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2013年10月25日
【数学Ⅱ(三角関数)】tan1°は有理数か?(京都大)
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【この問題の完全版は下記記事を参照】「【数学Ⅰ】x2+y2+z2=xyz(x、y、zは正の整数、x≦y≦z)を満たす(x, y, z)の組は無数に存在することを示せ(東京大)」以来、約4か月ぶりの数学ネタ。今年に入ってから数学ⅠAの青チャートを少しずつ解いていて、約半年で何とか一通り完了した。その後しばらく数学をサボってしまったが、最近になって今度は数学ⅡBに取りかかり始めた。今年中に数学ⅡBを終わらせるのが目標(もはや仕事とは何の関係もない・・・)。
【数学Ⅱ(三角関数)】m=0, 1, 2, ……, 89とするとき、tanm°が有理数となるような整数mを全て求めよ
今回の記事では、三角関数より京都大学の問題をピックアップ。「tan1°は有理数か」 問題文はたったこれだけ。数学の入試問題の中で、おそらく5本の指に入るであろう問題文の短さだ。そして、問題文が短い問題はたいてい難しい、と相場が決まっている。
有理数か否かという問題では、背理法を使わない手はない。tan1°が有理数であると仮定し、倍角の公式を利用してtan2°、tan4°、tan8°、tan16°、tan32°が有理数であることを導く。ここで、tan(32°-2°)は加法定理に従うと有理数だが、実際にはtan(32°-2°)=tan30°=1/√3、すなわち無理数であり、矛盾していることを指摘すればOKだ。倍角の公式を用いてtan64°も有理数であることを導き、tan(64°-4°)は加法定理に従えば有理数であるが、実際にはtan(64°-4°)=tan60°=√3(無理数)であることを指摘してもよい。
別解で示したように、倍角の公式を用いずに、加法定理だけを用いる方法もある。tan1°が有理数であると仮定し、加法定理で1°ずつ増やしていくと、tan2°、tan3°、・・・、tan30°は全て有理数となる。しかし、実際にはtan30°は無理数であるから矛盾している、となる。
同じ方法を用いれば、tan2°以降も無理数であることを示せるはずだが、tan9°でつまづいた。どなたか教えてください。なお、この問題についてもっと詳しく知りたい方は「強者の戦略」や「PowerLinker→Libio開発録と、それ以外について」を参照。
【tan2°】
tan2°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan4°、tan8°、tan16°、tan32°は全て有理数である。
しかし、tan(32°-2°)=tan30°は無理数である。
【tan3°】
tan3°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan6°、tan12°、tan24°は全て有理数である。
しかし、tan(24°+6°)=tan30°は無理数である。
【tan4°】
tan4°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan8°、tan16°、tan32°、tan64°は全て有理数である。
しかし、tan(64°-4°)=tan60°は無理数である。
【tan5°】
tan5°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan10°、tan20°、tan40°は全て有理数である。
しかし、tan(40°-10°)=tan30°は無理数である。
【tan6°】
tan6°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan12°、tan24°は全て有理数である。
しかし、tan(24°+6°)=tan30°は無理数である。
【tan7°】
tan7°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan14°、tan28°、tan56°、tan112°は全て有理数である。
加法定理に従えば、tan(14°+56°)=tan70°、tan(28°+112°)=tan140°はいずれも有理数となる。
しかし、tan(70°+140°)=tan210°(=1/√3)は無理数である。
【tan8°】
tan8°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan16°、tan32°、tan64°、tan128°、tan256°は全て有理数である。
しかし、tan(256°-16°)=tan240°(=√3)は無理数である。
【tan9°】
??(加法定理を用いてtan30°やtan60°に持ち込めない)
【tan10°】
tan10°が有理数であると仮定すると、
倍角の公式よりtan20°、tan40°は全て有理数である。
しかし、tan(40°-10°)=tan30°は無理数である。
《2014年1月23日追記》
tan9°が無理数であることは別の方法で証明した。詳細は「【数学Ⅱ(三角関数)】m=0, 1, 2, ……, 89とするとき、tanm°が有理数となるような整数mを全て求めよ」を参照。