プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
シャイン経営研究所HP
シャイン経営研究所
 (私の個人事務所)

※2019年にWordpressに移行しました。
>>>シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)

Next:
next 「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)
Prev:
prev 『一生一事一貫(『致知』2016年2月号)』―日本人は垂直、水平、時間の3軸で他者とつながる、他
2016年02月05日

『人を巻き込む技術(DHBR2016年2月号)』―リーダーは時々「バカ」になれるか?他


DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2016年2月号 [雑誌]DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2016年2月号 [雑誌]
ダイヤモンド社 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部

ダイヤモンド社 2016-01-09

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 ○【リーダーシップ】社会・環境面での貢献も加味した 【2015年版】世界のCEOベスト100(『ハーバード・ビジネス・レビュー』編)
 HBR誌が毎年発表している、世界のCEOのランキングである。従来は、そのCEOの在任期間中に、企業のTSR(株主総利回り)と時価総額がどれだけ変化したかに基づいてランキングが作成されていた。だが、今回は環境、社会、ガバナンスにおけるパフォーマンスが加味されている(財務データが80%、環境、社会、ガバナンスにおけるパフォーマンスが20%)。その結果、2014年に1位であったAmazonのジェフ・ベゾスは、環境、社会、ガバナンスにおけるパフォーマンスの低さが影響して、2015年は87位に急落するなど、ランキングに大きな変化が見られる。

 日本企業からは、10位に御手洗富士夫氏(キヤノン)、35位に柳井正氏(ファーストリテイリング)、78位に孫正義氏(ソフトバンクグループ)、80位に永守重信氏(日本電産)が入っている。ただ、環境、社会、ガバナンスにおけるパフォーマンスの順位を見ると、御手洗氏こそ140位であるが、柳井氏は509位、孫氏は762位、永守氏は718位と低い。本ブログでは、日本企業はCSRという言葉が登場する前から社会と調和してきたとか、渋沢栄一の道徳経済合一説のように経済的価値と社会的価値を区別しないなどと書いてきたのだが、今回の結果はやや残念であった。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
 ○オーセンティック・リーダーシップの罠 「自分らしさ」が仇になる時(ハーミニア・イバーラ)
 たとえば、「本当の自己」を貫くという考え方は、人は経験を通じて進化し、内省するだけではけっして掘り起こせない自分自身の多面性を発見していくという、数多くの研究と矛盾する。
 繰り返しになるが、自分のストーリーを書き直すことは、内省的なプロセスであると同時に、社会的なプロセスでもある。
 自分の価値観を中心に据える欧米型のリーダーシップを反省した論文である。本論文によれば、自分らしさを貫くよりも、環境に応じて変幻自在に自己を変容させるカメレオン人間の方が、昇進スピードが早いという。価値観の重要性は、旧ブログや本ブログで何度も取り上げたし、組織間で協働する場合には同じ価値観で結ばれることが大切だとも書いてきたのだが、あまり価値観で硬直的になってもよくないかもしれないと思い直した。

 価値観が完全に一致する人などまずいない。日頃密に接する家族の間でも、価値観は異なるものだ。それでも家族が成り立つのは、異なる価値観を前提として、双方をできるだけ傷つけないよう折り合いをつけるためには何をすべきかというコミュニケーションが図られるためである。離婚する芸能人夫婦は、価値観の違いを理由に挙げることが多い。だが、離婚の原因は価値観の違いではなく、そのようなコミュニケーションが十分でなかったためと言う方が適切である。

 もちろん、基本的な価値観が共有できていた方が、組織の結束力が高まるのは間違いない。だが、チームメンバー全員の価値観を洗い出した時、重なる価値観よりも、重ならない価値観の方が圧倒的に多いことを忘れてはならないだろう。そして、組織で問題が生じるのは、たいていは重ならない価値観同士が衝突する場合なのである。その価値観はどこまで自分にとって重要なのか?「今回は自分が譲る」という選択肢は考えられないか?今後同じような衝突を防ぐには、自分の価値観をどのように改めればよいか?といったことを、皆が考えることが必要である。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
 ○一人ひとりがリーダーシップを発揮する ピクサーで学んだ創造的チームのつくり方(堤大介)
 相手に興味を持つことの重要性は、ピクサーのリーダーシップトレーニングでも協調された。興味を持つとは、相手の話をただ黙って聞くということではない。耳を傾け、その時に語られる話の内容だけではなく、相手の考え方までを理解するということである。
 こういう話の聞き方を「傾聴」と呼ぶのだろう。以前、コミュニケーションの研修で、傾聴にも2種類あることを学んだ。「内的傾聴」と「集中的傾聴」である。内的傾聴とは、相手の話を自分の記憶、体験、知識に照らし合わせながら聞くことで、途中で相手の話のよしあしを判断したり、相手に意見や質問を述べたりしようとする。これに対して集中的傾聴とは、純粋に相手の話に意識をフォーカスさせ、相手の記憶、体験、知識をそのまま受け止める聞き方である。

 端的に言えば、内的傾聴は何とかして相手の話を理解しようと意識を集中させることである。集中的傾聴は、あまり深いことは考えずに、心をフラットにして相手の言葉を自分の中に流入させる。研修では2人1組になり、一方がもう一人に対して、「最近楽しかったこと」を3分間で話す、というワークをやった。聞き手は内的傾聴と集中的傾聴の両方を演じ分けることとした。

 すると、内的傾聴の場合は、相手の話を理解しようと緊張して構えるせいか、自然としかめっ面になり、腕や足を組んでしまう傾向があった。相手に質問しようと考えるのだが、適当な質問も思い浮かばない。話し手も会話の緊張に耐えられなくなって、3分間話し続けることができない。会話が終了した後、講師から「相手の話をどのくらい覚えていますか?」と尋ねられたが、一生懸命相手を理解しようとしたにもかかわらず、記憶が断片的であることに気づかされた。

 集中的傾聴の場合、相手の話を理解しようと深く考える必要がないので、非常に気が楽である。極端なことを言えば、適当に笑顔を振りまいて、相槌を打っていればよい。すると、不思議なことに、そうしている方が相手の話をよく理解できる。相手への質問もどんどん思い浮かぶ。だから、3分では会話が終わらなかった。それに、会話の後も会話の内容をよく思い出すことができた。一般的に、傾聴と言うと、相手を意識的に理解することばかりが重要視される。しかし、逆説的だが、実は相手を理解しようと気張らない方が、かえって相手の理解が深まるようである。

 《2016年3月13日追記》
 八代京子他『異文化コミュニケーション・ワークブック』を読んで、集中的傾聴が内的傾聴よりも有効であるのは、「エポケー」を伴うからではないかと思うようになった。
 自分が聞いて理解したことを相手の人に返して確認するという行為は、相手のことを決めつけず、同時に自分の考えは留め置くという姿勢を表しています。このように、自分の判断や評価をいったん脇に置いておこうという姿勢でリスニングして物事を認識する方法をエポケー(判断停止または判断留保)と呼びます。アクティブ・リスニングよりもう一段階自分の判断を留めた慎重な聞き方です。
異文化コミュニケーション・ワークブック異文化コミュニケーション・ワークブック
八代 京子 樋口 容視子 コミサロフ 喜美 荒木 晶子 山本 志都

三修社 2001-09-01

Amazonで詳しく見る by G-Tools

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
 ○変化の激しい時代に必要なエンゲージメントとは 【インタビュー】BCG流21世紀型リーダーシップ(御立尚資、水越豊)
 御立:企業も予定調和なんてありえず、変化の多い時代は会社も変化するために、リーダーは時には意図的に矛盾したことを言ってみることも必要になります。それによって下は右往左往しますが、それでいいのです。
 リーダーに必要な要素はいくつかあるが、その中でも重要なのが「バカになること」だと私は考える。優れた組織やチームでは、上から下への指揮命令系統がしっかりしていることに加えて、下から上に良質な情報が上がる(山本七平流に言えば、「下剋上」である。以前の記事「山本七平『帝王学―「貞観政要」の読み方』―階層社会における「下剋上」と「下問」」を参照)。

 リーダーは大局的に物事を判断するので、簡単に間違ってはいけない。だが、細部については、現場の最前線にいる部下の方がよく知っている。その情報に基づいてリーダーは大局観を修正する必要があるかもしれないし、時には従来の大局を捨てて、新たな現実に対応した大局を描き直さなければならない。リーダーが完全に正しければ、部下はリーダーに何も情報を上げてこない。リーダーが多少バカになって、時々おかしなこと、矛盾したことを言うからこそ、部下は慌てて「いや、それは違います。実際にはこうなっています」と報告してくれる。

 ただし、リーダーが常にバカでは、部下が信用してくれない。時々のバカだから許されるのである。だから、リーダーは可能な限り正しくあるために、日々研鑽を怠ってはならない(関連記事として「『リーダーシップの神髄(『致知』2016年1月号)』―リーダーはもっと読書をして机上の空論を作ればいい」を参照)。また、リーダーのバカが許されるように、日頃から部下との信頼関係に気を配ることが肝要である。信頼関係がなければ、リーダーがバカを見せても、部下は「リーダーの間違った指示の通りにやって、リーダーに恥をかかせてやろう」とよからぬことを企てる。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
 ○リーダーシップと意思決定の要 アドバイスの科学:与える技術・受ける技術(デイビッド・A・ガービン、ジョシュア・D・マーゴリス)
 最終決断を下す立場でないにもかかわらず、助言者の多くは自分の意見がかなりの程度まで受け入れられないと感情を害し、対話を打ち切ってしまう。こうなると、その時だけでなく、長い目で見ても、失うものがある。
 助言をする側、助言を受ける側それぞれが陥りやすい罠を指摘し、双方が良好な関係を構築するための処方箋を示したものである。コンサルタントは企業経営者に助言をする立場であるから、本論文には納得できる箇所が多々あった。特に耳が痛かったのが上記の引用文である。

 私が駆け出しの頃は、「なぜクライアントはこちらの提案をすんなり受け入れてくれないのか?」と憤懣やる方ない気持ちになることがあった。膨大な調査をし、プロジェクトメンバーと半ば喧嘩になりながら議論を重ね、何日も徹夜して報告書を書いたことが報われない気がした。クライアントが提案内容を変更して実行しようとすると、「勝手に中身を変えるなよ」と思うことさえあった。

 私も多少は大人になったので、今はクライアントがこちらの提案をそのまま受け入れることは滅多にないと割り切っている。コンサルティングの成功は、プロジェクト終了後もクライアントが社内協議を継続し、当初の提案とは違う形であってもよいから、何かしら改革を行ってくれることだと考える。つまり、クライアントがプロジェクトをきっかけとして学習を行い、自らの手で新しい知を獲得することである。コンサルタントはその素材を提供するにすぎない。あくまで素材であるから、クライアントがその素材をどのように調理しようと、コンサルタントは文句を言うべきではない。

 何年か前に、ある企業の海外事業戦略立案を支援させていただいた時、経営陣にはインド進出を提案した。ところが、プロジェクト終了後、その企業の中で海外進出の話は立ち消えになってしまったように思われた。それから1年ほど経ったある日、その企業のプレスリリースを見たところ、ブラジルに進出するという記事が出ていた。私は「この企業は1年かけて海外進出を検討してくれていたのだ」と思い、インド進出という当初の提案とは異なるが、海外進出が形になったことを非常に嬉しく感じた。この一件があってから、私の心境は前述のように変化したのである。

  • ライブドアブログ
©2012-2017 free to write WHATEVER I like