プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2013年05月31日

ティム・クラーク他『ビジネスモデルYOU』―キャリア開発における「内省」を企業の内部環境分析に応用するための私案(2)


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 (前回の続き)

 (2)スキルと能力
 「スキルと能力」を明らかにするワークは、「ライフライン」というワークである。横軸に「時間」を、縦軸に「喜び/ワクワク」をとり、幼少期から現在までの「喜び/ワクワク」の変化を折れ線グラフで表現する。そして、「喜び/ワクワク」を大きく上昇させた、逆に大きく減少させたライフイベントを書き込む。最後に、それぞれのライフイベントを通じて習得したスキルと能力を明らかにしていく。私のライフラインのグラフは割愛するが、重要なライフイベントを5つ抽出してみた。

 ⅰ)小学2年生の初めから中学3年の途中まで7年以上にわたり、週4日のペースでそろばん塾に通い続けた。珠算は初段、暗算は準初段まで到達することができた。市や県のそろばん大会でもたくさん優勝し、いろんな表彰を受けた。

 中でも一番印象に残っているのは、珠算の準2級の検定試験で、全科目満点という成績で合格し、商工会議所から特別表彰を受けたことだ。私がいた市では、珠算の1級・2級・3級の検定試験で全科目満点を取って合格すると、商工会議所が特別表彰を行う慣例があった。しかし、「準2級」については前例がなく、表彰するかどうか商工会議所内で議論になった。最終的には、「3級は表彰があるのだから、準2級も表彰があっていいのではないか?」ということで、商工会議所が”特別に”特別表彰してくれることとなった。
 ⇒「1人で黙々と同じ作業を続ける忍耐力」が身についた。また、「努力は意外な形で結実する」ということを学んだ。

 ⅱ)大学時代に塾講師のアルバイトをしていた時、ある先生から、問題児扱いされていた高校3年生の生徒を2人引き継ぐことになった。2人は遅刻や宿題忘れが日常茶飯事で、成績も芳しくなかった。引き継ぎの際に、前任の先生の授業を見学させてもらったが、最後の授業にもかかわらず、2人を大声で怒鳴りつけていた。「これは大変な生徒を受け持つことになってしまったなぁ」と思うと同時に、その2人が先生の怒声に全く応えていないことに気づいた。そこで、私は「何があっても絶対に怒鳴らない」と決めて、1年間辛抱強く個別指導を続けた。その結果、1人は芸術大学に、もう1人は産近甲龍レベルの大学に合格することができた。
 ⇒「人を動かすのは怒鳴り声ではなく、真摯に接し続ける姿勢である」ことを学んだ。

 ⅲ)同じく塾講師時代、古典が非常に苦手な生徒を受け持ったことがある。文法の知識を一から教えても生徒の頭がパンクするだけだと思ったため、期末テストの直前に生徒から教科書のコピーをもらって予想問題を作り、それを生徒に繰り返し解いてもらった。すると、その生徒は初めて70点台を取ることができた。本人が一番驚いた顔をしていたのを今でもよく覚えている。

 また、社会人になってから研修事業に携わるようになり、あるクライアントから「新しい営業手法を全営業担当者に浸透させるための研修を作ってほしい」という依頼を受けた。だが、クライアントにいくらインタビューしても、「新しい営業手法」とは一体何を指しているのか、意見が一致しなかった。そこで、クライアントの特性を踏まえた上で「新しい営業手法」をこちら側で定義し、それを盛り込んだ研修を実施した。研修終了後、クライアントの担当者から、「我が社が『新しい営業手法』と呼んでいたものが何だったのか、この研修でようやく解った」という感想をいただいた。
 ⇒「どう学ぶべきか?」の前に、「何を学ぶべきか?」を明確にするのは得意だと思う。

 ⅳ)あるクライアントのキーパーソンに、コンサルティングプロジェクトの提案を行った時のこと。私がシステムエンジニア出身であることを伝えると、「俺はSEが嫌いなんだよなぁ。頭が固いから」と言われた。まだ何も仕事をしていないのに、先入観だけでそう言われたのが悔しかったので、「絶対にこの人を見返してやろう」と思い、プロジェクトに臨んだ。

 プロジェクト期間が非常にタイトだったこともあり、一番気を遣ったのは、タスクの管理とスケジューリングであった。幸いにも、最終的にはキーパーソンから私の仕事ぶりを認めてもらうことができた。そのキーパーソンはプロジェクトの後、社内で何らかのプロジェクトの話が持ち上がると、私が作成した成果物を持って行っては、「こうやってプロジェクトを進めればいいんだよ」と関係者に教えている、と私に話してくれた。
 ⇒これ以外のコンサルティングプロジェクトなども通じて、「プロジェクトのゴールを決めて、タスクを区切り、スケジューリングを行う力」は結構鍛えられたと思う。

 ⅴ)今年に入ってから、私のブログを読んでくださっている方に会う機会があって、「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの書評記事がすごくいい」、「内容はマニアックだが(←私、思わず苦笑)、特定の人に深く刺さる文章だ」というお褒めの言葉をいただいた。また、私のブログを読んでくださった出版社の担当者2人から連絡があった。1社からは原稿執筆の機会をいただき、もう1社からは最新刊の献本を受けることができた。
 ⇒「文章で解りやすく書く能力」は、おそらく同年代の人たちよりも優れていると思う。

 企業の場合、自社の強み・弱み分析はすでにお手のものだが、ここでは2つの点に注意してもらいたい。1つは時間軸を伸ばして考察することである。強み・弱み分析は、ややもするとここ数年の事象に目が行きがちだ。そうではなく、時には社史を一から紐解いて、企業が大きく成長するきっかけとなった出来事や、逆に企業が危機に瀕した出来事にも目を向けるとよい。

 もう1つは、表面的には失敗であっても、何かしら学習成果は存在するということだ。例えば、製品開発プロジェクトが失敗して新製品が日の目を見なかったとしても、プロジェクトの途中で取得した特許、新製品のデザインや設計図、プロモーションの企画などは、別のプロジェクトでも使える貴重な知的資産である。失敗の分析というと、悪かったことを次にどう直すか?という点ばかりに集中してしまうが、部分的な成功が埋もれていることに気づくと、組織の学習能力が上がる。

 (3)個性
 本書で言う「個性」は、「性格」、「パーソナリティ」と言い換えた方が解りやすいと思う。本書では、ジョン・ホランドが開発した「六角形モデル」を用いて、自分のパーソナリティを明らかにするワークが紹介されている。ホランドが類型化した6つのパーソナリティは以下の通りである(詳細は「適職探しに役立つホランド理論 - @IT自分戦略研究所」を参照)。

 ・現実的(Realistic)
 ・研究的(Investigative)
 ・芸術的(Artistic)
 ・社会的(Social)
 ・企業的(Enterprising)
 ・慣習的(Conventional)

 厳密に測定するには、リンク先にも書かれているように、ホランド理論に基づいて開発された「CPS-J」(日本マンパワー)や「R-CAP」(リクルート)といったテストを受診する必要がある。それができない場合は、6タイプの説明文を読んで、自分に当てはまりそうなものを感覚的に選んでも構わないと思う。私のパーソナリティは、自己分析に基づくと、「研究的」が最も高く、その次に「慣習的」と「社会的」が高いと考えている。

 個人の集合体である組織にも性格は見られる。野心的な企業もあれば、官僚主義的な企業もある。企業の場合には性格とは言わずに、企業文化、組織風土といった表現の方が的確だろう。ホランドの六角形モデル以外にもパーソナリティを類型化する方法がいくつか存在するように(例えば、心理学者エドガー・シャインが提唱した「キャリア・アンカー」や、宗教家ゲオルギイ・グルジエフが初めて本格的に使い始めたとされる「エニアグラム」など)、企業文化の類型についてもこれといった正解があるわけではない。ただ、企業が個人の集合体である以上、企業文化は個人のパーソナリティと似たような性質を持つと考えられる。ホランドの六角形モデルを援用して、自社の企業文化がどのタイプに該当するのかを議論するとよいだろう。

 私の「関心」は「長い歴史の中で蓄積された知見に価値を見出し、それを解りやすい形で経営に活用して、組織の学習をサポートすること」にある。私の主要な「スキルや能力」は、「1人で黙々と同じ作業を続ける忍耐力」、「努力を続ける力」、「人が動くまで真摯に接し続ける姿勢」、「『何を学ぶべきか?』を明らかにする力」、「プロジェクトのマネジメント能力」、「文章で解りやすく説明する力」の6つである。そして、私の「個性」は第一義的には「研究的」であり、次に「慣習的」、「社会的」である。「関心」、「スキルと能力」、「個性」が重なり合うところが、私のキャリアのスイートスポットとなる。それは一言で言うと、「経営に必要な知を粘り強く、かつ解りやすく体系化し、その知を活用して人々の学習を辛抱強く支援する」ということになるだろう。

 戦略に関してスイートスポットという言葉を使う場合は、競合他社がまだ気づいていないが、高い成長率や収益性が見込める市場の”隙間”を意味する。つまり、外部環境におけるホワイトスペースをいかにして発見するかが戦略のカギとなる。しかし、より先進的な企業は、これまで見てきたような自社組織の内省を通じて社内のスイートスポットも発掘し、外部環境のスイートスポットと内部環境のスイートスポットが一致するところに戦略を見出すに違いない。

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