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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長を務めています)

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(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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最新記事

2016年11月11日

『未来をつくるU-40経営者(DHBR2016年11月号)』―U-40の起業家は歳が近くて悔しくなるので、Over50の起業について考えてみた


ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016年 11 月号 [雑誌] (│創刊40周年記念号│ 未来をつくる U-40経営者)ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016年 11 月号 [雑誌] (│創刊40周年記念号│ 未来をつくる U-40経営者)

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 U-40の経営者20名を取り上げた日本オリジナルの企画。自分と歳が近くて悔しくなるので(苦笑)、今回の記事では本号の内容とは全く無関係に、Over50の起業について考えてみたいと思う。旧ブログの記事「高齢社会のビジネス生態系に関する一考(1)―『「競争力再生」アメリカ経済の正念場(DHBR2012年6月号)』(2)(3)」では下のような図を用いた。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」を基に作成したものである。

<年齢5階級別人口(平成42年)>
年齢5階級別人口(平成42年)

 かつての日本企業は、終身雇用を前提としており、中高年社員の数が社内のポストの数を上回ると、彼らを子会社や関連会社に出向・転籍させることでその雇用を維持してきた。ところが、経営合理化が進む中で子会社や関連会社は整理される方向にあり、今後はこのようなことが難しくなる。少なからぬ中高年社員が退職勧奨を受けるに違いない。しかし、彼らは自らの生活のために、70歳まで(もしかしたら80歳ぐらいまで)は働き続ける必要がある。そのためには、中高年自身が起業するしかない。その結果、将来の日本には、20代を底辺とする従来型のピラミッドと、40代後半~50代を底辺とする新しいピラミッドが併存すると予想される。

 新しいピラミッドは中高年を中心とする組織であり、従来のマネジメントとはやり方を変えなければならない。私は4年ほど、中小企業向けのある補助金事業の事務局員を務めているのだが、私のような30代は皆無に等しく、周りは50代、60代の中高年ばかりである(中小企業診断士と大企業などのOBがおおよそ半分ずつである)。彼らと一緒に仕事をする中で、Over50が起業して新しいピラミッドを経営する際に気をつけた方がよいと思うことがいくつか見えてきた。

 ①能力開発、仕事を覚えるのに時間がかかる。
 加齢に伴って記憶力が低下し、新しいことを覚えるのに時間がかかるのは致し方ないことだ。補助金事業は細かいルールの集まりで、事務局員は中小企業がそれらのルールをきちんと守っているかチェックするのが仕事である。だが、同じ仕事をもう3~4年もやっているのに、未だに基礎的なことを質問する人が少なくない。だから、定期的に研修、勉強会、テストなどを行って、知識の確認をこまめに行うことが必要であろう。また、「能力マップ」を作成するのも一つの手である。社員に求められる能力を洗い出し、それぞれの能力について、その社員のレベルをグラフで可視化する。すると、社員は自分のレベルを認識することができ、学習の動機づけになる。

 中高年社員は仕事を覚えるのに時間がかかるから、IT化をしたり最新の設備を入れたりすれば手助けになるだろうと考えるのは大間違いである。IT化などをすると、今度はそのITを使いこなすのに時間がかかる。下手にITや機械に頼らない方がよい。彼らが手作業で仕事を合理化できるように支援することが、マネジメントの仕事である。

 ②一言で言えば頑固、考え方を変えない。
 中高年になると、自分の考え方を変えることは非常に難しいようである。新卒採用では応募者の性格を(素直で協調性があり、責任感があるか)、30代ぐらいまでの中途採用では、応募者が異なる価値観に直面した時にどのように対処するかを評価することがポイントであると私は考えている(以前の記事「『戦略人事(DHBR2015年12月号)』―アメリカ流人材マネジメントを日本流に修正する試案」、「『願いに生きる(『致知』2016年3月号)』―私のブレブレの人材マネジメント論を反省した、他」を参照)。一方、中高年を採用する場合には、自社の価値観とほぼ完璧に一致する人でなければ、絶対に採用してはならない。

 仮にそういう人材が採用できたとしても、彼が次の言葉を発する時が必ず来る。「この会社のやり方はなっとらん。私の前職の企業ではこういうふうにやっていた」と。事実、補助金事務局には、別の補助金事業を経験したことがある人がいて、「この補助金はなっとらん」とよく吠えていた。そういう人がいる場合には、「それならば、あなたが理想だと思うようなやり方を考えてほしい」とお願いしてみる。ただし、彼らが前職のやり方をそのまま自社に持ち込もうとしたら、次のように助言する。「確かに前職のやり方は優れている。しかし、ここは前職の企業とは違う。我が社に合ったやり方にカスタマイズする必要がある」。

 中高年社員が前職の企業でその企業のやり方に従って高い成果を上げていたら、今頃は退職勧奨などを受けずその企業に居続けたはずである。どんな形であれ、現在の企業に転職したということは、その人が前職の企業のやり方に馴染めなかったことの証左である。それをそのまま持ち込むのは傲慢な行為であることを、上手に本人に認識させる必要がある。

 ③弱みを克服するのは難しい(ただし、例外的に1つだけ克服すべき弱みがある)。
 ①②とも関連するのだが、どんなに能力開発に時間をかけても中高年社員が能力を習得できないことがある。また、考え方が頑固であるがゆえに、弱みを克服することを拒否する社員もいる。どの社員がどういう弱みを抱えているかは千差万別である。ただし、彼らの弱みに対する対処法は共通である。それは、弱みとなっている能力が必要とされる仕事を担当させるな、ということである。ドラッカーは、社員の弱みではなく強みに注目せよと繰り返し説いていたが、その主張はまさに中高年社員にこそよくあてはまる(逆に、若いうちは弱みを克服するよう努力するべきである。旧ブログの記事「自分の「強み」を活かすのか?「弱み」を克服するのか?」を参照)。

 ただし、1つだけどうしても習得してもらわなければならない能力がある。それは、顧客応対能力である。Over50が起業した会社は、言うまでもなくベンチャー企業である。ベンチャー企業では、全員が営業担当者であるかのように振る舞わなければならない。ところが、大企業出身者となると、意外と顧客接点での仕事経験が少なく、顧客に対して適切に応対できないことがある。私がいる補助金事務局でも、中小企業の社長に対して上から目線で命令したり、タメ語で親しげに電話したり、失礼な文言でメールを書いたりする人が結構いて驚いた。顧客応対能力を上げるためには、何も特別な訓練は必要ない。社員と顧客との電話やメールのやり取り、社員の商談の様子を記録して、よいところと改善すべきところをフィードバックすればよい。

 ④モチベーションは高くない。
 残念ながら、中高年社員には、20代の若手社員のような高いモチベーションは期待できない。彼らが前職で退職勧奨を受けたのであればなおさらだ。ベンチャー企業では通常の企業よりも1人でたくさんの仕事をしてもらわなければならないのだが、中高年社員のモチベーションの低さはアキレス腱となる。この問題に対する1つの解決策は、中高年社員に肩書や地位を与えることではないかと考える。旧ブログの記事「「動機」の構造を自分なりにまとめてみた-『"働く"をじっくりみつめなおすための18の講義』」でも書いたが、この年代の人たちは地位や肩書を、社会的に承認を受けた証として非常に重視する。この傾向を利用するのである。

 とはいえ、ベンチャー企業における肩書の数などたかが知れている。そもそも、前職の企業ですら地位や肩書が不足しているために溢れ出した人たちである。肩書を乱発するのにも限界がある。その場合は、社内資格制度を導入するとよいと思う。資格には保有人数の制限がない。また、1人の社員が複数の資格を持っていても何の問題もない。

 ⑤健康リスクが高い。
 中高年社員の健康リスクが高いことは言うまでもない。現に、私がいる補助金事務局でも、病気で入院した人が何人もいる。その間、業務が止まってしまっては困る。たいていの企業では、残った社員が必死になって、いない社員の分をカバーするだろう。私は、もしもの場合に備えてBCP(事業継続計画)を作るべきではないかと考える。通常、BCPは大きな自然災害が起きた時に、最低限の稼働を確保し、早期に復旧を図るための計画とされている。このBCPを応用し、「例えばAさんが急病で倒れた時にはどうするのか?」、「Bさんだったらどうするのか?」、「AさんとBさんが同時に倒れたらどうするのか?」といった計画をあらかじめて立てておくのである。

 ⑥子どもの教育や親の介護にお金がかかる。
 40代後半~50代の社員にとっては、子どもがちょうど高校や大学に進学する頃であり、教育費がかかる。50代中盤になって子どもがようやく社会人になると、今度は親の介護にお金がかかるようになる。また、⑤とも関連するが、自らの医療費も増えていく。以前の記事「坂本光司『日本でいちばん大切にしたい会社2』―給与・採用に関する2つの提言案(後半)」でも書いたように、私は年功制こそが最も公平であり、歳を取るにつれて増加する生活費をカバーできる最適な賃金制度だと考える。Over50の企業でも、年功制を採用すべきである。逆に、年功制が維持できないような事業で起業してはならない。それでは社員をかえって不幸にするだけだ。

 ⑦子どもや親の関係もあり、フルタイムや転勤は難しい。
 ⑥とも関連するが、中高年社員が親の介護をするようになると、週5日フルタイムで働くことが難しくなる。そうでなくても、60歳を過ぎると、体力の衰えからか、週5日のフルタイムは厳しくなるようだ。私のいる補助金事務局でも、「週5日出勤するのは難しい」と言う人は少なくない(我々は嘱託社員であり、週に何日出勤するかは本人に任されている)。そこで、週3~4日の勤務や1日6時間の勤務など、いわゆる「多様な正社員」を積極的に採用する必要があるだろう。

 もう1つつけ加えると、中高年社員は子どもや親の都合もあり、転勤を伴う仕事をさせるのがほぼ不可能である。ということは、必然的にOver50の企業は地元密着型でなければならない。その際に参考になるのが、冨山和彦氏が提唱した「グローバル経済(Gの経済)」と「ローカル経済(Lの経済)」という考え方である(以前の記事「冨山和彦『なぜローカル経済から日本は甦るのか』―城北支部青年部での読後感想のまとめ」を参照)。

 Gの経済では世界中に競合他社がおり、厳しい競争、スピード感のある経営が要求される。だが、これまで見てきたように、社員のモチベーションがさほど高くなく、能力と体力に制約があるOver50の企業は、この世界で戦うのが難しい。こういう世界は、若手を中心とする従来型の企業に任せる。代わりに、Over50の企業は、Lの経済を担う。Gの経済がどれだけ大きくなろうとも、Lの経済が消えることはない。しかも、Gの経済で戦う企業から見ると、Lの経済規模は小さいため、Lの経済には参入してこない。その隙を狙って、地域経済において高いプレゼンスを発揮する。冨山氏の言葉を借りれば、「オリンピックで金メダルを獲れなくても、県大会レベルで優勝すればよい」。それであれば、何かと制約の多いOver50の企業でも十分に達成可能である。


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