プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2013年02月05日

森繁和『参謀』―阪神が涙目になる中日の投手王国の仕組み


参謀―落合監督を支えた右腕の「見守る力」参謀―落合監督を支えた右腕の「見守る力」
森 繁和

講談社 2012-04-06

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 落合博満氏と森繁和氏が中日を去って2年、森繁和氏の後を継いだ権藤博氏も1年で投手コーチを退いてしまい、2013年のペナントレースに向けた春季キャンプも始まって完全に時期外れになってしまったが、落合氏の著書『采配』に続いて森氏の本も読んでみた(近著『勝ち続ける力』も読了)。中日は、主力の投手がメジャー挑戦や故障などで抜けても、次から次へと新しい選手が出てくるイメージがある。先発の層の厚さはもちろんのこと、中継ぎ陣も充実しており、ロングリリーフ、ワンポイント、勝ち試合の8回・9回を投げるピッチャーなど、駒が豊富だ。この本を読むと、森氏が非常に計画的に投手を育成していたことが解る。

采配采配
落合博満

ダイヤモンド社 2011-11-17

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 中日には投手が30人いる。通常、1軍の投手には、表ローテ・裏ローテの先発6人、7回・8回を1イニングずつ任せられる中継ぎ2人、クローザー1人、そしてロングリリーフや敗戦処理を担当する投手3人、合わせて12人が登録されるが、中日は控え捕手の枠を1人削って捕手を谷繁と小田の2人とし、投手13人体制を敷いていた。その13人の将来を見据えた場合に、誰がいつ頃にFAやメジャー挑戦で抜けそうか?故障でダメになるリスクが高いか?年齢による衰えが出てきそうか?といった点を踏まえて、2軍にいる残りの17人について、いつまでに、どの役割を任せられるように育成するかを綿密に決めていたと思われる。そして、2軍のメンバーで賄えない場合には、ドラフトやトレードによる獲得を画策した。

 そして、1軍の投手がたまたまケガや不振で戦線を離脱した機会を「利用して」、その選手の後釜候補となる2軍の選手を1軍に上げ、予定しているポジションの適性が本当にあるかどうか?育成計画通りに能力を身につけているか?首脳陣が想定していなかった強み・弱みは何か?1軍で通用するようになるための課題は何か?といった点を見極めていたようだ。
 30人の投手陣を<シーズンを通してフル回転させることが重要になる。ケガ人が出ても、成長が止まってしまっても、先発投手のスランプが長くて登板間隔をあけなければいけない状況が生まれても、必ず、それをカバーする投手を作り上げていくことが必要なのだ。

 私はそのためにこう考えた。まず、30人強の投手を、ローテーションに入っている投手や抑えのエースたち以外も、全員常に60から70パーセントの状態にしておく。いわば3回を3点に抑えられるレベルの投手を増やしておけばいい。その上で、できるだけ投手全員に1軍のマウンドを経験させておく。1軍のベンチに入る投手は12人が普通だが、これを13人にする。2軍の投手の情報もしっかり把握して、すぐ入れ替えられる組織を作る。すなわち2軍の投手コーチから情報をしっかり吸い上げる。
 落合政権の終盤にはヘッドコーチも務めた森氏は、投手だけでなく野手についても同様に中長期的な視点を忘れていなかった。その代表例が「アライバ」のニ遊間コンバートである。落合氏はインタビューで、「2人が下手になったからコンバートした。技術的に何がダメになったかは、君たちには解らなくてもよい」と述べていたが、森氏の本には具体的な理由が書かれている。
 日本一の二遊間として、2004年からほとんどずっとゴールデン・グラブ賞を2人で取り続けていたセカンドの荒木とショートの井端を、コンバートする。監督がそう宣言したのは2008年のことだ。監督は、その時点で3~4年先の最悪のことを想定して動いていたのではないかと思う。鋭い観察眼で井端の左右の動きなどフットワークに少し衰えがあることを見抜いていた。

 近いうちに、井端のショートが厳しくなるのではないか。そうすると肩はいいのだが、井端、森野の三遊間では守備範囲が狭くなる。一塁ブランコがあまり打てなかったこともあり、やがては、一塁・森野、二塁・荒木、遊撃に外国人か新戦力、三塁・井端の内野陣となる可能性がある。優勝争いをしながら、その将来に備えるためのコンバートだったのだろう。(中略)

 そのとき将来は二塁に戻す荒木にショートを経験させたのがミソである。荒木がショートを経験することで、ゆくゆくセカンドに戻ったときには、荒木の動き方とか送球が楽になるだろうという判断だ。
 翻って我が愛する阪神タイガースを見てみると、あまりの育成下手に嫌気がさす(苦笑、それでもファンは辞められないのが悲しい性だが・・・)。抑えの藤川がメジャー挑戦で抜けそうであることは数年前から解っていたにもかかわらず、ポスト藤川の育成を怠り、慌てて先発の久保を抑えに回すありさまである。そうすると、先発が1枠足りなくなるのだが、そこに2012年のドラフト1位である藤浪を充てようというのだから、何とも虫がいい話だ。どんなに甲子園で騒がれたエースであっても、高卒1年目が1年間ローテを守れるかどうかは全くの未知数である(今年1年は丸々体作りに費やしてもいいくらいだ)。2軍で先発候補が育っていない証拠である。

 1軍と2軍の風通しの悪さも課題だ。阪神では、2軍から上がった投手を、1軍で一度も使わずに再び2軍に落とすということが頻繁に起こる。1軍で塩漬けにされている間、選手は実戦経験を積むことができず、かえって成長スピードが止まる。何のために1軍に上げるのか?1軍でどういうふうに使ってほしいのか?という情報が、2軍から1軍にちゃんと上がっていないのだろうと思われる。私は個人的に、2軍でノーヒットノーランを達成した若竹に期待していた。若竹は何度か1軍に上がったものの、結局チャンスらしいチャンスは与えられずに、昨年日本ハムにトレードで放出されてしまった。はぁ、今年も先行きが思いやられるなぁ・・・。

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