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2017年08月09日
【中小企業診断士】企業経営理論 解答・解説(2/2)【平成29年度1次試験】

中小企業診断士1次試験(企業経営理論)問題
中小企業診断士1次試験(企業経営理論)解答
(※)(一社)中小企業診断協会HPより。
(前回の続き)
【問22:イ】
「解凍―変化―再凍結モデル」とは以下のモデルである。
(1)解凍
従来からの日常行動、システム、伝統などに慣れた組織の構成員に対して新たな変化の必要性を理解させる。つまり均衡状態を崩し、従来からのやり方から決別させ、新たな変化に向けての準備をさせる段階のこと。解凍は、推進力(現状から離れた方向に行動をさせる力)が増強された場合、抑止力(現状の均衡を維持しようとする力)が減圧された場合に起こり得る。
(2)変革
組織の構成員に対して、新しい行動基準や考え方を学習させる段階のこと。
(3)再凍結
導入した新しい変革を組織構成員に定着化・慣習化する段階のこと。再凍結においては、新しい行動基準や考え方を定着させるために、絶えず新しい行動や考え方を強化、奨励する環境を作ることなどが重要である。
イ:解凍の段階では、過去の失敗と真摯に向き合い、変わらなければならないという危機意識を持たせることが重要となる。
【問23:オ】
ア:ベネッセコーポレーションの個人情報漏洩事件など、非正社員が機密事項を漏洩させる事件が発生している。
イ:非正社員は正社員とほぼ同等の仕事をしているにもかかわらず待遇の面で差があるため、組織に対するロイヤルティを感じにくくなっている。
ウ:イで述べた通り。
エ:企業が正社員を育成せずに、必要に応じて非正社員を利用すればよいと考えると、正社員の育成に対するインセンティブが弱まる。
オ:非正社員が正社員に期待されている役割を遂行できるようになったというよりも、非正社員が正社員と同等の役割を担わされていると言った方が正しい。
【問24:ア】
ア:正しい。
イ:「所定労働時間を超える労働の有無」及び「所定労働時間を超えて労働させる程度」については、労使間で36協定を締結する必要がある。
ウ:「表彰に関する事項」は就業規則における相対的必要記載事項であり、定めを設ける場合には明文化する必要がある。
エ:使用者は、仮に雇用契約書を締結しなくても、労働者に適用される労働条件が規定された部分を明らかにした就業規則を交付すれば、当該事項の明示義務を果たしたことになる。
【問25:エ】
ア:試用期間中の労働者であっても、雇い入れ時から14日を超えれば、労働基準法第20条に定める解雇予告に関する規定は適用される。
イ:任意退職の場合、就業規則その他に別段の定めがなければ、民法第627条2項の規定により少なくとも2週間前に予告すればよい。
ウ:「日々雇い入れられる者」は、継続勤務期間が1か月超の時点で解雇予告が必要となる。
エ:正しい。
【問26:ア】
ア:給与は現金払いが原則である。労働者の銀行口座への振込みによって支払うためには、当該労働者の同意が必要となる。
イ:年俸に賞与が含まれているケースでは、毎月50万円とはならない。例えば、年俸に4か月分の賞与が含まれている場合、毎月の給与は600万円÷(12か月+4か月)=37.5万円となる。
ウ:未成年者の親権者または後見人は、その賃金を代わって受け取ることができない(労働基準法第58条、第59条)。
エ:給与は毎月一定の日に支払う必要があり、毎月の第4金曜日というような特定された曜日に定期賃金を支払うことはできない。
【問27:ウ】
ア:労働基準監督署に届け出た労働日、ならびに始業および終業の時刻と異なる日時に労働させた場合には残業代が発生する。なお、1か月単位の変形労働時間制の場合、労働基準監督署に届け出る必要はなく、就業規則に定めれば十分である。
イ:アと同じ。1年単位の変形労働時間制は、労働基準監督署への届出が必要である。
ウ:正しい。専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の違いはこちらを参照。
エ:フレックスタイム制は、始業および終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねる制度である。ただし、企業側が定めるコアタイムには出社する必要がある。
【問28:イ】
ア:威光価格の場合、顧客は価格が高いことで高い価値を感じるものであるから、価格を下げるとかえって製品が売れなくなることがある。
イ:需要曲線が上方に移動すると、販売数量と価格が上昇する。
ウ:選択肢に記載されている行為はカルテルであり、独占禁止法で禁じられている。
エ:スキミングプライス(上澄吸収価格)戦略のように、市場導入期に早期に利益を上げて投資を回収するという戦略もある。
【問29(設問1):エ】
ア:「クロスバイイング」とは、関連する製品を同時に購入することである。
イ:「ダンピング」とは、廉価販売のことである。
ウ:「ブラウジング」とは、インターネットに接続して情報を探し出すことである。
エ:「フリーライディング」とは、ただ乗りのことである。Y社は、販売員が顧客に対して製品の説明をするのに要するコストをX社に転嫁していると言える。
【問29(設問2):エ】
エ:家電量販店の業界で起きたことである。
【問30(設問1):エ】
ア:「選択的専門化」とは、複数のセグメントを選択することであり、異なるセグメントの間では市場や製品が共通しない。選択肢にある製品群は剣道用具という点で共通しており、誤り。
イ:「製品専門化」とは、ある1つの製品を複数のセグメントにまたがって販売することである。選択肢では、豆腐を特定の顧客に販売しているため、誤り。
ウ:「市場専門化」とは、製品専門化とは逆に、1つの市場に複数の製品を販売することである。選択肢では、タオルを様々な市場(顧客)に販売しているため、誤り。
エ:正しい。
【問30(設問2):ウ】
A:既存の市場に既存の製品を提供するのは、アンゾフの成長ベクトルで言えば「市場浸透戦略」であり、具体的には「顧客内シェアの向上」である。
B:既存の市場に新規の製品を提供するのは、アンゾフの成長ベクトルで言えば「新製品開発戦略」であり、具体的には「新製品で顧客深耕」である。
C:既存の製品を新規の市場に提供するのは、アンゾフの成長ベクトルで言えば「新市場開拓戦略」であり、具体的には「既存製品の新用途開発(を通じた新市場の発見)」である。
D:新規の市場に新規の製品を提供するのは、アンゾフの成長ベクトルで言えば「多角化戦略」であり、具体的には「新製品で市場開拓」である。
【問31(設問1):ウ】
ア:「レッドオーシャン戦略」とは、「ブルーオーシャン戦略」の対義語であり、競争が非常に激しい業界における戦略のことを指す。
イ:「クロスセル」とは、顧客にある製品と関連する製品を一緒に購入してもらうことを指す。
ウ:正しい。製品のバラエティが豊富であることが価値となり、流通業者から有利な条件を引き出すことができる。
エ:マーケティング志向の企業は基本的にニーズを出発点とするが、絶対にシーズを出発点としないとは限らない。仮にシーズから出発しても、最終的に顧客のニーズを的確にとらえた製品ができ上がれば、マーケティング志向であると言える。
【問31(設問2):ウ】
ア:新製品のコンセプト開発においては、既存顧客や顕在顧客だけでなく、新規顧客や潜在顧客も念頭に置く必要がある。
イ:新製品のコンセプトは、顧客を含む、企業の外部に対する解りやすさが第一である。
ウ:正しい。
エ:「観察法」とは、マーケターが持っている一切の先入観や仮説を排して顧客の購買行動や消費行動を直接観察し、潜在的なニーズを拾い上げる手法であり、製品コンセプトの開発においては極めて重要である。近年では、文化人類学の手法を活用したエスノグラフィー・マーケティングを実践する企業が増えている。
【問31(設問3):エ】
ア:PEST分析の「S:Society」は企業文化的環境ではなく、広い意味での文化を指している。
イ:SWOT分析は、外部環境と内部環境の両方を分析するものである。
ウ:最大の競争相手の市場シェアで自社の市場シェアを割った値が1を超えていれば、自社はその市場のリーダー企業である。
エ:正しい。市場全体の経済的なサイズを「PAM(潜在市場)」、自社が提供可能かつアクセス可能な市場のサイズ(長期的に追求すべき市場)を「TAM(有効市場)」、有効市場のうちの特定の顧客セグメント(当面追求すべき市場)を「SAM(対象市場)」、対象市場のうち当面獲得を目指すべき顧客数(市場シェア)を「SOM(獲得市場)」と呼ぶ。
【問32:オ】
マーケティングにおける4つの競争次元についての問題である。「ブランド競争」とは類似商品による競争、「産業競争」とは同じ産業間の製品競争、「形態競争」とは同じベネフィット(便益)を得られる製品間の競争、「一般競争」とは財布の中身をめぐる競争を指す。
【問33:エ】
ア:ドレッシングは商品間の差を理解しにくく、顧客は慣習的な購買行動をとる。
イ:「連結型」においては、顧客は各属性について最低限許容できる水準を設定し、全ての属性の最低基準を満たす選択肢を選ぶ。
ウ:宝石のようによしあしを容易に判断できない高額な製品の場合は、価格やブランドなどを手がかりに、比較的単純な情報処理で購買意思決定を下す。
エ:正しい。「辞書編纂型」とは、知覚される最も重要な属性から順番に評価し、重要度の高い属性で最高のブランドを選択する。
オ:「EBA法(参入障壁評価法)」とは、知的資産による参入障壁の高さを評価する方法である。選択肢の記述は「加算型」の説明になっている。
【問34(設問1):イ】
ア:顧客は様々な価値観を持っており、それに基づいて情報を解釈するため、説得的情報がそのまま記憶に追加されるとは限らない。
イ:自分が好きなもの、信じていること、慣れ親しんでいる価値観(世界観)などに合致する情報を選択する心理的傾向を「確証バイアス」と呼ぶ。
ウ:ポジティブな外部要因によって消費者の好ましいムードを醸成すると、説得的情報が受け入れられやすくなる。
エ:消費者による評価や選択確率を高めるにはある程度の接触回数が必要であるが、度を越えた接触はかえって消費者の反感を買うことがある。
【問34(設問2):イ】
ア:消費者生成型の映像コンテンツを消費者に制作してもらうために消費者の協力を仰ぐ必要があるため、時間的な負担は発生する。また、消費者が制作した映像を企業が編集して使用する場合には金銭的な負担も生じる。
イ:「統合型マーケティングコミュニケーション」とは、企業が発信する広告、PR、セールス・プロモーション、ダイレクト・マーケティング、製品パッケージといったあらゆるマーケティング・コミュニケーション活動を、受け手である消費者の視点で再構築し、戦略的に統合することである。
ウ:テレビ広告と新聞の折り込みチラシを連動させることで、コミュニケーションの影響力を強化することができる。
エ:統合型マーケティングコミュニケーションにおいては、発信されるメッセージは、企業視点ではなく顧客視点で練り上げられる。
【問35:イ】
ア:「準拠集団」とは、人の価値観、信念、態度、行動などに強い影響を与える集団(家族、地域、学校、職場など)を意味する。構成員に対して、「かくあるべき」との規範を科すのが特徴である。ただし、準拠集団となるのは、必ずしも当人が所属する集団とは限らない。
イ:Twitterなど弱いつながりのネットワークが、マーケティング情報の広範で迅速な伝達をもたらすことを想起するとよい。
ウ:エベレット・M・ロジャースが提唱したイノベーター理論によると、顧客はイノベーター、アーリー・アダプター、アーリー・マジョリティ、レイト・マジョリティ、ラガードに分類される。このうち、オピニオンリーダーとなるのはアーリー・アダプターである。
エ:人の目に触れる場で使用される製品の方が、顧客は他者の評価を気にするため、ブランド選択における他者集団の影響が大きくなる。
【問36:ア】
ア:正しい。製品やサービス自体には価値の一部しか埋め込まれていない。顧客がその製品やサービスを使って何を実現することができるかが顧客にとっての価値となる。
イ:アで述べた通り、顧客にとっては、製品やサービスそのものではなく、その製品やサービスを使って何を実現できるかの方が大切であるため、デザイン、品質、特徴といった部分的な要素よりも、製品やサービス全体としての提供価値を重視するべきである。
ウ:ホテル業や鉄道業は接客サービスを伴うので、サービス業である。
エ:マーケティング視点での製品開発においては、コスト低減のみが最優先課題となるわけではない。多少コストが高くても、そのコストを上回る価値を提供することができれば、マーケティング視点に立った製品開発が実践できていると言える。