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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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 谷藤友彦と株式会社サイトビジット代表取締役・鬼頭政人氏の対談動画(1)(2)(3)
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2014年11月29日

『叙述のスタイルと歴史教育―教授法と教科書の国際比較』―whyを問うアメリカ人、howを問う日本人

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叙述のスタイルと歴史教育―教授法と教科書の国際比較叙述のスタイルと歴史教育―教授法と教科書の国際比較
渡辺 雅子 近藤 孝弘 深谷 優子 木全 清博 河崎 かよ子 J・ディルケス 王 淑英 岡本 智周 溝口 雄三

三元社 2003-12-01

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 本書で一番興味深かったのは、日米の歴史教育の違いであった。
 教師がどのような質問をどれくらいの量問うているのかを知ることは、日米の歴史の語り方の違いを把握するうえで示唆に富んでいる。(中略)歴史授業では両国ともに「何が/を(what)」のカテゴリーの質問が最も多かったことである。次に多かった質問は、米国では原因の特定を求める「なぜ(why)」であったのに対して、日本では出来事の展開や当時の状況、歴史上の人物の気持ちを問う「どのように(how)」という質問であった。
 具体的には、アメリカでは次のように授業が進む。
 N教諭が独立戦争を教えた時には、授業の最初の5分間で児童はその経緯について各自教科書を読み、残りの時間は次のような質問に答えることに費やされた。「アメリカの独立革命の結末は?そう、アメリカの戦争勝利です。これは言うなれば結果です。では、その原因は何でしょう?なぜアメリカは戦争に勝ったのでしょう?」N教諭は黒板の中央上部に「アメリカの勝利」と大きく囲み書きをし、その下に児童が答えた原因を書き出していった。原因結果の短い直接的な結びつきを強調した授業も観察された。
 一方、日本の歴史授業の風景はこうである。
 例えば、室町時代の導入の授業では、その前の時代である鎌倉と室町時代の建物や室内の写真を比べ、いかに2つの様式が異なるのか―どこが、どのように違うか―を写真から児童に読み取らせるのに45分間の授業すべてが費やされた。

 同様に、日本が封建制から近代国家へと移行する明治時代を紹介するために、江戸時代の日本橋界隈の浮世絵と明治時代の新橋周辺の錦絵を比較するのに、ひとコマの授業時間が費やされた。

 これらの授業では、新しい時代はいかなる時代であったのかという枠組みを最初から教師が与えるのではなく、絵や写真の細部の違いに注目させて、生活様式や技術の発達など様々な面の積み重ねを通じて時代の変化を理解させるという手法が取られていた。
 以前の記事「果たして日本企業に「明確なビジョン」は必要なのだろうか?(1)(2)(補足)」などでも書いたが、アメリカは未来のある地点にゴールを設定し、そこから現在へと逆算して考える国である。こうした思考方法は、教育現場にも浸透しているようだ。すなわち、独立戦争における勝利というゴールを設け、そのゴールに向かって何をすべきかを生徒に考えさせる。しかも、原因と結果の距離を可能な限り縮め、効率的に目的を達成することをよしとする。あらゆる選択肢が考えられるとしても、その中から最善のものを絞り込み、それ以外は勇気を持って捨て去る。アメリカの教育は、生徒の決断力を養うことを目的としている。

 それと比べると、様々な事実を積み重ねて時代の変化を理解させる日本の教育は、非常にまどろっこしく思える。しかし、これには日本なりの意図があると著者は分析する。
 現在学習するという行動は、目前にある結果とは直接結びつかず、知恵を使って良い社会を作るというある意味では高遠な未来の目標と結びつけられている。さらにその目標を達成する手段は、自己を抑制して、他人の立場を考えて、勉学に励んで、自ら考えて行動してと、多岐にわたる。

 この方法では、目的(結果)と到達するための手段(行動)は長い連鎖によってゆるやかにつながっているものの、現在の行動がどう意図した結果に結びつくのかは直接には見えにくい。そうなると、結果を速やかに達成しようと計画したり行動を起こしたりするよりは、目的に向かう「態度」や「心構え」が重視されるようである。
 以前の記事では、アメリカ人は未来⇒現在という考え方をするが、日本人には現在しかないと書いた。日本人は、よりよい未来が来ることを何となく信じながら、現在を懸命に生きることしかできない。まさに、人事を尽くして天命を待つという状態である。ただし、その「人事の尽くし方」に関しては手を抜くことが許されないのであって、目指す成果と直接的には関係がなさそうに思えること、具体的には礼儀作法や道徳的な規範についても、厳しく身を律することが要求される。

 以前の記事「『長の一念(『致知』2014年6月号)』―社員を動機づける目標は「手垢のついた泥臭い目標」かもしれない」で、常盤木学園高等学校の女子サッカー部監督である阿部由晴氏の記事を紹介した。阿部氏は、ハインリッヒの法則にヒントを得てユニークな目標管理を行っている。阿部氏が高校生に対して与える目標は何百にも及び、その中にはあいさつをする、整理整頓をきちんとする、といったものまで含まれる。

 これらの目標が試合の勝利とどのように関係するのか、理路整然と説明できる人はまずいないだろう。また、こんなにたくさんの目標を立ててしまっては、管理するだけで大変かもしれない。しかし、数多くの当たり前を積み重ねていったその先に、おそらく勝利があるのだろうと信じて、今ここを必死に生きるというのは、いかにも日本人らしい姿勢なのだ。逆にアメリカ人であれば、サッカーの試合を定量的に分析して様々な指標を編み出し、その中で勝利と最も因果関係の強い指標を特定して、その指標を改善するための練習にエネルギーを注ぐに違いない。

 ところで、アメリカ人も日本人も野球が好きなのだが、思考パターンがまるで異なる両者がどうして同じように野球に熱心になるのか、私なりに考えてみた。前述のように、アメリカ人はデータ好きである。野球は他のスポーツに比べて、多種多様なデータが集まる。さらに、年間の試合数も多いから、1年間で膨大なデータが蓄積される。それをお得意のITで解析して、勝利と結びつくKSF(Key Success Factor:重要成功要因)を絞り込む。

 MLBにセイバーメトリクスが導入された当初は、出塁率と長打率だけを重視すればよいという極端な戦略も取られた。守備に関しては、勝利との因果関係がはっきりしないという理由で、指標が重視されなかった。ビリー・ビーンの下でチーム改革を進めたオークランド・アスレチックスは、2000年代前半に黄金期を築き上げた(もっとも、セイバーメトリクスは日々進歩していて、アメリカでは守備面も含めて次々と新しい指標が生まれているようだ)。

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 一方、日本ではアメリカほどセイバーメトリクスが浸透していない。もちろん、野村克也氏が言うように、配球のデータは重要であり、決してデータを軽視しているわけではない。ただ、日本の場合は、データよりも個々の選手が自分の役割をきちんと果たしているかどうかの方が大切とされる。野球では、試合中局面が変わるごとに、具体的には回が進む、ランナーが出る、もっと細かく言えば投手が1球投げるごとに、各選手に求められる役割が明確に定まる。例えば、広島カープの年俸査定項目は1,000以上に及ぶそうだ。それだけ、1人の選手がやるべきことは多い。

 その1つ1つを的確に遂行していれば試合に勝つことができる。逆に、つまらないところで小さなミスをすると試合に敗れる。どんな場面でも、今自分がなすべきことを判断し、目の前のプレーに全力を尽くす。そうすれば、勝利は後からついてくる。これが日本の野球である。野球という同じスポーツでありながら、一方はデータを駆使しながら重要ないくつかの指標にフォーカスしてマネジメントし、もう一方はそれぞれの選手に非常に多くの目標を課してマネジメントする。野球はこうした両方の見方ができるので、アメリカでも日本でも人気があるのではないだろうか?

《2014年12月1日追記》
 アメリカではMLB(ベースボール)、NFL(フットボール)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)が4大スポーツと言われる。MLBだけ特別視するのはフェアではないと思い、他のスポーツについてもちょっと調べてみた。メディア・エンターテインメント企業大手で、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のスポーツ専門チャンネルである「ESPN(Entertainment and Sports Programming Network)」のサイトを見ると、4大スポーツはいずれも"Statistics"のページが充実している(NFL StatisticsMLB StatisticsNBA StatisticsNHL Statistics)。

 MLBのセイバーメトリクスでは指標が非常に細かく設定されているのだが、NFLに詳しい人のサイトを読んでいたら、「データ収集はNFLの方が進んでいて、MLBがようやく最近になってNFLのレベルに追いついてきた」などといった記述も見られた。アメリカ人はデータ分析ができるスポーツが大好きなようで、逆にデータ分析ができないと人気が出ない。その証拠に、ESPNのサッカーのページには"Statistics"のページがない。ただ、アメリカが本気を出せば、サッカーの戦略を高度な分析手法で丸裸にするのはたやすいことであるような気がするが・・・。

《2014年12月25日追記》
 各スポーツに関する参考URL。
 ○NFLにおけるデータ分析
 アメリカンフットボールのデータ収集及び分析支援システム|情報処理学会
 ビッグデータの活用~データの分類「タグ付け」~|ビッグデータなう

 ○NBAにおけるデータ分析
 No.1は誰だ?|ワールドスポーツデータスタジアム
 NBAに本格到来した「マネーボール」の流れ|@ITk

 ○NHLにおけるデータ分析
 NHL statistics and data analysis services - Hockey Analysis
 QuantHockey - Complete NHL Stats

 ○サッカーにおけるデータ分析
 アメリカのサッカーにはStatsがないことは前述したが、ヨーロッパではデータ分析が進んでいるようだ。例えばドイツは、データ分析を基に「選手がボールを保持する時間を最小化する」というシンプルな目標を掲げて2014年W杯を制した。アメリカが本気を出すのはいつの日か?
 サッカーW杯優勝のドイツ代表が8年間改善してきた「数字」とは?|DIAMOND IT&ビジネス

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