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【原文・現代語訳】島井宗室十七条の遺訓(第十一~十三条)
【原文・現代語訳】島井宗室十七条の遺訓(第八~十条)
【原文・現代語訳】島井宗室十七条の遺訓(第四~七条)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2014年01月31日

【原文・現代語訳】島井宗室十七条の遺訓(第十一~十三条)


島井宗室 (人物叢書 新装版)島井宗室 (人物叢書 新装版)
田中 健夫

吉川弘文館 1986-07

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 一(十一)、朝夕飯米一年に一人別壱石八斗に定り候へ共、多分むし物あるひハ大麦くわせ候へバ、一石三斗―四斗にもまハし候べく候。ミそは壱升百人あてニ候へ共、多候にして、百十人ほどにても一段能候。塩ハ百五十人にて然るべき候。

 多分ぬかミそ五斗ミそ油断無くこしらへくわせ候へ。朝夕ミそをすらせ、能々こし候て汁に仕べき候。其ミそかすに塩を入、大こん・かぶら・うり・なすび・とうぐわ・ひともじ(葱)、何成共、けづりくず(削屑)・へた・かわのすて候を取あつめ、其ミそかすニつけ候て、朝夕の下人共のさい(菜)にさせ、あるひハくきなどはしぜんにくるしからず候。

 又米のたかき時ハ、ぞうすい(雑炊)をくわせ候へ。寿貞一生ぞうすいくわれたると申候。但ぞうすいくわせ候に、先其方夫婦くい候ハでハ然るべからず候。かさにめしをもりくい候ずるにも、先ぞうすいをすハれ候て、少成共くい候ハずバ、下人のおぼえも如何候。何之道にも、其分別専用候。我々母なども、むかしハ皆其分にて候つる。我々も若き時、下人同然のめし計たべ候つる事。付、あぢすき無用事。大わたぼうし無用事。
 朝夕の飯で1年間に1人あたり1石8斗の米を消費することになるが、蒸し米や大麦を食べれば、1石3斗~4斗でもやりくりできるだろう。味噌は1升で100人分になるが、110人分まかなえればなおよい。塩は1升で150人分をまかなうべきである。

 ぬか味噌5斗を作って丁寧に使うようにせよ。朝夕味噌をすり、十分にこして味噌汁を作ること。その味噌かすに塩を入れ、大根、かぶら、うり、なすび、冬瓜、ネギなどの削りくず、ヘタ、皮を集めて入れて、朝夕の下人のおかずにするとよい。茎などはそのままおかずにしてもよい。

 また、米が高い時は雑炊を食べるようにせよ。寿貞は一生雑炊をお食べになったという。ただ、まずはあなた方夫婦が率先して雑炊を食べること。ちょっとだけ雑炊をすすり、後は全く食べないとしたら、下人の評判もよくない。いかなることでも、分別をわきまえることが重要である。我々の母なども、昔は皆分別をわきまえていた。我々も若い時は、下人同然の飯を食べたものである。
 一(十二)、我々つかい残たるものもとらせ候て、宗怡へ預ケ、如何様にも少づつ商事、宗怡次第ニ仕べき候。其内少々請取、所帯ニ少も仕入、たやすきかい物共候者、かい置候て、よそへ遣らず、商売あるひハしちを取、少は酒をも作候て然るべき候、あがり口之物にて、たかきあきない物、生中かい候まじく候。やすき物ハ、当時売候ハねども、きづか(気遣)いなき物候。

 第一、しちもなきに、少も人にかし候まじく候。我々遺言と申候て、知音・親類にもかし候まじく候。平戸殿(=松浦家のこと)などより御用共ならバ、道由・宗怡へも談合候て、御用立つべき候。其外御家中へハ少も無用候。
 我々が使い残したものも保管し、宗怡へ預けて少しずつ売却すること。その辺りは宗怡の判断に任せる。そのうち少々は受け取って家庭に入れてもよい。簡単に購入できるものは買い置きをしてよそにやらず、よい値で売却するか質に入れ、少しは酒も造るようにせよ。相場が急上昇している高い商品は、買ってはならない。安い商品は、その時は売れなくても、気を揉む必要はない(高くなるのを待て)。

 質もなしに他人にお金を貸してはならない。我々は遺言の中で、知人・親族であってもお金を貸さないと明記している。ただし、松浦家などから頼まれれば、道由・宗怡とも相談してお金を工面せよ。その他の家には決してお金を貸してはならない。
 一(十三)、人ハ少成共もとで(元手)有時に所帯に心がけ、商売油断無く、世のかせぎ専すべき事、生中之役にて候。もとでの有時ハゆだんにて、ほしき物もかい、仕度事をかかさず、万くわれい(華麗)ほしいままに候て、やがてつかいへらし、其時におどろき、後くわい(悔)なげき候ても、かせぎ候ずる便もなく、つましく候ずる物なく候てハ、後ハこつじき(乞食)よりハあるまじく候。左様之身をしらぬうけぬものハ、人のほうこう(奉公)もさせず候。

 何ぞ有時よりかせぎ商(あきない)、所帯はくるまの両輪のごとく、なげき候ずる事専用候。いかにつましく袋に物をつめ置候ても、人間の衣食ハ調候ハで叶わず候。其時ハ取出つかい候ハでハ叶まじく候。武士ハ領地より出候。商人はまうけ候ハでハ、袋に入置たる物、即座に皆に成すべき候。又まうけたる物を袋にいかほど入候共、むさと入ぬ用につかひへらし候者、底なき袋に物入たる同前たるべく候。何事其分別第一候事。
 人は、少しでも元手がある時は、家庭の維持を心がけ、油断なく事業を行い、稼ぎに専念するべきである。元手がある時は、油断してほしいものを買い、余計な支度をし、あれこれと華美なものを求めて、やがて元手を使い減らしてしまいがちだ。その時になって初めて驚き後悔しても、稼ぎを生み出す手段もなく、質素な暮らしをしなければ、後は乞食以下の暮らしをするしかない。そのような身分を受け入れられない者は、人の奉公もできないだろう。

 元手がある時、商売と家庭は車の両輪のごとく、両方とも十分に心を配らなければならない。どんなに倹約して袋に物を詰めておいても、人間の衣食が十分でなければ、その両輪はうまく回らない。その時は、袋から取り出した物を使わなければ、両輪が機能しない。武士には領地がある。商人は、儲けが出なかった時には、袋に入れておいた物に頼る。儲けたものをどんなに袋に入れても、むざむざと余計なことに使ってしまうのは、底が抜けた袋に物を入れているようなものだ。何事も分別をわきまえることが肝要である。


2014年01月30日

【原文・現代語訳】島井宗室十七条の遺訓(第八~十条)


島井宗室 (人物叢書 新装版)島井宗室 (人物叢書 新装版)
田中 健夫

吉川弘文館 1986-07

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 一(八)、生中、むさと用もなき所へ出入、よそあるき無用候、但殿様(=黒田家のこと)へしぜんしぜん何ぞ御肴之類珍しからず候共、あわび・鯛、左様之類成共、新をもとめさし出申すべき候。井上周防殿・小川内蔵殿へハ、是又しぜん参るべき候。其ほかは年始・歳末各なミたるべく候。

 とかく内計ニ居候て、朝夕かまの下の火をも我とたき、おきをもけし、たき物・薪等もむさとたかせ候ハぬやうに、家の内・うら等、ちりあくた成共取あつめ、なれのきれ、ちりのミじかきハ、すさにきらせ、ちりもながきはなわになわせ、き(木)のきれ竹のおれ、五分までハあつめ置、あら(洗)はせ、薪・かがり(篝)・焼物にも仕べき候。紙のきれハ五分・三分も取あつめ、すきかへし(漉返)に仕べき候。我々仕たるやうに分別、いささかの物も、つゐ(費)へにならぬやうに仕べき事。
 生きている間は、用もないところへ出歩いてはならない。ただし、黒田家に対しては、さほど珍しくない酒の肴であっても、あわびや鯛の類であっても、新しいものを探して差し出すようにせよ。井上周防殿・小川内蔵殿のもとにも参るようにせよ。それ以外は年末年始のみでよい。

 とにかく家の中にいて、朝夕窯の下の火を自ら焚いては消すようにせよ。たき物や薪などをムダにしないよう、家の中や裏でごみを拾い、短いものはすさ(壁土に混ぜて、ひび割れを防ぐつなぎとする材料)にし、長いものは縄にせよ。木や竹の端は、5分までの長さなら集めて洗い、薪、かがり、たき物にせよ。紙の切れ端は5分、いや3分であっても集めて、漉き直すようにせよ。我々がしたようにものを分別し、どんなものでもムダにしてはならない。
 一(九)、常住、薪・たき物、二分―三分のざつこいわし(雑魚鰯)、あるひは町かい、浜の物、材木等かい候共、我と出候てかい、いかにもねぎ(値切)りかい候て、其代たかさやすさを能おぼへ、其後にハ、誰にかハせても、其代のやすさたかさを居ながら知る事候。さ候へバ、下人にもぬかれ候まじく候。寿貞(=神屋寿貞のこと)ハ生中薪・焼物われと聖福寺門之前にて買われ候。

 人の所帯ハ、薪・すミ(炭)・油と申候へ共、第一薪が専用候。たきやうにて過分ちがい候。一日にめし(飯)・しる(汁)にいかほどと、われとたきおぼえ、いかほど成共、其分下女に渡候てたかせ候へ。但壱月にいかほどのつもりさん(算)用候ずる事。但たきぎ・たき物も、なま(生)しきとく(朽)ちたるが悪候。ひ(干)たる薪をかい候へ。薪より柴・はぎこぎ(端木小木)の類が然るべき候。柴などよりかや(茅)焼物が徳にて候。

 酒を作、ミそ(味噌)をにさせ候者、米一石に薪いかほどにてよきと、われとたきおぼえ、薪何把に、け(消)し炭いかほどとけしおぼえ候て、其後其さん用にたかせ、すみをもけさせ請取候べく候。いづれの道にも、我としんらう(心労)ハずバ、所帯は成まじく候事。
 薪、たき物、2分~3分の雑魚鰯、あるいは町のもの、浜のもの、材木など買う時には、自ら足を運び、値切り交渉をして、商品の高い・安いを覚えるようにせよ。その後は、誰に買いに行かせても、自分の家にいながらにして商品の高い・安いが解るぐらい、買いに行かせた下人に値段をよく教えよ。そうすれば、下人に出し抜かれることはないだろう。寿貞は生前、薪やたき物を私と一緒に聖福寺門の前でお買いになった。

 家庭では薪、炭、油が大事と言うが、その中では薪が最も重要である。焚き方によって消費量が大分違う。1日分の飯や汁を作るのにどのくらいの薪が必要なのかを自分で焚いて覚え、その量を下女に渡して焚かせるようにせよ。1か月に薪をどのくらい消費する見込みなのかは自分で計算すること。薪やたき物も、生の木や朽ちた木ではよくない。よく乾燥した薪を買わなければならない。なお、薪よりも柴の類の方がよい。また、柴より茅の方が得である。

 米一石を炊くのにどのくらいの薪が必要なのかを自分で実際に火を焚いて確かめ、薪の火を消すのにどのくらいの消し炭が必要なのかを自分で実際に火を消して覚えよ。そして、その見積に従って下人に火を焚かせ、消し炭を使わせよ。いすれにしても、自分自身で骨を折って確かめなければ、家計は持たないだろう。
 一(十)、酒を作り、しち(質)を取候共、米は我ともはかり、人に計らせ候とも、少も目もはなさず候て然るべき候。かたかけにて何たる事もさせ候まじく候。下人・下女にいたるまで、皆みなぬす(盗)人と心得べく候。酒作候者、かし(淅)米置候所を作、じやう(錠)をさし、こわいい(強飯)もぬすむ物にして、さまし候時、ゆだん仕まじく候。しちを取候共、させらぬ刀・わきざし・武具以下、家やしき(屋敷)人の子共、させらぬ茶のゆ道具、田地など申すに及ばず候。

 惣別人共あまためしつかい候事無用候。第一、女子多く置候事無用候。女房衆あるかれ候共、下女二人・おとこ壱人之外、曾以無用候。其方子共出来候者、いしやうなどうつくしき物きせ候まじく候。是又よそにあるき候共、おち(御乳)ニ下女壱人相そへあるかせ候へ。さしかさ(差傘)・まほり(守)刀等もたせ候事、中々無無用候(原文ママ)。ちいさきあミかさ(編笠)こしらへ、きせあるかせ候べく候事。
 酒を造る時、米の量は自分で測り、他人に測らせるとしても、決して目を離してはいけない。何事も中途半端に人に任せてはならない。下人・下女は皆、盗人になる可能性があると心得ておくべきである。酒を造る時は、洗い米を置く所を作り、錠をかけておかなければならない。強飯(蒸した米)も盗みの対象になるから、熱を冷ます時は油断してはならない。質に関しても、貴重な刀、脇差、武具、家屋敷の子ども、大切な茶の湯道具、田地などは質に入れてはならない。

 必要以上にたくさんの召使を抱えてはならない。まず、女子を多く置いてはいけない。女房衆が外出される時でも、下女2人、下男1人以外は不要である。あなたに子どもができても、華美な衣装は着せてはならない。また、子どもが外出する時は、乳母と下女を1人ずつ付き添わせるようにせよ。差傘や守刀などを持たせる必要はない。小さい編笠を作って、着せて歩かせればよい。


2014年01月29日

【原文・現代語訳】島井宗室十七条の遺訓(第四~七条)


島井宗室 (人物叢書 新装版)島井宗室 (人物叢書 新装版)
田中 健夫

吉川弘文館 1986-07

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 一(四)、四十までハ、いささかの事も、ゑよう(栄耀)なる事無用候。惣而我ぶんざい(分際)より過たる心もち・身持、一段悪事候。併(しかしながら)商事・れうそく(料足)まうけ候事ハ、人にもおとらぬやうにかせぎ候ずる専用候。それさへ以、唐・南蛮にて人のまうけたるをうら山敷おもひ、過分に艮(銀)子共やり、第一船をしたて、唐・南蛮にやり候事、中々生中のきらい事たるべく候。

 五百め・一貫めづつも、宗怡などの中ニ候て遣候事ハ、宗怡次第候。それも弐貫めならバ、二所―三所にも遣候へ。一所にハ無用候。其外之事、何事も我ぶんざいの半分ほどの身もち、其内にも然るべき候。たとい、世ハ余めり入たるハ悪候間、少ハさし出候へと、人の助言候共、中々さし出まじく候。

 五十に及び候までハ、いかにもひっそく(逼塞)候て、物ずき・けつこうずき・茶のゆ・きれいずき・くわれい(華麗)なる事、刀・わきざし(脇差)・いしやう(衣装)等、少もけつこう(結構)にて、目に立候ハ、中々無用候。第一、武具更に以て入らざる事候。たとい人より下げられたるいしやう・刀成共、売候て艮子になし候て、もち候べく候。四十まで、木綿き物、しぜんあら糸・ふし糸の織物などの、少もさし出候ハで、人のめにたたぬきる物ハ、くるしからず候。

 家もしゆり(修理)ゆだん(油断)なく、かべがき(壁垣)もなわ(縄)のくちめ(朽ち目)計(ばかり)ゆいなをし候へ。家屋敷作候事、曾以無用候。五十二及び候てハ、其方れうけん(料見)次第候。何たる事二付我ちからの出来候てハ、如何様にも分別たるべく候。それとても多分之人皆死する時に、びんぼう(貧乏)する物候。我ちから才覚にて仕出し候ても、死期に成候までもちとどけたる人は十人―廿人に一人もなき事候。況親よりとり候人、やがてミなになし、のちにびんぼうにきわり(極)〔ま脱〕死するものにて候。其分別第一候事。
 40歳までは、どんなことであっても、ぜいたくをしてはならない。自分の限界をわきまえない心構えや財産はよくない。しかし、事業に関しては、他人に劣らぬよう稼ぐことに専念しなければならない。明や南蛮との貿易で他人が儲けたことをうらやましく思い、過剰に銀を投資して一級品の船を仕立て、中国や南蛮に遣わすことは、あまり好ましいことではない。

 500文、1貫ずつ投資する場合、宗怡などに与えるならば、その可否は宗怡しだいである。だが、2貫目以降は、2~3か所に分散投資せよ。一か所に集中投資してはならない。何事につけても、分限の半分ほどの気持ちで臨むことを忘れてはならない。たとえ、「あなたは財産を余分に持っているから、少し差し出してくれないか?」と他人に言われても、財産を与えてはならない。

 50歳になるまでは、質素な暮らしを心がけよ。茶の湯などの華麗な遊びをしたり、非常に目立つ刀や脇差、衣装を身に着けたりしてはならない。まして、武具に至ってはなおさらである。たとえ人からいただいた衣装や刀であっても、売ってお金にせよ。40歳までは、木綿の着物、あら糸やふし糸の織物などを着て、目立たぬ恰好をせよ。

 家も入念に修理を行い、壁垣も縄の朽ちたところを修理せよ。家を新しく作ることはもってのほかである。50歳になったら、あなたの判断に任せる。何事につけても、分別をわきまえることが大事である。それでも人は死ぬ時に貧乏に苦しむものである。分別をわきまえた人であっても、死ぬ時まで十分な財産を維持できるのは10人に1人もいない。ましてや、親から財産を相続した人は、その財産を台無しにし、非常に貧乏になって死ぬものだ。
 一(五)、四十までハ、人をふるまい、むさと人のふるまいに参りまじく候。一年に一度―二度親兄弟親類ハ申請、親類中へも参るべき候。それもしげしげと参候ずること無用候。第一夜ばなし計事、とかく慰事に、兄弟衆よび候共参まじき事。
 40歳までは、人にご馳走したり、人からごちそうになってはならない。1年に1度や2度なら、親や兄弟はもちろんのこと、親戚を訪ねてもよい。ただし、足しげく訪ねてはならない。夜通しの会などに兄弟から呼ばれたとしても、参加してはならない。
 一(六)、人の持たる道具ほしがり候まじく候。人より給候共、親類衆之外之衆のを、少ももらい取まじく候。我持たる物も出し候まじく候。よき物ハたしなミ置、人にも見せ候まじく候事。
 他人が持っている道具をほしがってはならない。他人からもらう場合でも、親族以外のものは少しでももらってはいけない。自分が持っているものを誰かにあげてもいけない。よいものは大事に保管し、他人に見せてはならない。
 一(七)、生中、知音候ずる人、あきないずき、所帯なげきの人、さし出ぬ人、りちぎ慥(たしか)なる人、さし出ず心持よくうつくしき人にハ、ふかく入魂もくるしからず候。又生中知音仕まじき人、いさかいがちの人、物とが(咎)め候人、心底あしくにくちなる人、中言をゆふ人、くわれいなる人、大上戸、うそつき、官家ずきの人、ざつとう(雑踏)、しやミせん・小うたずき、口がましき人、大かたかやうの人々、同座にも居まじき事。付、平法人。
 生きている間は、友人関係を大切にする人、商売好きの人、家族を大切にする人、あまり目立たぬようにしている人、律儀な人、心構えが美しい人と親交を温めよ。人間関係を大事にしない人、争い好きの人、批判がちな人、心根が悪い人、他人の悪口を言う人、派手な振る舞いをする人、大酒のみ、嘘つき、役人にすり寄る人、雑踏、三味線や小唄好きな人、口うるさい人、だいたいこのような人とは一緒にいてはならない。<付記>平法人もしかりである。



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