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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2013年12月03日

大東文化大学セミナー「アジア市場と日本企業の国際連携戦略」まとめ―(1)ベトナム


 先日の無料セミナー「アジア市場と日本企業の国際連携戦略」のセミナーノート。(1)ベトナム、(2)中国、(3)韓国の順番で記事にしていきたいと思う。まずはベトナムから。

 ・ドイモイの効果は1993年頃から現れ始め、世界経済恐慌(2008年)の前年まで、アジア通貨危機の時期を除いて安定的に高成長が続いた。その結果、貧困人口が着実に減少し、1993年には58%もあった貧困人口比率は、2004年以降10%未満で推移している。そして2008年、ベトナムは中所得国(1人あたりGDPが1,000~10,000ドル)となった(ただし、ベトナムの1人あたりGDPは現在2,000ドル弱であり、中所得国の中でも低位中所得国に該当する)。

 ・2007年までの経済発展の要因は、高い対ベトナム直接投資(FDI)にある。GDPに占めるFDIの割合は、1995年時点では6.3%であったが、2010年には18.7%と約3倍になっている。GDPのうち工業生産に限って見てみると、2010年の工業生産に占めるFDIの割合は42.5%と、約半分に到達する勢いである。

 ・近年は成長スピードが減速しており、経済成長率が5%前後となっている。減速の原因としては、2006年から国有企業が企業集団を形成し、経済政策への影響力を増大させている点が挙げられる。優遇された企業集団は、土地・信用への有利なアクセスを獲得し、放漫な投資行動を行っている。資本の45%を占める国有企業は、GDPの25%しか貢献していない。

 ・東アジアの発展は、工業化の雁行型波及に特徴があり、ベトナムは波及プロセスの最後発国に位置づけられる。そのため、工業製品の輸出は、繊維、アパレル、履物、家具、木製品などの軽工業が中心であり(工業製品の輸出の7割弱を占める)、情報機器、電気・電子機器製品、輸送機械などの機械製品の割合はまだ低い(中国など雁行型波及で先行する国は、輸出用工業製品の約6割が機械製品である)。

 ・中国の台頭はベトナムに大きなインパクトを与えており、対中貿易収支が2008年以降巨額の赤字となっている(2008年がマイナス111億ドル、2012年がマイナス167億ドル)。そのため、2008年以降の対世界貿易収支は、マイナス100億ドル前後で推移していた。ただ、2012年は輸出が急増したおかげで、対世界貿易収支がほぼトントンとなった。

 ・日本とベトナムの関係で言えば、2011年にベトナムが日本のODA受入国としてトップになった。また、日本の対ベトナムFDIが2012年から急増しており、ODAからFDIへ移行する動きも見られる。対ベトナムFDIの認可額は、2012年実績も2012年末までの累計額も、日本がトップである。2013年上期の対ベトナムFDIの認可額は、世界全体で105億ドルであり、日本はそのうち40億ドルを占める。日本のFDIの特徴は、実行比率が高い(FDIの認可が下りた後、実際に事業が行われる)ことであり、投資市場の改善に対する日本の役割も大きい。

 ・今後、ベトナムで有望な分野として考えられるのは、第一に各種の機械工業とその部品である。JBIC/JICAの調査によると、同分野における市場の魅力度ランキングは、第1位中国、第2位タイ、第3位インドネシア、第4位ベトナムとなっている。機械だけに限定すると、ベトナムは第2位である。そして第二に、高付加価値の食品産業が挙げられる。ベトナムの農水資源と、日本の技術・マーケティングが融合すれば、市場の拡大が見込まれる。

 ・ベトナムの工業化を進める上では、今後も外資系企業に期待される役割が大きく、現地企業の連携がカギとなる。特に、機械工業分野の発展のためには、裾野産業を発展させることが課題となる。ベトナム政府は、2011年半ばから裾野産業の発展を目的とした政策を強化しており、中小企業の金融へのアクセス支援や、技術移転に要する費用の補助などを行っている。政府は、裾野企業数を現在の500社から、2020年には2,000社まで増やす目標を掲げている。

 ・ベトナムは2030年まで「人口ボーナス」が続くため、労働力の面で有利である。また、最近9,000万人を突破した人口は、2020年までに1億人を超えると予想されており、家電、パソコンなど、中高級の生活用品が広く普及するであろう。ただし、自動車に関しては、ベトナム国民に広く普及しているカブを部分的に代替することはあっても、ベトナム社会が全面的に自動車社会に転換することは考えにくい。政府は、地下鉄・バスといった公共交通機関の整備に力を入れており、むしろその影響でカブが減少していくと思われる。

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