プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2015年11月09日

『人工知能(DHBR2015年11月号)』―AIは自分で目的を設定できるようになると思う、他


ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2015年 11 月号 [雑誌]ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2015年 11 月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2015-10-10

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○人為的ミスの最小化がセキュリティ強化のカギ ペンタゴンに学ぶサイバー攻撃に強い組織のつくり方(ジェームズ・A・”サンディ”・ウィンフェルド, Jr.、クリストファー・キルヒオフ、デイビッド・M・アプトン)
 米軍の経験から得られたカギとなる教訓の1つは、技術面の改善も重要ながら、それよりも人為的ミスを最小化するほうが決定的に重要である、という点だ。サイバー攻撃の成功例を見ると、その圧倒的大多数は、古いシステムの脆弱性に修正プログラムを導入し忘れたり、ネットワークの初期設定を間違えたり、標準とされる手順を守らなかったり、といったネットワーク管理者や利用者によるミスがきっかけとなっている。
 論文によれば、ペンタゴンでは、職員が人為的なミスを犯さないように、標準的なネットワーク管理・利用のプロセスを定めたり、セキュリティ意識向上に向けたトレーニングを行ったりしている。これらの取り組みは、人為的ミスの撲滅が目的である。

 ただここで私は、ANAで機体整備や管制システムの運用に携わったことがある方からのこんな言葉を思い出した。「人間は絶対にミスを犯すものである。だから、ミスをなくすよりも、人間はミスを犯すという前提に立って、ミスをカバーできるシステムを構築すべきだ」。ペンタゴンに必要なのは、人為的ミスを完全になくすシステムよりも、人為的ミスを早期に発見して職員に素早く通知する仕組みや、人為的ミスによる被害を最小限に抑えるリカバリー策なのかもしれない。

 ペンタゴンでは、組織内に分散していたネットワークを集約化し、それを一元管理する部門を設置したという。ただし、あまりに集中化が進むと、サイバー攻撃を受けた時に被害がシステム全体に及ぶというリスクがある。もちろん、論文の著者もその点は承知している。
 かつては孤立していたネットワークが相互接続したことで、新たなリスクが生まれたのも事実である(たとえばシステム全体にマルウェアが広がりかねないとか、1つのシステムの脆弱性によって他のシステムからデータが盗まれるおそれなど)。しかし、そうしたリスクよりメリットのほうがはるかに大きい。
 昔、オバマ大統領は、「ホワイトハウスのITは30年遅れている」とこぼしたことがあった。だが、あまりに機密性が高い情報、ハッキングやシステムダウンの影響が大きすぎる情報は、敢えて集中管理しない、もしくはそもそもIT化しないというのも1つの選択肢であるように思える。ITで世界がつながりすぎるのも考え物である(以前の記事「ドネラ・H・メドウズ『世界はシステムで動く』―アメリカは「つながりすぎたシステム」から一度手を引いてみてはどうか?」を参照)。

 例えば、近年スマート家電の開発が進んでいるが、パナソニックの幹部などは、システムがハッキングされて日本中の炊飯器がペンタゴンを攻撃する事態を恐れている。また、最近話題の自動運転カーについても、ハッカーに運転が乗っ取られたら、多数の死傷者を出す危険性がある。2020年には東京五輪が行われる。オリンピックでは、多数の競技、選手の記録を管理し、世界に配信する巨大システムが必要である。仮に、システムに何者かが侵入し、ゴール地点に設置されたOMEGAのストップウォッチに政治的なメッセージでも表示されたら、日本は赤っ恥である。

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○【インタビュー】「グレート・デカップリング」という現実 機械は我々を幸福にするのか(エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー)
 3つのスキル分野では、人間のほうがまだはるかに優れているからです。(中略)2つ目の領域は、感情、対人関係、思いやり、育成、コーチング、意欲喚起、統率など。何百万年もの進化を通じて、私たちは他者のボディランゲージを読み解くのが得意になりました。
 機械が進化すると、必ずと言っていいほど人間と機械の役割分担が大きな論点となる。だが、この手の予測は人間にとって一時的な慰めにしかならない。将来も人間がやるべきだとされた仕事の大部分は、数年後には機械に取って代わられている(十分に調べていないのだが、1990年代にITが大衆のものとなった時、ITと人間の役割分担について予測した記事の大部分は、その後人間側の敗北に終わっているのではないだろうか?)

 機械(ロボット)は感情を扱うことができないという予想は、多分外れるだろう。現に、ロボットは対人関係能力を身につけつつある。本号の論文「考える機械がツールからチームメイトに変わる あなたの上司がロボットに代わったら」(ウォルター・フリック)では、社員1人1人に違う言葉をかけるロボットの例が紹介されている。だが、感情的な領域において、既に人間はロボットに敗れているのではないかと感じることがある。

 オペレーションの効率化を進める人間は、顧客接点で働く社員の感情も機械的に処理しようとしてきた。それによって、顧客は社員の反応を予測しやすくなった。しかし、我々が感情的に満たされるのは、「相手はちょっと不器用だけれど、相手から予想外の反応が返ってきた時」である(ペットを飼っている人はこの点がよく解ると思う)。そして、皮肉なことに、感情を効率的に処理する人間よりも、まだ発展途上で不完全なロボットの方が、この点をよく満たしてくれる。ヤンミ・ムンは著書『ビジネスで一番、大切なこと―消費者のこころを学ぶ授業』の中で、必ずしもできのよいロボットは言えないソニーのAIBOが、なぜ顧客に受け入れられたのかを考察している。

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業
ヤンミ・ムン 北川 知子

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○「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・データ・キカイ」へ 人工知能はビジネスをどう変えるか(安宅和人)
 正しい相手に対して、正しいタイミングで正しい質問を投げかける力はコンピュータには当面、あるいは永遠に期待できない。目指す姿を定めることも同様だ。
 これも人間と機械の役割分担に関する指摘である。私なりに言い換えれば、コンピュータはHowを効率化することはできるが、Whatを自分で設定したり、Whyを自ら洞察したりすることはできない、ということであろう。しかし、この予想もまた、外れると思う。

 人間の行為を非常に単純化すると、①目的を設定し、②目的を達成するためのプロセスを構築し、③プロセスの実行に必要な資源を投入する、という3つのパートに分かれる。従来のロボットは、①目的と③資源を人間が用意し、②プロセスを効率化することに注力していた。ロボットが進化するにつれ、フィードバックの仕組みを活用して、ロボット自身が②プロセスを改善できるようになった。現在の多くのロボットは、この段階にあると思われる。

 今後は、ロボットが自ら③資源を調達することも十分に考えられる。Amazonの自動配送システムや、Googleの自動運転カーの技術を応用すれば、例えば工場のラインに設置されたロボットが、工程の進捗に応じて原材料を仕入先から調達できるようになる。また、②プロセスの改善に伴って、③投入すべき資源の種類、資源の投入タイミングや投入量などを柔軟に変えることも可能となる。そして、最終的には、ロボットが①目的を設定する。自ら考える機械は、設定した①目的に沿って、②プロセスをデザインし、③投入する資源を最適化する。

 本号の論文「5つのアプローチで解決する オーグメンテーション:人工知能と共存する方法」(トーマス・H・ダベンポート、ジュリア・カービー)に次のような記述があった。20年後には、文中の「人間」が全て「ロボット」に置き換わっているかもしれない。
 優れた機械の背後には人間が存在する。このことは今でも真理であり、実際のところ、そこには数多くの人々が存在している。ダンキンドーナツのフランチャイズ最適化システムが不適切な投資だと判断するのも、がん治療薬発見への人工知能の応用が適切な投資だと判断するのも人間だ。次世代の優れた保険引受自動化ソリューションを構築するのも人間だ。よりよいシステムに対する人々の欲求を直感的に把握したり、システムの中で体系化できる部分を特定したり、実際にコードを書いたり、適用される状況を見越して条件を設定したりするのも、すべて人間である。
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○迅速な変化が成長を促す アリババの戦略はアルゴリズムに従う(マーティン・リーブズ、曽鳴、アミン・ベンジャラ)
 多くの組織では、ビジョンとビジネスモデルは全事業を運営していく軸として固定されている。これらはたいてい創業者が策定したものであり、ひとたびうまくいくことが証明されれば、変更されることはまずない。したがって、これらを支える組織体制、システム、プロセス、企業文化もまた、長期間にわたって変わらない。
 本論文は、中国のアリババのことを「セルフチューニング組織」と呼んでいる。セルフチューニング組織では、外部環境の変化によってビジョンや戦略が柔軟に設定され、それに伴ってビジネスプロセスや組織体制などが頻繁に変更される。これに対して、多くのアメリカ企業は硬直的であると著者が指摘しているのが上記の引用文である。

 ドラッカーは「体系的廃棄」という言葉を使って、自社が取り扱う製品・サービス、製品・サービスを製造・提供するプロセス、プロセスを支える組織体制や制度などを定期的に見直し、不要なものは思い切って捨てよと助言してきた。体系的廃棄を方法論化したのが、マイケル・ハマーとジェームズ・チャンピーの「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)」である。Business Process "Re"-engineeringという名前の通り、環境変化に応じて何度もプロセスを再構築することを想定している。BPRはまさにセルフチューニング組織がやるべきことである。

 BPRという方法論が存在しながら、未だに一般的なアメリカ企業が引用文のように硬直的であると、アメリカの研究者が指摘しているのが興味深かった。結局のところ、アメリカ企業はこういうふうにしかマネジメントできないのかもしれない。この辺りについては、以前の記事「日本とアメリカの戦略比較試論(前半)(後半)」、「『稲森和夫の経営論(DHBR2015年9月号)』―「人間として何が正しいのか?」という判断軸」で書いた。

 逆に、日本の場合はセルフチューニング組織が当たり前である。戦略や組織は頻繁に変わる。「どうせすぐに変わるのだから」という理由で、戦略を明確にしないことさえある(そのため、しばしば現場社員からは「経営者が何を考えているのか解らない」と不満が上がる)。BPRの方法論が1990年代~2000年代に日本に入ってきた時、日本企業の社員は「BPRの一体何が新しいのか?これは我々が今までやってきたことではないのか?」とこぼしていたことが、高橋伸夫『虚妄の成果主義―日本的年功制復活のススメ』で紹介されている。

虚妄の成果主義虚妄の成果主義
高橋 伸夫

日経BP社 2004-01-17

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