プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2012年12月08日

橋上秀樹戦略コーチの本まとめ読み―「巨人、日本一おめでとうございます」(棒)


野村の「監督ミーティング」 (日文新書)野村の「監督ミーティング」 (日文新書)
橋上 秀樹

日本文芸社 2010-05-28

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 名字をもじって「かみ(神)さん」と呼ばれ、巨人を3年ぶりの日本一に導いた影の立役者と言われる橋上秀樹戦略コーチの本。その橋上氏が、楽天ヘッドコーチ時代に実践した野村克也氏の教えをまとめた一冊である。今までの巨人も、それなりにスコアラーは充実していた。しかし、大物選手が多いチーム事情を反映してか、データの活用はそれぞれの選手任せにしていたように思える。それが今年になってからは、橋上戦略コーチがノムさんのID野球のノウハウを注入して、チーム全体でデータを重視する姿勢が徹底された。そりゃ、巨人以上に選手に対して放任主義をとっている阪神が巨人に敵うわけがないわ・・・。
 野村監督はとにかくデータを欲しがる。たとえば自軍の攻撃で、1死1、2塁という場面、打者のカウントが1-2(※本書は2010年に出されたものなので、ここでの1-2は1ストライク2ボールを意味する)になると、『ヒットエンドランのサインを出したいんだが、このカウントで相手バッテリーはこれまでに何回外してきている?』という質問が来るので、『これまで一度も外していません』とか、『今年は一度だけ外しています』というように、データを用意できなければならない。しかも1球ごとに質問が変わってくるので、即座に答えられるようでなければ、野村監督の参謀は務まらないのである。
 単純に考えれば、野球では1試合あたり両軍合わせて300球ぐらい投げるから、1球ごとに質問が飛んで来るとすると、試合中に300もの質問が浴びせられることになる。しかも、ボールカウント、アウトカウント、ランナー、イニング、点差、攻守の組合せを踏まえると、

(1)ボールカウント・・・0-0から3-2までの12パターン
(2)アウトカウント・・・無死、1死、2死の3パターン
(3)ランナー・・・ランナーなし、1塁、2塁、3塁、1・2塁、1・3塁、2・3塁、満塁の8パターン
(4)イニング・・・1回から9回までの9パターン(ひとまず延長戦は除く)
(5)点差・・・同点、1点リード、2点リード、3点リード、1点ビハインド、2点ビハインド、3点ビハインドの7パターン(ひとまずそれ以上のリード、ビハインドは除く)
(6)攻守・・・攻撃と守備の2パターン

より、理論的には、「12×3×8×9×7×2=36,288パターン」の状況が想定される(延長戦や、もっと点差が開いた展開も含めるならば、さらにパターンは増える)。野村監督の下で働くためには、この何万という状況において、どのような作戦で臨むかを判断するためのデータを準備しておく必要があるというのだ。ひゃー、これは大変だ。野球が最近流行の「ビッグデータ」に飛びつくのも頷ける(http://itpro.nikkeibp.co.jp/expo/2012/forum/view.html?c=P116)。

野村の授業 人生を変える「監督ミーティング」 (日文新書 59)野村の授業 人生を変える「監督ミーティング」 (日文新書 59)
橋上 秀樹

日本文芸社 2010-11-27

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 『野村の「監督ミーティング」』の続編。
 野村監督は、「人の悪口を言わないようなヤツは信用できない」と、実にユニークな視点で他人を見ているところがあった。つまり、悪口を言っているということは、自分なりのはっきりとした考えがある裏返しであり、その人間が何を考えているのか、本音の部分が見えてくるから信用できるというわけだ。

 逆に、誰にでも「いい人」と言われているような人は、結局のところ、相手に本音を話していないとも言い換えられる。つねに発言を聞いた人の気分を損なわない言い方をしているから、「いい人」でいられるのであり、「これだけは譲れない」という信念にも欠けている。だから、信用に値しないというのだ。
 ノムさんが言う「人の悪口」こそ、毎試合後に発せられた至極の「ボヤキ」の数々であろう。ノムさんは、「ボヤキとは理想があって、その理想をどうしても達成したいから出るのだ」とも言っていた。私が思うに、ノムさんの凄いところは、どこまでも我慢強いことである。ノムさんクラスになれば、1試合を終えただけで、おそらく何時間でも、それこそ半永久的にボヤキ続けることができるに違いない。しかし、ノムさんがマスコミに対して発するボヤキは、たいてい少数の課題に絞り込まれている。試合終了後のノムさんは、ベンチからロッカールームを通って記者が待っているブースへと向かう間に、その日のボヤキを考えていたそうだ。

 ノムさんは歩きながら、数多ある課題のうち、今日は特にこの課題についてボヤこうと決めていたのだろう。そこには、「まずはこの課題ができるようになればいい」、「この課題がクリアできたら、次はこの課題に注目しよう」という、課題の取捨選択と優先順位づけがある。そして、選手が理想の野球への階段を一段ずつ登っていくのを、どんなに時間がかかってもいいからじっと見守る、そんな厳粛かつ温かいパターナリズムをノムさんからは感じるのである。

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