プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2015年06月24日

戦略を立案する7つの視点(アンゾフの成長ベクトルを拡張して)(1/2)


 《参考記事(旧ブログ)》
 【シリーズ】ビジネスモデル変革のパターン(全20回予定)

 上記の「ビジネスモデル変革のパターン(全20回)」シリーズといい、今日これから書く記事といい、戦略というものをエレガントに描き上げる力が私にはどうも欠けているようだ。だから、私は戦略コンサルタントには向いていないと思う。そう自覚してながら、敢えて戦略について書くことをどうかお許しいただきたい。

 戦略コンサルタントには向いていないと言いながらも、ありがたいことに戦略立案のコンサルティングの仕事は舞い込んでくる。たいていの場合、コンサルタント側も顧客企業側も、単体の製品・サービスもしくは単独事業の戦略立案を目指している。しかし、企業というのは、全体を見渡しながら戦略を構想しなければならない。その全体感をとらえられるフレームワークはないものかと思案した結果、アンゾフの「成長ベクトル」を変形した以下のアイデアにたどり着いた。

戦略を立案する7つの視点

 まず、戦略の最も基本的な目的として、企業は既存の顧客に対して既存の製品・サービス(以下、単に製品と記す)を再購入してもらわなければならない。そのための戦略が、①リピート購入戦略である。だが、どんなに既存顧客を囲い込み、リテンションに努めても、一定の割合で既存顧客は離反してしまう。また、リピート購入だけでは企業の成長が見込めない。よって、競合他社から顧客を奪う戦略も必要となる。これが、②市場シェア拡大戦略である。この2つの戦略を考えていない企業はまず存在しないだろう。

 企業が単一の製品だけで成長を遂げるのには限界がある。それに、ある日突然、その製品の代替品が登場したら、その企業は一発でアウトである。そういう事態を避けるために、企業は周辺製品への進出を検討しなければならない。既存の顧客に対し、既存の製品と関連がありそうな新規製品を提供する。顧客が財布の中から自社に支払う金額を増やすという意味で、③ウォレットシェア拡大戦略と呼ぶ。具体的には、旧ブログの記事「【第5回】顧客の隣接する消費行動を押さえる―ビジネスモデル変革のパターン」、「【第6回】顧客のライフステージを押さえる―ビジネスモデル変革のパターン」で書いたような戦略が該当する。

 アンゾフの成長ベクトルでは、新規顧客に新規製品を提供する④多角化戦略はリスクが高い禁じ手であるとされる。しかし、自社のターゲット市場が一瞬にして消え去る可能性もある今日では、リスクヘッジとしての多角化も十分検討に値する。多角化戦略には、大きく分けて外部環境アプローチと内部環境アプローチがある。

 外部環境アプローチで最も単純な方法は、マクロ的に見て高い成長が見込める業界に参入することである。現代であれば、高齢者や環境などをテーマにしたビジネスが容易に思いつく。もう1つの外部環境アプローチは、輸入超過に陥っている製品に着目することだ。輸入超過であるということは、国内に確実にニーズがありながら、それを充足する企業が足りていないことを意味する。競合他社に先んじてその分野に参入すれば、勝機がある。例えば、以前の記事「『ベンチャーとIPOの研究(一橋ビジネスレビュー2014年AUT.62巻2号)』―マクロデータから見る事業・起業機会のラフな分析」で挙げた医療機器などがこれに該当する。

 内部環境アプローチの1つ目は、経営資源の有効活用である。その好例は、富士フィルムであろう。デジタルカメラの台頭によって(その一翼を富士フィルムも担っていたわけだが)、カラーフィルム市場は年10%以上も減少した。この危機的状況を救ったのが、フィルム技術の転用による化粧品市場への進出であった。現在の富士フィルムは、デジタルイメージング、ヘルスケア、高機能素材、グラフィックシステム、光学デバイス、ドキュメントの6つを重点事業領域としている。

 もう1つの内部環境アプローチは、経営ビジョンを起点とするものである。かなり古い事例になるが、NECは1970年代に「C&C(コンピュータ&コミュニケーション)」というビジョンを描いていた。C&Cというコンセプト自体にはそれほど新鮮味はないのだが、NECの戦略を大きく転換させるのに十分な役割を果たした。当時のNECは、NTTに通信機器を供給するのが主たる事業であった。ところが、C&Cを標榜したことで、NECは企業をターゲットとし、コンピュータ、通信、電子部品を融合させたソリューションを提供する企業へと変化したのである(ゲイリー・ハメル、C・K・プラハラード『コア・コンピタンス経営』〔日本経済新聞社、1995年〕)。

コア・コンピタンス経営―未来への競争戦略 (日経ビジネス人文庫)コア・コンピタンス経営―未来への競争戦略 (日経ビジネス人文庫)
ゲイリー ハメル Gary Hamel C.K. プラハラード C.K. Prahalad 一條 和生

日本経済新聞社 2001-01

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 ①~④は、国内に既に市場が存在していることを前提とし、その市場を取り込む戦略であることから、マーケティングの範疇に入る。一方で、これから述べる⑤~⑦は、国内や海外で未知の市場を創造することを目的としているので、イノベーションである。マーケティングとイノベーションの違いは、論者によっててんでバラバラなのだが、私自身はこのような使い分けをしている。

 (続く)

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