プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
シャイン経営研究所HP
シャイン経営研究所
 (私の個人事務所)

※2019年にWordpressに移行しました。
>>>シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)

Next:
next 高橋洋一『霞が関をぶっ壊せ!』―政治家の能力を国民が評価する仕組みを作れないか?
Prev:
prev 山本七平『日本人とアメリカ人』―アメリカをめぐる5つの疑問
2014年03月14日

高橋洋一『霞が関をぶっ壊せ!』―公務員制度改革の概要


霞が関をぶっ壊せ!霞が関をぶっ壊せ!
高橋 洋一

東洋経済新報社 2008-09-11

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 著者の高橋洋一氏は元大蔵官僚で、安倍・福田両政権の下で公務員制度改革を進めた人物である。東大法学部出身者が多く、また東大法学部出身でなければ出世できないと言われた大蔵省において、著者は理学部数学科出身という異端であった。しかし、中学生の時には大学の数学が理解できたという持ち前の頭脳を武器に、切れ味よく改革を進めていった。

 バブル最中の1989年に、証券局長名で「証券会社の損失補填を禁止する」という通達を出し、「バブル崩壊の最後の一刺し」をやったのは、著者たちであった。バブル崩壊後は、金融機関の抵抗と戦いながら不良債権の処理を進め、「不良債権償却魔王」というあだ名までついた。

 1995年に理財局に呼び戻されると、資金運用局が行っていた財政投融資の改革に着手した。当時の資金運用局はどんぶり勘定で、いつ逆ザヤに陥って巨額の損失を計上してもおかしくない状況だったが、財務省自身が債券(財投債)を発行する仕組みを導入することで、これを改善した。そして、その持ち前の切れ味のよさは公務員制度改革でも発揮された。著者の鋭いロジックが、抵抗勢力を次々と論破していく様子は、読んでいてすがすがしい。

 (1)公務員制度改革の目的は、キャリア制と天下りという、日本の伝統的な官僚人事の仕組みを変えることにある。著者はまず後者の方から攻め、安倍政権下で「人材バンク」を設立した。もちろん、天下りには、官民の人材交流・情報交換を促進するというプラスの面もある。しかし他方で、不要な天下り先がたくさん設立され、天下りをした者が業務内容に見合わない高給をもらい、また天下り先が各省庁からそれほど重要でない仕事を受注して延命を図るなど、税金の無駄遣いというマイナス面も生み出している。

 本書では民主党による調査結果が紹介されているが、2007年4月1日時点で、国からの天下りは2万6,632人、特殊法人・独立行政法人・公益法人など天下りを受け入れている機関は4,696法人に上るという。こうした法人に対して、国から12兆6,047億円もの税金その他が支出されている。内訳は、6兆8,173億円が補助金などであり(ただし、貸付金4.5兆円を含んでいるため、”真水”の税金部分はそれほど大きくない)、5兆7,805億円が契約によるものである。

 もう1つの改革の柱であるキャリア制度の廃止は、各省庁が人事権を握っており、また人事制度が年功序列的に運用されている実態を改めることが狙いだった。その上で、民間企業の人事部のように人事権を集約した組織を作り、同時に能力主義を取り入れようとしたわけだ。2008年4月4日に国会に提出された政府の公務員制度改革基本法案は、当時の渡辺行革担当大臣の案がほとんどそのまま採用された。その骨子は以下の通りである(なお、カッコ内は2008年5月28日の衆議院内閣委員会で提出された与野党修正案における修正ポイント)。

A.内閣一元管理
 現状は、各省ごとの「縦割り主義」、「縄張り主義」の弊害が顕著になっていることから、公務員が国家・国民のために働く環境を整備し、各省庁横断的な人材の育成・管理を行うため、内閣一括人事(内閣一元管理)システムを導入する。このシステムの導入・運用を行うために「内閣人事庁」を創設し、1年以内に設置法を策定する。
(⇒修正案では、「内閣人事局」と一段格下げになった)

B.政官接触
 現状は、官僚が与野党議員に根回しし、官僚主導で政策を作り上げる「官僚内閣制」となっていることから、「真の議院内閣制」への転換が必要である。このため政官(議員と公務員)の接触の集中管理を行う(全面禁止ではない)。具体的には、大臣の下に接触専門部隊である「政務専門官」を置き、議員と官僚の接触をコントロールする。さらに、内閣が重要政策の企画立案を機動的に行うため、「国家戦略スタッフ」を導入する。
(⇒修正案では、「規制なし、記録・情報公開で対応する」となった)

C.キャリア制度
 現状は、試験採用区分による「身分制」や「官民の垣根」が、組織の硬直化、ひいては官僚機構の機能低下を招いていることから、公務員法を改正し、人事制度に能力・実績主義を導入する。さらにその延長線上で、キャリア制度を廃止するとともに、民間からの人材登用を拡大する。

D.労働基本権
 現状は、労使の馴れ合いとなっており、それが社会保険庁の怠慢業務のような問題を引き起こしている。そこで、公務員に労働基本権(協約締結権)を付与することによって、労使の間に健全な緊張関係を生み出す。また、このことは、民間並みのリストラを行う前提ともなる。
(⇒修正案では、「協約締結権拡大の措置を講ずる(法制上の措置は3年以内)」となった)

 (続く)

  • ライブドアブログ
©2012-2017 free to write WHATEVER I like