プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2014年06月09日

『最強の組織(DHBR2014年6月号)』―阪神とソニーの関係者に読んでもらいたい特集(前半)


Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 06月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 06月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2014-05-10

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○伝説のサッカー監督が語る ファガーソン8つの流儀:常勝軍団はこうしてつくられた(アレックス・ファガーソン、アニタ・エルバース)
 マンチェスター・ユナイテッドを26年率いて、実に13回ものリーグ優勝を含む38のタイトルを獲得したファガーソン氏のインタビュー記事。この記事は是非とも阪神タイガース関係者に読んでもらいたい。例えばこの部分である。
 エルバース:彼(ファガーソン)の判断を後押ししたのは、チームが再建途上のどの段階にあるかを見抜く鋭い感覚と、個々の選手が選手生命のどの段階にいるか―各選手がその瞬間にどれだけの価値をチームにもたらしているか―を見抜く、似たような鋭い感覚であった。(中略)ライバル・チームに比べ、ユナイテッドが獲得した選手は圧倒的に25歳未満の選手の割合が多かったのである。またユナイテッドは、まだ何年も活躍できそうな選手を喜んで手放したため、大半のライバル・チームと比べて選手放出から得る金額が多かった。(中略)

 ファガーソン:我々は選手を3つの層に分けて考えていました。30歳以上の選手、だいたい23歳から30歳くらいまでの選手、23歳未満のこれからの選手です。この背後にあるのは、若い選手は成長途上により、年長の選手によって設定された基準にいずれ到達する、という考え方です。どうやらすぐれたチームの寿命は大体4年程度しか持たないようなのです。私は常に、そうではないと何とか実証しようと努力したのですが―。なので4年経つと何らかの変革が必要になってきます。そこで我々は3年から4年後のチームを頭に描き、それに沿って物事を決めました。
 阪神ファンなら痛いぐらいに感じていることだが、阪神は若手選手の育成が非常に苦手だ。人気のあるベテラン選手に頼る⇒若手の出場機会が減る⇒ベテラン選手が怪我や引退でいなくなる⇒若手はベテランの代わりになるほど育っていないので、慌てて外国人やFA選手を獲得する⇒外国人やFA選手がそこその成績を残してポジションに居座る⇒若手の出場機会がさらに減る⇒外国人が不振でいなくなったり、FA選手に衰えが来たりする⇒また新しい外国人やFA選手を探す、というのがここ10年ぐらいの流れである。最近はようやく若手が出てきたが、ベテランの思わぬ怪我などでポジションが空いたことが原因であり、計画的な育成の結果とは言いがたい。

 落合元中日監督は、「どんなに強いチームでも、年間144試合戦えば60敗ぐらいはする。その60敗をどのように使うかが大事だ」と言っていた。60敗の中で「負けながらチームを育てていく」ことが重要だと言いたかったのだろう。落合氏の下で投手全般を見ていた森繁和氏は、阪神ファンの私からすると、非常に計画的に投手を育成していたように感じる。

 現在の先発ローテーションやリリーフ陣が数年後にはどうなっているか?どんな投手が足りなくなるか?2軍や1軍半の投手の中で、その不足部分を補う候補となるのは誰か?その候補者が数年後に先発ローテーションやリリーフを担うようになるには、どのように育成すればよいか?ということを相当考えていたのだろう。そして、その育成プランに沿って、全ての投手を最低でも1年に1回は1軍で試していた(以前の記事「森繁和『参謀』―阪神が涙目になる中日の投手王国の仕組み」を参照)。60敗の中には、投手育成のために使われた試合もあるに違いない。

 投手に比べると、野手の育成は難しい。投手の場合は、どんな投手でも1年間ローテーションを守ったり、リリーフを全うしたりするのは容易ではなく、怪我や不振で2軍に落ちることがある。よって、その期間を利用して、若手の育成をすることができる。これに対して、野手はやすやすと戦列を離れることができない。投手は身体に不調のサインが出た場合、無理をするとすぐに選手生命に関わるので、大事をとって休むことが許される。しかし、野手は多少の怪我があっても試合に出なければならない。金本氏のように、骨折しても頭部に死球を受けても簡単には休めない。だから、若手の育成機会は、最初からかなり限られているわけだ。

 負けながらチームを育てると言った落合氏でも、野手に関しては8年間で森野1人しか育てられなかった。ベテラン偏重ではないか?という批判に対して、落合氏は「実力がある者から使うのは当然だ」と反論していた。そのツケが回ってきて、現在の中日は野手の面で苦労している(投手についても苦労しているが・・・)。こういう事情と前例があるから、野手の場合は、投手以上に頭を使って綿密な育成計画を作る必要があると思う。

 現在の阪神を見ると、3年後と言わず、来年にでも顕在化しそうな問題が山積みである。まず、ベテランリリーフ陣のAFKは、おそらくもう先が長くない。JFKに頼りすぎて後継者探しに苦労した過去を繰り返してはならない。先発陣に目を向けると、能見は来年36歳であり、エースの看板を背負わせるのが難しくなる。メッセンジャーは今のパフォーマンスを維持できるか不安が残る。岩田も今は好調だが、もともと波が激しい投手であり、来年33歳になるから、いつまで持つか解らない。仮に3人が来年いっぺんにダメになったとすると、ローテは今年2年目の藤浪とルーキーの岩崎の2人しかいなくなる。20代中盤~後半の投手が複数一気に出てこないと、かなり厳しい。

 野手で一番の課題は、ショート鳥谷の後継者である。阪神は以前から内野の層が薄い。セカンドの西岡、上本が相次いで離脱した際、センターの大和にセカンドをやらせたり、せっかく外野手にコンバートしたばかりの今成をサードに回したりしているぐらいだ。ショートの後継者はいないといっても過言ではない。鳥谷は非常に頑丈な身体をしているが、来年はもう34歳であり、何が起きるかわからない。また、キャッチャーについても、FA選手の獲得で問題を先送りしている状況であり、以前からの懸念事項である矢野氏の後継者問題は一向に解決していない。さらに、外国人のマートン(レフト)、ゴメス(ファースト)に代わる日本人の中距離砲も育てなければならない。
 エルバース:ファガーソンの場合、並外れて攻撃的であると同時に並外れて計画的だった。彼はチームに、勝つための「準備」をさせていた。つまり、残り時間10分や5分、3分でゴールが必要な時にどうプレーすべきか、選手にたびたび練習させていたのである。「形勢が厳しくなった時の練習をしているので、そのような時に勝つためには何が必要かをわかっているのです」とユナイテッドの助監督の一人は我々に語った。
 これも今の阪神に欠けていることだと思う。阪神は広い甲子園を根拠地としながら、なぜか「打ち勝つ野球」を目指しているようである。よって、打線が活発な時は問題ないものの、ロースコアの接戦になると非常に弱いという印象がある。事実、今シーズンの序盤はチーム打率が3割を超えていた時期もあったのに、その後打線が低調になるとさっぱり勝てなくなった。私は、阪神は「守り勝つ野球」に戦略を変更すべきで、そのための練習がもっと必要だと考えている。

 具体的には、ゲーム終盤に僅差で負けているケースで、リリーフ陣はどのような投球をするべきなのか?また、攻撃陣はどうやって1点、2点を泥臭く取っていくのか?上位打線から始まる回ではどのような攻撃を仕掛けるのか?仮に下位打線から始まる場合には、どうやってチャンスを作って上位に回すのか?こういった厳しい局面を打開するための練習を積まなければならない。

 2005年に阪神が優勝した時には、JFKという鉄壁のリリーフ陣に加えて、SHEというもう1つのリリーフ陣がいた。SHEが僅差で負けているゲームでも踏ん張ってくれたおかげで、終盤に逆転した試合がいくつもあった。野球は5試合ものにできるか、5試合落とすかで貯金が10も違ってくる。そして、貯金が10違えば、優勝争いに大きく影響する。

 最近の阪神は、シーズン終盤に失速するのがお決まりになっている。2008年に13.5ゲーム差をひっくり返されて巨人に優勝をさらわれたのは、ファンにとっても思い出したくない出来事だ。2010年も優勝するチャンスがあったのに、終盤の取りこぼしが響いて中日と1ゲーム差の2位に終わった。2009年、2011年にはCS争いで息切れして4位に沈んだ。

 メンタル的な弱さもあるのかもしれないが、私は単にシーズンを通して戦い抜くだけの基礎的な体力が足りないためではないか?と思っている。落合氏は、選手が1年間戦える身体を作るために、春のキャンプを4勤1休から6勤1休に変更した。ペナントレースは6勤1休が基本なのだから、キャンプのスケジュールもそれに合わせるべきだというのが落合氏の考え方である。阪神も、こういう小さなところから改革を進める必要があるような気がする。

 (続く)

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