プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2015年03月20日

「省庁横断的な中堅・中小企業支援パッケージ説明会」と「多府省連携フォーラム」に行ってきた


 先日、関東経済産業局が開催した「省庁横断的な中堅・中小企業支援パッケージ説明会」および「平成26年度地域科学技術振興施策説明会(多府省連携フォーラム)」に参加して、中堅・中小企業向けの支援施策に関する情報を仕入れてきた。

【第1部:省庁横断的な中堅・中小企業支援パッケージ説明会】
 第1部のキーワードは「中堅企業」と「省庁横断」であった。企業の従業員規模別に雇用者数を集計すると、下図のようになる。5,000人以上の大企業が最も多くの雇用者を抱えており、100~299人、300~999人の中小・中堅企業が続く。一方で、1,000~1,999人、2,000~4,999人の企業は相対的に雇用者数が少ない。これは、中堅企業から大企業に成長できない企業が多いことを示唆している(もっとも、従業員規模の区切り方でいかようにも作図できるのだが・・・)。

 日本は諸外国に比べて、中小企業向けの支援施策が充実していると言われる。補助金を受けた企業から献金を受け取ったとして問題になった甘利明経済財政担当相は「何千項目とある補助金を完全に把握しきれない」と語っていたが、その何千項目とある補助金の大部分は中小企業向けである。一方で、中堅企業になった途端に、支援がパタッとなくなるのも日本の特徴だ。そこで、中堅企業向けの施策を展開して、ドイツ企業のようなグローバル・ニッチ・トップ(GNT)を輩出し、さらには大企業へのステップアップを促そうというのが国の狙いである。

企業規模別・地域別の雇用者数の割合

 (※当日の配布資料より)

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細谷 祐二

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 ただ、個人的には、各省庁関係者の説明を聞いて、色々と課題を感じた。まず、どのような分野でグローバル・ニッチ・トップを創出したいのかが不明確であった。唯一明確だったのは、日本の農水産物・食文化の輸出を活性化させたいということだけだ。この分野については、農林水産省とJETROの協業関係がはっきりとしていた。しかし、それ以外はゴールが曖昧であったため、各省庁の施策をとりあえず集めてみたという印象がぬぐえなかった。

 また、中堅企業向けの施策を増やすと言いながら、既存の中小企業向け施策をちょっと拡充しただけにすぎないものが散見された。例えば、中堅企業が中小企業基盤整備機構のファンドから投資を受けられるようにする、職場定着支援助成金やキャリア形成促進助成金の受給条件を緩和する、といった具合だ。中堅企業には、中小企業には見られない固有の経営課題があるはずであり、その課題に対して適切な支援策をあてがう必要がある。国が中堅企業の経営課題を果たしてどこまで深く分析しているのか、疑問が残った。

 本来であれば、どの分野でどれぐらいの数のグローバル・ニッチ・トップを生み出すのかという上位目標を最初に設定しなければならない。そして、その上位目標をいくつかの下位目標に分解し、それぞれの下位目標をさらに下位目標へとブレイクダウンするという作業を繰り返して、目標の体系(ツリー)を作成する必要がある。その上で、それぞれの目標を達成するために、関係各省庁がどのような支援策を実施するのかを検討する。各省庁が単独では達成できない目標に関しては、省庁間の連携を促す、という流れになる。

 とはいえ、こういうバックキャスティング的な思考は、日本人が苦手とするところである。これがアメリカであれば、最初に明確な目標をうち立てて、その目標に到達するためのKSF(Key Success Factor:最重要成功要因)を特定し、KSFに対応した施策を立案するだろう。ゴールと施策の因果関係をできるだけシンプルに捉えようとするのがアメリカである。

 これに対して、日本の場合は、望ましいことを数多く積み重ねていけば、自ずと結果はついてくる、という発想をする。だから、最初ははっきりとした目標を持たない。その割に、足下のアクションプランだけはやたらと充実させる。こういう日本人の思考の癖が、今回のセミナーにもよく表れていると感じた(以前の記事「『叙述のスタイルと歴史教育―教授法と教科書の国際比較』―whyを問うアメリカ人、howを問う日本人」を参照)。

【第2部:平成26年度 地域科学振興に係る施策説明会(多府省連携フォーラム)】
 第2部は、研究開発に関する国の支援策を中心として、各省関係者から説明があった。紹介があった施策を以下に示す。研究開発の支援事業は、採択者が年度初めの4月から研究開発を開始できるように、1月~2月にかけて公募が実施されるものが多い。そのため、セミナーの時点で既に公募が終了しているものがいくつかあった。公募時期には注意が必要だ。

 また、大部分の研究開発促進事業で給付されるのは、「補助金(助成金)」ではなく「委託費」である。事業の主体となる各省は、研究開発機関と委託契約を締結する。例えば総務省の研究開発促進事業にA大学が採択されたとすると、総務省とA大学の間で委託契約が締結され、総務省からA大学に対して研究開発を委託する、という形をとる。

 補助金と委託費の間には、次のような違いがある。補助金の場合は、事業の主体および実施者はともに、採択された事業者である。また、補助事業を通じて取得した財産や事業成果は、いずれも事業者に帰属する。これに対して、委託費の場合は、事業の主体者は各省となり、採択された受託者が委託契約に基づいて事業の実施者となる。研究開発を通じて取得した財産は、受託者ではなく各省に帰属する。ただし、研究開発の成果に関しては、「産業技術力強化法第19条(日本版バイ・ドール条項)」により、受託者に帰属することとなる。

○総務省
 戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)
 情報バリアフリー事業助成金(チャレンジド向け通信・放送役務提供・開発推進助成金)

○農林水産省
 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業
 農林水産業の革新的技術緊急展開事業
 技術革新を加速化する最先端分析技術の応用研究支援事業(メタボローム解析技術)
 農林水産業におけるロボット技術開発実証事業
 知の集積による産学連携推進事業
 革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)
 革新的技術創造促進事業(事業化促進研究)
 農林水産・食品分野における産学連携コーディネーター

○環境省
 環境研究総合推進費
 CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業
 環境技術実証事業

○文部科学省
 (※リンク先がない施策については、「文部科学省 平成27年度概算要求資料」を参照)
 我が国の研究開発力を駆動力とした地方創生イニシアティブ
 世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム
 マッチングプランナープログラム
 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)
 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム
 センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム
 大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業
 強い大学発ベンチャーの創出加速(イノベーション・スーパーブリッジ)
 大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)
 グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)
 知財活用支援事業
 リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備
 産学官連携リスクマネジメントモデル事業
 プログラム・マネジャーの育成・活躍推進プログラム(PM育成塾)
 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業~地(知)の拠点COCプラス~

○経済産業省
 省エネルギー対策導入促進事業費補助金
 エネルギー使用合理化等事業者支援補助金
 エネルギー使用合理化特定設備等導入促進事業費補助金
 地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金
 ものづくり・商業・サービス革新補助金
 中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業
 商業・サービス競争力強化連携支援事業
 創業・第二創業促進補助金

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