プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2013年05月30日

ティム・クラーク他『ビジネスモデルYOU』―キャリア開発における「内省」を企業の内部環境分析に応用するための私案(1)


ビジネスモデルYOUビジネスモデルYOU
ティム・クラーク アレックス・オスターワルダー イヴ・ピニュール 神田 昌典

翔泳社 2012-10-26

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 前回の記事で紹介した『ビジネスモデルジェネレーション―ビジネスモデル設計図』の個人版。「ビジネスモデル・キャンバス」のフレームワークをビジネスパーソン個人にも当てはめて、キャリア開発に役立てようとするものである。私はこのブログで、企業の事業戦略と個人のキャリアデザインには共通点があると指摘してきたが(「リチャード・モリタ『これだっ!という「目標」を見つける本』―キャリアデザインと戦略立案のアナロジー」、「『最高のキャリアを目指す(DHBR2013年5月号)』―組織の戦略は人間のキャリア形成から何を学べるか?」を参照)、その意味でこの2冊の連続性は興味深い。

 しかし同時に、2冊の内容は微妙に連動していない箇所があり、それもまた興味深い。『ビジネスモデルジェネレーション―ビジネスモデル設計図』では、外部環境の将来の変化に重点が置かれているのに対し、『ビジネスモデルYOU』では、個人の内省にフォーカスが当たっている。企業の戦略も所詮は人間が構想し、実行するものである。したがって、企業の戦略は個人のキャリアデザインの方法にもっと倣うべきであり、逆もまたしかりである。すなわち、企業は自社のことをもっと内省する必要があるし、個人は自らを取り巻く環境の将来的な変化にもっと敏感になる必要がある。今回と次回の記事では、『ビジネスモデルYOU』で紹介されている内省のためのワークを、企業の内部環境分析に応用する方法について、私案を述べてみたいと思う。

 本書では、「関心(自分をワクワクさせるもの)」、「スキルと能力(学んで得た才能と、生まれ持った才能。自分が簡単に行えること)」、「個性(自分なりの働き方や人との関わり方)」の3つが重なり合う部分を、キャリアの「スイートスポット」と呼んでいる。多くのキャリアコンサルタントによると、スイートスポットに沿ったキャリアを歩む時、仕事での満足度が高くなるという。本書で紹介されている数々のワークは、読者が自らのスイートスポットを発見し、スイートスポットに沿ったビジネスモデル・キャンバスをデザインできるように設計されている。

 (1)関心
 「関心」を明らかにするためのワークは、「私は、どんな人?」というワークである。まず、何も書かれていない紙を10枚用意する。それぞれの紙の一番上に、「私は、どんな人?」という質問を書く。それから、1枚に1つずつ答えを書いていく。その後、また10枚の紙に戻って、「それぞれの役割において、どういう時にワクワクするか?」という視点から、答えを膨らませる。最後に、10枚の紙をよく見て、自分をワクワクさせるものについての共通項を探す。自分には10個も役割がないと思う場合は、「私は、誰からどんな人として見られたいか?」という点で考えてみるとよい。私の結果はこんな感じだ(中には意外な役割も含まれているが、これが私という人間である)。

 1.経営コンサルタント・中小企業診断士・・・クライアントの経営改善につながる本質的な施策を2~3個程度に絞り込むことができた時。クライアントの経営陣から、「我が社の業績が上がる方法が解った」と言ってもらえる時。
 2.研修プランナー・・・受講者の頭をいい意味で悩ませるケーススタディを開発できた時。受講者から、「明日から現場で使えるナレッジを学習することができた」と言ってもらえる時。
 3.夫・・・妻を献身的にサポートする時。妻の人生にとって大事な一ピースとなる時。
 4.読書家・・・マイナーだが良書に出会えた時。ある本で読んだ内容と、別の本で読んだ内容がつながり、「そうか、そういうことか!」と納得できた時。
 5.ブロガー・・・単なる本の紹介ではなく、批評を行い、自分なりの明確な見解をつけ加えることができた時。オリジナルのフレームワークを紹介することができた時。たくさんのページビューを稼ぐことができた時。読者から、「解りやすい記事だ」と言ってもらえる時。
 6.研究者・・・「創発的戦略」に関する新しい知見が見つかった時。欧米流の受け売りではなく、日本の文化に根差した経営のアイデアが見つかった時。そのアイデアをコンサルティングの現場で活用し、クライアントから高い評価が得られた時。
 7.作詞家・・・作曲家が作ったメロディーにぴったりと乗る日本語が見つかった時。陳腐な愛情の歌ではなく、世相をえぐる深い歌詞が書けた時。リスナーから、「私が普段思っていることをまさに的確に歌ってくれている」と言ってもらえる時。
 (※ここから先は私の現在の役割ではなく、身につけたいと願っている役割である)
 8.数学講師・・・数学の楽しさを高校生に解ってもらえた時。高校生がどこでつまづき、どうすれば理解できるようになるのかが解った時。数学における論理的思考の重要性、その論理的思考が社会で生きていく上で極めて有益であることに高校生が気づいてくれた時。
 9.四書五経に精通した人・・・江戸時代までは教養書として利用されていた四書五経の価値を再発見して、経営に活かせそうなヒントを導き出すことができた時。そのアイデアをコンサルティングの現場で活用し、クライアントから高い評価が得られた時。
 10.経済学と政治学に精通した人・・・ビジネスパーソンに経済学と政治学についてもっとよく知ってもらい、「社会を見る視野が広がった」と言ってもらえる時。経済学と政治学の知見を踏まえて経営学の理論を発展させることができた時。その理論をコンサルティングの現場で活用し、クライアントから高い評価が得られた時。

 これら10個の役割を眺めてみると、私は「長い歴史の中で蓄積された知見に価値を見出し、それを解りやすい形で経営に活用して、組織の学習をサポートする」ことにワクワクするようだ。

 このワークを企業に応用する場合は、「わが社は、どんな企業か?」という質問に変える。答えに際しては、自社の様々なステークホルダーを思い浮かべるとよいだろう。

 「セグメントA、B、C・・・の顧客層からは、どんな企業として見られたいか?」
 「競合他社からは、どんな企業として見られたいか?」
 「社員や社員の家族からは、どんな企業として見られたいか?」
 「主要な仕入先からは、どんな企業として見られたいか?」
 「主要な販売チャネルからは、どんな企業として見られたいか?」
 「その他のパートナー企業からは、どんな企業として見られたいか?」
 「金融機関や株主からは、どんな企業として見られたいか?」
 「労働力を供給してくれる高校・大学からは、どんな企業として見られたいか?」
 「事業所や工場を構えている地域の住民からは、どんな企業として見られたいか?」

 一連の質問を通じて、自社は何に関心があるのか?言い換えれば、自社の社員はどのような時に一番熱狂するのか?が明らかになるはずだ。

 (続く)

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