プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2014年09月04日

中小企業診断士として独立してよかった2つのことと、よくなかった5つのこと


メリットとデメリット

 《2016年7月10日追記》
 もう少し詳しい経緯をまとめたのがこちらのシリーズ。とりわけ私は精神疾患を抱えていたため、独立してから仕事につなげるまで結構苦労しました。

 【シリーズ】中小企業診断士を取った理由、診断士として独立した理由
  1.中小企業診断士という資格を知ったきっかけ
  2.中小企業診断士を勉強しようと思ったきっかけ
  3.ベンチャー企業での苦労
  4.長い長い病気との闘いの始まり
  5.増え続ける薬、失った仕事
  6.点と点が線でつながっていく
  7.これから独立を目指す方へのメッセージ
 《2018年9月3日追記》
 合わせて読んでいただきたい。「医者の不養生、コンサルタントの経営破綻」

 【中小企業診断士】私が独立診断士として失敗した5つの原因
 最近は、若くして独立する中小企業診断士が増えているそうだ。私の周りでも、30代で独立する人が何人かいる。中小企業診断士という資格は、元々他の士業に比べて、独立する人が少ない傾向があった。全体の7割は企業に勤めている診断士=企業内診断士で、独立診断士は3割にとどまる、というデータもある。資格を管轄する中小企業庁からは、診断士が中小企業の経営を支援するという本来の役割を果たしていないことから、「診断士不要論」が出ていたこともあった。最近の独立診断士の増加は、中小企業庁を見返す大きなチャンスになるかもしれない。

 私は30歳になる直前に独立した。今思えばかなり無謀な挑戦だったが、周囲の人の支えのおかげで、何とか3年ほど事業を続けることができている。診断士はどちらかというと中高年の方が多いので、「若い」というだけで武器になる。ただ、若くして独立することついて、メリットとデメリットのどちらが多いかと尋ねられたら、デメリットの方が多いと答えるかもしれない。独立を検討している診断士には夢のない話だが、私が独立して感じたメリットとデメリットを列記してみたい。

【メリット】
(1)時間が自由に使える。
 これは独立の最大のメリットだろう。いつ仕事をしようと、いつ休もうと、基本的には自由に予定を組むことができる。私の場合は、木曜日を休みにしている。月~水と金曜日には顧客訪問などの予定を入れ(それも、ギチギチではない)、日曜日はじっくりと作業をする日と決めている。土曜日は、診断士の勉強会などの会合に出席することが多い。平日、他の人が働いている間にゆっくり休むのは快感である。どこに出かけても空いているので、ストレスを感じることがない。

(2)人脈が急速に広がる。
 これは診断士の特権だと思うが、独立してからいろんな中小企業の経営者の方とお会いする機会が増えた。実に様々なタイプの経営者がいて、様々な経営のやり方があるものだと日々勉強になっている。前職の会社もコンサルティング(+研修サービス)会社であったが、主たる顧客が中堅・大企業であったため、一度に担当する企業はせいぜい1、2社であった。あのまま前職の企業に勤めていたら、狭い世界観に閉じこもったままだったかもしれない。

 顧客企業とのネットワークもさることながら、診断士同士の人脈も独立してから急速に広がった。多様な業界の、大小様々な企業に務めている(勤めていた)方が資格を取っているのが診断士の1つの特徴でもある。前職の会社では、会社に作ってもらった名刺1箱(100枚)がなくなるのに随分と時間がかかった。ところが、今や半年ごとに名刺を1箱発注している。これは、もともと非社交的な自分にとっては奇跡的なことである。

 私の前職の会社は、「【ベンチャー失敗の教訓(全50回)】記事一覧」で書いたようにかなり特異な会社であった。だから、世の中の常識というものがあまりよく解っていなかった。よって、診断士の人脈を通じて、世の中の一般的な企業で勤めるとどういう仕事を経験するのか?どういう人材に育つのか?ということを随分と勉強させてもらっている。

【デメリット】
(1)国民健康保険の負担が非常に重たい。
 独立間もない頃は収入も少ないため、国民健康保険と国民年金の保険料支出が重たくのしかかる。国民年金保険料はだいたい月1万5千円程度とたかが知れているが、国民健康保険料は毎月の金額が高くてびっくりした。私の場合は、毎月5万円以上支払っていた。

 健康保険料は雇用主と被保険者で折半となるが、国民健康保険料は被保険者が100%負担となるため、保険料が跳ね上がってしまう。独立した診断士の中には、1年目の国民健康保険料が支払えずに会社員に戻る、というケースもあるらしい。独立を検討している方は、1年目の収支を十分にシミュレーションした方がよいだろう。

(2)年金は国民年金しかないので老後は非常に不安定。
 前述のように、国民年金保険料の負担は、会社員時代の厚生年金保険料の負担に比べてむしろ軽くなる。しかし、年金保険料の負担が軽くなるということは、それだけ将来的にもらえる年金が少なくなることを意味する。「ねんきんネット」で自分の受給予定金額を閲覧することができるが、私の場合は月9万円ぐらいにしかならない。会社員時代が7年ほどしかないと、厚生年金はあってないようなものになってしまうらしい。

 もともと私には、「経営学者のピーター・ドラッカーに倣って、90歳まで働く」という野心的な目標があるので、年金はあまりあてにしていなかった。だが、いざ本当にあてにできないことが確実になると、本当に90歳まで働けるか、健康や体力のことが不安になる(今から心配してもどうしようもないのだが・・・)。年金制度自体が今後どうなるか不透明ではあるが、老後の収入を不安視する方は、できるだけ会社に長く勤めて、厚生年金を支払い続けた方が得策かもしれない。

(3)公的機関の仕事を受注する場合、「若い」ということはかなり不利。
 独立したばかりで収入が少なかった頃、先輩の独立診断士の方に「どうすれば食っていけるようになりますか?」とストレートに聞いたことがある。その方は、「まずは公的機関の窓口相談員として週2、3日働くなどして、収入のベースを作った方がよい。その上で、顧問先の中小企業を開拓して、収入の上積みを狙ってはどうか?」とアドバイスしてくださった。

 そこで、助言に従って公的機関の公募情報を探してみたところ、募集要件のハードルが高くて出鼻を挫かれてしまった。販路開拓やマッチングの相談員には「総合商社などで○○年以上マッチング業務の経験があること」、ものづくりや研究開発の相談員には「大手メーカーなどで○○年以上生産現場の経験があること」、海外展開支援の相談員には「海外駐在の経験が○○年以上あること」といった具合に、特に大企業での長期にわたる実務経験が要求されていた。ベンチャー企業の、しかもコンサルタントとしての経験しかない若造などは、全く蚊帳の外なのである。

 人事制度コンサルティングを提供していた前職の企業では、人事・採用業務の経験者を採用したものの、コンサルタントとして能力を発揮できずに職場を去って行った人を何人も見てきた。だから、個人的には、実務経験があることと、コンサルティング・経営支援ができることは別物だと思っているのだが、どうやら公的機関にはそういう理屈は通用しないらしい。今、企業に勤めている30代ぐらいの診断士で、もし独立を考えているならば、もうあと10年ぐらいその企業に勤めて、長く実務経験を積んだ方がよい。その方が、独立してからいろいろと有利になるだろう。

 私自身は、このまま蚊帳の外に置かれているのも悔しいので、コンサルタントとして他の人よりもたくさんの経験を積み、さらに公的機関の担当者と深いリレーションを構築して、「本来の応募要件は満たさないけれど、あなたのコンサルティング実績を買って相談員として採用したい」と言わせてみたいと思っている。ほら、恋愛なども障害が多いほど燃えるって言うでしょう?

(4)自分のモチベーションを上げてくれる仲間がいない。
 会社員時代は、周りに一緒に頑張っている人がいるというだけで動機づけられ、勇気づけられていたのだと、独立してからしみじみと思うことがある。私は個人事業主で、社員を雇っているわけではないから、全ての仕事を1人でやらなければならない。そうすると非常に孤独である。毎日が孤独との戦いだと言っても過言ではない。誰かが褒めてくれたり叱ってくれたりするわけではない。よって、自分のモチベーションをどうコントロールしたらよいか解らなくなることがある。

 もっとも、前職の会社でも最後の方は、自分で営業をして、自分で研修コンテンツを開発し、また自分でコンサルティングプロジェクトを回していたから、1人で仕事をすることに対する耐性はある程度身についていた。そういう意味では、前職の会社に深く感謝したい(皮肉)。孤独に対する耐性がない人は、独立しても苦労すると思う。

(5)誰も助けてくれない。誰にも頼ることができない。
 (4)とも関連するが、私1人しかいないから、私が倒れたら終わりである。会社員であれば、体調を崩しても誰かが代わりに自分の仕事をしてくれるだろう。しかし、独立しているとそうはいかない。風邪一つ引くこともできない。独立して1年ほど経った頃、私は体調を崩してしまい、何か月もの間まともに仕事をすることができなかったことがある。その時は、受注予定だったコンサルティングや研修などの仕事約600万円分が全て吹き飛んでしまった。体調が回復してからは、また1から仕事を探さなければならず、非常に苦しい思いをしたことがある。

 誰にも頼ることができないということは、身の丈に合わない仕事をいい加減に受注してはいけない、ということでもある。企業に勤めていれば、多少無理な仕事を引き受けたとしても、社内の誰かが何とかしてくれるだろうし(もちろん、文句は言われるだろうが・・・)、最悪、社外にパートナー企業を求めればどうにかなる。しかし、1人でやっていると、簡単に助けを求めることができない。引き受けておきながら、後になって「やっぱりできません」とは言えない。だから、自分の実力やリソースを十分に考えて、できる仕事とそうでない仕事を厳しく見極めなければならない。

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