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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
所属組織など
◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長、および国際部員を務めています)

NPOビジネスサポート特定非営利活動法人NPOビジネスサポート
(監事を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

Experian海外企業信用調査 海外企業信用調査(Experian)
(一緒にお仕事をさせていただいている「コンサルビューション株式会社」は、世界最大の信用調査会社Experianの正規代理店です)

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(以下の資格の講師をしています。
 ―ITパスポート
 ―情報セキュリティマネジメント
 ―経営学検定(初級・中級)
 ―中小企業診断士(企業経営理論、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策)
 谷藤友彦と株式会社サイトビジット代表取締役・鬼頭政人氏の対談動画(1)(2)(3)
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2013年07月28日

【ベンチャー失敗の教訓(第28回)】営業で失注しても「敗因分析」をしない


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 元楽天の監督である野村克也氏は、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのが口癖であった。敗れた試合には必ず何か原因があると言い、敗因の分析を怠らなかった(野村氏のすごいところは、「勝ちに不思議の勝ちあり」と、一見運による勝利の存在を認めているようでありながら、実は勝った試合についても、なぜ勝てたのかをしつこく分析していた点にある)。強い組織は、失敗から学習する能力にたけているものだ。

 ただ、失敗から学べる企業や組織というのはむしろ例外であり、日本人は失敗から学ぶのがあまり上手ではないように感じる。例えば、食品の産地偽装が社会問題になると、普通ならば食品業界の関係者は、「我が社も気をつけよう」と危機意識を持ってしかるべきだが、他社の不祥事はまるで対岸の火事のように扱われ、しばらくすると似たような偽装事件が発覚する。

 いじめで少年・少女が自殺しても、文部科学省や教育委員会は十分な予防対策を講じず、別の学校ですぐに自殺が起きる。東日本大震災から2年以上が経過しても、いまだに復興は遅々として進まず、関係者からは、18年前の阪神・淡路大震災の教訓が活かされていないとの声が聞かれる。歴史をさかのぼれば、太平洋戦争では、軍部のトップが明確なビジョンや戦略を策定せず、陸軍と海軍がそれぞれ勝手に動いていたがゆえに、統一的な戦闘が行えず敗北したと言われているが、ビジョンや戦略の策定が苦手な組織は今でも多い。

 X社も、日本人の特性を凝縮したような企業であった。営業で失注しても、なぜ失注したのか誰も敗因分析をしない。私は、営業チームの会議に何度か参加させてもらったことがあるが、そこでは各自の担当案件の進捗報告しか行われていなかった。案件のステータス確認がしたいのであれば、それぞれの営業担当者が自社に導入されているSalesforce.com(営業管理システム)の情報を確認すれば十分である(もっとも、Salesforce.comをちゃんとチェックしている社員が少ないというお粗末な状況だから、わざわざ会議を開いていたという面も否めないが・・・。以前の記事「【第20回】マネジャーなのに数字に無頓着」を参照)。

 たまに失注の原因に言及することがあっても、例えば「提示した見積の金額が高く、顧客の予算との折り合いがつきませんでした」、「顧客の中で研修の企画そのものが流れてしまいました」といった具合に、顧客企業側に原因を求めるケースが非常に多かった。もっとひどいケースだと、「競合の○○社の研修が採用されることで決まってしまいました」という、原因でも何でもない原因を挙げる営業担当者もいた。

 原因分析は、最終的には自分自身に原因を求めなければ意味がない。顧客企業側に原因を求めたとしても、顧客企業の行動をこちら側から変えさせることはほとんど不可能だ。変えられるのは、自らの行動だけである。「提示した見積の金額が高く、顧客の予算との折り合いがつきませんでした」という場合は、提示した価格に見合った研修の価値や効果を的確に訴求できていなかったのかもしれない。あるいは、顧客企業の要求に対して、過剰なサービスを盛り込んでしまっていたのかもしれない。または、決裁者との交渉で何かミスを犯したのかもしれない(そもそも、決裁者に会っていなかった、ということもありうる)。もしかしたら、価格以外の条件で交渉する余地があったのに、それを怠ったためかもしれない。

 「顧客の中で研修の企画そのものが流れてしまいました」という場合は、顧客企業の企画スケジュールを認識していたか?顧客企業内の稟議プロセスを把握していたか?顧客企業内の利害関係者のパワーバランスを見抜き、意思決定に影響力のある人に対して適切にアプローチできていたか?顧客企業内で企画がスムーズに通るよう、企画書の作成などできる限りの支援を行ったか?などといった点から、営業活動の改善ポイントを検討する必要がある。「競合の○○社の研修が採用されることで決まってしまいました」というケースでは、言うまでもなく、自社のサービスのどの部分がどういう点で競合他社より劣っていたのかを正確に突き止めなければならない。

 私はSalesforce.comの運用管理を任されていた時期があるのだが、あまりに営業担当者が敗因分析をしないので、「案件がロストした場合には、失注の理由を必須入力にする」という仕様に変更したことがある。だが、そうした途端、営業担当者は失注案件をシステムに登録しなくなった。やはり、社員の意識改革をシステムに頼ってはいけない。私は、営業チームの会議で、失注の原因をもっと積極的に議論するよう促せばよかった。私は講師&開発チームの所属にしてマーケティングを兼務している立場であり、営業会議では部外者にあたるから、どこか遠慮してしまうところがあった。そこが私の反省材料である。

 失敗分析をしないのは、社員が「失敗を責められている」という気分になるからだ。実際、営業の数字が上がらない社員を全員の前で吊るし上げるような企業はいまだに存在すると聞く。だが、これでは失敗を分析しようという気運は起きない。もちろん、フォローの余地がない基本的なミスは厳しく責められるべきだろうが、普通の失敗は組織にとってマイナスではなく、第2、第3の失敗を防ぐためのプラスの材料だととらえた方がよい。極端なことを言えば、「失敗してくれてありがとう」というぐらいでちょうどいい。

 IBMの創始者であるトーマス・J・ワトソン・シニアにはこんな逸話がある。ある時、部下が事業に失敗して1,000万ドルの損害を会社に与えてしまった。ワトソンはその部下を呼び出した。部下は「クビになることは覚悟しています」と言ったが、ワトソンの口から出たのは意外な言葉だった。「君の教育に1,000万ドルを投資したところなんだよ」と。

《追記》
 コンサルティングファームのローランド・ベルガーの会長・遠藤功氏は、営業現場強化のコンサルティングプロジェクトが立ち上がった際、最初に「営業日報」と「失注報告書」を見せてもらうのだという。営業日報はほとんどの会社に存在するが、失注報告書がある企業はまずない。しかし、強い営業力を持つ会社は、失注報告書を現場力を磨く最大の材料として活かしている、と遠藤氏は指摘している(遠藤功『現場力を鍛える―「強い現場」をつくる7つの条件』[東洋経済新報社、2004年])。

現場力を鍛える 「強い現場」をつくる7つの条件現場力を鍛える 「強い現場」をつくる7つの条件
遠藤 功

東洋経済新報社 2004-02-13

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 Y社(B社長)・・・人材紹介、ヘッドハンティング事業
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