プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2014年12月02日

城北支部国際部セミナーレポート「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」(2014年11月29日)(1/2)


 去る11月29日(土)、私が所属する(一社)東京都中小企業診断士協会・城北支部国際部で、「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」というテーマでセミナーを開催した。まずは国際部員より、中小企業のグローバル化を支援する公的機関などの支援メニューの概略について発表があった。次に、実際に国内中小企業のグローバル化支援、海外の中小企業の経営支援など、海外にも活躍の場を広げている2名の中小企業診断士から、貴重なお話をうかがった。今日の記事は、その時のセミナーレポートである。

○支援機関別の中小企業国際化支援の機能と中小企業診断士の関わり方(城北支部国際部員 小沢智樹先生)
 (1)JETRO、JICA、中小企業基盤整備機構、東京都(東京都中小企業振興公社)、東京都以外の地方自治体、東京商工会議所、金融機関などが実施している代表的なグローバル化支援メニューを紹介した(余力があれば本ブログでも紹介する予定)。

 地方自治体は、以前はグローバル化=産業空洞化というイメージがあったため支援に消極的であった。ところが、グローバル化によって国内の売上高・雇用が増えることが実証され始めており(例えば、以前の記事「日本政策金融公庫総合研究所『中小企業を変える海外展開』―日本企業の海外展開とその影響に関するアンケート」を参照)、支援に前向きになりつつある。地方自治体は、国や東京都などに比べると予算が限定されるものの、地域の産業特性を踏まえて、ユニークな施策を展開しているケースがある。

 (2)小沢先生は、自ら海外のF/S事業を支援した経験に基づきながら、2年ぐらい前までは「どうやって進出するか?」という各論の部分を支援することが多かったのに対し、最近は「そもそもなぜ海外に進出するのか?」という目的の明確化を支援するケースが増えていると指摘した。これを聞いて私は、JETROと中小機構の違いを上手く説明した別の先生の言葉を思い出した。

 すなわち、「例えば中小企業が『エジプトに進出したい』と言うと、JETROはエジプトでの会社の設立の仕方など、実務的な部分を支援してくれる。一方、中小機構は、『なぜエジプトなのか?他の国は検討したのか?そもそも、なぜ海外進出するのか?国内でやり残されたことはないか?』を考えさせる」というわけである。この違いを踏まえると、以前はJETRO型の支援がメインであったが、最近は中小機構型の支援へのニーズが増えている、と言えるだろう。

 (3)JETROなどは専門家派遣事業を展開しているが、一般の中小企業診断士が専門家としての登録を目指しても、実はハードルが非常に高い。JETROなどは、経営的な知識や経験よりも、海外での長期の生活・実務経験があるかどうかを重視する。よって、ずっとドメスティックな世界で生きてきた私のような人間は、絶対に登録することができない。中小企業から直接、海外ビジネス支援の案件を受注できればよいのだが、それもなかなか難しい。

 では、私のような一般の中小企業診断士は、中小企業のグローバル化を支援することはできないのだろうか?ここで小沢先生は1つの方向性を示された。それは、認定支援機関や民間コンサル会社、NPO法人などのパートナーコンサルタントとなり、これらの機関がJETROや国、東京都などから受注する海外事業関連の補助金・助成金プロジェクトのメンバーになる、という道である。もちろん、そういう仕事でも海外経験はあった方が望ましいのだが、JETROなどの専門家派遣事業に比べると、ハードルは下がるのではないか?という見解であった。

○JICA、HIDA業務の実例(城北支部国際部員 竹田真奈美先生)
 (4)竹田先生からは、JICA、HIDAといった公的機関を通じたグローバル化支援の話をうかがった。JICAというと外務省の管轄であり、ODAのイメージが強いため、なぜ中小企業のグローバル化支援をしているのか不思議であった。だが、2012年3月の「中小企業海外展開支援大綱」の改定に伴い、経済産業省が管轄する「地域中小企業海外展開支援会議」(JETRO、中小機構、地方経済産業局がメンバー)にJICAも参加することとなったそうだ。

 外務省と経済産業省の連携は、中小企業をはじめ日本企業の優れた技術や製品を途上国の開発に活用することで、開発途上国の開発と日本経済の活性化を両立させることを狙っている。その具体的な施策として、JICAは「中小企業等海外展開支援事業」を実施している。ただし、あくまでもODAの一環であるため、単に海外で需要があるからというだけで採択されることは難しく、途上国の開発、発展、生活水準の向上に資することが条件となる。

 「中小企業等海外展開支援事業」には、「ニーズ調査(補助上限5,000万円)」、「案件化調査(同3,000万円、機械の輸送が必要な場合は5,000万円)」、「普及・実証事業(同1億円)」の3タイプがある。採択された案件はどれも素晴らしいものに違いないと信じているが、個人的にはちょっと補助金の金額が大きすぎるのではないか?という気がした。

 案件化事業では、試作品の開発やテストマーケティングを実施するが、それで1億円もかかるだろうか?(ちなみに、国内で類似する「ものづくり補助金」は、補助上限が1,000万円である)また、採択企業の約半分は、資本金が3,000万円以下だという。資本金よりもはるかに大きな補助金を受けるのは、やや違和感がある。補助金は税務上益金として処理されるため、法人税の課税対象となる。仮に資本金3,000万円の企業が1億円の補助金を受けた場合、法人税の支払いに耐えられるだろうか?(もちろん、利益剰余金をため込んでいるケースも考えられるが・・・)。

 (5)竹田先生からは、エジプトで実施した調査案件の紹介もあり、約30社の中小企業を視察した時の写真なども見せていただいた。ISOを取得している中小製造業の工場は非常にきれいであるが、そうでない企業の工場は床が土のままであり、機械もほこりをかぶっていた。また、ショッピングストリートに出ると、経営セミナーなどに参加している意欲的な経営者は洗練されたお店を出している一方で、必ずしも衛生的とは言えない雑然とした露天商も多いことが解った。

 私は他のセミナーでもこのような写真を見る機会があるのだが、そういう時はたいてい、講師が「やっぱり新興国は上下の差がはげしいですね」という共感を得るのが狙いである。しかし、個人的には、日本でも似たような状況があると思っている。さすがに床が土のままという工場は見たことがないが、整理整頓ができておらず、動線もめちゃめちゃで作業効率が非常に悪そうな工場は現に存在する。また、商店街に行けば、陳列に工夫がなく、売る気が感じられないお店を見つけるのはさほど難しくない。「新興国だから・・・」というステレオタイプは捨てた方がいいと思う。

 (続く)

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