プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2015年12月30日

「アセアン進出対策セミナー」(川崎商工会議所主催)に参加してきた


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 (※写真はベトナム・ホーチミンの夜の風景。まさにカブ天国)

 川崎商工会議所主催の「アセアン進出対策セミナー」に参加してきた。その内容のメモ書き。

 (1)1985年のプラザ合意以降、日本の製造業はASEANの中でも比較的経済成長が進んでいたシンガポール、マレーシアに進出した。その後、90年代には中国への進出がブームとなったが、2000年代に入ってからはタイやベトナムへの進出が増加している。2020年までには、ASEAN各国を点で捉えるのではなく、ASEAN全体を面で捉える戦略が必要になる。

 2015年末にはASEAN共同体が発足し、その下部組織であるASEAN経済共同体(AEC:ASEAN Economic Community)の下でASEANが経済的に統合される。具体的には、単一の生産拠点、単一の消費市場が生まれ、ヒト・モノ・カネの自由化が実現されると言われる。ところが、ASEANはモノの自由化にはかなり本腰を入れて取り組んでいるのに対し、ヒト・カネの自由化はあまりやる気がないようである。ASEANの大半は第2次世界大戦後に独立したばかりの新興国であり、EUのように国境をなくす方向にはなかなか進まないと考えられる。

 (2)(1)の繰り返しになるが、1985年以降日本企業はASEANや中国へと進出した。そのため、中国やASEANの輸入に占める日本の割合は低下傾向にある。一方で、中国企業のASEAN進出はそれほど進んでいない。中国企業はASEAN企業から原材料・部品を輸入して完成品を製造し、世界中に輸出している。よって、中国の輸入に占めるASEANの割合は比較的高い。

 ASEANは、日本、中国、韓国、インド、オーストラリアとFTAを締結している。ASEANはまず中国とFTAを締結した上で、日本に対し「日本から中国に輸出すると関税がかかる。日本からASEANを経由して中国に輸出すれば、関税をゼロにできる」と働きかける。ASEANはこれと同じことを他国にも言い、次々とFTAを締結している。FTAに関しては、ASEANが扇の要の役割を果たし、ホストのように振る舞っている。問題は、FTAを個別に締結していることで、原産地証明書のフォーマットがバラバラになっていることである。この点は、RCEPによる解消が期待されている(ただし、RCEPはインドが自由化に反対するなど、交渉が難航している)。

 (3)日本企業の関係者は視察ミッションで現地を訪れることがあるが、視察ミッションで見る都市の生活は、その国の平均からはかなりかけ離れていることに注意する必要がある。ASEAN諸国の都市化率はまだまだ低い。大半の国民はまだ農村部に暮らしており、その暮らしぶりは都市部とは全く異なる。日本の都市―地方の感覚をあてはめると、例えばバンコクで1,000円のラーメンが売れていれば、バンコクから離れた地方では700円ぐらいのラーメンが売れると考えたくなる。しかし、実際には、タイの地方で700円のラーメンは売れない。

 (4)みずほ総研の「2015年2月アジアビジネスアンケート調査結果」によると、近年中国を重視する日本企業が減少しているのに対し、ASEANを重視する日本企業の割合は高水準で推移している。ところが、拠点別の収益満足度を見ると、ASEANは2010年以降下落傾向にある。インドネシアでは緊縮財政によって景気が減速していることや、タイでは軍事クーデターで政治が混乱していることなどが影響していると考えられる。

日本企業の「今後最も力を入れていく予定の地域」のトレンド
拠点別に見た日本企業の収益満足度DIの推移

 (5)経済同友会の「企業経営に関するアンケート調査」(2010年8月)の中に、日本企業のグローバル化推進にあたっての課題を海外売上高比率別に尋ねた項目がある。これによると、海外売上高比率が上昇するにつれて、「グローバル化を推進する人材の育成」を課題として挙げる企業の割合が高くなる。海外事業が成長すれば、人材プールが大きくなり人材に困らなくなるように思えるが、実態はその逆であるようだ。

グローバル化の推進に当たっての課題

 (6)株式会社ジェイエーシーリクルートメントは、日系企業のアジアにおける人材採用を支援する企業である。ASEANは日本とは人材採用のスピード感が全く異なる。タイでは、同社に求人登録してから1か月以内に転職先が決まる人の割合が半分以上に上る。

 日本の感覚で、1次面接と2次面接の間を1~2週間ほど空けてしまうと、その間に求職者に逃げられてしまう。1次面接官には、面接の場で2次面接の日程を決定する権限を与えるなど、工夫が必要である。面接の合否判定に本社の決裁が必要な場合は、Skypeで現地と本社をつなぎ、本社が迅速に決裁を下せるようにすることも重要となる。

 (7)(6)のように時間に厳しい面がある一方で、日本では考えられないほど時間にルーズな側面もある。インドネシアのとある日系企業は、総務マネジャーを採用する際に、求人広告を使って400名の応募を集め、そのうち書類審査で60名を通過させた。しかし、連絡がついたのは半数の約30名、さらに時間通り面接に来たのが20名だったため、結果的にその20名から3名を選んで最終面接に進めたという。インドネシアには「時間は伸び縮みするもの」という考え方があり、時間をあまり守らない傾向がある(ただし、書類通過者が面接に来なかったのは、他の企業から早く面接の連絡が入り、そちらを選択したからだとも考えられる)。

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