プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2013年11月27日

中村天風『運命を拓く』―天風哲学はアメリカ的なキリスト教の匂いがする(1)


運命を拓く (講談社文庫)運命を拓く (講談社文庫)
中村 天風

講談社 1998-06-12

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 中村天風は、明治35年頃に参謀本部謀報部員として旧満州に赴き、軍事探偵活動に従事した。いわゆるスパイであるから、大っぴらに募集することができず、縁故採用などで秘密裏に募集がかけられたという。それでも応募者の数は約3,000人に達し、天風は狭き門をかいくぐって200人の合格者の中に入ることができた。天風は戦争の最前線で、死をも恐れぬ態度で任務を遂行した(中村天風『君に成功を贈る』〔日本経営合理化協会出版局、2001年〕参照)。

君に成功を贈る君に成功を贈る
中村 天風

日本経営合理化協会出版局 2001-12

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 ところが、明治39年、30歳の時に突然吐血する。医師に診てもらったところ、「奔馬性肺結核」と診断された。当時は不治の病とされており、天風は絶望した。軍事探偵時代には死ぬことなどこれっぽちも怖くなかったのに、病で死ぬと解った途端に、恐怖が襲ってきたという。救いを求めてアメリカやヨーロッパを訪ねるも一向に回復しない。失意の天風を救ったのは、1人のヨガ師であった。日本へ帰る途中に立ち寄ったエジプトで、天風はヨガの聖者カリアッパ師と運命的な出会いをする。天風はヒマラヤのカンジェンジュンガでカリアッパ師と修行を積み、「心」の作用について研究を重ねた。不治の病を患った天風は、結局92歳まで生きた。

 本書は、そんな天風の哲学をまとめた数多くの書籍のうちの1冊である。ヨガの聖者の下で修業を行った天風であるから、仏教的な思想の持ち主かと思っていたが、その思想は仏教というよりむしろキリスト教に近い印象を受けた。しかも、絶えざる進歩・変化を是とするアメリカのキリスト教に近い。アメリカ的なキリスト教の特徴を私なりにまとめると以下のようになる。

 (1)万物は、絶対的な力を持つ神によって創造された。
 (2)人間は神の化身であり、一人ひとりには神の意思が宿っている。厚い信仰心を持てば、神の心に通じ、その意思をくみ取ることができる。
 (3)神の心に通じた人間には、現実世界を進化・向上させる特別な使命が与えられる。言い換えれば、神によって選ばれる。
 (4)現実世界は、神が理想とする国を実現するための途中過程である。神によって選ばれた人間には、完全な世界を実現する資格が与えられている。

 この4つの特徴に対応する天風の記述を本書から引用してみよう。
 (1)(宇宙の)一番根本は何か、というと、ただ一つの実在から産み出されたものである。その実在とは何であろうか。哲学では、”根本的本源実在”と呼び、科学では、これを、微粒子的なものとして”エーテル”と名づけている。哲学の方では、人間の感覚では、捉えることの出来ない、茫漠たる、見えざる、一つの”気”であるといっている。(中略)

 いずれにしても、このただ一つのエネルギーを産み出す元が、宇宙を創り出したのである。だから、哲学的な論理からいくと、そのエネルギーを産み出す元が、今あるような宇宙の鋳型をなしていたのだ、ということが考えられるのである。
 (2)森羅万象を包含している宇宙も哲学的に究極していくと、現象界に存在する一切の物質もこの宇宙本体から産み出されたものなのである。と同時に、科学的に考えてみると、一切の森羅万象と称するものは、宇宙本体のエネルギーの分派によって創られている。形が、つまり目の前にあるというのは、宇宙本体の力が、まだ籠っているからである。(中略)

 特に忘れてはならないことは、人間は、万物の中で、この宇宙本体の分派分量を最も多く頂戴しているということである。人間以外の生物が真似することの出来ないほど、まことに分量をいただいている。このことが、人間が霊長といわれる所以なのである。
 (3) 哲学的にいうなら、あなた方の自我の中には、造物主の無限の属性が、宿っている。それは、自分および人の世のために、その尊いものを善用して、この世に生まれた人間たちの幸福を増進し、進化と向上とを現実化させようとする、造物主の意図に他ならないのである。そして、こうした尊いものが、別に頂戴したいといって注文したわけでもないのに、生まれてみたらば人間であり、人間であるからこそ、生き甲斐を意義づけるために、その生命に、男も女も公平に、この恵みを、造物主から与えられている。
 (4) どんな人間でも気が狂ってないかぎりは、「何ものをも完全であらしめたい。完全につくり上げたい」という気持ちが、誰にでもあるはずである。すなわち、ものの破壊や消滅を好まず、ものの成就や完成を好むという気持ちには、共通的にいわゆる完全を喜ぶという気持ちが、その心の中にあるはずである。(中略)

 これもやはり、人間の生命の中にある、自然傾向であるからである。いわば自然に与えられた活動的能力である。
 (続く)

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