プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2016年07月06日

中小企業診断士を取った理由、診断士として独立した理由(6)【独立5周年企画】


人脈

 【シリーズ】中小企業診断士を取った理由、診断士として独立した理由
  1.中小企業診断士という資格を知ったきっかけ(7月1日公開)
  2.中小企業診断士を勉強しようと思ったきっかけ(7月2日公開)
  3.ベンチャー企業での苦労(7月3日公開)
  4.長い長い病気との闘いの始まり(7月4日公開)
  5.増え続ける薬、失った仕事(7月5日公開)
  6.点と点が線でつながっていく(7月6日公開)
  7.これから独立を目指す方へのメッセージ(7月7日公開)
 6.点と点が線でつながっていく
 2012年の残りはリハビリのつもりでほとんど仕事をしなかった。代わりに、今までほとんど顔を出したことのなかった診断士の会合に顔を出すようになった。そこで徐々に人脈を作っていくと、2013年に入って少しずつ仕事を任せてもらえるようになった。だから、私が診断士として本格的に活動を始めたのは2013年からだと言える。面白いもので、2013年から今までに私がやってきた仕事は、ほとんど全てを線で結ぶことができる。つまり、ある仕事をすると、そこから別の仕事が派生したり、別の診断士の先生を紹介してくれたりするのである。

 私は診断士になってから初めて、自分が所属する(一社)東京都中小企業診断士協会 城北支部の新年会に参加した。そこで私は、臆面もなくある先生に、「どうやったら独立診断士で食べていけるようになるか?」と尋ねてみた。するとその先生は、「まずは公的機関からの仕事(窓口相談員など)を受注して、収入のベースを作るとよい」とアドバイスしてくれた。ただ、どうすれば公的機関からの仕事が受注できるのかまでは、さすがに簡単には教えてくれなかった。

 その後、城北支部が持つ特定非営利活動法人NPOビジネスサポート(NPO-BS)という団体の会合に出席した。NPO-BSは、城北エリア(板橋・練馬・台東・荒川・北)の中小企業・小規模事業者向けに、リーズナブルな価格で経営コンサルティングを提供している。その会合で、元支部長の青木先生と知り合いになった。青木先生に「君はどんな仕事ができるのか?」と聞かれた時、「コンサルティング会社にいたので、データの統計的処理はある程度できる」と答えた。すると、荒川区で区内中小製造業約2,000社の経営実態調査をやるから、その事務局に入って分析作業を手伝ってほしいとお願いされた。これが、診断士としての仕事の受注第1号である。

 事務局メンバーとして荒川区役所に通うようになると、青木先生から今度は「紹介したい企業が1社ある」と言われた。「ものづくり補助金で採択されたのだが、事務局に提出する書類の用意ができなくて困っているので手伝ってほしい」という。私はこの時初めて「ものづくり補助金」なるものの存在を知った。補助金の事務処理の手引きは100ページほどあった。この冊子に書かれた全ての要件を満たさなければ、補助金は支払われないという。そのため、私は冊子を隅々まで読み、紹介された中小企業の社長に頼み込んで様々な書類を用意してもらった。この仕事のおかげで、今まで単なるバラマキだとしか思っていなかった補助金の内実が理解できた。

 もう1つつけ加えると、この中小企業とやり取りをするために、私は自宅にFAXつきの固定電話を購入した。というのも、この企業は取引先とFAXで見積書などをやり取りしており、社長がそれをPDFに変換する方法を知らなかったので、帳票類を私に送るにはFAXしか手段がなかったからだ。当時は、手書きの帳票でやり取りする企業があること自体驚きだった(もっとも、様々な中小企業を訪問して場数を踏んだ今となっては、帳票が手書きであることは決して珍しいことではないとはっきり言える)。そして、この固定電話が、次の仕事を呼び込むことになる。

 ある時、当時の古川支部長から自宅の固定電話に電話があった。単刀直入に「君は今何の仕事をしているの?」と尋ねられたので、荒川区の仕事以外に大して何もしていなかった私は、「特に何もないです」と正直に答えた。すると、「実は、補助金の事務局員という業務があって、週に3日程度の勤務だがどうか?」と打診された。補助金で採択された中小企業のその後のフォローをするのが仕事だという。日当は決して高くなかったものの、固定収入が得られるという点で、新年会で教わったことにも合致すると思い、快諾した。それに、青木先生からの紹介でものづくり補助金の案件をやったことが、この事務局業務で大いに役立った。

 ところで、なぜ古川先生は私を選んでくださったのか疑問であった。事務局に行ってみたら、周りは皆50代、60代の診断士か企業OBばかりで、私のような若造はほとんどいなかったからだ。ある時、古川先生と直接お話しする機会があったので、そのことを聞いてみた。すると、古川先生は「支部の名簿を見て誰に電話するか決めようとしたのだが、あいうえお順にたどっていくのでは芸がない。最後からたどっていったら谷藤先生に当たった。そして、支部名簿に登録されていたのは携帯電話ではなくて固定電話の番号だった」と柔和な笑顔でおっしゃった。

 おそらくこれは古川先生なりのジョークだったと私は解している。実は、2012年末に板橋区中小企業診断士会の会合に出席して、古川先生とご挨拶をさせていただいている。その場で、実は9月に退院したばかりであり、今は仕事がないと素直に告白した。その時の古川先生は「体調にはくれぐれも気をつけて」と一言おっしゃっただけであった。だが、古川先生はその時のことを覚えていて、仕事がなくて困っていた私に優先的に仕事を紹介してくださったのだと思う。それをあのようなジョークで切り返すところに、古川先生の気配りが感じられた。

 補助金事務局には他支部の診断士が多くいたため、貴重な人脈を得ることができた。ある先生からは、城西支部の先生でコンサルビューション株式会社の代表である高原先生を紹介していただいた。高原先生は海外ビジネスリスクマネジメントという分野でコンサルティングを行っている。私は、恥ずかしながら海外に駐在した経験も長期滞在した経験もなく、海外進出を検討している日本企業の事業戦略立案を国内にいながら支援した程度である。そのぐらいの経験しかない私にも高原先生は仕事を作ってくださり、海外ビジネスに関する研修を一緒に開発したり、りそな総研から小冊子を発行したりすることができた(本ブログの右カラムを参照)。

 また、ある先生からは、(一社)城西コンサルタントグループ(JCG)を紹介してもらい、JCGに所属する先生との共著で本を出版することができた(本ブログの右カラムを参照)。診断士の中で、共著を出している方は多い。だから、出版は簡単だと高を括っていたが、思いの外大変であった。まず、共著者の知識のレベル感を合わせる必要がある。原稿の中で、それぞれの言葉はどういう定義で使うのかを細かく決めておかなければならない。原稿ができ上がったら、相互チェックを何度も繰り返す。事前に知識レベルを合わせても、今度は文章のスタイルがバラバラになったり、各章間の矛盾が露呈したりする。そこで、全体の統一感を出すために、推敲を重ねる。この仕事のおかげで、出版に至るプロセスとはどういうものなのかがある程度解った。

 補助金事務局に勤めたことで、補助金の仕組みについては随分と詳しくなった。そのため、城北支部の勉強会で何度か補助金について話をさせていただいた。その時の参加者の1人が、友人の弁護士に私の資料を見せたらしい。すると、その弁護士の顧問先で、中小企業に補助金を使ってもらって自社の設備を販売したいという機械メーカーがいるから、会ってくれないかと頼まれた。私はその企業の社長に、補助金はバラマキの印象が強いが、実際に補助金を受けるには様々な事務処理などがあり大変だという話をした。すると社長は、我が社のユーザ企業向けに、是非そういう補助金の基礎知識を学べるセミナーをやってほしいとのオーダーをいただいた。

 最初に仕事を受注した荒川区とはその後、国の特定創業支援事業でお世話になった。同事業の事務局をNPO-BSが受注し、私は事務局メンバーとして参画した。窓口相談員の管理、相談報告書の取りまとめ、セミナーの企画、講師のアテンド、集客用のチラシ・HPの作成、受講者管理、レジュメ印刷の手配、セミナー当日の運営、アンケートの集計、受講者の事後フォローなど、多岐に渡る仕事をやらせてもらった。窓口相談員ではなかったため、創業希望者と直接話をする機会は少なかったが、一般的な創業希望者が創業準備の段階において、どういうところで悩みや問題を抱えることが多いのかが何となく見えてきた。

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