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2016年08月17日
【中小企業診断士(平成28年度)】荒れたと言われる「経営情報システム」を解いてみた(オリジナル解説)(1/2)

中小企業診断士の1次試験が8月6日(土)、7日(日)に行われた。ネットを見ていると「経営情報システム」が大荒れだったらしい。「中小企業の実態に合っていない」などという指摘もあった。そこまで言われると一体どんな問題だったのか気になるので、中小企業診断協会のHPで問題を見てみた。個人的には、確かに私が受験した11年前に比べると随分難しくなったという印象はあるものの、必ずしもおかしな内容を問うているわけではないと思った。
<第1問>
ア=SSD(ソリッド・ステート・ドライブ:solid state drive)とは、記憶装置として半導体素子メモリを用いた、ストレージ(特に、ディスクドライブ)として扱うことのできるデバイスであり、HDDと同様に、OSをインストールすることができる。
イ=PCにグラフィックボードを取りつける場合には、HDMI、DVI、VGA端子を用いる。IDEは、HDDなどのハードウェアをマザーボードと接続する際に用いる。
ウ=正解。
エ=CPUソケットとは、コンピュータのマザーボード上にあって、CPUを物理的に保持し、電気的な接続を確立するための接点を持つ電子部品である。CPUソケットの形状は標準化されていない。チップセットが違えば、CPUソケットの形状も異なる。
<第2問>
液晶パネルの駆動方式は、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Virtical Alignment)方式、IPS(In-Place-Switching)方式の3種類に大別できる。詳細は「第4回 TN?VA?IPS?──液晶パネル駆動方式の仕組みと特徴を知ろう」(EIZO)を参照。
<第3問>
・ガーベージコレクション=プログラムが動的に確保したメモリ領域のうち、不要になった領域を自動的に解放する機能である。断片化した領域を整理し、連続して利用可能な記憶領域を確保することではない。
・ファイルダンプ=ダンプとは、デバッグやデータ修復のために、ファイルやメモリの内容をディスクに出力(記録、あるいは表示)すること。
・ホットスワップ=機器の電源を入れ稼動状態を保ったまま、部品やケーブルなどを交換、装着、抜去すること。また、そのような仕組みやコネクタなどの構造のこと。
<第4問>
ア=正解。
イ=ファームウェアとは、コンピュータなどに内蔵されるソフトウェアの一種で、本体内部の回路や装置などの基本的な制御を司る機能を持ったもの。具体的には、補助記憶装置に格納されたOSを呼び出してコンピュータを起動するプログラム(BIOS)などを指す。
ウ=ミドルウェアとは、OSとアプリケーションの間に入るシステムであり、データベース管理システム(DBMS)やアプリケーション開発環境など、OSの機能の拡張あるいはアプリケーションの汎用的(共通的)な機能を集めたものを指す。
<第5問>
COUNTIF(C$2:C$7, ">&C2")は、C2~C7の範囲において、C2の値より大きな値がいくつあるかを算出する。D2にこの数式を入れると、C2が最大値であるため0となる。そこで、順位を表すために1を加える。なお、COUNTIF(C$2:C$7, ">=&C2")とすると、C2~C7の範囲において、C2の値以上の値がいくつあるかが算出される。仮に、D2に入力した数式をD6にコピーすると、D6の関数はCOUNTIF(C$2:C$7, ">=&C6")となる。この場合、C6の値以上の値はC2、C4、C5、C6の4個となり、正しい順位が返ってこない。
余談だが、こんな面倒くさいことをしなくても、RANK関数を使えば一発で順位を計算できる。
<第6問>
・マルチセッション=フレッツなどのPPPoEを用いるネットワーク回線で、同時に複数のPPPoEセッションを利用できること、または同時に複数のPPPoEセッションを利用していることを指す。言い換えると、1つの回線契約で複数の接続先へ同時に接続を行うことができる。
・マルチログイン=複数アカウントを簡単に切り替える機能。Googleのサービスでは、複数のアカウントをログアウトなしに切り替えて使うことができる。
・Linux=UNIX互換のOSのこと。
・Apache=Webサーバソフトウェアの1つ。Webサーバ上でアプリケーションを動かすためのミドルウェア。Apacheは無償で公開されており、世界中のボランティアのプログラマたちの手によって長年に渡って開発が続けられている。
・VPN=インターネットに接続されている利用者の間に、仮想的な通信トンネルを構成したプライベートなネットワークのこと。専用回線と同等のセキュリティを確保できる。
・RADIUS=元々は、電話回線でダイヤルアップ接続の方式を利用するユーザに対してインターネット接続を実現するための認証プロトコルとして使用されていた。現在は無線LANや有線LANでのネットワーク接続時のユーザ認証のプロトコルとしても利用されている。
・LDAP=インターネットなどのTCP/IPネットワークでディレクトリサービスにアクセスするための通信プロトコルの1つ。 ディレクトリサービスとは、ネットワークの利用者に関する情報やネットワークに接続された機器、資源に関する情報をサーバ上のDBで一元管理する仕組み。
<第7問>
ア=ラスタ形式とは、小さな色の点(ドット)を集めて構成された画像のことで、bmp、png、jpg、tiff画像などが該当する。ベクタ形式とは、「アンカー」と呼ばれる座標の点を複数作り、そのアンカー同士を線でつないだり、線で囲まれた部分を塗りつぶしたりして表示する画像のことであり、eps、pdf画像などが該当する。
イ=IE8以下のブラウザなどはHTML5に対応していない。
ウ=正解。
エ=AIとは人工知能のこと。現実世界をコンピュータ技術で拡張するのはAR(拡張現実)。
<第8問>
ア=主キーには重複や空の値はあってはならないが、外部キーにはそのような制約はない。
イ=正解。A表の主キーに存在しない値をB表の外部キーに入れることはできない。
ウ=A表の行が削除できないということは、商品マスタテーブルをメンテナンスできない(具体的には、使わなくなった商品のレコードを削除できない)ことを意味し、非現実的である。
エ=商品マスタテーブルはA表であるから、A表に登録する。
<第9問>
ア=RDBでも分散は可能である(ただし、困難を伴う)。また、エのNoSQLが登場するまでは、RDBでビッグデータ解析を行うための技術の開発が行われていた。
イ=XMLデータベースは階層構造であるが、RDBは階層構造ではない。
ウ=正解。キーバリューデータベースとは、NoSQLデータベースの一種で、保存する情報(基本的にテキストデータ)をバリュー(Value)、識別記号(通常は数字)をKey(キー)と呼ぶシンプルな構造である。スキーマ設計は不要である。
エ=NoSQLデータベースは、Not Only SQLという名前の通り、SQL以外の言語も用いる。
<第10問>
ア=正解。
イ=IPv4互換アドレスにおいては、先頭の96ビット分をゼロで埋めて、残り32ビットにIPv4アドレスが入る。なお、現在IPv4互換アドレスは廃止されている。
ウ=IPv4では、IPアドレスはネットワーク部とホスト部から構成される。IPv6では、IPアドレスはプレフィックスとインターフェースIDからなる。インターフェースIDはホスト部に該当する。
エ=MACアドレスは60ビットではなく48ビットである。48ビットを8ビット(オクテットと呼ぶ)ごとにハイフンやコロンで区切り、16進数に変換して表記する。MACアドレス12桁のうち、前半6桁がメーカー固有のアドレスで、後半6桁が製品個々のアドレスとなる。
<第11問>
・スイッチングハブは宛先の端末にのみ信号を中継するのに対し、リピータハブは宛先に関係なくつながれている全ての端末に信号を中継するという違いがある。スイッチングハブでは、送信元と宛先以外の端末同士が別途に信号を送受信できるのに対し、リピータハブでは、送信元が信号を送信している間、他の端末は信号を送ることができない。なお、DSUとは、ISDN回線などで加入者側に置かれる回線終端装置のこと。
・ブリッジは1対1を基本とする通信であり、スイッチはn対nのそれぞれの通信で、ブリッジ動作を行う。無線の到達距離を伸ばすために無線LANルータを増やす場合、無線LANルータは直線的に接続されるため、ブリッジモードで使用するのが一般的。
・無線LANにおける暗号化には、WEP、WPA、WPA2があり、この順でセキュリティが強くなる。WPAには簡易認証方式としてPSK(Pre-Shared Key)を使うWPA-PSKがあり、さらにAES暗号を使う「WPA-PSK(AES)」と、RC4暗号を含んだ技術であるTKIPを使う「WPA-PSK(TKIP)」という2種類の方式がある。通常はセキュリティ強度が高い「WPA-PSK(AES)」を選択する。なお、WPA2にも、簡易認証方式としてPSKを使うWPA2-PSKがある。
・無線LAN機器同士でデータを送受信するためには、同じチャネルを使用する必要がある。2.4GHzで使えるチャネルは、IEEE802.11bの場合は1CHから14CH、IEEE802.11gの場合は1CHから13CHである。5GHz帯を利用する場合、IEEE802.11aのW52で36、40、44、48の4つのチャネル、W53で52、56、60、64の4つのチャネル、W56で100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140の11個のチャネルが使用できる。
<第12問>
・DNSサーバ=インターネットなどのTCP/IPネットワーク上でドメイン名やホスト名とIPアドレスの対応関係を管理するコンピュータのこと。
・Samba=マイクロソフトのWindowsネットワークを実装したフリーソフトウェア。Linux、Solaris、BSD、Mac OS XなどのUnix系OSを用いて、Windowsのファイルサーバやプリントサービス、ドメインコントローラ機能、ドメイン参加機能を提供する。
・メール送信サーバ=SMTPサーバ、メール受信サーバ=POP3/IMAPサーバを使用する場合には、ポート番号を指定する必要がある。ポート番号とは、TCP/IPを利用したネットワーク通信において、コンピュータが通信に使用するアプリケーションを識別するための番号である。
・DES=共通鍵暗号方式の1つ。
・S/MIME=電子メールのセキュリティを向上する暗号化方式の1つで、電子証明書を用いてメールの暗号化とメールへ電子署名を行うことができる。
<第13問>
ア=利用者証明用電子証明書は、署名用電子証明書で作成したアカウントサービスにログインするのが主な目的であり、個人情報の4情報(氏名、住所、性別、生年月日)は入っていない。これに対して、署名用電子証明書は、インターネットで電子文書を作成・送信する際に利用する(例:e-Tax等の電子申請)。「作成・送信した電子文書が、利用者が作成した真性なものであり、利用者が送信したものであること」を証明することができる。
イ=利用者証明用認証局とは、インターネット利用時などに、番号カードを利用し利用者本人であることのみを証明する仕組みを提供する認証局であり、電子証明書の発行主体ではない。
ウ=利用者証明用電子証明書には個人情報の4情報(氏名、住所、性別、生年月日)が入っていないため、転居したことは解らない。
エ=正解。
(続く)