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2015年02月02日
「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)
平成29年度補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業補助金」の申請書の書き方に関する記事を公開しました。ご参考までに。
ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(1)|(2)
平成27年度補正予算「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」の申請書の書き方に関する記事を公開しました。ご参考までに。《「ものづくり補助金」に関する過去の参考記事》
「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)
「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(例)
「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(賃上げに関して)
【平成25年度補正新ものづくり補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など【1次公募1次締切】
【平成25年度補正新ものづくり補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など【1次公募2次締切】
【平成25年度補正新ものづくり補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など【2次公募】
「新ものづくり補助金(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業)」の運用改善に関する私案
平成26年度の補正予算でも「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス革新事業)」が実施されることとなった。現時点では、経済産業省のHPに以下の記述があるだけで、これ以上の情報はなく、公募の開始時期なども不明である。ただし、過去2年は「全国中小企業団体中央会」が事務局となって、3月に公募を開始し、3月中には第1弾の締切を設定していたので、今回もおそらく同じような体制・スケジュールになると思われる。全国中小企業団体中央会、ならびに各都道府県の中小企業団体中央会のHPをこまめにチェックされたい。
ものづくり・商業・サービス革新補助金(予算額:1,020億円)今回の変更点は大きく分けて3つある。まず、予算額が1,400億円から1,020億円に減額された。これはどういう訳か解らないのだが、とにかく予算が減ったことで、昨年度より狭き門となりそうである。2つ目の変更点は、「特定ものづくり基盤技術」に「デザイン開発技術」が追加される予定であることだ。ただし、デザイン開発技術単体では具体的な試作品を作ることができず、補助金の応募条件を満たさないので、実際には他の基盤技術と組み合わせる必要がある。
新しい商品・サービスの開発や業務プロセスの改善、新しい販売方法の導入など、中小企業・小規模事業者が取り組む事業革新の費用の2/3を補助します。今回は、共同体で行う設備投資なども支援対象に追加します。
<補助対象>
①新しいサービス、新商品・試作品の開発
②複数者が共同で取り組む設備投資等
※②については、創業間もない企業や小規模事業者は申請書類が簡素化されます。
<補助上限額>
①1,000万円、②共同体で5,000万円(500万円/社)
※設備投資をせずにサービス開発をすることもできます(上限700万円)。
そして最後は、6社以上の共同体も応募できるようになるという点である。上記②に従えば、最大で10社の共同体も応募可能である。ただ、公開されている過去の採択企業一覧を見ても、共同体で採択されているケースは1%もないから、この変更による影響はほとんどないだろう。
冒頭のリンクにもあるように、昨年は申請書の書き方に関する記事をアップしたのだが、今年はもう少し内容を充実させてみたいと思う。本シリーズを書くにあたっては、畑村洋太郎『実際の設計―機械設計の考え方と方法』(日刊工業新聞社、2014年)を大いに参考にした。
実際の設計 改訂新版-機械設計の考え方と方法- (実際の設計選書) 畑村 洋太郎 実際の設計研究会 日刊工業新聞社 2014-12-26 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
実は、(他の補助金でも大体そうだが、)ものづくり補助金の申請書に関しては、「審査基準」が公募要領の中で公開されている。したがって、審査基準を満たすように申請書を書くことが必須である。私は別の補助金の説明会に参加したことがあるのだが、補助金事務局の担当者は「補助金の申請書は、採点基準が公開されているテストのようなものだ」と発言していた。参考までに、平成25年度補正予算で実施されたものづくり補助金の審査基準を掲載する。本シリーズでは、特に「技術面」と「事業化面」の基準を満たす申請書の書き方について述べてみたい。
技術面(続く)
①新製品・新技術・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイディアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。
②試作品等の開発における技術的課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
③技術的課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
④補助事業実施のための体制及び技術的能力が備わっているか。
事業化面
①事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業が適切に遂行できると期待できるか。
②事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。
③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。
政策面
①厳しい内外環境の中にあって新たな活路を見いだす企業として、他の企業のモデルとなるとともに、国の方針(「経済の好循環実現に向けた政労使の取組について」において示された賃金上昇に資する取組であるか等)と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることが期待できる計画であるか。
②金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
③中小企業・小規模事業者の競争力強化につながる経営資源の蓄積(例えば生産設備の改修・増強による能力強化)につながるものであるか。
④「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」に沿った会計書類を添付しているか。