プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2014年05月05日

『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉』―トヨタの名言とトヨタの弱み


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 (※)「ロゴ素材ドットコム」より。
トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉 (PHPビジネス新書)トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉 (PHPビジネス新書)
若松 義人

PHP研究所 2013-06-19

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 ブログを始めて今日で9周年を迎えました。読者の皆様に感謝申し上げます。

第1章 トヨタが「現場」を動かすときに使う言葉
 資料は家にもって帰れるが、現場は家にもって帰れない。
 現場は見たのか?
 資料を紙量や死量にするな。
 モノを「探す」のは仕事ではない。
 ムダのなかで最たるものは「つくり過ぎ」である。
 不良はみんなの見えるところに。
 品質は工程でつくり込む。
 想いを「見える化」せよ。
 在庫は罪庫。
 工場に飯を食わせてもらっていることを忘れるな。
 改革はモデルラインから始めよ。
 ムダは進化する。

第2章 トヨタが「人財」を育てるときに使う言葉
 人に優しく、人に易しいモノづくりを。
 失敗のレポートを書いておけ。
 いう通りやる奴はバカで、やらない奴はもっとバカ。もっとうまくやる奴が利口。
 教えるときに、「わかったか?」と聞いてはいけない。
 それで、何と何を自分の職場や仕事に生かそうと考えているんだい?
 仕事は部下との知恵比べ。
 教育と訓練は違う。
 人間を機械の番人にするな。
 トヨタ式は、人間の知恵のうえに立つものだ。
 「人間性尊重」とは「考える力」を最大限に尊重すること。
 モノをつくる前に人をつくれ。
 自分を凌駕する部下を育てよ。

第3章 トヨタが「チーム」力を上げるときに使う言葉
 1人の100歩より、100人が1歩ずつ。
 一緒に考えようや。一緒に考えれば、やれんことはない。
 離れ小島をつくるな。
 私たちが100点と思っていても、50点のものしかできないのだ。
 人を抜くときは一番できる人を抜け。
 社内(なか)でやれ。
 情報を飼い殺しにするな。
 前工程は神様、後工程はお客さま。
 品物をバトンと思って渡しなさい。
 タテヨコナナメの人間関係を築け。
 バッドニュースファースト。
 仕事は権力ではない。理解と納得である。
 二階級上の立場で考えろ。
 頼りになる親方になれ。

第4章 トヨタが「改善」するときに使う言葉
 自分の仕事が不要になるほどの改善をしろ。
 「辛い」「しんどい」と感じたら、「どうすれば楽になれるか」考えよ。
 改善したところをまた改善して、さらに改善する。
 改善には変えていいものと変えてはいけないものがある。
 白紙になってものを見ろ。
 ヨコテンはしたのか?
 昨日のことは忘れろ。明日のことは考えるな。
 最大の報奨は、お金ではなく「聞く」こと。
 改悪になったら、元に戻すことなく、さらなる改善を行え。
 「標準」があるから改善か改悪かがわかる。
 改善には順番がある。
 風土となるまで、習慣となるまでやり続ける。
 不変の目的があれば、改善は改革につながる。
 改善は永遠にして無限である。

第5章 トヨタが「知恵」を絞るときに使う言葉
 知識はお金で買えるが、知恵はお金では買えない。
 ゼロを1つ取って考えろ。
 「安く買う」のではなく「安く売れる」方法を考えよ。
 モノの値段はお客さまが決める。
 「原価知識」ではなく「原価意識」をもて。
 単位を変えれば、新たな知恵が生まれる。
 不良は「率」ではなく「個数」と「金額」で報告しろ。
 平均でものを語るな。
 世界に目を向ければいいモノ、安いモノはいくらでもある。
 自分の城は自分で守れ。
 修繕と修理は違う。
 算術ではなく、忍術で考えろ。

第6章 トヨタが「なぜ」を問うときに使う言葉
 なぜ見つからないのだ?答えは簡単だ。見つかるまで捜していないのだ。
 「きく」には3つある。
 目的は1つ、手段はいくつもある。
 「なぜ」をくり返すことで、源流に遡って考える。
 「微調整機能」を計画に織り込め。
 「責任追及」より「原因追求」を。
 カタログエンジニアになるな。
 間違った規則は変えなくてはならない。
 診断士ではなく、治療士になれ。
 異論がなければ異論をつくれ。
 ラインは「止まる」のではなく、「止める」んだ。

第7章 トヨタが「実行」するときに使う言葉
 100点を狙うな。60点でよい。ともかく進めよう。
 百聞は一見にしかず、百見は一行にしかず。
 アイデアがあったら、まずモノをつくってみる。
 今日のことは今日片づけろ。
 遅れるのはダメだが、早過ぎるのはもっとダメ。
 「がんばる」のではなく、みんなが「がんばらなくてもいい」ようにくふうせよ。
 時間は動作の影である。
 基礎工事を雨ざらしにするな。
 目的と手段を混同するな。
 機械は壊れるより壊すほうが多い。
 必要なモノはなく、あるのはいらないモノばかり。
 当たり前のことを当たり前に。

第8章 トヨタが「WAY」を伝えるときに使う言葉
 好況を切り抜けろ。
 困らなければ知恵は出ない。
 一にユーザー、二にディーラー、三にメーカー。
 どれだけ失敗しているかが大切だ。
 「仕事に行く」から「知恵を出しに行く」へ。
 創意くふうは、ひらめきではなく科学である。
 運を迎え入れる準備を怠るな。
 「脱常識」を働かせよ。
 「過去に繁栄した企業」になるな。
 日本のモノづくりと雇用を守る。
 良き企業市民たれ。

 「当たり前のことを当たり前に」という言葉にもあるように、1つ1つのことは「言われなくても解っている」というようなことばかりだ。だが、解っていることと実行できることは別物である。それは私も前職の会社で嫌というほど教えられた(「【ベンチャー失敗の教訓(全50回)】記事一覧」を参照)。当たり前のことをどこまでも愚直に実行すること、そしてそれ自体を組織文化にしてしまうところに、トヨタの強さがあると思う。

 ただ、トヨタの弱みを1つ指摘するとすれば、本書に繰り返し登場する「トヨタマン」という表現から漂う歴然とした男性社会のにおいである。もっとも、著者の経歴を見ると、トヨタで大野耐一氏の薫陶を受けた後、91年に韓国大宇自動車(現GM大宇)特別顧問就任、92年にカルマン株式会社を設立とあるから、著者がトヨタを去って20年以上経過している可能性がある。したがって、著者の認識がそのまま現在のトヨタにも当てはまるとは限らない。とはいえ、本書で語られているトヨタ生産方式が現在も脈々とトヨタに受け継がれていることを踏まえると、トヨタに男性社会的な側面が根強く残っていることも完全には否定できない。

 ここ10年ぐらい、「ダイバーシティ・マネジメント」という言葉が広がった。人種、国籍、宗教、障害、性別、性的指向、年齢などが異なる多様な人材を活用する取り組みである。もともとは海外でマイノリティに就労機会を提供する運動として始まったのだが、最近では市場の多様性に適応するための戦略的な動きへと発展している。顧客の多様なニーズに対応するには、顧客と同じ属性を持った多様な人材を社員として採用するのが効果的というわけだ。日本企業の場合、海外ほど人種や国籍などの多様性が強調されることはなく、ダイバーシティ・マネジメントの第一歩として女性社員の活用から着手することが多い。

 自動車業界でダイバーシティ・マネジメントの旗振り役となっているのが日産である。日産は社内調査によって、自動車の購入意思決定者の約6割が女性(妻や娘)であることを突き止めた。そこで、車両の機能やデザインに女性社員の意見を積極的に反映させることにした。こうして生まれたのがセレナである。これ以降、日産は女性社員を積極的に開発へ取り込むようにしており、セレナ(2010年)や新型ノート(2012年)は、それぞれ「2年連続ミニバン販売台数第1位」、「2013年カーオブザイヤー受賞」を達成した。日産は、2012年4月には6.7%だった女性管理職比率を、2016年には10%に引き上げるという目標を掲げている(※)。

 一方で、他の自動車メーカーは男性社会の色合いがまだ非常に強い。トヨタも、「トヨタマン」という言葉から察するに、決して例外ではないのだろう。前職の会社でダイバーシティ・マネジメントに関するセミナーを開催した時、トヨタの関係者が参加していた。その方は、「ダイバーシティ・マネジメントの重要性は我が社でも十分に認識している。だから、日産がうらやましい。それに比べると、我が社の社員は皆金太郎飴のようだ」と危機感をあらわにしていた。社員の「考える力」をあれだけ重視するトヨタが、自社の社員を金太郎飴と評したのである。おそらく、問題解決能力は高いが、問題解決の方向性が皆同じになっており、新しい視点に乏しいのかもしれない。

 最近は、女性が購買意思決定に関与するだけでなく、実際に自動車を保有するケースも増えている。したがって、女性目線での開発・販売体制をいかに構築するかが重要となる。国内市場は縮小傾向で、海外の方がはるかに魅力的だが、トヨタといえども国内市場を捨てることはないだろう。いやむしろ、グローバル企業としての地位を保ち続けるためには、逆説的だが国内の女性向け自動車に前向きでなければならない。まずは国内で、女性社員を活用するための組織能力を獲得する。そして、それを多国籍社員を活用する組織能力へと発展させ、日米欧とは異なる様々なニーズが入り混じった新興国市場での戦いに備えるべきではないだろうか?


(※)「Progress~女性活用の“先駆社”~日産自動車株式会社|DODA」を参照。

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