プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2012年12月02日

小川榮太郎『約束の日 安倍晋三試論』―朝日新聞のネガキャンで潰された首相


約束の日 安倍晋三試論約束の日 安倍晋三試論
小川 榮太郎

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 衆院総選挙を約2週間後に控えて、小川榮太郎著『約束の日 安倍晋三試論』を読んだ。安倍氏に対しては、5年前の総理辞職の際に不当な批判をしてしまったことについて、本当に申し訳なかったと言わなければならない。安倍氏は戦後生まれ初の首相として、「戦後レジームからの脱却」というテーマを掲げ、在任期間わずか約1年の間に、「教育基本法改正、防衛庁の省昇格、憲法改正の布石となる国民投票法の制定、天下りの規制を皮切りとする公務員制度改革など、過去半世紀の全ての首相が敬遠してきた国家の土台部分の難しい宿題を一挙に前進させたのである」(同書より)。

 教育基本法改正は日教組との、公務員制度改革は官僚との全面対決を要する。安倍氏はこれらの既得権益に対して真っ向から勝負を挑んだ。また、防衛庁の省昇格は、従来の日米同盟における「アメリカ=主、日本=従」という関係を見直し、日本がアジアにおける安全保障の責任を主体的に果たすことの意思表明である。さらに、憲法改正をめぐっては、改憲派と護憲派が、とりわけ第9条をめぐって神学的な論争を長年続けてきたが、肝心の改正手続きが整っていなかったところに、安倍氏が国民投票法によって憲法改正の現実的な道を開いたのである。

 これだけの実績を、たった1年で上げたことを私は見落としていた。そして、既存メディアをそう簡単に信じまいと心の中では思いながら、結局は安倍バッシングの報道に流されていた自分を恥じた。著者は、特に朝日新聞による常軌を逸した報道を断罪している。「安倍の葬式はうちで出す」。これが朝日のある幹部の言葉だという。つまり、どんな手段を使ってでも、安倍氏を総理の座から引き摺り下ろすことだけが目的だったわけだ。

 私は昔から、朝日と毎日だけはどうも好きになれない。論調が左寄りである点もさることながら、左寄りであるにもかかわらずあまり一貫性のある強い主張が展開されないように思えるためだ(言葉を濁さずに言えば、読者に対して知らず知らずのうちに親中派の意識を植えつけようとする思想工作的な報道にも嫌気が差している)。その点、産経は右寄りで主張もはっきりしているから、その論調に賛否両論はあるが、私は割と好きだ。メディアは中立であるべきだという議論があるけれども、中立という立場それ自体が1つの立場である。メディアである以上は何らかの立場に立って、しかるべき主張を発信するのが宿命だと考えている。

 だから、ポータルサイトのMSNのニュースが毎日から産経に切り替わった時は、喜んで飛びついたものだ。ところが、産経と同じくフジサンケイグループに属するフジテレビの某キャスターが、安倍氏のことを未だに「お腹イタイイタイ病で政権を放り投げた人」と揶揄したのは残念でならない。もっとも、安倍氏が自民党総裁に返り咲いた時に食べた高級カツカレーを批判して自爆した朝日に至っては、コメントのしようがないわけだが・・・(朝日新聞「安倍総裁、高級カツカレー食べ話題」→朝日社内のカツ無しカレーは3675円)。

 安倍氏は熱心なFacebookユーザーである(http://www.facebook.com/abeshinzo)。多忙な中濃密な情報を毎日発信しており、フィード購読者は今や10万人を超えている。日本の政治を諦めず、少しでもよくなってほしいと願う人には、是非フィードを購読してもらいたい。安倍氏の再登板の日は近づいている。

 それにしても、なぜ朝日新聞は安倍氏を敵視していたのか?安倍氏が「戦後レジームからの脱却」を掲げて、日教組や官僚・公務員といった既得権益と全面対決したことは前述の通りだが、新聞社は必ずしも直接的なターゲットではない。むしろ、民主党政権下で原口総務相が打ち出した「クロスオーナーシップの禁止」の方が、新聞社ならびにテレビ局にとっては死活問題である。そんな個人的な疑問に対して、池田信夫氏の次の分析を読んでなるほどと思った。
 私は、朝日が代表しているのは団塊の世代のサンクコストではないかという気がする。

 戦後すぐ教育を受けた朝日の幹部の世代にとって、平和憲法は絶対の善であり、社会主義は理想だった。日本は非武装中立から社会主義に向かって『進歩』することになっていた。しかしその後、彼らの嫌悪する資本主義がめざましい発展を実現する一方、社会主義は挫折し、冷戦の終了でその勝敗は明らかになった。

 民主党の首脳のような団塊の世代には、学生運動で人生を棒に振った人も少なくない。彼らにとっては、『戦後民主主義』を否定することは自分の人生に意味がなかったと認めることになる。
(池田信夫 blog part2「安倍晋三vs朝日新聞」)


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