プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
シャイン経営研究所HP
シャイン経営研究所
 (私の個人事務所)

※2019年にWordpressに移行しました。
>>>シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)

Next:
next 童門冬二『鈴木正三 武将から禅僧へ』―自由を追求した禅僧が直面した3つの壁
Prev:
prev 【無料セミナー】《大東文化大学90周年記念 経営研究所講演会》アジア市場と日本企業の国際連携戦略
2013年10月20日

【ベンチャー失敗の教訓(第40回)】ダメ会社の典型=遅刻や締切遅れが当たり前の体質


 >>シリーズ【ベンチャー失敗の教訓】記事一覧へ

 最近、中小企業診断士と弁護士の両方の資格を持つという強者から、弁護士業界には「弁護士時間」という言葉があることを教えてもらった。弁護士が時間を守らないことを自虐的に言う言葉だそうで、中には裁判に遅刻してくる弁護士もいるという。3社の社員も時間にルーズな人が多く、階層が上がるほどその傾向が強かった。若手社員の間では、会社名をとって「○○時間」という言葉が使われていた。

 とにかく、社内会議が時間通りに始まった記憶がない。商談が長引いたとか、自分の仕事の区切りがつかなくて遅れたとか、何かと理由をつけて会議に遅刻する。仕方ないので、私が会議の主催者になっていた場合は、会議の時間になると、出席者たちに「そろそろ会議ですよ」とわざわざ声をかけて回っていた。だが、「何で私が彼ら(彼らの大半は、私より役職も年齢も上である)の時間管理までしなければならないのか?」と、だんだんバカらしく思えてきた。そこで、会議の時間になっても、出席者に声をかけず私一人で会議室に入り、出席者が来るのを待ってみることにした。すると、見事に皆10分から20分ぐらい遅れてくる。そして、さほど悪びれる様子もない。

 顧客企業先で会議がある時も、余裕をもって顧客企業先に到着しようという意識が希薄であった。一緒に会議に向かうシニアマネジャーから、オフィスを出発する時間を調べるよう告げられた私は、会議の開始に余裕をもって間に合うような時間を調べた。そして、会議の20分ぐらい前には顧客企業先に到着するようにしていた。ところが、シニアマネジャーからは、「到着が早すぎるじゃないか」と注意されてしまったのである。20分もあれば、オフィスでもう少し自分の仕事ができたのに、というのがシニアマネジャーの言い分であった。しかし、電車にもしものことがあった場合のことを考えると、私はギリギリに到着する時間で移動する気にはなれなかった。

 顧客企業先の会議に関して一番驚いたのは、Z社のC社長の話である。C社長は、ある戦略コンサルティングプロジェクトの最終報告のために、顧客企業先にプロジェクトメンバーを連れて行った。会議は午後一に設定されており、顧客企業の社長をはじめ、重役たちが出席する予定であった。C社長たちは、10分前に顧客企業先に到着した。これだけ重要な会議なのに、10分前に到着するのもいかがなものかと私は思うのだが、C社長は何と、「まだ10分あるのか。ちょっとお腹が空いたなぁ。10分あればカレーライスぐらいはパッと食べられるかな?」と言って、顧客企業先のビルの1階に入っていたレストランで、カレーライスを平らげたのである。

 仕事の締切を守らないのも3社の社風であった。X社のマーケティングを兼務していた私は、HPに人材育成や組織開発に関するコラム記事を毎週1本アップして、コンテンツの充実とアクセス数の増加を狙った。そして、向こう数か月のコラムのスケジュールを決め、A社長や講師たちに担当を割り振って、コラム記事を書いてもらうことにした。

 だが、スケジュールに定められた締切になっても、講師は原稿を私に送ってこない。HP更新日の直前になって、講師が慌てて原稿を送り、私も慌てて校正してHPを更新する、ということが何度も続いた。講師だけでなく、A社長までもが原稿の締切を全く守ってくれなかった。私は、「社長が締切を守らないと、他の講師が真似をするからやめてほしい」とA社長に注意したことがある。すると今度は、いくら催促しても原稿を送ってこないというサボタージュを起こすようになった。

 講師が仕事の締切を守らないのは折り紙つきで、私以外にも多くの社員が被害をこうむっていた。X社には、テキストの印刷など、研修準備や運営サポートを行っていたオペレーションチームがあった。オペレーションチームは、入稿の締切日になっても、講師がテキストデータの完成版を送ってくれないと困っていた。さらに悪いことに、オペレーションチームが印刷の手配を済ませた後も、追加の修正要望を出してくるのだという。どの研修でも講師の対応がギリギリで一向に改善される様子がなかったため、チームメンバーは相当参っていた。

 昔、ある経営幹部の方から、2つの質問をされたことがある。

 「あなたは友達と待ち合わせています。待ち合わせ時間の何分前に到着しますか?」
 「あなたはSPです。アメリカの大統領が成田空港に来日し、あなたは大統領の警護を命じられています。あなたは成田空港に、飛行機の到着時間の何分前に到着しますか?」

 前者の質問に対しては、「待ち合わせ時間ギリギリ」という答えが多いだろう。それどころか、相手は友達なのだから、5分か10分ぐらい遅れても平気という人も相当数いるに違いない。これに対して、後者の質問はどうだろうか?アメリカ大統領の警護という重要な任務である。もししくじれば、日本国家の信頼が失墜しかねない。よって、何分前と言わず、2時間ぐらい前に成田空港に到着していても、何ら不思議ではない。2時間前に成田空港に到着し、警護の手順や注意すべきポイントを他のSPと入念に確認して、警護のシミュレーションを入念に行うことだろう。

 この経営幹部の方が教えてくれたのは、「待ち合わせ時間の何分前に到着するかは、その待ち合わせをどのぐらい重要だと思っているか、という意識の表れだ」ということであった。会議に遅刻したり、締切を守らなかったりするのは、その会議や仕事を重要だと思っていない証拠なのである。遅刻や締切遅れが常態化していた3社は、仕事を舐めている無責任な社員が多かった、と言われても仕方がないだろう。
(※注)
 X社(A社長)・・・企業向け集合研修・診断サービス、組織・人材開発コンサルティング
 Y社(B社長)・・・人材紹介、ヘッドハンティング事業
 Z社(C社長)・・・戦略コンサルティング
 >>シリーズ【ベンチャー失敗の教訓】記事一覧へ

  • ライブドアブログ
©2012-2017 free to write WHATEVER I like