プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2013年10月10日

会議に出席するだけで解る企業文化の7つの特徴(その1~3)


 組織開発、キャリア開発、組織文化の研究を専門とするアメリカの心理学者エドガー・シャインは、「企業文化を知る最もよい方法は会議に出席することである」と述べている。私も最近、会議に出るだけで、その企業の文化がある程度見えるようになってきた。会議から企業文化の特徴を把握する7つのポイントをまとめてみた。

(1)会議が定刻通りに始まらない⇒仕事に対する責任感が薄い
 昔、ある経営幹部の方から、2つの質問をされたことがある。

 「あなたは友達と待ち合わせています。待ち合わせ時間の何分前に到着しますか?」
 「あなたはSPです。アメリカの大統領が成田空港に来日し、あなたは大統領の警護を命じられています。あなたは成田空港に、飛行機の到着時間の何分前に到着しますか?」

 前者の質問に対しては、「待ち合わせ時間ギリギリ」という答えが多いだろう。それどころか、相手は友達なのだから、5分か10分ぐらい遅れても平気という人も相当数いるに違いない。これに対して、後者の質問はどうだろうか?アメリカ大統領の警護という重要な任務である。もししくじれば、日本国家の信頼が失墜しかねない。よって、何分前と言わず、2時間ぐらい前に成田空港に到着していても、何ら不思議ではない。2時間前に成田空港に到着し、警護の手順や注意すべきポイントを他のSPと入念に確認して、警護のシミュレーションを入念に行うことだろう。

 この経営幹部の方が教えてくれたのは、「待ち合わせ時間の何分前に到着するかは、その待ち合わせをどのぐらい重要だと思っているか、という意識の表れだ」ということであった。会議に遅刻するのは、その会議を重要だと思っていない証拠である。

 ここ10年で6回も優勝し、すっかり常勝軍団になった巨人には、練習時間の必ず15分前には集合するという「ジャイアンツタイム」が存在する。時間厳守からチームの規律を整え、選手の責任感を醸成していくのが巨人の特徴である。これに対して、遅刻が常態化している企業では、組織としての規律が崩れており、仕事に対する責任感が希薄になっていると言って間違いない。

(2)会議の出席者・回数が多すぎる⇒社員同士の普段のコミュニケーションが十分でない
 会議の出席者が多い、あるいは会議の回数が多いということは、会議を開かなければ、コミュニケーションを取るべき人たちが顔を合わせる機会がない、ということである。つまり、日常業務の中で社員同士のコミュニケーションが十分に行われていないことの証拠となる。当然のことながら、コミュニケーションが取れていない分だけ仕事の進み具合は遅くなるし、社員間の認識の違いに起因する仕事の手戻りも発生しやすい。

 「ベンチャー失敗の教訓」シリーズにはもうバカバカしくて書かなかったが、私の前職の会社も会議が非常に多かった。しかも、リストラを繰り返して社員が減れば減るほど、会議の回数が増えていくという、不思議な現象が見られた。一番呆れたのは、「情報共有ミーティング」という名のついた会議であった。毎週月曜日に社員全員(と言っても、その時には10人弱にまで社員が減っていた)が集まり、各自が先週の仕事の内容と今週の仕事の予定を報告するというものであった。その程度であれば、普段から社員同士が密に意思疎通を図っていさえすれば、お互いに理解できたはずだ。前職の会社は、それすらできないほど、コミュニケーション不全に陥っていた。

(3)議論のための資料が用意されていない⇒社員が公平に扱われていない
 会議は、出席者が皆公平な立場に立って意思決定を行う場である。意思決定を下すためには、議論の下地となる情報を、メンバーへの配布資料として事前にまとめておく必要がある。この配布資料は非常に重要だ。なぜならば、配布資料は、参加者が同じ認識を持って議論に参加するための入口となるからである。

 会議で何の資料も配布されず、いきなり議論が始まる場合は要注意である。議論に必要な情報を頭の中で知っている人しか、議論に参加することができない。つまり、情報を知っているかどうかで、社員の間に有利、不利の差が生じる。これでは公平な議論など期待できない。情報を知っている人は、自分の言いたいことを言って会議の主導権を握ることができる。これに対して、情報を知らない人は、議論の流れについていけず、消化不良のまま会議を終えることになる。

 会議における不公平感は、日常業務にも影響する。ある社員がパフォーマンスを改善するノウハウを手に入れたとしても、それを他の社員に横展開しようとしない。やりがいのある仕事を、仕事への適性を無視して、自分がひいきにしている部下にしか回さない。こうした小さな不公平感が積み重なっていくと、社員は組織全体に対して不信感を抱くようになる。自分が公平に扱われていないと感じる社員は、仕事で手を抜き始める。サボタージュで済むならまだマシな方で、もっとネガティブな社員は、ブランドを傷つけ、企業を裏切る行為に走る危険性すらある。

 (続く)

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