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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
所属組織など
◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長、および国際部員を務めています)

NPOビジネスサポート特定非営利活動法人NPOビジネスサポート
(監事を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

Experian海外企業信用調査 海外企業信用調査(Experian)
(一緒にお仕事をさせていただいている「コンサルビューション株式会社」は、世界最大の信用調査会社Experianの正規代理店です)

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(以下の資格の講師をしています。
 ―ITパスポート
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 ―中小企業診断士(企業経営理論、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策)
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2015年12月23日

シンポジウム「変わるASEAN、変わらないASEAN:2015年ASEAN経済共同体実現を捉えて」に参加してきた

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 (※写真はシンガポールの夜景)

 日本アセアンセンターが主催するシンポジウム「変わるASEAN、変わらないASEAN:2015年ASEAN経済共同体実現を捉えて」に参加してきた。2015年末には、ASEAN経済共同体(AEC:ASEAN Economic Community)が発足する(以前の記事「「ASEAN社会文化共同体:2015年とその後の展望セミナー」に行ってきた」を参照)。

 (1)1985年9月のプラザ合意以降、日本企業はASEANへの直接投資を増加し、ASEAN各国の輸出指向の工業化を支援してきた。1988年には「BBCスキーム」(ブランド別自動車部品保管流通計画)が始まり、さらに1996年からは「AICO」(ASEAN産業協力)が展開されている。

 BBCスキームとは、自動車産業を対象とした制度である。ASEAN域内における企業の部品相互補完流通計画がASEAN上級経済関係者会議で認可されることを条件に、自動車部品がASEAN国内で生産されたものであると認定され、さらに認定部品をASEANの他国へ輸出する際の関税が減免されるといった恩典が受けられる。BBCスキームは、三菱、トヨタ、日産など日本の自動車メーカーが主導し、部品の域内調達や生産拠点の展開・強化へとつながった。また、AICOは、BBCスキームを製造業全般に拡張した制度である。

 近年、中国・インドが高い経済成長を背景に、直接投資受け入れ先として急激に台頭している。危機感を抱くASEANは、AECを外国投資を呼び込むための基盤としたい考えである。

 (2)ASEANはAECの発足に先立ち、1993年からAFTAによって域内関税の引き下げを行ってきた。2010年1月には、先行6か国で関税が全撤廃された。新規加盟4か国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)でも全品目の98.96%の関税が5%以下となった。2015年1月1日時点で、全加盟国の関税撤廃割合は95.99%となっている(新規加盟4か国は、品目の7%までは2018年1月1日まで撤廃が猶予される)。日本が諸外国と締結しているFTA/EPAでは、関税撤廃率が80~90%台にとどまることから、AFTAの水準がいかに高いかが解る。

 2015年末にAECが発足することになっているが、実は発足に伴って何かが変わるわけではない。前述の通り、先行6か国の関税は2010年1月に撤廃されている。2016年1月1日以降、関税撤廃が猶予されている新規加盟4か国の7%の品目について、段階的に関税が引き下げられる見込みである(ちなみに、ベトナムが猶予されているのは、鉄鋼、紙、医療用織布、自動車および二輪車、自動車および二輪車部品、設備機械、建設資材などである)。

 (3)AFTAは他のFTAに比べて利用率が低いと言われる。確かに、2014年のASEAN域内貿易比率は24.2%であり、EUの60.8%よりもはるかに低く、ASEAN域内貿易が不活性であるようにも映る(なお、ASEAN+3(日中韓)で見ると38.7%で、NAFTA(41.4%)とほぼ同じになる)。

 だが、例えばタイのASEAN向け輸出のうち、AFTAを利用している割合(シンガポールを除く)は、2000年には約10%だったのが、2003年には約20%、2010年には38.4%となっており、AFTAの利用率は着実に伸びている。特に、2010年のタイのインドネシア向け輸出では61.3%、フィリピン向け輸出では55.9%がAFTAを利用している。

 ただし、AFTA利用には課題もある。AFTAに限らず、FTAを利用するには各国の指定機関から「原産地証明」を取得する必要がある。その手続きが煩雑でコストがかかるため、企業が自ら証明書を作成する「自己証明制度」の導入を検討していることがある。ASEANの場合は、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)が自己証明制度を定めている。

 ASEANでは「第1認定輸出者自己証明制度」(輸入事業者全般)と「第2PP認定輸出者自己証明制度」(製造業者のみ)という2つのパイロットプロジェクトが実施されている。当初、2015年末に双方を比較して優れた方を選択する予定だったが、一部の国が参加していないこと、十分な実施事例が収集できていないことなどから、全面実施は2016年以降に先延ばしとなった。

 (4)2015年10月にTPPが大筋合意に至ったことを受けて、ASEAN諸国もTPP参加を検討し始めている。インドネシアのジョコ大統領は、10月下旬にTPP参加を表明した。タイは、今後2年間でTPPに参加するか否かを判断することを発表した。フィリピンもTPPへの参加意欲を持っている。ただし、フィリピンがTPPに参加する場合には、サービスの自由化を実現するために、外資上限などを定めた憲法を改正する必要がある。アキノ大統領の任期は2016年6月までであり、憲法改正は絶望的である。また、次期大統領が憲法を改正するかどうかも不透明な状況だ。

 フィリピンは同様の理由で、ASEANのサービス貿易自由化、外資出資比率緩和を定めたAFAS(ASEAN Framework Agreement on Services)にも合意できていない。AFASは、金融、航空輸送、農水鉱製造関連サービスを除く128のサブセクターについて、2015年までに外資容認比率を70%まで引き上げることを目指している。だが、これにもからくりがある。タイとベトナムは、ともに現時点で81のサブセクターを自由化している。ところが、ベトナムは62のサブセクター全体で自由化を実現しているのに対し、タイはサブセクター全体の自由化が12にとどまり、残りは一部しか自由化していない

 (5)ASEANではシンガポール、マレーシアを筆頭に多国籍企業が生まれており、日本企業もそれらの企業への投資を進めている。従来は現地企業に出資してその国の市場を攻めるのが主流であったが、昨今は出資した現地企業を拠点として第三国に進出する動きが見られる。
 -三井物産・・・マレーシアのIHH Healthcare(12か国に39病院を展開。社員数2万5,000人超。上場している病院経営会社の中では時価総額世界2位。1位はアメリカ企業だが国内病院のみが対象であるため、グローバル規模の病院経営会社としては世界1位)に約900億円を出資、アジア地域を中心に病院経営を拡大。
 -サンヨー食品・・・シンガポールのOlam International(世界有数の農産物商社。65か国に事業拠点。社員数2万3,000人)と合弁会社を新設、アフリカ市場開拓を強化。
 -三菱商事・・・シンガポールのOlam Internationalの発行済株式20%を取得(出資額1,300億円)。タイのIchitan Group(飲料大手)と合弁会社を新設、インドネシア市場に進出。
 -伊藤忠商事・・・タイの最大財閥Charoen Pokphand(CP)Groupと資本・業務提携。中国を中心にアジア全域で競争力強化を狙う。

 (6)ASEAN域内の経済的結びつきが強まるにつれて、人の移動も活発になっている。人の移動が増えているのは、
 -インドネシア⇒マレーシア、タイ
 -マレーシア⇒シンガポール
 -ラオス⇒タイ
 -カンボジア⇒タイ
 -ミャンマー⇒マレーシア、タイ
である。インドネシア、ラオス、カンボジア、ミャンマーは送出国、タイは受入国、マレーシアは受入国であると同時に送出国である、という構図が浮かび上がってくる。タイが周辺3か国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)から正式な手続きに従って受け入れた労働者の数は約25万人であるが、実際にはその10倍以上の約280万人の労働者がタイに流れ込んでいると推計される。

 送出国と受入国は対立が続いている。送出国は、国内の雇用不足の解消や、海外送金による国際収支の改善を期待する。一方で、受入国は、低賃金労働者の流入による国内労働市場の逼迫、不法労働者・不法滞在者の増加による社会的不安に頭を悩ませている。

 2007年には「移民労働者の権利の保護と促進に関するASEAN宣言」が採択され、2009年には同宣言がASEAN社会文化共同体(ASSC)のブループリントに明記された。しかし、2007年宣言には法的拘束力がない。送出国であるインドネシア、フィリピンは法的拘束力を求めているのに対し、受入国であるシンガポール、マレーシアが難色を示している。

2015年09月09日

「ミャンマー投資セミナー」に行ってきた(日本アセアンセンター)

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ミャンマー国旗

 《関連記事》
 ミャンマービジネス基本情報(メモ書き)
 「ミャンマー・エーヤワディー管区投資誘致セミナー」に行ってきた
 「陸のASEANセミナー」に行ってきた(1)(2)

 日本アセアンセンターの「ミャンマー投資セミナー」に参加した。内容に関する簡単なメモ書き。

 ミャンマー投資委員会(MIC)事務局長の話で印象的だったのが、「日本の農業がミャンマーに進出することを期待する」という言葉だった。日本では農業に外資を入れることなど考えられず、ミャンマーのグローバル志向の強さをうかがわせた。一方で、農業にまで外資を入れなければならないほど、国内産業がまだ成熟していないと見ることもできる。ASEANの中で中所得国の仲間入りをしたタイは、どんな外資でも歓迎していた従来の投資奨励策を改め、高付加価値産業を重点的に誘致しようとしている。タイとミャンマーは全く対照的である。

 (1)ミャンマーのインフラについて
 (a)ミャンマーの最大電力供給量は約1,500MW(2013年)。総電力需要は約2,000MW(2013年)であるため、約500MWの需給ギャップを補うべく計画停電を行わなければならない(ちなみに、日本の最大電力供給量は約22万MW、総電力需要は約18.6万MW)。世帯電化率は約3割、送配電ロス率は約25%と、ASEANの中で最低水準である。

 既存の電源設備の状況を見ると、合計設備容量は3,896.05MWであり、内訳は水力発電所2,780MW、ガス火力発電所996.05MW、石炭火力発電所120MWとなっている。ただし、水力発電出力の大半は中国向け、国産ガスの大半がタイや中国向けであるため、十分な出力を国内需要に振り向けることができていない状態である。

 (b)ミャンマーの上水道接続率(配管で給水を受けている割合)は約8%、うち都市部は19%、地方は3%と著しく低い。ヤンゴンの水道普及率は35%である。中央商業地域は9割をYCDC(Yangon City Development Committee)の水道に依存しているが、その周辺地域は井戸など他の水源を利用している。ヤンゴン市の日平均配水量は52万立方メートル/日であるのに対し、収入水量(日平均使用量)は18万立方メートル/日にすぎず、無収水率は推定65%と非常に高い。なお、水源の約9割が表流水利用にもかかわらず、その3分の2が水処理を行っていない。また、塩素消毒もほとんど実施されていない。

 (c)通信セクターは、情報通信・技術省ミャンマー郵電公社(MPT)が固定電話、携帯電話、インターネットサービスを独占してきた。インフラの整備は遅延しており、2012年時点で固定電話普及率0.99%(加入者数60.9万人)、携帯電話普及率8.90%(加入者数544万人)、インターネット普及率1.07%と、いずれも低い水準にとどまっている。

 2013年に可決された新通信法以降、ミャンマー政府は新規の外資系通信オペレーター2社(ノルウェーとカタール)を入札で決定した。MPTも新規参入企業と競争していくため、外資系オペレーターの中からパートナーを募り、2014年7月16日にKDDI・住友商事と事業協力や利益分配などを規定した契約"Joint Operation Agreement(JOA)"を締結した(ただし、JOAは合弁会社ではなく、MPTは引き続き政府機関となる)。

 (d)ベトナム―カンボジア―タイ―ミャンマーを結ぶ「南部経済回廊」は、ミャンマーにとって非常に重要である。ミャンマーの主要貿易国タイとの輸出入は、ミャンマー側の陸路が整備されていなかったことから、長らく海上輸送に依存してきた。タイからの輸入の75%、タイへの輸出の56%が海上輸送である。しかし、ヤンゴンからマレー半島を迂回してアユタヤに至るルートは約4,000kmあり、21日間も要していた。これが、陸路では3.3日と大幅に短縮される。今後道路の整備が進めば、1.9日に短縮されると推計されている。

 (2)株式会社ニチレイフレッシュのミャンマー事業
 (a)水産物は、加工形態・キャパシティが限定される船上で漁獲される天然の素材が多いのに対し、末端のニーズは年を追うごとに分散化しており(切り身加工に始まり、生食用の寿司ネタ加工まで幅広い)、委託加工なしでは成り立たない状況にあるという。ミャンマーでは、水産物の委託加工は国内の水産業を保護するという観点から許可されていなかったが、工場稼働率を上げたい生産者(工場)の強い要望を背景に、2012年より事前登録制で正式に認可された。

 (b)ミャンマーの漁獲量は年々増加しており、現在は約500万トンと、日本とほぼ同じである。内訳は、天然が約400万トン、養殖が約100万トンである。世界的に見ると、天然は頭打ちで養殖が伸びる傾向にあるが、ミャンマーの場合は逆に天然の方が大きく伸びている。ニチレイフレッシュにとっては、天然のピンクエビが獲れることがミャンマーの大きな魅力となっているらしい。

 (c)ニチレイフレッシュは、1990年代半ばよりミャンマーでエビの調達を開始した。当時はどこで漁獲された原料であっても、一度ヤンゴンにある原料市場に集めてから、委託先の工場に搬入していた。しかし、漁獲から加工までに長時間がかかり、またエビの鮮度を保つための氷も十分に確保できないことから、輸送の途中で鮮度が落ちてしまうという問題に悩まされた。そのため、現在はできるだけ漁獲エリアに近い工場で加工することにしている。

 戦略を立てる時は、ややもすると「どんな顧客に、どのような製品を、どのように競合他社と差別化して提供するか?」という出発点のコンセプトを練るだけで満足してしまうことがある。しかし、「どの原材料をどこから調達するのか?どこで加工するのか?原材料・(半)製品をどうやって運ぶのか?」という具体的なオペレーションにも思いをめぐらし、適切に機能するビジネスモデルを設計・構築することも、戦略立案者の重要な役目であると改めて感じた。

 (d)委託加工で期待できる工場収入の数字が公開されていた。以下は、300人規模の水産加工場で、「切り身フィレ加工(加熱を含む加工)」と「寿司用スライス加工(生のまま加工)」を行った場合である。工場トータルの年間売上高は約17億円となる。仮に、同じ工場が10あれば、全体で約170億円になる。ミャンマーの経済特区(SEZ)に対する日本企業の投資累積額が約1億8,600万ドルであるから、それに匹敵する数字となる。

 商品 切り身 寿司ネタ
 加工 フィレ加工 スライス加工
 加工数量(1日あたり)  22トン/日 7.5トン/日
 加工賃(トンあたり) 1,000ドル/トン 3,500ドル/トン
 稼働日数(年) 300日/年 300日/年
 加工賃収入(年) 6.6百万ドル/年(7.92億円/年)  7.875百万ドル/年(9.45億円) 
 (※)1ドル=120円で計算。

 (3)双日ロジスティクス株式会社のミャンマービジネス
 (a)ミャンマーの小売は電力不足により常温食品が中心であり、依然として「ゼー」と呼ばれる伝統市場や道端の路上店を通じて行われる。これらが全体流通量の9割を占めていると言われる。一方、国内には2ケタ規模の店舗数を持つ小売業が少ない。このような状況下で、近年急速に近代的な小売業態を展開しているのが、ミャンマーの小売・流通最大手City Martグループである。双日と双日ロジスティクスは、City Martグループ傘下の食品・生活消費財卸売会社Premium Distributionとの共同出資により、Premium Sojitz Logisticsを設立している。

 (b)双日ロジスティクスは、ミャンマー国内のコールドチェーンだけでなく、大メコン圏のクロスボーダー物流も手がけている。セミナーでは、タイ―ミャンマールートに関する説明があった。

タイ―ミャンマークロスボーダー物流

 《プランA:ミャワディ・ルート》
 最も道路が整備されており、通関もスムーズである。ただし、少数民族との軍事衝突により、国境が封鎖されることがある。ミャンマー国内のティンガニーノ―コーカレイ間の山越えルートは、偶数日と奇数日で進行方向が入れ替わる1車線であったため、逆算でバンコクを出発する必要があった。所要時間は約3時間。混雑や車両故障があると、1日待機しなければならないこともあった。だが、2015年7月1日に2車線のバイパスが完成し、所要時間は40分に減少した。

 《プランB:タチレク・ルート》
 もともとは、タイとミャンマーを抜けて中国の昆明に抜ける南北経済回廊の一部である。タイとミャンマーの中小規模の貿易ルートであることから、生活資材をはじめ、中古車なども往来がある。ただ、中国に行くにはラオスルートの方が利便性がよく、ミャンマールートはもっぱらタイからミャンマーへの輸出に使われている。距離が長い分、トラック運賃が高いのがデメリットである。

 《プランC:ティキ・ルート》
 将来的には有力なルートだが、現在は道路が未整備であり、河川の橋も不通となっている。

 《プランD:メーホーンソーン・ルート》
 道路は整備されているものの、通関の担当者が手続きに慣れていないのが難点である。通関を通るのに5日かかると言われる。

2015年08月14日

「陸のASEANセミナー」に行ってきた(2/2)

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陸のASEAN・経済回廊

 前回「「陸のASEANセミナー」に行ってきた(1/2)」の続き。

 (2)デンソーのASEAN戦略について
 デンソーの役員から、ASEANにおける生産戦略の話があった。デンソーは全世界に24の生産拠点を持ち、約36,000人の従業員を抱える大企業であるが、意外なことに海外で工場を設立する際には自社工場ではなく、レンタル工場から始めることが多いそうだ。セミナーで紹介されたミャンマー、カンボジアの工場は、いずれも100人弱のレンタル工場であった。F/S(フィージビリティ・スタディ)をすると、自社工場では全くペイしないからというのがその理由らしい。

 (a)ミャンマーは国内市場のポテンシャルが高い一方で、克服すべき課題も多い。例えば、SEZ(経済特区)法など個別の優遇政策は示されているが、全体を俯瞰した一貫した考え方が不明である。また、会社設立などに関するワンストップサービスは存在せず、政府関連の手続きのためには、その都度首都ネーピードーまで行かなければならない。

 インフラに関しては、電力供給が不安定である。まずは手作業工程をミャンマーに移管したものの、本格的な加工工程を稼働させるには不安があると漏らしていた。さらに、交通網にも課題がある。タイのカンジャナブリからダウェイまで南部回廊を通って輸送するには、四輪駆動車を使わなければならない。この点は、カンボジア―タイ間の道路事情に比べるとかなり見劣りする。

 人口が多いからと言って、社員がすぐに集まるわけではない。デンソーは社員の通勤用自転車に会社のロゴをつけて走らせることで、徐々に会社の認知度を上げていったそうだ。

 (b)カンボジアはタイプラスワンを狙った外資誘致に積極的で、インフラ、ワンストップサービスの整備も進んでいる。デンソーとしては、カンボジア人の手先の器用さを磨き、タイの成熟製品の玉突き先として活用する予定だという。カンボジアで社員を採用する場合には、集落の村長に直接会って十分に説明しなければならない。ただ、中国・韓国の企業が社員を使い捨てにするのに対し、日本企業は社員を大切にするという点で現地からは高く評価されている。

 2015年3月、カンボジアのネアックルンに日本が支援した「つばさ橋」が完成したことで、カンボジアとベトナムが陸路でつながった。以前から南部回廊によってタイとカンボジアはつながっていたとはいえ、両国だけではどうしてもビジネスに限界があった。つばさ橋によって、ホーチミンの仕入れ先企業を開拓できるようになったことが大きいと語っていた。

 (3)経済回廊について
 陸のASEANの3つの経済回廊=東西経済回廊、南北経済回廊、南部経済回廊の実情について、日通総合研究所のコンサルタントによる講演があった。メコン地域の国々では、CBTA(Cross Border Transportation Agreement、越境交通協定)が締結されている。CBTAとは、メコン地域の越境交通円滑化に関する多国間協定で、2003年にメコン地域5カ国(ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー)+中国の6カ国が署名した。

 具体的にはシングル・ストップ/シングル・ウィンドウの税関手続き、交通機関に従事する労働者の越境移動、検疫などの各種検査の免除要件、越境車両の条件、トランジット輸送、道路や橋の設計基準、道路標識や信号に関する事項などについて規定されている。

 (a)東西経済回廊
 ・CBTAによるシングル・ウィンドウ/シングル・ストップは、従来は輸出国側・輸入国側双方で実施していた手続きを、輸入国側のコモンコントロールエリアにおいて1回で済ませることを想定している。この場合、輸出手続きを相手側で実施することになるが、例えばタイの公務員は法律により他国での業務が禁止されているために、タイからの輸出手続きの障害となっている。

 ・サワナケット―ムクダハンの通関は8:00-18:00、デンサワン―ラオパオの通関は7:00-22:00の間しか開いていないなど、24時間通行ができないことに注意が必要である。

 ・3か国相互通行ライセンスは、CBTAで規定されるルートに限定される。しかし、当初の規定では、バンコク、ビエンチャン、ハノイ、ハイフォンなど、東西経済回廊上にはないが、各国の首都や主要貨物集積地にあたる都市が含まれておらず、3か国ライセンスを使う意味がなかった。2012年、これらの都市を追加する覚書が締結されたものの、未だ運用には至っていない。そのため、現在はタイ―ラオス、ラオス―ベトナムの2か国間協定/ライセンスでカバーされている。なお、タイ―ミャンマー間は2国間協定が未締結であり、車両の相互通行は実現していない。

 (b)南北経済回廊
 ・中国とタイが開発の中心となっている。また、定期的な輸送サービスを提供しているのは中国やタイのローカル企業であり、日欧米の企業は進出していない。あるローカル企業によれば、昆明―バンコク間のリードタイムは3日らしい。生鮮品を輸送している場合、日曜日でも受け付けてもらえるなど、通関手続きで優遇される。

 ・タイ―ラオス―中国での相互通行やトランジット通関手続きに関する覚書が締結の最終調整段階まで来ているとのことだが、未だ具体的な動きはない。なお、CBTAは導入されていない。

 ・ラオス国内の道路は、タイと中国が半分ずつ整備している。しかし、カーブが多く危険である。道路脇には、横転、脱輪した車両が放置されている。そのためか、中国の車両はラオス国内を走りたがらない。それでも、タイ―中国間の陸路貿易は、ラオスルートが主であり、ミャンマールートの実績はほとんどない(ミャンマールートは、主にタイ―ミャンマー間の陸路貿易用である)。

 ・タイ―ラオス―中国を輸送する場合は、2国間協定に基づいて、ラオスと中国の国境で積み替えを行う必要がある。その際、中国側よりラオス側で積み替えた方が安い。しかし、ラオス側は人力で作業を行い、しかも貨物を一旦開梱してしまう。そのため、生鮮品であれば品質上の問題は少ないかもしれないが、半製品などの場合は注意しなければならない。

 (c)南部経済回廊
 ・南部経済回廊では、シングル・ストップ/シングル・ウィンドウは行われていない。コモンコントロールスペースを設置する場所がなく、東西経済回廊以上に実施のハードルが高いと言われる。また、3か国間協定も締結されていないため、3か国通行ライセンスも発行されていない。したがって、2か国ライセンスの組み合わせによって走行することになるが、ライセンス数に限りがある。しかも、ライセンスの大半は旅客に割り当てられることから、貨物用は非常に少ないとされる。その少ないライセンスも、ローカル企業に優先的に交付されている。

 ・複数の日経物流事業者がサービスを提供している。バンコクからホーチミンまでのリードタイムは3日である。実は、海上輸送と比較した場合、リードタイム優位性が低いため、越境輸送貿易は少ない。越境輸送貿易は、陸路輸送の方が付加価値をつけやすいコールドチェーンなどに限定される。荷動きとしては、2か国間(タイ―カンボジア、カンボジア―ベトナム)が主流である。


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