プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2016年05月16日

『テレビに未来はあるか(『世界』2016年5月号)』―バラエティと報道を一緒にやっている時点で真実の伝達は無理だと思う、他


世界 2016年 05 月号 [雑誌]世界 2016年 05 月号 [雑誌]

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 (1)今月号の特集は「テレビ」である。大和総研「若者のテレビ離れと昼下がりの高齢者」(2014年8月18日)を見ると、50代以上のテレビ視聴時間は1996年からそれほど変化していないが、40代以下は年齢が下がるにつれて大幅に減少している。

 テレビは、中立な立場に立って、公平な報道をすることが使命である。しかし、「中立」という立場自体が1つの立場であって、完全なる中立はあり得ない。だから、公平な報道というのは、個々のテレビ局は独自性を打ち出しても構わないものの、テレビ全体で見た場合には多様な見解が担保されていることが条件である。ところが、今のテレビ界は、裏で何か申し合わせをしているのか知らないが、どの局も似たような報道ばかりである(安保法制の時は顕著だった)。自分たちが自主的に似たり寄ったりの報道をしている時は何も文句を言わない。しかし、自民党から圧力をかけられて似たような報道を強いられることには反発する。これが今のテレビ界である。

 テレビ、特に報道番組は、真実を伝えることが重要視される。だが、ニュース専門のテレビ局がある海外とは異なり、日本のテレビ局はニュースもやればドラマもやるし、バラエティーも音楽番組もやる。ニュースとそれ以外の番組というふうに大雑把に二分すると、ニュースは真実を扱う一方で、もう片方は虚構を扱っている。つまり、仕事の価値観が全く正反対なのである。そして、どちらかと言うとテレビ局で主力なのは虚構の方である。だから、日本のテレビ局の根底にあるのは、虚構をよしとする価値観である。そのテレビ局に、真実を放送して権力を監視する第4の権力となれと期待するのは、少々酷であるような気もする。

 (2)
 特定の勢力がマスコミの操作によって主権者をだますことは、民主主義を破壊する「大罪」であるにもかかわらず、これ自体を直接に規制する法律はない。
(高山佳奈子「政治家によるメディアへの圧力は犯罪とならないのか」)
 情報操作は、積極的に虚偽の情報を流す場合だけでなく、相対的に重要度の低い情報ばかりを流すことによってより重大な情報の流通を妨げる場合や、誤解を招く方法を用いる場合にも行なわれている。たとえば、特定の政治家の意見をそのまま流す場合、その個人の意見であるという情報がカッコ書きなどでわずかに示されていたとしても、視聴者はその「内容」が真実であるかのように誤解しやすい。このような工作も、結局において国民の知る権利やその他の視聴者の権利を侵害する。(同上)
 政治家がマスコミに圧力をかけて、その情報を歪めることは犯罪ではないか?というのが本記事の主張である。それならば、マスコミが情報を歪めて国民を騙すことも犯罪ではないだろうか?最近の解りやすい例で言えば、朝日新聞がいわゆる「吉田証言」に基づいて、従軍慰安婦に関する報道を長年に渡り国内外に発信し続けた事案がある。

 慰安婦問題について私は詳しくないので、あまり踏み込んだことは書けない。軍の関与があったかどうかについては、軍の施設内に慰安所が作られていたことから、軍の関与をある程度認めざるを得ないだろう。また、政府は強制性を示す証拠はないと主張するものの、政府側は簡単に証拠隠滅ができるわけだから、政府の言い分をすんなり認めるわけにもいかない。しかし、朝日新聞が、吉田清治氏の虚偽の証言に基づく報道を通じて、国内外で慰安婦に関する誤ったイメージを形成し、さらには国際社会における日本人の評判を落としたことは事実である。

 だから、朝日新聞には、海外における日本人の名誉を毀損した「名誉毀損罪」を適用してやりたいくらいだ。名誉毀損罪は、原則として国内における被害に対して適用される。ただし、刑法第3条は「この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する」と定めており、その中に第230条(名誉毀損)が含まれている。第3条には「日本国民」とあり法人は含まれないこと、また第230条で言う名誉を毀損された「人」とは特定の人でなければならず、「日本人」のような抽象的な集団は対象外とされることから、実際に朝日新聞を名誉毀損罪で訴えることは難しい。しかし、一国民としては、訴えたいぐらいの気持ちがあるということを記しておきたい。

 《2016年10月7日追記》
 『致知』2016年11月号より引用。
 慰安婦問題に関連して1つ添えておけば、私を団長とする2万5千人の原告団が朝日新聞社を訴えていた裁判の判決が7月に下りました。ご存知の方も多いでしょうが、『朝日新聞』の慰安婦報道によって国民としての人格権や名誉権が傷つけられたことで、謝罪広告掲載と原告1人当たり1万円の損害賠償を求めた裁判です。

 残念なことに「原告個人の名誉が毀損されたとは言えない」という理由で請求は棄却されてしまいました。このことはあらかた予想がついていたことでもあり、すぐに上告の手続きを取りました。

 確かに普通に日本で生活している分には、慰安婦問題で名誉が毀損されたと自覚できないかもしれません。だが、海外に目を向ければ、長年にわたる『朝日新聞』の心ない報道によって周囲から傷つけられたり、苛められたりする日本人も少なくないのです。現に私の身内にもいます。
(渡部昇一「慰安婦問題を解く鍵は強制連行の有無だけだ。国際世論に訴えるのはその1点でよい」)
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 (3)
 池水:現状では、多くの俳優が労働者とはみなされていません。しかし日本俳優連合では、仕事をして報酬を得ているものは労働者であるという考え方をとっています。実際、ILO(国際労働機関)も、「契約労働」という考え方を用いています。それは、「雇用契約離されていないが、働くときは企業の指令に基づいて行動が規制される人々の労働形態」ということです。
(星野陽平、佐々木亮、池水通洋「職場としてみた芸能界」)
 以前の記事「森本あんり『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体』―私のアメリカ企業戦略論は反知性主義で大体説明がついた、他」などで用いた下図を再掲する(ブログ本館、ブログ別館のあちこちで言い訳をしているが(苦笑)、まだこの図は未完成である)。

製品・サービスの4分類(修正)

 映画、テレビドラマ、舞台、音楽などの文化的・芸術的作品は、上図の左上の象限に属する。この象限はイノベーションに強いアメリカ企業が得意とするところである。人間の快・不快にストレートに訴求する製品・サービスが多いゆえ、ヒットすれば世界中で爆発的に売れるのに対し、売れなければ全く売れないという特性がある。ただし、この象限は必需品ではないため、世界中でどの程度の市場規模があるのかを予測することが難しい。他方、日本企業が得意とする右下の象限は、自動車、建築、企業向けITサービス、工作機械など、消費者や企業にとっての必需品である。よって、将来に渡って一定の需要を見込むことができる。

 将来的に需要が予測できる場合は、事業戦略も比較的立案しやすい。そのため、事業戦略を安定的に遂行するためには、一定の正社員を抱え込んでおくことが有効であり、したがって長期雇用が採られる。これに対して左上の象限は、製品・サービスの売上高によって業績が乱高下する。だから、正社員を抱え込んでしまうと固定費が重くのしかかる。そこで、左上の象限の企業は、固定費を変動費化するために、雇用契約ではなく業務委託契約を結ぶ。タレント事務所に所属する俳優が、社員ではなく個人事業主として事務所と契約しているのはこのためである。

 左上の象限では、イノベーションや画期的な製品・サービス、芸術的な作品で一山当てたいという人たちがたくさん集まってくる。彼らの中には、自分がお金を払ってでも、自分の製品・サービス・作品を顧客に提供したいと考える人がいる。そういう動機に目をつけたのがプラットフォーム企業である。プラットフォーム企業は、集客力を武器に顧客から広くお金を集めると同時に、イノベーターたちからもお金を取る。メーカーが販売チャネルにリベートを支払うのは、場合によっては違法となるが、プラットフォーム企業が双方からお金を取るのは合法である。

 書籍・雑誌は、大まかに言えば必需品ではないから、左上の象限に該当する。無名な著者が出版しようとすると、プラットフォーム企業である出版社に対して、何百万円というお金を先に支払う必要がある。ここ数年はアイドルグループが乱立しているが、アイドル業界もプラットフォーム化が進んでいる。アイドルは所属事務所に対して、レッスン費用や事務所登録料、宣材写真料、衣装代などを支払う。その費用負担に耐えられず、アイドルの道を断念する人も少なくない。

 プラットフォーム企業は、登録された製品・サービスをランキング化する。Amazon、Youtube、iTunes Store、Google Playなどは、リアルタイムでランキングを発表する。AKB総選挙も、プラットフォーム企業が実施するランキングの一種である。消費者はその情報を信用し、上位の製品・サービスがさらに購入される。一方、ちょっとでもランキングの下位に位置してしまった製品・サービスは、ほとんど売れない。Amazonの登場後、「ロングテール現象」というものが注目されるようになったが、悪く言えば多産多死を煽っているだけである。売れない大多数の製品・サービスも、なまじ多少は収益があるため、製品・サービスを停止する踏ん切りがつかなくなっている。

 (続く)

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