プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2013年03月26日

『持続可能性 新たな優位を求めて(DHBR2013年4月号)』―顧客を啓蒙するサステナビリティ指標の開発がカギ


Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 04月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2013-03-09

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 『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2013年4月号の特集はサステナビリティ(持続可能性)。サプライチェーン全体を通じて環境負荷を低減することができているか?適切な労働環境で製品を製造しているか?工場が立地している地域のコミュニティの維持・発展に貢献しているか?製品の製造だけでなく、製品のライフサイクルにも責任を持っているか?などといった点から企業活動を評価し、各社のサステナビリティの度合いを可視化する動きがアメリカでは広まっている。何でも指標化・定量化して競合他社と比較できるようにしようとするのは、相変わらずアメリカの得意とするところだ。最近では、1つの業界にいくつもの評価体系が乱立しているようで、さながら戦闘のような様相を呈しているという。
 持続可能性の基準づくりは複数の参加者による乱闘であり、グリーン・フレンジーと呼ぶことができる。野生動物が餌に群がって奪い合う状態(frenzy)に似ているからである。環境活動家、シンクタンク、ブロガー、業界団体、コンサルタント、ライバル企業など多くの利害関係者が次々に加わって、自分の環境基準をルールとして正式に採用するよう声高に要求して、死闘を繰り広げている。
(グレゴリー・アンルー、リチャード・エッテンソン「リーダーとなるか、フォロワーとなるか 環境基準競争を制する」)
 だが、結局のところ、サステナビリティ経営が成功するかどうかは、ひとえに「顧客の啓蒙」にかかっていると思う。なぜならば、どんなに企業側がサステナビリティ経営のために努力しても、顧客が今までと同じように価格や短期的なベネフィットだけで製品やサービスを選択するのであれば、せっかくの企業努力も台無しになるからだ。したがって、顧客にとって解りやすい指標体系を作ることが重要なポイントとなる。先進的な企業は業界標準を確立することに加えて、顧客向けの指標作りにも本腰を入れている。本号では小売業の巨人・ウォルマートと、アウトドア衣料メーカー・パタゴニアの事例が紹介されている。
 同社(ウォルマート)は、2009年に野心的なゴールを設定した。アリゾナ州立大学とアーカンソー大学が中心となり、現在100以上の企業やNGO(非政府組織)などが参加する中立機関「サステナビリティ・コンソーシアム」と連携し、商品のサステナビリティを評価するための「サステナブル商品インデックス」の開発に着手することとしたのである。

 このコンソーシアムとの連携の下、ウォルマートは、原材料から廃棄までの製品ライフサイクルに関する世界的なデータベースの構築を目指し、最終的には個々の製品のサステナビリティ情報を、消費者にとってわかりやすい形に数値指標化して提供することを目指している。

 これにより、近い将来、消費者の購買行動も変わっていくだろう。価格か品質かという二者択一ではなく、あるいは、原材料など部分的な情報だけを頼りにするのではなく、製造から店頭に届くまで、総合的に見ていかに環境や社会に寄与している商品かどうかを判断することが可能となるからだ。
(「リーダー企業の責務 ウォルマートの挑戦:サステナビリティとビジネスの両立」)
 我々が属するアウトドア業界は、業界団体のアウトドア産業協会を通じてエコ・インデックスという評価ツールを開発した(ここまでできたのは、ナイキの貢献が大きい)。エコ・インデックスでは、顧客によるメインテナンス方法や使用上の注意点、リサイクル素材の含有率、リサイクル性などのほか、製造、梱包、流通における負荷も評価する。これにより、サプライチェーン全体を評価・管理し、水の利用や水質の改善を図る、温室効果ガスを削減する、有害化学物質や廃棄物を削減するほか、製造現場の労働環境や待遇をチェックすることができる。

 エコ・インデックスは透明性が確保されており、かつ、規模を問わずに対応できる。そのため、規模の大きいサステナブル・アパレル・コーリション(参加メンバーは世界で販売される衣料品と履き物の三分の一以上を製造している)はアウトドア産業協会の成果を活用し、新しい業界規格のヒグ・インデックスを生み出している。(中略)

 前出のエコ・インデックスと同様に、ヒグもオープンソースなのだが、将来的には消費者向けの評価にしたい、たとえばジーンズにつけられたQRコードにスマートフォンをかざしただけで社会や環境に対する負荷がわかるようにしたい、そういう点を見比べながら買い物ができるようにしたい、と我々は考えている。
(イヴォン・シュイナード、ヴィンセント・スタンリー「40年かけて学んだ パタゴニア流 企業の責任とは」
 パタゴニアの事例の最後でも示唆されているが、サステナビリティがもっと浸透すると、小売業の売り場デザインは大きく変わるだろう。従来のように、特売を謳うPOP広告を至るところに張りつけ、製品を高々と積み上げて、衝動買いやついで買いを誘うような窮屈な陳列はなくなる。

 むしろ、個々の製品のサステナブル度をじっくりと比較検討できるような、ゆったりとした陳列に変わるはずだ。自ずと製品在庫のスペースは狭くなり、情報提供のためのスペースが広くなる。POP広告の代わりに、製品のサステナブル度に関する情報を表示する媒体(タッチパネルが有力だろう)が置かれる。また、書店に書籍検索の端末が置かれているように、サステナブル度による製品検索が可能な端末が店舗のあちこちに設置されるようになるかもしれない。

 ECサイトも、価格や性能による検索に加えて、個々の製品のサステナブル度による検索機能が加わるだろう。そして、おすすめの製品には、(アマゾンが得意とするような)過去の購買履歴の統計的分析から導かれた製品だけでなく、他の顧客がサステナブル度を高く評価している企業の製品が表示されるようになる。今後5年から10年の間に、サステナビリティを重視した新しい小売業の業態が登場するのではないかと予測する。

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