどを自分の部屋に用意してくれるのを見て、桜良はおよそ自分の病気を知ってしまった人間というのは、そういう行動をとるものだと悟った。病気という真実を伝えると、日常が崩れてしまう。その点、春樹は人間関係というものに無関心であり、桜良の病気を知っても興味を持ちこそすれ、動揺はしなかった。春樹ならば、真実と日常を両立できると桜良は思ったわけだ。
 想い出の角砂糖を
 涙が溶かしちゃわぬように
 僕の命と共に尽きるように
 ちょっとずつ舐めて生きるから
 春樹と桜良が時間をともにしたのは、わずか4か月である。その4か月に濃密な思い出が凝縮されているのだが、所詮、高校生という未熟な時期の思い出である。だから、角砂糖のように小さくてもろい。今悲しみでたくさん泣いてしまえば、かえって心の重荷が吹き飛んで、思い出が消えてしまうかもしれない。春樹が桜良と心の中で少しでも長く一緒にいるために、悲しみを道連れにすることを覚悟の上で、思い出をかみしめていくことを春樹は選択した。
 だけど
 何故だろう 怖いもの見たさで
 愛に彷徨う僕もいる
 君のいない世界って
 どんな色してたろう?

 違う誰かの肌触り
 格好つけたり はにかんだり
 そんな僕が果たしているんだろうか?
 前述の通り、春樹と桜良は恋人だったわけではない。だから、春樹が今後、別の女性と恋に落ちることは十分あり得る。違う誰かの肌触りを感じ、桜良には見せなかったような恰好つけた態度やはにかんだ態度をとるかもしれない。だからと言って、それが直ちに桜良に対する春樹の不義理を意味するわけではないだろう。心の中に桜良という特別な存在を抱きながら、別の女性を愛するということが一体どういうことなのか、まだこの時の春樹には想像がついていない。そして、実際に春樹に愛する人ができた時にも、この葛藤に苦しむに違いない。桜良という人物を春樹の人生の中でどのように意味づけするのかは、春樹の人生に課された大きな宿題である。
 諦めること
 妥協すること
 誰かにあわせて生きること
 考えてる風でいて
 実はそんなに深く考えていやしないこと
 思いを飲み込む美学と
 自分を言いくるめて
 実際は面倒臭いことから逃げるようにして
 邪にただ生きてる
 これは春樹のことを指している。小学生の頃から友達というものを持ったことがない春樹。当然、恋人がいたこともない。春樹は人間関係を煩わしいものと考えていた。自分の世界に浸り、何事も自己完結させることを好んだ。他人には何も主張しない。友達がいないのだから、そもそも主張する相手がいない。とはいえ、ある時突然誰かが春樹の世界に侵入してきたら、その人の意見には従う。春樹はそんな生き方を「草船」的だと表現して自己正当化してきた。

 一方の桜良は、春樹とは全く正反対の性格である。友達にも恵まれ、これまでに3人の恋人がいたという。食事の好みも、趣味の方向性もまるで真逆だ。もし、桜良の性格を知りたければ、春樹を鏡に映せばいい。逆に、春樹の性格を知りたければ、桜良を鏡に映せばいい。そのぐらい2人の性格は違っていた。いや、あまりにも違っていたからこそ、ジグソーパズルのピースがかみ合うように、2人はお互いをすんなりと受け入れることができた。仮に友達や恋人の関係であったら、2人の間に共通点を見出そうとしただろう。そして、最初はその共通点を喜んでいたのに、次第に相違点に目が行くようになり、それがいざこざの原因となる。しかし、春樹と桜良は全く重なり合う部分がなかったので、友達や恋人とは違う特殊な関係を構築することができた。

 春樹は桜良からたくさんのことを学んだ。春樹は草船のように流されながら生きてきたと思ってきたが、実は人生とは主体的な選択の連続であること。桜良との出会いも、偶然ではなく、春樹が選んだことであること。そして、生きるとは、誰かを心を通わせることであること。誰かを認める、誰かを好きになる、誰かを嫌いになる、誰かと一緒にいて楽しい、誰かと一緒にいたら鬱陶しい、誰かと手をつなぐ、誰かとハグをする、誰かとすれ違う、それが生きるということである。

 逆に、桜良も春樹からたくさんのことを学んでいた。桜良の人生は、周りにいつも誰かがいることが前提だった。桜良の魅力は、桜良の周りに誰かがいないと成立しなかった。誰かと比べられて、自分を比べて、初めて自分を見つけられる。だが、春樹はいつも自分自身だった。春樹は自分のためだけに、自分だけの魅力を持って、自分の責任で生きていた。そんな春樹に桜良は憧れていた。2人の性格がまるっきり違うからこそ、お互いの違いを尊重することができた。そして、いつしか2人はお互いを心の底から必要とするようになった。

 だから、春樹は桜良が死ぬ直前に送ったメールで、そして、桜良は『共病文庫』で春樹に宛てた遺書の最後で、全く同じ言葉を書いたのである。「君の膵臓を食べたい」。春樹は「僕は君になりたかった」と言っている。おそらく、桜良も「私は君になりたい」と思っていたのだろう。ただ、相手のよさを自分に取り入れることで、別の言い方をすればお互いの膵臓を食べることで、本当に自分を変えようとしたわけではないように思う。人間はそれほど簡単には変われない。お互いに、自分には全くないものを持っている人をずっと身近に置いて手放したくなかった。それが「君の膵臓を食べたい」という言葉となって吐露されたと言える。春樹にとって、人生には今まで自分が考えていたものとは違う可能性があることを示してくれた桜良。「だから」、桜良が死んでもなお明日へと放つ眩しさに見とれ、同時に桜良の存在のあまりの大きさに胸が苦しくなる。
 だから
 透き通るほど真っ直ぐに
 明日へ漕ぎだす君をみて
 眩しくて 綺麗で 苦しくなる

 暗がりで咲いてるひまわり
 嵐が去ったあとの陽だまり
 そんな君に僕は恋してた
 そんな君を僕は ずっと
 高校時代のたった4か月間であったが、特別な関係をつむぎ、今まで経験したことのない思い出をくれ、人生の色々なことを教わった「そんな君を僕はずっと」心に留めてこれから生きていくのだろう。たとえ、春樹にいわゆる恋人という人ができたとしても。だが、1人苦悩する春樹を尻目に、桜良は生きていた時と同じようにぶはははと笑い飛ばすのかもしれない。
2017年07月25日

『ノーベル賞と基礎研究(『一橋ビジネスレビュー』2017年SUM.65巻1号)』―イノベーティブな知を創出し、評価する方法についてのヒント

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一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号
一橋大学イノベーション研究センター

東洋経済新報社 2017-06-16

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 ノーベル賞の受賞を目指して経営している企業はほとんどいないだろうし、私もノーベル賞の受賞を目指す企業の経営コンサルティングなどできるわけないのだが、本号を通じて、イノベーションや新しい知を創出するためのヒントはいくつか得られたと思う。
 第1に、科学的戦略ビジョンを有する経営リーダーを育成すること、第2に、科学技術にかかわるエコシステムおよび科学技術イノベーション政策を整備することで研究開発プロセスと成果物の市場化を促進すること、第3に、研究活動を整備し、優れた人材を海外から誘致することの重要性を説いている。
(原泰史、壁谷如洋、小泉周「ノーベル賞受賞者の特性分析から見える革新的研究の特徴」)
 この文章の「科学技術」などの文言を「イノベーション」としても、十分に意味は通じる。
 第1に、イノベーション戦略ビジョンを有する経営リーダーを育成すること、第2に、イノベーションにかかわるエコシステムおよびイノベーション政策を整備することでイノベーションプロセスと成果物の市場化を促進すること、第3に、イノベーションを整備し、優れた人材を海外から誘致することの重要性を説いている。
 先ほどの論文では、ノーベル賞を受賞した研究者が、受賞につながった主要研究を開始した年齢を分析している。その結果、興味深いことが判明した。
 主要研究を開始した年齢は、化学賞の場合は平均37.6歳、生理学・医学賞の場合は36.6歳、物理学賞の場合は37.1歳であった。(同上)
 主要研究を始める年齢は意外と遅いという印象であった。数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞するためには、20代のうちに顕著な成果を上げていなければならず、30歳を過ぎてからでは手遅れであるそうだが、ノーベル賞に関してはこれは該当しない。では、30代後半に主要研究を始めるまでに何をしているのかと言うと、
 後に受賞に至る主要研究を行うまでに、特に研究者キャリアの開始時に多様かつ複数の研究機関や職業を経験している
(赤池伸一、原泰史「日本の政策的な文脈から見るノーベル賞」)
そうだ。そういえば、『致知』でも筑波大学名誉教授の村上和雄氏が、研究活動で高い業績を上げている研究者は、若いうちに研究分野の大幅な転換を経験していることが多いと述べていたのを思い出した。これは、昨今のスペシャリスト信奉に対する1つのアンチテーゼである。

 最近は、若手社員でもゼネラリストよりもスペシャリストを志向する人が増えていると聞く。海外ではそれがもっと顕著で、職務定義書(Job Description)に書かれた職種以外の仕事はしないという人が、欧米だけでなくアジアにも広がっている。ベトナムの場合は、一時的な異動であっても、60営業日以内に限定しなければならず、3日以上前に事前通告する必要があるとわざわざ労働法に定められている。私はこういう動きを見て、若いうちから自分に適した仕事がはっきりと解っている人など果たしてどれくらいいるのだろうかとかねてから疑問に思っていた。その点、日本のジョブローテーション制度は、本人の向き・不向きを一旦棚に上げて、若いうちに色々な業務を経験させるということで、非常に優れた制度であると考える。

 冒頭の引用文の最後には、海外人材を誘致することの重要性が書かれている。ビジネス界で現在流行している言葉を使えば、ダイバーシティ・マネジメントを行うべきだということだろう。ただ、多様性を確保するために誰彼構わず海外人材をチームに入れればよいというわけでもない。メンバーが頻繁に入れ替わるチームは、メンバー間の信頼関係の構築に時間がかかり、チームに問題をもたらすリスクがある。アメリカの航空業界では、大小様々なインシデントを全てデータベース化しているが、そのデータベースによると、インシデントが起きるのは、パイロット、キャビンアテンダント、グランドスタッフ、グランドハンドリング、航空管制官などのチームメンバーが初顔合わせのケースが多いと言う。社会学者ジェームズ・マーチの研究だったと思うが、パフォーマンスが高い研究チームというのは、”時々”新しいメンバーが入るチームだそうだ。

 現在のビジネスは、チームプレーを求められることが圧倒的に多い。研究活動も同じである。オートファジーの研究でノーベル賞を受賞した大隅良典教授は、東京大学時代には1人でコツコツと研究していたが、基礎生物学研究所に移籍してからは、広いスペースと研究チームが与えられ、これが研究を新しい方向へ向かわせる契機となったそうだ(原泰史、壁谷如洋、小泉周「ノーベル賞受賞者の特性分析から見える革新的研究の特徴」より)。以上のことを総合すると、高い業績を上げるチームは、①若いうちに多様な分野を経験したミドルクラスがリーダーとなり、②時々、外部からの視点を取り込むために海外の人材を活用し(外部からの視点を取り込むという目的が達せられるのであれば、必ずしも海外人材である必要はない)、③3年程度でチームを転々とする20代のメンバーも含めてマネジメントすることが重要と言えるであろう。

 冒頭の引用文には「成果物の市場化」が大切であると書かれている。企業が外部と成果物をやり取りする具体的な方法としては産学連携が挙げられる。本号には、「スター・サイエンティスト」と企業の相互関係について分析した論文が収録されている。これによると、スターサイエンティストと企業の協業は、お互いに正の効果をもたらすと言う。
 ベンチャー企業のパフォーマンス指標として、特許、開発中のプロダクト、上市したプロダクト、の3つを取り上げた上で、それらと①スター・サイエンティスト、②全米トップ研究大学(必ずしもスター・サイエンティストが存在するとは限らない)、③ベンチャーキャピタル、とのつながりを概観した。(中略)以上より、ベンチャー企業のパフォーマンスに影響を与える最たるものとしては、スター・サイエンティストとの共著が有力であることが示唆される。
(齋藤裕美、牧兼充「スター・サイエンティストが拓く日本のイノベーション」)
 ここで考えられるのは2つの仮説である。1つはスター・サイエンティストがベンチャー企業に時間を割くようになると、研究時間とのトレードオフが起き、研究業績は下がるという可能性である。もう1つは、資金が集められるようになるなどといった理由から、むしろ、より研究業績が上がるという可能性である。結論として、後者の仮説が支持される。(同上)
 以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第48回)】Webで公開されている失敗事例通りに失敗した産学連携プロジェクト」で書いたように、私は前職のベンチャー企業において産学連携で手痛い失敗をしたので、産学連携について偉そうなことは言えない。ただ、この失敗から学んだのは、企業は企業の目的、研究者は研究者の目的を追求しているのであって、産学連携であるからと言って必ずしも共通の目的を設定する必要はないということである。以前の記事「【JETRO】ASEAN-JAPAN Open Innovation Forum(セミナーメモ書き)」の中でも示したように、企業は企業の、研究者は研究者のBSC(バランス・スコア・カード)の実現を目指せばよい。その上で、企業がある目標を追求すると、研究者側のある目標の達成に寄与する、あるいはその逆の関係が生まれるように協業を調整することが、産学連携を成功に導くコツであると考える。

 企業内における「成果物の市場化」で思いつくのは、ナレッジ・マネジメント・システム(KMS)の活用である。10年ぐらい前はKMSという言葉が通用したのだが、残念なことに現在googleでKMSを検索してもナレッジ・マネジメント・システムは上位に表示されず、ブームが去ってしまった感がある。ただ、KMSは依然として、社員のナレッジの標準化、高度化を進める上では重要なツールであると考える。ここでの問題は、KMSの効果をどう測定するのかということである。研究者の場合、業績評価指標として、①論文の本数(量)と②被引用回数(質)がある。ただ、この2つでは不十分であり、「厚み」という新たな指標を提唱している論文が本号にはあった。
 われわれは、論文の集積度(accumulation)を評価指標として導入しようと考えた(ここでは、指標としてam5インジケーターと呼ぶことにする)。

 論文を被引用回数によって降順に並べていき、それをプロットしてグラフにしたのが図3(※省略)だ。厚みがあるといえるのは、この面積が大きいときである。また、被引用回数が1番の論文だけが飛び抜けているのか、2番目以降の論文もそこそこの被引用回数を保っているのか、このグラフの形も重要となる。

 そこで、原点から45度のラインを引き、その交点の位置で面積を疑似的に表すという指標を設定した。つまり、被引用回数と論文数が一致する点を見つけることになる。
(小泉周、調麻佐志「大学の研究力をどのように測るか?」)
 この指標によると、50回以上引用されている論文が1本あるものの、それ以外は1回か2回しか引用されていない論文ばかりの大学よりも、どの論文も平均的に5~6回程度引用されている大学の方が厚みがあると評価されることになる。

 随分前の話だが、営業部門にKMSを導入していたある顧客企業が、営業担当者が次から次へとナレッジを登録するため、結局どのナレッジを使えばよいのか解らないという問題を抱えていたことがあった。当時の私は、KMSの中身を整理し、社員がたくさん参照・ダウンロードするナレッジだけを残して、残りはバッサリと削除してはどうかとアドバイスした。しかし、今振り返ると間違ったことを言ってしまったと反省するばかりである。その顧客企業は、規模も業種も異なる様々な顧客を相手にしていた。だから、汎用的なナレッジなど存在しない。多様なナレッジが適度な参照回数を保つようにKMSの設計を見直してはどうかと助言するべきであった。
 新入職員は、最初の3カ月間は、園生と一緒に生活することから始まる。実習時や就職時にも、ケース記録は見せてもらえないという。ケース記録とは、成育歴や病歴など園生の状況がわかるカルテのようなものであるが、川田園長(当時)は見せてくれと言っても駄目だと言って見せなかった。その理由は、ケース記録を見てしまうと、その人の障害や病気を見てしまい、その人自身がどういう人であるかを見なくなってしまうからである。障害を先に理解するのではなく、まず自分からかかわっていくことで、園生を人として見るようになる。
(露木恵美子、前田雅晴「こころみ学園/ココ・ファーム・ワイナリー 人が「働くこと」の意味を問い直す―知的障害者支援施設の挑戦」)
 研究活動でも、基本は先入観を捨てて「観察」することであろう。企業であれば、顧客を観察することからビジネスが始まる。ところが、これは我々コンサルタントも悪いのだけれども、いわゆるCRMシステムを導入したことによって、システム上の情報ばかりを頼りに顧客に接する営業担当者、サービス担当者が増えてしまったように思える。

 また、私は中小企業診断士という仕事柄、様々な企業の事業計画書を読むことが多いのだが、明らかにコンサルタントが代筆したものだと解るケースがある。それは、市場ニーズに関する記述が、公表されている統計データなどを定量的に分析したものにとどまっている場合である。では、コンサルタントに頼らずに自力で事業計画書を書いた人はもっと突っ込んだニーズ分析ができているかというと、必ずしもそうではない。単に「○○というニーズを持ったお客様が増えている」と書かれているだけで、具体的に誰が、いつ、どのような場面で、どういうことを言ったのか、言葉の隅々まですくい上げた計画書はほとんど見たことがない。

 私は、かつての日本企業は顧客をじっくりと観察するということを自然にやっていたと思っている(以前の記事「創業補助金の書面審査をして感じたこと(自治体はもっとしっかりせよ)」では、スーパーマーケットの例を出した)。ところが、アメリカからデータ重視のマーケティング手法が導入されたことで、観察力が鈍ってしまった。もちろん、CRMシステムにも利点はある。営業担当者が前任から顧客を引き継いだ時、その顧客について何も知らずに顧客の元を訪問するのはさすがに失礼である。ただ重要なのは、CRMシステムに登録されている情報を鵜呑みにしないことである。本号の井上達彦氏の言葉を借りれば、「色眼鏡を外す」べきだ。そして、観察を通じて、CRMシステムに登録されている情報を自分なりに更新していく。そこに、”その”営業担当者”ならでは”の存在価値があり、”その人らしい”仕事のやり方というものが成立する。
2017年07月23日

村井直志『Excelによる不正発見法 CAATで粉飾・横領はこう見抜く』―CAATで解る不正の糸口の例

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 日本の中堅・中小企業が海外進出する場合、中には日本本社よりも海外子会社の方が大きくなるケースもあるが、大半は日本本社よりも小規模の拠点になる。そこに派遣される日本人駐在員は、現地で営業もしなければならないし、製造現場の面倒も見なければならない。人事や総務もやらなければならない。加えて、日本本社からはあれやこれやと資料や情報をよこせと要求される。下手をすると、日本人駐在員の方が日本本社の社長よりも大変なぐらいである。こんな激務に耐えられる日本人はそうそういないから、次第に現場はローカル社員任せになり、日本本社への報告も滞りがちになる。すると、現場では不正が発生し始める。現場任せにしている日本人駐在員はその不正に気づかない。当然のことながら、日本本社が不正を知ることはない。

 これはある企業から聞いた話であるが、その企業では、日本で知り合った通訳に現地子会社の社長を任せることにしたそうだ。ところが、日本本社と現地子会社とのやり取りは、その社長しか行えない状況にしてしまい、日本語ができるローカル社員を辞めさせて情報を統制するようになった。数年前から赤字が続いていたため、コンサルティング会社に外部監査を依頼した結果、様々な不正を行っていることが判明した。具体的には、現地企業の管理部長と共犯で、売上の過小申告、旅費代の不正取得、原材料の不正流用、身内の会社を通した原材料の仕入れ、身内の会社の不良債権の無断引き受け、工場の無許可設置、固定資産の無許可処分、従業員貸付などを行っており、約数億円の損害が発生していた。

 そこで、日本企業は、現地子会社の社長を新たに派遣し、管理部長もクビにすることにした。だが、この管理部長が相当悪い人で、クビになる直前に、ローカル社員や取引先に対し、「今度来る社長は社員に給料を支払わないと言っている」、「仕入先に代金を支払わないと言っている」とウソの情報をばらまいた。混乱した現場では、新しい社長を逃すまいと、社員が社長を工場内に軟禁し、さらに工場の入口には債権回収を心配した仕入先担当者が駆けつけるという事態になった。新しい社長は管理部長の嫌がらせに耐えられずに辞職し、管理部長をクビにした後に新たに派遣された2人目の社長の下で、ようやく事態が落ち着いたという。

 日本本社としては、海外子会社が不正に手を染めないようにするために、経営状況を定期的に(できればリアルタイムで)把握したいものである。そのためのソリューションとして、TKCグループから「OBMonitor」というソフトウェアを紹介してもらった。基本的な機能は、海外子会社に導入されている会計パッケージで使用されている勘定科目と、日本本社に導入されている会計パッケージで使用されている勘定科目をあらかじめ紐づけておき、海外子会社の会計システムから抽出した仕訳データをクラウドを通じてOBMonitorに取り込むと、自動的に日本語の貸借対照表、損益計算書に翻訳してくれるというものである。

 これだけでも、海外子会社の財務状況を素早く把握するのに役立つが、OBMonitorにはCAAT(Computer Assisted Audit Techniques、コンピュータ利用監査技法)を用いた内部統制機能がついている。OBMonitorには、以下の12の機能が搭載されている。

No 機能 説明
1 仕訳の重複チェック 会社別勘定科目、部門、取引金額および現地取引先名が重複している仕訳を確認。領収書の二重利用の発見などに役立つ。
2 前月・当月取消仕訳の抽出 当月内での取消仕訳や、月をまたいだ取消仕訳を確認。押込販売や架空売上などの確認に役立つ。
3 最大取引金額の相対評価 勘定科目ごと、現地取引先ごとに最大取引金額を抽出し、その次に大きい取引金額との比較(次点比)、および前年同期における最大取引金額との比較を行う。桁数の入力ミスや異常価格取引の発見に役立つ。
4 最小取引金額の相対評価 勘定科目ごと、現地取引先ごとに最小取引金額を抽出し、その次に小さい取引金額との比較(次点比)、および前年同期における最小取引金額との比較を行う。桁数の入力ミスや異常価格取引の発見に役立つ。
5 科目組合せ別取引の確認 前年に存在しない科目の組合せや、前年には存在したが当年には存在しない科目の組合せを確認。勘定科目の入力ミスの発見などに役立つ。また、取引件数の前年比較により、決算整理仕訳のモレ・ダブりなども確認できる。
6 新規科目、部門、現地取引先 指定期間内の仕訳から自動追加された会社別勘定科目、部門および現地取引先を確認。
7 現地取引先ランキング 取引金額での現地取引先のランキングにより、特定の仕入先に依存していないかなどを確認。なお損益計算書科目の取引に限定。
8 売掛金残高の確認 売掛金残高、未回収額、および未回収月数を取引先ごとに確認。入金が滞っている得意先の確認や、売掛金回収のラッピングへの対応としても活用できる。
9 売掛金取引の確認 売掛金の発生額、入金額の差異、および最新入金日などを現地取引先ごとに確認。入金が滞っている取引先の確認などが可能。
10 生産性分析単位数量の確認 従業員数などの生産性分析単位の数量について、各月の推移を確認。
11 生産性分析 売上数量当たりの売上高や、1人あたりの人件費などから異常取引を発見。
12 ベンフォード分析 取引金額の先頭数字の発生率について、ベンフォードの法則(自然的に発生する数値の法則)と比較。人為的に作成されたデータや反復継続的な取引が多い場合は、大きく乖離する。

Excelによる不正発見法 CAATで粉飾・横領はこう見抜くExcelによる不正発見法 CAATで粉飾・横領はこう見抜く
村井 直志

中央経済社 2015-01-28

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 OBMonitorのCAATは基本的に仕訳データのみを使っているが、上記の村井直志『Excelによる不正発見法 CAATで粉飾・横領はこう見抜く』(中央経済社、2015年)によると、本来のCAATというのは、仕訳データ以外にも様々なデータを活用することで、より多角的な分析ができるようである。CAATの大原則として、以下のようなデータには気をつける必要がある。

 ○入力金額が異常に多い。
 ○入力金額の最大値があり得ない数値になっている。
 ○入力件数が異常に多い。
 ○平均入力金額が突出している。
 ○入力者コードがadminや空白になっている。
 ○摘要に「不明」、「削除」、「隠蔽」などのコメントがある。
 ○仕訳をしてはならない人が仕訳をしている。
 ○通常、相手科目として使われることのない勘定科目が使われている。
 ○通常関わることのない勘定科目に、特定の人が関わっている。
 ○通常の営業日以外に取引がされている。
 ○通常はあまり使われない高い権限があるユーザIDで入力されている。
 ○通常の口座ではない口座からの振込、口座への振り込みがある。

 CAATを行うためには、仕訳データ以外にも以下のデータを用意する必要がある。

 ○システムログイン、入力ログデータ
 ○倉庫入退室ログデータ
 ○取引先マスタ
 ○販売単価マスタ
 ○社員マスタ
 ○受注テーブル
 ○発注テーブル
 ○在庫テーブル
 ○出荷テーブル
 ○売上テーブル
 ○入金テーブル
 ○受取手形テーブル
 ○支払手形テーブル

 仕訳データとこれらのデータをExcelで分析することで、以下のような不正の糸口を発見することができる(本書には様々なケースが紹介されているが、今回の記事では私が理解できたものだけを整理しておく)。ただ、著者も警告しているように、CAATで解るのはあくまでも「グレー」なデータにすぎない。CAATを通じて「何かおかしい」という懐疑心を持つことが重要であり、おかしいと思うことは臆することなく相手企業の担当者に質問するべきである。本書によれば、懐疑心(skepticism)はギリシア語の探究的(skeptikos)という言葉に由来し、探究的(inquiring)の語源は、尋ねる(to inquire)にあるという。また、監査(audit)の語源は、聞く(audio)である。

 ・出荷データと売上データを突合し、その金額がイコールでない(売上高の方が少ない)場合、売上の一部が着服されている可能性がある。

 ・仕訳データ、受注・出荷データなどの飛番に注目する。飛番がある場合、不正に関与した者が隠蔽のためにデータを削除した可能性がある。

 ・同じ得意先が複数の部署と取引している場合、ある部署が他部門の取引先(しかも、他部門でもあまり使われていない取引先)を使って架空売上を計上している可能性がある。

 ・販売単価をマスタデータと突合した結果、販売単価が高すぎる場合は架空売上、安すぎる場合は横領の可能性がある。

 ・売上高と販売管理費など、相関関係にある項目を特定し、近似曲線を描く。近似曲線から大きく外れる項目がある場合、不正が行われている可能性がある。
 ①売上高と運送費・・・売上高は増えているのに運送費が増えていない場合は、未出荷売上高、架空売上の存在が疑われる。
 ②在庫金額と倉庫保管料・・・倉庫保管料が増えていないのに在庫金額が増えている場合は、架空在庫の可能性がある。
 ③種類別の固定資産残高と減価償却費・・・固定資産残高が減っているのに減価償却費が計上されていない場合は、償却計算ストップによる粉飾の可能性がある。

 ・売上高の相対誤差(=(実績値-予測値)÷実績値)を算出し、期末にプラス、期首にマイナスとなる場合は、期末に押し込み販売をして期首に取り消している可能性がある。

 ・販売先と仕入先が同じ業者の場合、循環取引の疑いがある。ただし、実際の循環取引の手口はもっと巧妙であるため、以下の点に注目する。
 ①通常想定される販売額以上の売上債権残高が残置している口座を対象に、与信を見る。
 ②売上債権残高が次第に増える傾向にある口座を見る。
 ③中でも、最近の債権は回収済みだが、過去の債権が残置している口座に注目する。

 ・期末日直近に多額・高粗利の売上が計上されている場合、架空売上の可能性がある。

 ・入金回収条件から逸脱した入金は、ラッピングが行われている可能性がある。

 ・協賛月の売上が急伸し、他の月の売上が低迷している場合は、押し込み販売を行い多額の協賛金を支払った後で、営業担当者がバックマージンを受け取っている可能性がある。

 ・在庫については、①急に多額の取引が増える、②通常は使うことがない物品の受払取引がある、③通常あるべき取引時点と比較して明らかに異常な時点での取引がある場合、原価を少なくし、利益を水増しするための架空在庫の疑いがある。

 ・高額の在庫ばかり実数不足となる場合は、横領されている可能性がある。

 ・特定の仕入先ばかりに発注している場合は、癒着の可能性がある。

 ・発注から入庫までのリードタイムが短い場合は、仕入先に便宜を図った可能性がある。

 ・受注から出荷までのリードタイムが長い場合は、架空売上の可能性がある。

 ・高頻度の返品・値引きが発生している場合、仕入先との癒着の可能性がある(仕入先の架空売上計上に協力している可能性がある)。

 ・本支店勘定を相手とする在庫取引は、使途不明金の隠蔽の可能性がある。

 ・監査日前後1週間程度で少量の在庫受払取引がある場合、監査に合わせて棚卸資産のデータが改ざんされた可能性がある。

 ・外注加工先に原材料を有償支給する時は、仕入のマイナスとして処理しなければならないが、通常の売上計上をしている場合は、押し込み販売や循環取引につながる可能性がある。

 ・4月1日の資金移動に着目し、カイティングによる預金不足の隠蔽の可能性を探る。

 ・受取手形については、得意先マスタに名前があるか、支払手形については、仕入先マスタに名前があるかを確認する。

 ・期日が超長期となっている受取手形は、融通手形の可能性がある。

 ・通常の取引先金融機関とは異なる金融機関が支払場所として指定されている手形は、融通手形の可能性がある。

 ・手形期日が連続する手形はジャンプ手形であり、相手先が経営破綻する可能性がある。

 ・受取手形の期日が安定しない場合、資金繰りの変化を伴うため要注意である。

 ・現金⇒売掛金払い⇒支払手形払いというように決済方法が変化した場合、相手先の資金繰りに問題が生じている可能性があり、要注意である。

 ・支払手形の支払いが早すぎる場合は、上長承認がないまま相手先に資金を融通するなど越権行為を行った可能性がある。また、1か月間に2回以上の消込を行った場合も、相手先に資金融通しており、さらに相手先から裏金を収受している可能性がある。

 ・逆に、受取手形について、1か月の間に複数回の支払いを受けた場合は、取引先に何らかの弱みを握られている可能性がある。

 ・架空社員に注意する。①源泉徴収されるべき報酬があるのに源泉徴収されていない人、②昇給すべき時に昇給のない人、③退職金をもらえるはずなのにもらっていない人がいる場合、その人は架空社員である可能性がある。

 ・消せるボールペンは、60度以上で文字が消え(るように見え)、マイナス10度以下で消した(ように見える)文字が復活する。不正が施されていないかどうか確認するために、証憑類を冷凍庫に入れるなどの対策が必要である。

 ・購買担当者が身内の企業ばかりから購入していないかどうか確認する。仕入先マスタの担当者情報と、社員マスタの情報を突合すれば判明する。

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