プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2013年05月10日

ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』―経営に活かせそうな6つの気づき(その4~6)


スタンフォードの自分を変える教室スタンフォードの自分を変える教室
ケリー・マクゴニガル 神崎 朗子

大和書房 2012-10-20

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 (前回の続き)
 未来のあなたはいまのあなたとはちがって、まじめにエクササイズをやるに決まっています。未来のあなたならファーストフード店のメニューでいちばんヘルシーなものを注文するに決まっているので、いまのあなたは免責同意書にサインしなければ売ってもらえない、動脈が詰まりそうなほどこってりしたハンバーガーを食べたって、まったくかまわないわけです。

 未来のあなたはつねに現在のあなたよりも時間もエネルギーもあって、意志力が強いことになっています。少なくとも、私たちが未来の自分を想像するときはそんな感じです。未来のあなたには不安もなく、現在のあなたより痛みにも耐えることができます―あの大腸内視鏡検査だってへっちゃらです。未来のあなたは現在のあなたよりもマメでやる気もあるので、大変なことはぜんぶ未来のあなたに任せるのが得策というものでしょう。
 人間には「将来の自分」を過大評価する傾向があるという。これが、われわれの目標設定を誤らせる。今の自分のレベルを考えれば到底できそうにもない目標を、未来の有能な自分ならできると信じて設定してしまうわけだ。著者は、心理学者ハル・エルスナー・ハーシュフィールドの研究を引いて、将来の自分と現在の自分を同じ自分としてどの程度重ね合わせて認識しているかによって、貯蓄額が変化すると述べている。将来の自分と現在の自分のつながりが強いほど、しっかりと経済的な備えを行う傾向があるそうだ。

 しかし、成功者はしばしばこう言う。「野心的な目標を掲げよ。小さな目標では少ししか進歩できない。大きな目標があるからこそ、人間は大きく成長できる」と。『ビジョナリー・カンパニー』で有名なジェームズ・コリンズも、長年に渡って卓越した業績を上げている企業は「BHAG(Big Hairy Audacious Goals:社運を賭けた大胆な目標)」を持っていることを明らかにした。この事実との矛盾をどう説明すればよいだろうか?私なりの解釈では、たとえ一見無謀で遠く感じる目標であっても、個人の場合は現在のスキルや価値観と、企業の場合はケイパビリティ(組織能力)や企業文化とつながっている必要がある、ということではないだろうか?単に遠すぎるだけの目標では、前回の記事で述べたように、目標の設定だけで満足してしまうおそれがある。
 ダイエット研究者のジャネット・ポリヴィとC・ピーター・ハーマンが最初に使ったこの「どうにでもなれ効果」という言葉は、はめを外して、落ち込んで、さらにはめを外すという悪循環を表しています。研究者たちが気づいたのは、ダイエットしている人の多くはちょっとつまずいただけで―ピザをひと切れ、ケーキをひと口食べてしまっただけで―ものすごく落ち込んでしまい、もうダイエットなんかしてもムダだとあきらめてしまうことでした。ダイエット違反を最小限に食いとめたいなら、あとひと口だって食べないほうがいいのに、開き直ってしまいます。「もういいや、どうせダイエットなんかもうパーだもん。こうなったら全部食べちゃえ」
 これを一般化すれば、計画通りに事が進まない⇒落ち込む⇒計画にさらに遅れが出る⇒次第にやけっぱちになる⇒遂には目標が達成できなくなる、ということになる。我々は、部下が計画通りに仕事をしない時、尻を叩いて仕事をさせようとする。もちろん、それで奮起する部下もいるだろうが、「どうせ自分はダメなヤツなんだ」と落ち込んでしまうと、先ほど述べた悪循環にはまってしまう。何度叱っても効果が上がらない部下は、この負のスパイラルに陥っている可能性がある。部下は、「あーあ、また仕事ができなかったなぁ。でも、上司に怒られるのを我慢すればいいや」と投げやりになっている(当然、上司の言葉は右から入ってすぐ左に抜けてしまう)。

 「どうにでもなれ効果」を防ぐには、厳しく律するのではなく、「なぐさめる」ことが大切だという。実験によれば、ダイエットに失敗した人に対して、「あまり自分に厳しくしないように、誰だって時には自分を甘やかすこともあるってことを、忘れないでくださいね」と声をかけると、甘い物の食べすぎが改善されたそうだ。企業では、上司が部下を甘やかすなんてもってのほかだと思われがちだが、部下の失敗に寄り添って、部下に共感を示すと、案外うまくいくのかもしれない。
 神経科学者の発見によれば、瞑想を行なうようになると、脳が瞑想に慣れるだけでなく、注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールのさまざまなスキルが向上します。瞑想を定期的に行なえば、たんに瞑想がうまくなるだけではありません。やがて、脳はすぐれた意志力のマシーンのように発達します。定期的に瞑想を行なう人の場合、前頭前皮質や自己認識のために役立つ領域の灰白質が増加するのです。
 前回の記事で、意志力には「物理的な量」があると述べたが、意志力を増加させる効果的な手法の1つとして本書の中で紹介されているのが瞑想である。著者によれば、瞑想に懐疑的な人であっても、瞑想の訓練を数時間受ければ、確実に前頭前皮質(思考や創造性を担う脳の最高中枢)や灰白質(中枢神経系の神経組織のうち、神経細胞の細胞体が存在している部位)に変化が見られるという。スティーブ・ジョブズは禅に憧れてしばしば瞑想を行っていたそうだが、晩年に3回もの画期的なイノベーション(iTunes/iPod、iPhone、iPad)で世界を驚かすことができたのは、この瞑想のおかげだったのかもしれない。

 企業にも瞑想を取り入れることができないだろうか?インバスケット・トレーニングなど、意思決定力を鍛えるための研修を行う際には、研修の最初に参加者全員で瞑想をしてはどうだろうか?あるいは、いっそ朝礼の代わりに瞑想を行ってみてはどうか?(デスクで瞑想をするにはどういう姿勢をとればいいのかが問題だが・・・)エライ人の大して役に立ちそうもない話にあくびをしながら耳を傾けるよりも、目標未達成の社員が全員の前でさらし者にされるのを哀れみの目で見るよりも、きっと有意義な時間になるに違いない。そして、瞑想を行った後、デスクに張り出した目標一覧の紙を見て、「自分は目標達成に向けてどれぐらい努力しているか?」と問いかけてみる。そうすれば、強い意志力を持って毎日の仕事に臨めること間違いなし!

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