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2012年12月26日
【数学C】確率の乗法定理~一見不利に思えるくじ引きでも・・・
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ブログの右カラムの自己紹介欄にも書いてあるように、今年に入ってからなぜか高校数学にはまってしまい、空き時間を見つけては数学ⅢCの黄チャートを少しずつ解いていた。そしてついに先日、全パートをクリアした。ということで、このブログでは私が「数学って面白いなぁ」と感じた問題も紹介していきたいと思う。読者の皆様がこんな記事をどのくらい楽しんでもらえるのか全くもって定かではないが、このブログのモットーは、ブログタイトルの通り「私が書きたいことを自由に書く」ことであるから、私の好きなように書くことにする。
初回は「確率の乗法定理」より(私が高校生の時は数学Bで習ったが、現在の学習要綱では数学Cに入っている模様である)。
当たり3本、はずれ7本のくじをA、B2人が引く。ただし、引いたくじはもとに戻さないとする。まずAが1本引き、はずれたときだけAがもう1本引く。次にBが1本引き、はずれたときだけBがもう1本引く。このとき、A、Bが当たりくじを引く確率P(A)、P(B)をそれぞれ求めよ。(類 大阪女子大)くじを1本ずつ引く場合は、くじの順番に関わらず、当たりを引く確率は皆同じとなる。しかし、問題文のようにルールを変えた場合、AとBのどちらが有利になるだろうか?直観的に考えると、2回先にチャンスが与えられるAの方が有利な気もするが、果たして結果はいかに?
≪P(A)の計算≫
P(A)={1回目で当たりを引く確率}+{1回目ではずれを引き、2回目で当たりを引く確率}
=3/10+(7/10*3/9)
=3/10+7/30
=16/30=8/15
≪P(B)の計算≫
P(B)={Aが1回目で当たりを引いた後、Bも1回目で当たりを引く確率}
+{Aが1回目で当たりを引いた後、Bが1回目ではずれを引き、2回目で当たりを引く確率}
+{Aが1回目ではずれを引き、2回目で当たりを引いた後、Bが1回目で当たりを引く確率}
+{Aが1回目ではずれを引き、2回目で当たりを引いた後、Bが1回目ではずれを引き、2回目で当たりを引く確率}
+{Aが2回ともはずれを引いた後、Bが1回目で当たりを引く確率}
+{Aが2回ともはずれを引いた後、Bが1回目ではずれを引き、2回目で当たりを引く確率}
=(3/10*2/9)+(3/10*7/9*2/8)+(7/10*3/9*2/8)+(7/10*3/9*6/8*2/7)+(7/10*6/9*3/8)+(7/10*6/9*5/8*3/7)
=(48+42+42+36+126+90)/720=384/720=8/15
というわけで、P(A)=P(B)となり、当たりを引くチャンスは平等ということになる。しかも、当たりくじは10本中3本しかないにもかかわらず、当たりを引く確率が2分の1を超える点も興味深い。では、さらに次のようにルールを変えるとどうだろうか?
上の問題において、まずAは1本だけ引く。Aが当たれば、Bは引けない。AがはずれたときはBは1本引き、はずれたときだけBがもう1本引く。このとき、A、Bが当たりくじを引く確率P(A)、P(B)をそれぞれ求めよ。この場合、Aが当たった時点でくじを引くチャンスを失うBの方が不利なようにも思える。一方で、Aは当たり・はずれにかかわらず引くチャンスが1回しかないのに対し、Bは2回まで引くチャンスがあるから、Bの方が有利とも考えられる。では、実際に計算してみよう。
≪P(A)の計算≫
P(A)=3/10
≪P(B)の計算≫
P(B)={Aがはずれを引いた後、Bが1回目で当たりを引く確率}
+{Aがはずれを引いた後、Bが1回目ではずれを引き、2回目で当たりを引く確率}
=(7/10*3/9)+(7/10*6/9*3/8)
=(168+126)/720=294/720=49/120
P(A)=3/10=30%、P(B)=49/120=約40.8%となり、結論はBの方が有利。しかもその確率を比較すると、BはAに比べて約1.36倍有利であることが解る。