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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
所属組織など
◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


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(城北支部執行委員、青年部長、および国際部員を務めています)

NPOビジネスサポート特定非営利活動法人NPOビジネスサポート
(監事を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

Experian海外企業信用調査 海外企業信用調査(Experian)
(一緒にお仕事をさせていただいている「コンサルビューション株式会社」は、世界最大の信用調査会社Experianの正規代理店です)

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(以下の資格の講師をしています。
 ―ITパスポート
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 ―経営学検定(初級・中級)
 ―中小企業診断士(企業経営理論、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策)
 谷藤友彦と株式会社サイトビジット代表取締役・鬼頭政人氏の対談動画(1)(2)(3)
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2017年03月17日

『繁栄の法則(『致知』2017年4月号)』―日本企業は「顧客の顔が見える経営」に回帰すべきではないか?

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致知2017年4月号繫栄の法則 致知2017年4月号

致知出版社 2017-04


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 お客様と親しくなり過ぎてはいけませんけど、やはり自分の家族や親戚、友達が来たような温かい気持ちでお迎えする。お客様がいまどうしてほしいかってことに気がついて、して差し上げる。そうして喜ばれる。その喜びが自分の喜びになる。
(和倉温泉加賀谷女将・小田真弓「お客様の最高満足度を追求して」)
 私が社員にいつも言っているのは、「お客様を恋人や家族だと思いなさい」「自分がやられて嫌なことはしない」ということです。恋人や家族が困っていたり苦しんでいたら、当然助けたいと思いますし、自分がやられて嫌なことはしませんよね。
(島根電工社長・荒木恭司「住まいのおたすけ隊で「期待を超える感動を!」」)
 (※創業者の)坂口の言葉は、当社のバイブルとしていまも生き続けているんですが、中でも特に私が胸に刻み続けているのが次の言葉です。「非常に基本的なことだが、日頃から、まわりに対する思いやり、助け合い、つまり『人間愛・家族愛』が非常に大切だと考えている。生命保険とは、まさにそれをビジネスという形で具現化したものに他ならない」
(プルデンシャル生命保険 エグゼクティブ・ライフプランナー・石井清司「仕事を通じて知恵と人間性と勇気を養い続ける」)
 企業による不祥事が後を絶たない。自動車メーカーを見てみると、2016年4月には、三菱自動車で大規模な燃費データの不正が発覚した。5月には、スズキが燃費測定に関する不正問題を引き起こした。自動車部品メーカーのタカタは、未だにエアバッグの欠陥問題の渦中にある。食品業界は相変わらず不祥事のオンパレードで、最近は京都にある米卸の京山が、国産コシヒカリに中国産の米を混ぜていた疑いがあると週刊ダイヤモンドが報じた。日本企業が同業他社の失敗から一向に学習しない理由は、以前の記事「日本企業が陥りやすい10の罠・弱点(1)(2)」でも書いたが、日本人は基本的に皆同質だと思っていながら、いざ問題が起きると「あの企業(人)は特殊なので、我が社(私)には関係ない」と楽観視してしまう傾向があるようだ。

 ただ、それよりももっと深刻な要因は、日本企業には顧客の顔が見えなくなっている点にあるのではないかと思う。引用文のように、自社の顧客に対して家族や親戚、友人や恋人のように大事に接すれば、欠陥のある製品・サービスを押しつけたり、不都合な情報を隠蔽したりはしないはずだ。企業と顧客の距離が遠くなっているがために、「このぐらいごまかしてもバレないだろう」という心理が働てしまうに違いない。かつて、多くの日本企業は現場を重視してきたが、日本人は自分の目に見える事柄については非常に強い関心を示す。ところが、いざ目に見えない世界となると、途端に興味が薄れ、正しい認知ができなくなる。

 日本企業を顧客から遠ざけたのは、アメリカから輸入されたCRMシステム(Customer Relationship Management:顧客関係管理システム)やSFAシステム(Sales Force Automation:営業管理システム)である。CRM/SFAには、顧客の属性情報を登録し、商談履歴や購買履歴、クレーム情報などを蓄積していく。マネジャーはこれらのデータをPC上で分析して、「この顧客にはこういう製品・サービスが売れそうだ」、「最近はこういう顧客セグメント層が出現しているから、彼らにはこういう新しい製品・サービスが売れるのではないか?」と検討する。顧客の生の声を聞かずとも、データだけで相当なマーケティングができるようになったわけだ。

 ただ、これはアメリカだからできることである。グローバル規模で大量に製品・サービスを販売するには、個々の顧客をいちいち観察している暇などない。だから、彼らはデータに依存する。そして、どういうわけか私もまだ十分な考察ができていないのだけれども、アメリカ人はデータ分析中心であっても、顧客ニーズの核心に迫ることができるという特殊能力を持っている。これがアメリカでは普通だから、例えばP&Gやユニリーバの社員がわざわざ消費者の自宅を訪れて一定期間一緒に生活することで、潜在的なニーズをくみ取ろうとしているとか、文化人類学に倣ってエスノグラフィー・マーケティングなるものが登場すると、アメリカでは奇異の目で見られる。

 アメリカ企業のこうした事例が日本に紹介された時、私は「これは日本企業が昔からやっていた手法なのではないか?」と感じた。日本企業のマーケターや営業担当者は、バッタ営業などと揶揄されながらも、顧客にへばりついてその行動を観察し、言葉に現れない細かい潜在ニーズを丹念に拾い上げていった。そして、マーケターや営業担当者が家族や友人にしてあげるのと同様に、今目の前にいるこの具体的な顧客のために自分が役に立てることはないか?と問うたのである。時に自社の利益を度外視してでも、顧客に貢献することを優先することもあった。

 顧客が自社にもたらす収益に応じてランク分けするというのもアメリカ企業の発想である。CRM/SFAシステムを使うと、顧客ごとの収益を計算することができる。その計算をもっと高度にすれば、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を求めることも可能だ。そして、自社にとって”金になる顧客”にフォーカスせよというのが、アメリカ企業のやり方である。10年ほど前、私がコンサルタントとしてまだペーペーだった頃、シティバンクは預金口座の残高に応じて顧客に手数料を課しているという話を聞いて驚いた記憶がある。シティバンクは、預金残高が高い顧客には手数料を課さない。逆に、預金残高が低い顧客には、口座維持費として手数料を要求する。つまり、「お金がない人は我が社に来るな」というメッセージを暗に発しているのである。

 私の前職のコンサルティング会社でも、クライアント企業の営業部門に対して、「顧客の予算規模の大きさ」と「営業担当者と顧客との関係性の強さ」という2軸でマトリクスを作り、クライアント企業の顧客をマッピングして、顧客の取捨選択を勧めたことがあった。今となっては、ほめられた提案ではなかったと後悔している。日本企業は、アメリカ企業のように顧客を自社の都合で選択しない方がよい。繰り返しになるが、目の前にいる実際の顧客のために、まるで家族や恋人に対してするかのように最善を尽くす。その顧客がすぐにお金になるか、3年後にお金になるか、一生お金にならないかは解らない。全社員が、自分の受け持った顧客に対して分け隔てなく接する。そうすれば、自然と利益は後からついてくる。国際コミュニオン学会名誉会長の鈴木秀子氏は、お金に対する執着を捨てた瞬間、不思議とお金が増えるようになったと述べている。

 組織には2:6:2の法則がある。優秀な社員とダメな社員が2割ずつ、残りの6割は平凡な社員であるという法則である。この法則の面白い点は、ダメな社員は自社に貢献していないのだからクビを切ればいいと言って解雇すると、残りの8割の社員が再び2:6:2の割合で分散するということである。先ほど、顧客にはすぐにお金になる顧客、3年後にお金になる顧客、一生お金にならないかもしれない顧客があると書いた。私の直観だが、この3タイプの顧客も2:6:2の法則に従うような気がする。そして、一生お金にならないかもしれない2割の顧客を切ると、残りの8割の顧客が再び2:6:2の割合で分散するのではないかというのが私の仮説である。

 一生お金にならないかもしれない2割の顧客どころか、普通の6割の顧客までも切り捨てたがために痛い目に遭った日本の大手コンサルティングファームを私は知っている。随分昔の話なのだが、このコンサルファームの金融事業部門はある時、自社との取引額(コンサルティングフィー)が上位5位以内に入らない金融機関との取引を全て停止するというレターを金融機関に送りつけた。ちょうどその頃は金融機関の業界再編が進んでおり、このレターを送った直後に、上位5社の間でも合併が相次いだ。その結果、顧客となる金融機関が2行に減ってしまった。金融事業部門のパートナーは慌てて他の金融機関からコンサルティング案件を掘り起こそうとしたものの、レターの印象が悪すぎて、その後数年は金融事業部門の売上が低迷したという。

 日本企業は、データや収益性よりも、自分の目に映ることを大切にし、1人1人の顧客との絆を構築するべきである。以前の記事「『シン・保守のHOPEたち 誰がポスト安倍・論壇を担うのか/慰安婦合意(『正論』2017年3月号)』―保守とは他者に足を引っ張られながらも、なおその他者と前進を目指すこと」でも書いたが、絆は「ほだし」とも読み、足枷という意味も持つ。家族関係が時に煩わしさを伴うのと同様、顧客との絆も企業の足を引っ張ることがあるだろう。「なぜこの顧客にここまでしなければならないのか?」、「こんなことをしたら赤字になるのではないか?」と思うこともある。それでも、自社が接するあらゆる顧客の様々な困りごとを助ければ、大儲けは難しくても大赤字は防げる。これは確たる根拠がある話ではない。信じるか否かの話である。

 《2017年4月12日追記》
 上記のような経営を実践すると、こんな感じになるはずである。
 鎌田:要は患者さんの身になるってことで、それだったら誰も反対しないわけですよ。具体的には、どんな患者さんも断らなかったり、多くの病院が休みの正月に溢れるほど患者さんが来られても、医者も自然と集まるような病院です。小池都知事の言い方をすれば患者ファースト。医者にとって、これが一番のやりがいになるんです。ですから僕が院長として19年にわたって温かな病院をやっているうちは、それほど大きな黒字にはなりませんでしたが、赤字には一度もなりませんでした。
(鎌田實、佐光正義「その時、リーダーはどう動くか」〔『致知』2017年5月号〕)
致知2017年5月号その時どう動く 致知2017年5月号

致知出版社 2017-05


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 もう1つ重要なのは、自社が顧客の様々な(時に無茶な)要求に応えているからと言って、自社の社員や取引先、金融機関や株主など自社に経営資源を提供してくれる自社より下位のステークホルダーに無茶な要求をしてはならないということである。「虐待の連鎖」という言葉があり、親から虐待を受けて育った人は、自分が親になると子どもに虐待をするケースが多いことが解っている。企業はそういう連鎖を作り出してはならない。自社のステークホルダーに対して、彼ら自身が追求している成果を上げられるよう、彼らに寄り添って支援をする必要がある(以前の記事「【ドラッカー書評(再)】『断絶の時代―いま起こっていることの本質』―「にじみ絵型」の日本、「モザイク画型」のアメリカ」を参照)。つまり、企業は第一に滅私・利他的でなければならない。この時、日本で失われつつある共同体が企業を中心に復活するのではないかと考える。

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