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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2013年12月12日

認定支援機関制度で岐路に立たされる中小企業診断士


 私が中小企業診断士としての活動を本格化させたのは、ちょうど1年ぐらい前である。その頃、大先輩の診断士の先生は、「今、診断士には追い風が吹いている」としきりにおっしゃっていた。例えば、ポスト金融円滑化法対応で経営改善計画の作成が必要な中小企業が多数あり、診断士の力が必要だとされた。また、地銀や信金・信組が、融資業務に加えて融資先のコンサルティング業務に乗り出しており、診断士と連携してノウハウの獲得に努めているという話もあった。

 ところが、それから数か月後に、中小企業基盤整備機構に勤めている診断士の先生から、「今の中小企業庁は診断士を必要としていない」という驚きの言葉を聞いた。その最たる証拠が「認定支援機関」なる制度である。認定支援機関とは、「中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う」機関であり、「税務、金融および企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関など」が認定対象となる。一言で言えば、「中小企業の身近なよろず相談役」である。

 認定支援機関の役割は、本来ならば診断士が担うべきものである。ところが、診断士があまりに頼りないから、認定支援機関という制度ができたわけだ。認定支援機関制度は、診断士の敗北である。診断士が頼りにされない理由は、独立診断士の割合の低さにある。診断士のうち、実に7割は企業内診断士であり、中小企業の支援ではなく、自己研鑽のために資格を取っていると中企庁は見ている(企業内診断士の中にも、週末などを活用して、中小企業の支援に熱心に取り組んでいる先生を私は何人も知っているが、中企庁は知らぬ存ぜぬという態度である)。

 中企庁の”診断士外し”は露骨である。認定支援機関になるためには、中小企業大学校で「中小企業経営改善計画策定支援研修(理論・実践)」を受けなければならない。その受講資格は、かつては次のようになっていた。

 ●理論研修について
 税理士、公認会計士、弁護士の国家資格を有していない方のうち、認定を受けた経営革新等計画の主たる支援者として関与した件数が3件に満たない方

 ●実践研修について
 ・経営革新等支援業務に係る1年以上の実務経験が無い方
 ・中小企業に対する支援に関する3年以上の実務経験が無い方

 ただし、以下のいずれかの条件について該当すること
 ・税理士、公認会計士、弁護士の国家資格を有する方、金融機関の方
 ・中小企業経営改善計画策定支援研修(理論研修)の専門的知識判定試験に合格した方

 この定義を読めば、中企庁は明らかに税理士、公認会計士、弁護士を認定支援機関にしようとしているのが解る。そして実際、現在約1万8,000ある認定支援機関のうち、圧倒的大多数は税理士である。これは、TKCグループが所属会員の税理士全員に、認定支援機関になれと強くハッパをかけた結果である。

 ところが、税理士、公認会計士、弁護士は、財務諸表や税制、法律のことは解るものの、経営のこと、すなわちどうすれば売上・利益が上がるかというグランドデザインは不得手である。そういう構想ができるのは診断士しかいない。だから、どうしても診断士の力を借りたい、という要望が現場から上がってくるようになった。そこで、中企庁はしぶしぶ研修の受講要件を変えた。具体的には、実践研修の受講要件のただし書きに、「認定を受けた経営革新等計画の主たる支援者として関与した件数が3件以上ある方」という文言を入れた(それでも、列記されている国家資格の中に中小企業診断士を入れなかったのは、中企庁の意地だろう)。

 中企庁は、「診断士だったら経営革新計画を3件ぐらいは当然作った経験があるだろう」と思っていたようだ。しかし、いかんせん独立診断士が3割しかいない世界である。この要件に該当する診断士がいない(恥ずかしながら、私も該当しない)。そのため、要件を緩和したのに、診断士の認定支援機関の割合は非常に低い水準にとどまっている。中企庁にとっては、「それみたことか」といったところだろう。このままでは、本当に資格制度がなくなるかもしれない。

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