プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2012年12月06日

リチャード・モリタ『これだっ!という「目標」を見つける本』―キャリアデザインと戦略立案のアナロジー


【ダイジェスト版マイ・ゴール】これだっ!という「目標」を見つける本【ダイジェスト版マイ・ゴール】これだっ!という「目標」を見つける本
リチャード・H・モリタ ケン・シェルトン

イーハトーヴフロンティア 2007-01-10

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 キャリア論が専門の神戸大学・金井壽宏教授は、社員にとって仕事の方向性を表す「キャリア」と、組織にとって事業の方向性を表す「戦略」とを同じ次元で捉えている。
 節目だけデザインすればいいものの代表格が、分析レベルが個人から組織にあがっていくが、会社全体としては、「経営戦略」である。どこを活動の舞台とし、どこに自社のコア・コンピタンス(中核となる独自の強み)を築き、そのためにどのように傾斜的な資源配分をおこなうかを決めることが、経営戦略を立てることだ。(中略)先の個人レベルのシャインの問い(※心理学者のエドガー・シャインは、(1)自分は何が得意か、(2)自分は一体何をやりたいのか、(3)どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか、という3つの問いを通じて、自己イメージのチェックを勧めている)を、組織レベルに翻案してみよう。

 (1)わが社は他のどこよりもうまくできることはないか。
 (2)わが社は、どこでどのような事業を営みたいのか。
 (3)その背後にある事業観や理念、そこで事業することの社会的な意味や価値はどこにあるのか。
(金井壽宏著『働くひとのためのキャリア・デザイン』)
働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)
金井 壽宏

PHP研究所 2002-01

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 私もこの考え方に賛成である。実際、戦略構築のアプローチとキャリアデザインは、金井氏も指摘しているようによく似ている。端的に言えば、そのプロセスは、外部環境と内部環境の分析を通じて、組織や個人の進むべき道を導き出すというものである(キャリアデザインの場合、外部環境とは個人が所属する部署・会社、およびその会社が属する業界を、内部環境とはその人自身の経験や性格、価値観を指す)。

 リチャード・モリタ氏は『これだっ!という「目標」を見つける本』の中で、自分に合った目標を設定するためには、幼少期の記憶にまで遡って、実に深い自己認識=生活史を持たなければならないと主張している(昨日の記事「リチャード・モリタ『これだっ!という「目標」を見つける本』―成功者は昔のことを驚くほどよく覚えている」を参照)。つまり、キャリアデザインにおける内部環境分析の時間軸が非常に長いのが特徴である。

 キャリアと戦略が同じ次元で捉えられるとすれば、戦略立案における内部環境分析も、同じく長い時間軸を持つ必要があるだろう。言い換えれば、社史をじっくりと振り返るべきなのである。しかし、現実問題としては、せいぜいここ数年の財務体質や組織能力を分析するのが精一杯である。スピードを求める経営陣に対して、「御社の社史を見直しましょう」などと言おうものなら、「何を悠長なことを言っているのだ」と一喝されるに違いない。

 では、経営陣が求めるスピードで一気呵成に構築した戦略が、社員の腹落ちするものになっているかというと、やや疑問である。苦労して作り上げた生活史から導かれた目標が「これだ!」と思えるのは、もはや目標と自分が同化しているからである。だとすれば、社員が納得する戦略とは、企業が綿々と紡いできた社史というタペストリーの延長線上にあり、戦略と社員がもはや同化しているものでなければならないはずである。

 社史は組織の文化を表す。創業者の理念や武勇伝、成長期にあった輝かしいエピソードと、それとは反対に一時は会社を倒産寸前にまで追い込んだ辛い失敗の数々、それらの出来事に携わった歴代の社員の思いと、先輩社員たちが導き出した無数の教訓。こうした様々な要素を丹念に読み解いていくと、その企業がどういう文化を持っているのかが解る。この企業文化を、戦略構築の重要なファクターにすることはできないだろうか?

 実際のところ、戦略と文化の関係性に着目した研究は存在する。ヘンリー・ミンツバーグは著書『戦略サファリ』の中で、企業戦略に関する膨大な研究を類型化し、10のスクール(学派)の1つとして「カルチャー・スクール」を挙げている。ただし、残念なことに、カルチャー・スクールに属する研究者の大部分は、「文化は組織の足を引っ張るもの、変革の邪魔になるもの」という前提に立っている。文化が戦略に及ぼす肯定的な影響力を取り上げているのは、スウェーデンの研究者など少数派にとどまるようだ。企業文化と戦略の間にダイナミックな関係性を描くことができたならば、マイケル・ポーターなどとは異なる面白い戦略観が導き出せそうに思える。

戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)
ヘンリー ミンツバーグ ジョセフ ランペル ブルース アルストランド Henry Mintzberg

東洋経済新報社 1999-10

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