プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2013年08月25日

【ベンチャー失敗の教訓(第32回)】メディア露出が中途半端すぎてティッピングポイントを超えられない


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 マーケティングでは、投資と成果が比例しない。一定のメディア露出を一定期間続けると、ある時飛躍的に認知度が向上する。これがマーケティングにおける「ティッピングポイント」である。ティッピングポイントを下回る投資では、投資の多寡にかかわらず、効果はほぼゼロと言ってよい。

 テレビのCMについて言えば、1日1本だけのCMを毎日流し続けたところで、あるいは毎日10本のCMを1か月だけ流したところで(どちらも、年間のCM本数は300本強である)、視聴者の記憶に焼きつけることはできない。日々何十本、何百本というCMを目にする視聴者、しかもCMのことをそれほど好意的にとらえていない視聴者に、自社のCMのことを覚えてもらおうと思ったら、例えばゴールデンタイムを狙って集中的にしつこいくらい自社のCMを挿入しなければならない。しかも、短期間で止めることは許されない。365日、いや何年もそれを続ける必要がある。

 テレビよりもずっと早いスピードで爆発的に多数のコンテンツが生まれるWebの世界の方が、ティッピングポイントの問題は深刻だ。Webの世界は、情報戦争とでも呼ぶべき状態にある。ありとあらゆる競合のコンテンツを押しのけて、自社のコンテンツをターゲットユーザに届けようと思ったら、相当の頻度で良質のコンテンツを創造し続けなければならない。そのスピードと量を下回るコンテンツ制作は、いかにコストと労力をかけたとしても、全くリターンを生み出さない。

 マーケティングの担当を兼務するようになった頃から、このティッピングポイントのことを考えていた私は、自社のHPに高頻度で講師のコラムを掲載しようとした。以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第7回)】本を書いて満足してしまう社長」でも書いたように、私がコラム掲載のスケジュールを決めて、それぞれの講師に担当を割り振った(私も担当した)。高頻度と言っても、講師1人あたりに換算すれば1か月に1本(1本あたりの文字数は約2,000字)の計算であり、空いている時間を使えば余裕で書けるはずであった。にもかかわらず、コラムの締切はだんだんと守られなくなり、挙句の果てにはコラムの原稿すら提出されなくなった。HPが更新できなくなり、HPのUU(ユニークユーザ)数が激減してしまったことは、以前の記事でも述べた通りである。

 私が講師に対して強制的にコラムを書かせようとしたのがダメだったのかもしれない。それならば、講師が自主的に記事を書けば、長続きするのではないだろうか?講師の元には、人事関係のポータルサイトを運営する企業から、「うちのポータルで連載記事を書かないか?」という依頼が来ることがあった。それなりに有名なポータルサイトであったから、講師は「○○から依頼が来たんだよ!」と嬉しそうに私に話をしてくれたものだった。私としても、自社HPよりも知名度が高いポータルサイトで講師の露出が上がり、講師の名前が売れるのならば大歓迎であった。

 自社HPのコラムとは違って講師が前向きに取り組んでくれそうなので、私はポータルサイトに関しては講師に一任することにした。ところが、予定されていた5~6回の記事を書き終わると、それで満足してしまったのか、続きの連載をまた書かせてほしいと運営会社に提案する様子がまるで見られなかった。何百という記事を載せているポータルサイトに、たかだか5、6本の記事を載せたところで、次から次へと追加される新しい記事に埋もれてしまうのは自明である。

 私は、何とかして自社HPの更新頻度を上げられないものかと考えていた。そこで注目したのが、何人かの講師が運営していた個人ブログであった。ブログには、自分が講師を務めた研修の感想や、自らの専門分野についての記事がアップされていた。「これは使える」と思った私は、各講師のブログの最新記事をRSSのように自社HPに表示させることを思いついた。やや姑息ではあるが、これだけでも更新頻度を上げられる。私はこのアイデアを講師に持ちかけてみた。

 ところが、どの講師からも、「ブログに載せている内容は、たくさんの人に読んでもらうような内容ではないから・・・」という理由で断られてしまった。講師たちは一体何を目的としてブログを書いていたのだろうか?私は思わず、「そんな程度の低い記事を書くのに時間を使うな。その時間を使って自社HP用のコラムを書いてくれ」と言いたくなった。

 強制的であろうと自主的であろうと、長続きしない性格の講師ばかりがX社には集まっていたのかもしれない。X社の講師は、比較的早い段階からtwitterを始めていた。私が講師たちのアカウントを発見した時には、フォロワーの数が100名ぐらいになっていた。私は、「フォロワーを100人集めるのはどのくらい大変なのだろうか?」と思い、自分でもアカウントを作ってみた。すると、わずか3日ほどで講師たちのフォロワー数を抜き去ってしまった。

 twitterは、リツイートされやすいつぶやきを、twitter閲覧者が増える20時~23時頃の間に20回前後集中的につぶやけば、簡単にフォロワーを増やせる。言い換えれば、これがティッピングポイントというわけだ。ツイートが1日に10回未満とか、20ツイートを超える日が1週間に1日だけといった具合では、ティッピングポイントを超えられず、フォロワーは増えない。しばらくしてから講師のアカウントを再確認したところ、フォロワー数はほとんど変わっていなかった。講師たちは、あまり積極的にツイートをしていなかったのだろう。ここでもまた、講師たちの飽きっぽさが災いして、ティッピングポイントに対する理解を阻害していた。
(※注)
 X社(A社長)・・・企業向け集合研修・診断サービス、組織・人材開発コンサルティング
 Y社(B社長)・・・人材紹介、ヘッドハンティング事業
 Z社(C社長)・・・戦略コンサルティング
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