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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
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◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


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(城北支部執行委員、青年部長、および国際部員を務めています)

NPOビジネスサポート特定非営利活動法人NPOビジネスサポート
(監事を務めています)

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(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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(一緒にお仕事をさせていただいている「コンサルビューション株式会社」は、世界最大の信用調査会社Experianの正規代理店です)

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2017年08月04日

エリン・メイヤー『異文化理解力―相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』―アジア人の部下を日本方式で叱ってはならない

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異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
エリン・メイヤー 田岡恵

英治出版 2015-08-22

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 以前、ブログ別館の記事「エリン・メイヤー『異文化理解力―相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』」で取り上げたが、改めて本ブログでも紹介したいと思う。

  《参考記事》
 (メモ書き)人間の根源的な価値観に関する整理(1)―『異文化トレーニング』(2)
 人間の根源的な価値観とマネジメントの関係をまとめてみた―『異文化トレーニング』(以上は旧ブログ)
 トロンペナールス&ターナーによる「文化の基礎次元」の補足

 各国の文化の特徴を研究したものとしては、上記の参考記事でも挙げたように、トロンペナールス&ターナー、クラックホルン&ストロッドベック、ヘールト・ホフステードなどが有名である。本書は「カルチャーマップ」という形で、文化に関する新しい視点を提供してくれる。

カルチャーマップ

 カルチャーマップでは、各国の文化を8つの視点で分析する。①コミュニケーションは、「ローコンテクスト」か「ハイコンテクスト」かという軸でとらえられる。コンテクストとは「文脈」という意味で、ローコンテクストとは、文脈を共有していないことを表す。別の言い方をすると、価値観、規範、文化、経験などを共有していないということである。一般に、西洋はローコンテクストの文化である。多様な価値観を持つ人々が集まる地域であるから、何でもかんでも言葉で表現しないとコミュニケーションが成立しない。これに対して、ハイコンテクストとは、文脈を共有している、つまり価値観、規範、文化、経験などを共有していることを指す。日本は典型的なハイコンテクストの国であり、いわゆる阿吽の呼吸で意味が通じてしまう。

 ②評価は、「直接的なネガティブ・フィードバック」か「間接的なネガティブ・フィードバック」かという軸でとらえられる。面白いのは、ローコンテクストの西洋の国々は否定的な評価を直接的に伝えるかというと、必ずしもそうではないという点である。西洋の中でも、アメリカやイギリスは、否定的な評価を間接的に伝える傾向がある。言葉の上ではそれほど怒っていないようでも、心の中でははらわたが煮えくり返るような思いをしていることがある。これを知らない他の西洋の国々の人々は、アメリカ人やイギリス人の言葉を額面通りに受け止めてしまい、彼らの本音をつかみ損ねる。例えば、イギリス人が「もう少し考えてみてください」と言う時、心の底では「悪いアイデアです。やめてください」と思っている。ところが、これをオランダ人が聞くと、「いいアイデアなんだな。もう少し掘り下げてみよう」と受け止めてしまう。

 ③説得は、「原理優先」か「応用優先」かという軸でとらえられる。原理優先とは、演繹的な思考と言い換えることができる。原理優先の国の人々は、「まず、一般的な原理としては○○である。この原理を今回のケースに当てはめると○○となる。したがって、結論は○○である」というロジックの組み立て方をする。結論が最後に出てくるため、応用優先の国の人からすると非常にまどろっこしく聞こえる。その応用優先の国では、結論が最初に述べられる。「今回の結論は○○である。なぜならば、A、B、Cという事実があるからである」というのが彼らの論理構成である。

 ④リードは、「平等主義」か「階層主義」かという軸でとらえられる。平等主義の国では、フラットな組織が好まれる。これに対して、階層主義の国では、ヒエラルキー型の組織が採用される。⑤決断は、「合意重視」か「トップダウン式」かという軸でとらえられる。通常、平等主義の国では合意重視、階層主義の国ではトップダウン式になるのだが、いくつかの例外がある。例えば、ドイツや日本は階層主義の国であるのに、意思決定は合意重視で行われる。一方、アメリカは平等主義の国であるのに、意思決定はトップダウン式で行われる。

 ⑥信頼は、「タスクベース」か「関係ベース」かという軸でとらえられる。タスクベースとは、仕事上の人間関係を通じて信頼を醸成することである。逆に言えば、仕事上の関係が全てであるという非常にドライな関係である。他方、「関係ベース」の国においては、仕事上の関係だけではなく、プライベートでの関係も重視される。会社での人間関係がプライベートにも介入してくるような、非常にウェットな関係である。⑦見解の相違は、「対立型」か「対立回避型」かという軸でとらえられる。意見が異なる時に、敢えて対立を扇動するのが対立型である。私はドイツ人と一緒に働いたことがある何人かの人から話を聞いたことがあるが、皆一様に「ドイツ人はずけずけ物を言うし、頑固で絶対に自分の意見を曲げない」と言っていた。対立回避型はその名の通り、対立をできるだけ避けようとするタイプであり、日本人はまさにこれにあたる。

 ⑧スケジューリングは、「直線的な時間」か「柔軟な時間」かという軸でとらえられる。直線的な時間とは、別の言い方をすれば時間厳守である。一方、柔軟な時間とは、乱暴な言い方をすると時間にルーズということである。例えば、今ある人と商談をしているとしよう。30分後には別の商談があり、そろそろ移動しないと時間に間に合わなないとする。この場合、日本のように時間を直線的にとらえる国の人々は、次のアポに間に合うよう、今の商談を何とか上手く切り上げようとするだろう。だが、時間を柔軟にとらえる国の人々(中東に多い)は、次の商談の時間を気にしない。今目の前にいる人との関係が重要であり、話が終わるまでは絶対に席を立たない。仮に商談が長引いて次の商談に遅れても、悪びれる様子はないし、相手も遅刻を咎めない。

 上記のカルチャーマップを見ると、フランスとドイツ、日本と中国は比較的近い文化であるように思える。ところが、両国の間には大きな違いがいくつかある。フランスとドイツに関しては、ドイツよりフランスの方がハイコンテクスト寄りであり、意思決定がトップダウン式であり、人間関係がウェットであり、時間に対する意識が柔軟である。日本と中国に関して言うと、中国の意思決定がトップダウン式であるのに対し、日本の意思決定は合意重視であるという決定的な違いがある。また、時間に対する意識も、中国は柔軟であるが、日本人は時間厳守の意識が強い。西洋人だから、東洋人だから皆同じだと一括りに考えるのは、ミスコミュニケーションの元となる。

 同じアジアでも、日本と他のアジアの国で決定的に違うのが、「部下の叱り方」ではないかと思う。先ほどのカルチャーマップを見ると、②評価のところで、日本は「間接的なネガティブ・フィードバック」に寄っていることが解る。この点については少し補足が必要であろう。つまり、日本人が否定的な評価を間接的に伝えるのは、会議などの場に限られるということである。日本人は、会議では波風を立てたくないと考えるため、反対意見をあまりはっきりと言わない(⑦見解の相違とも関連)。ところが、部下と1対1になると、突然高圧的な態度に出ることがある。「お前、ちっとも仕事ができていないじゃないか!」、「このバカヤロー!」など、他の社員が見ている前で、特定の部下を名指しして大声で怒鳴ることがある。

 この日本式の部下指導を、他のアジアの国に持ち込むと危険である。特に、中国、フィリピン、タイ、インドネシアでは気をつけた方がよい。これらの国の人々は面子やプライドを非常に重視する。そのため、人前で叱られると面子やプライドを傷つけられたと感じる。部下はその場で会社を辞めてしまうかもしれない。会社を辞められるだけならまだましな方で、最悪の場合、その社員の家族や親族から復讐(物理的な攻撃)を受けることがある。こういう国々の人に対して否定的な評価を伝えるコツとして、本書では5つのポイントが挙げられている。

 ①グループの前でフィードバックしない。
 ②メッセージをぼかす。
 ③フィードバックをゆっくりと、長い時間をかけて行い、徐々に浸透するようにする。
 ④好ましくないメッセージをぼかすために、一緒に食事などをしながら話す。
 ⑤よいことを言い、悪いことは言わない。

 最後の「⑤よいことを言い、悪いことは言わない」とは、次のようにフィードバックすることである。例えば、部下に3つのドキュメント作成を依頼し、2つのドキュメントはよくできていたが、残りの1つのドキュメントの出来がひどかったとする。この場合、日本人なら「お前、この最後のドキュメントは何だ!?全然できていないじゃないか!」と怒り出すところだが、アジアにおいては出来がよかった2つのドキュメントに着目しなければならない。そして、「最初の2つのドキュメントはよくできていたよ」とだけ言う。すると、部下は「最後のドキュメントについては何も言ってくれなかったから、ひょっとしたら上司の期待水準を満たしていなかったのではないだろうか?」と思ってくれるかもしれない。その可能性に賭けるしかないのである。

 部下に対して否定的な評価を伝えなければならないのが人事考課面談である。こんな状況を考えてみよう。皆さんは、ある情報システム会社のインドネシア支社で部長を務めているとする。部下であるプロジェクトマネジャーに対して、人事評価の結果を伝える面談を行うことになった。事前に手元に用意した紙には次のように書かれている。

 <よかった点>
 (ⅰ)顧客企業の中でシステム導入に反対していたA課長を粘り強く説得したこと。
 <悪かった点>
 (ⅱ)自社で開発できない機能まで安易に引き受けて、部長である自分に承諾を取らないまま外注先を使った結果、プロジェクトのコストがかさんだこと。
 (ⅲ)前任の部長がプログラムの品質管理に厳しかったためか、必要以上に細かいプログラムテストにこだわりすぎて、バグが一向に減らなかったこと。
 (ⅳ)マネジャーなのに部下の仕事を手伝いすぎている。そのせいで、顧客とシステムの仕様を擦り合わせたり、プロジェクトの進捗を報告したりする時間が十分に確保できていない。
 ⇒総合評価はA(よい)~E(悪い)の5段階のうち、「D」。

 (※私がIT業界出身で、コンサルティングでもIT業界のクライアントが多いため、すぐに作成できるケースがIT業界のものになってしまう点はご容赦いただきたい)

 部下が日本人であれば、上記で書かれている内容をそのまま伝えるだろう。よかった点はよかったと言い、悪かった点は悪かったとはっきり言ってあげるのが部下のためと考えられている。しかし、相手がアジア人(このケースではインドネシア人)の場合は一工夫必要である。ネガティブなことをそのまま伝えると、相手のプライドを傷つける恐れがある。よって、ネガティブな事実の中からできるだけポジティブな要素を見出し、それを伝えるように努めなければならない。

 例えば、(ⅱ)の「自社で開発できない機能まで安易に引き受けて・・・」という箇所は、肯定的にとらえれば「顧客のニーズをきめ細かく吸い上げて対応した」ということになる。よって、まずはその点を強調する。その上で、「顧客のニーズに追加対応する際には、自社で本当にできるのか、コストはどのくらいかかるのかをもう少し慎重に検討した方がよい」と、やんわり改善点を伝える。(ⅲ)に関しては、「前任の部長のやり方に引きずられなくてもいい。君がいいと思う方法でやってみなさい」と言うのも1つの手であろう。(ⅳ)にある「マネジャーなのに部下の仕事を手伝いすぎている」という箇所は、肯定的にとらえれば「マネジャーとして部下の支援を十分に行っている」ということになる。それを強調した上で、「部下を支援する時間と同じくらいの時間を、顧客とのコミュニケーションにも費やしてほしい」と提案する。

 ただし、これだけ肯定的な点を見出して部下にフィードバックしても、総合評価の「D」は変更できない。上記のようにできるだけ肯定的にフィードバックした結果、部下から「なぜ自分はDなのですか?」と聞かれたら、こう答えるとよい。「今期は他のプロジェクトマネジャーが君以上にすごく頑張ったから、相対評価でDなんだ」。おそらく、これでは部下は十分に納得しないかもしれない。また、上司の側も、本当はプロジェクトマネジャーとしてもっとこうしてほしいと思うところがたくさんあるだろう。その場合は、前述した「否定的な評価を伝えるコツ」の「④好ましくないメッセージをぼかすために、一緒に食事などをしながら話す」に従うとよい。部下を何度か食事に誘い、食事をしながらプロジェクトマネジャーのあるべき姿を何回かに分けてゆっくりと伝えていく。

 アジアで事業展開をしている企業から話を聞くと、どの企業も人事労務管理で非常に苦労されている。現地の法制度や行政とのやり取りの仕方が日本とは全く異なるのも理由の1つであろうが、日本式の部下指導・部下育成のやり方がアジアでは通用しないという点が非常に大きいのではないかと思われる。決めつけはよくないが、アジアの人々は必ずしも日本人と同等の能力を持っている人ばかりとは限らない。彼らに対して、日本人は、恐らく自分が昔日本国内で上司からされたように、厳しく指導をしたくなる。だが、アジアではそれを我慢して、可能な限り部下のプラスの面を見出し、部下が自然と育っていくのをじっくりと見守る懐の深さが求められる(ただし、不正は別問題である。不正に対しては毅然とした態度をとらなければならない)。

2017年07月30日

【城北支部国際部】「ここがポイント!”地方のインバウンド誘致”と”越境EC”」 ~現場での支援事例に基づく現状、課題、未来~(セミナーメモ書き)

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 私が所属する(一社)東京都中小企業診断士協会国際部で、診断士向けにセミナーを開催した。主催者側の私が言うのもおこがましいが、正直に言って、東京協会の理論政策更新研修よりも面白かったと思う(先日受講した理論政策更新研修のひどさは「東京都の中小企業向け補助金・助成金など一覧【平成29年度】」で書いた)。セミナーで勉強になったことのメモ書き。

 【講演①】非観光地域におけるインバウンド誘致の取り組み
 (東京都中小企業診断士協会 城北支部国際部 小沢智樹会員)
 ・人口に対する外国人観光客数の比率は、フランスが134.5%で群を抜いているが、先進国の多くは大体40~50%となっている。2016年の訪日外国人旅行者数は2,403万9,000人であり、人口に対する比率は18.9%である。ドイツの人口に対する外国人観光客数の割合は42%であり、仮に日本がドイツの比率を目標にすると、訪日外国人旅行者数は5,300万人となる。現在、政府は2020年までに訪日外国人旅行者数を4,000万人に増やすという計画を立てているが、必ずしも非現実的な数字とも言えないようである。

 旅行収支の対GDP比を見ると、アメリカやドイツが1.1%となっている。2016年の日本の旅行収支は1兆3,391億円であり、GDP約537兆円に対する割合はわずか0.2%である。これを、アメリカやドイツ並みに引き上げるとすると、旅行収支は約5兆4,466億円となる。政府の目標は2020年時点で8兆円であるから、こちらはかなりストレッチした目標であると言える。

 ・政府は2014年度から「地方創生関係交付金」を設けており、2016年度は「地方創生推進交付金」(1,000億円、事業費ベース2,000億円)を実施した。本交付金の目的は、①しごと創生、②地方への人の流れ、③働き方改革、④まちづくりの4つであり、①の一環として観光に注力することとなっている。いわゆるゴールデンルートと呼ばれる東京、京都、大阪(+富士山)に加えて、地方への観光を促進するのが目的である。具体的には、地域の「稼ぐ力」向上のため、様々な連携を図りながら地域経済全体の活性化につながる観光戦略を実施する専門組織として、日本版DMO(Destination Marketing/Management Organization)を確立し、これを核とした観光地域づくりを行う。また、地場産品を戦略的に束ね、安定的な販路開拓・拡大に取り組む地域商社を核に、地場産品市場の拡大、地域経済の活性化を目指している。

 交付金の額が大きい都道府県は、上位から順番に、北海道(65億円)、長野県(37億円)、熊本県(29億円)、茨城県(28億円)である。北海道の交付金が高いのは、市町村の数が多いためだ。熊本県、茨城県の交付金が多いのは、震災復興の意味合いがあるのかもしれない(ただし、東北地方の交付金はそれほど大きくないので、震災復興という観点のみで交付金の多寡を判断することは難しい)。都道府県民1人あたりの所得に対する都道府県民1人あたりの交付金の割合を見てみると、上位から順番に、高知県(20%)、鳥取県(18%)、東京都(16%)、富山県(13%)となっている。意外なことに、地方創生と言いながら、東京都の交付金も多い。

 ・現在、観光庁には「日本版DMO候補法人登録制度」というものがある。これは観光庁を登録主体として、日本版DMOの候補となり得る法人を「登録」し、登録を行った法人、およびこれと連携して事業を行う関係団体に対して、関係省庁が連携して支援を行うことで、各地における日本版DMOの形成・確立を強力に支援する制度である。登録を目指す法人は、日本版DMO形成・確立計画(形成計画)を作成し、地方公共団体と連名で観光庁に提出する。形成計画は、科学的アプローチによる観光地域づくりを重視している。すなわち、戦略に基づいてマーケティング/マネジメントを実施し、効果をKPI(Key Performance Indicator:重要業績指標)を用いて測定するということである。観光庁の審査を通ると、日本版DMOとして登録される。現時点で、広域連携DMO6件、地域連携DMO67件、地域DMO72件の計145件が登録されている。

 ・本講演のテーマは”非観光地”におけるインバウンド誘致である。観光地の定義は難しいが、Wikipediaの「日本の観光地一覧」によると、384市区町村が観光地に該当するそうだ。日本の市区町村は全部で1,741であるから、残りの1,357市区町村が非観光地ということになる。近年はニューツーリズムがブームになっており、エコツーリズム、スポーツツーリズム、グリーンツーリズム、メディカルツーリズムなど、様々な旅行形態が存在する。言い換えれば、地域の資源は何でも観光資源になり得る可能性を秘めている。

 講師はある自治体において、田園、大きな橋、サッカー、モニュメント、特攻機という資源に注目した。ところが、インバウンダーの約8割はアジア人(その大半は中国人)である。田園風景はアジア人にとって珍しいものではない。大きな橋に関しては、中国の方がよっぽど長けている。サッカーはアジアではあまり人気がない。モニュメントを見ても、観光客はそれに特別な価値を感じない。特攻機は、アジアでは歴史のタブーに触れてしまう。逆に、インバウンダーにとって受けがよかったのは、神社、嫁入り船、海岸線、お祭りだったそうだ。

 ・講師が非観光地でインバウンダーのニーズ調査を行った結果解ったのは、彼らは実は純粋なインバウンダーではないということであった。調査対象者の中には、もちろん欧米人もいたが、日本に住んでいる留学生や研修生が多かった。そして、彼らが本国から家族や親戚を呼び寄せているケースもあった。初めて日本を訪れる外国人を、いきなり非観光地に向かわせるのは非常にハードルが高い。そうではなく、日本に住んでいてある程度日本のことを解ってる人をまずはターゲットにする。そして、彼らの家族や親戚と一緒に来てもらうことで、徐々に観光客を増やすのが有効ではないかというのが講師の見解であった。

 なお、講師はその非観光地をPRするのに、「日本政府観光局(JNTO)」のHPを利用した。合わせて、観光案内所にチラシを配布した。HPに関して言うと、外国人向けのHPは観光地の特徴を解りやすく伝えようとシンプルにしがちであるが、外国人旅行客は事前にディープな情報を研究して訪日するケースが多いため、情報は惜しみなく出した方がよいとのことであった。

 【講演②】越境ECの現状と今後の課題について
 (越境EC総研合同会社 代表 中川泰氏)
 ・講師は越境ECのコンサルティングで数多くの企業を支援してきた方である。越境ECは今ブームになっているが、越境ECで儲かっている企業は実はほとんどないという。儲かっているのは、モールを運営するAmazon.comと、商品を運ぶ日本郵便だけだそうだ。だから、越境ECを始めようと思う方は、もう少し慎重に戦略を練った方がよい。

 講師のところに相談に来る方は、「中国で商品を売りたい。売れれば何でもよい」、「とにかくAmazon.comに出店したい」と言うケースがあまりに多いらしい。国・地域やチャネルを決める前に、何を売るか=商品を決めるのが先である。時折、「日本で売れないから海外で売りたい」という方もいるのだが、日本で売れないものは海外でも売れない。日本で売れるものがやはり海外でも売れる。だから、日本で自信を持って販売しているものを、越境ECでも扱うべきである。越境ECで売れる商品には3つの特徴がある。①差別化ポイントが解りやすい、②商品のメンテナンスがしやすい、③商品名の発音がしやすい、の3つである。

 ①については、国によって顧客が何を重視するかが異なる。「商品のスペックが全く同じだとしたら何を重視するか?」というアンケートを取ると、アメリカ人は「安い価格」、ヨーロッパ人は「エコへの配慮」、アジア人は「ブランド」(中国人にとっては「その商品を持っていると周囲に自慢できる」ことが重要)と答える。よって、ターゲット顧客ごとに訴求ポイントを上手く変えることが大切である。なお、アメリカ人について補足すると、彼らは低価格の商品ばかりをほしがっているわけではない。低価格も重要だが、スペックの高さも重要である。つまり、コストパフォーマンスを評価している。アメリカ人は、「その商品を持っていると作業が楽になる」といった利便性を重視する。③については、日本語の商品名をそのまま海外で使用すると、その国の隠語に近い発音になることがあるので要注意である。その場合は、日本と海外で商品名を使い分けるとよい。

 ・越境ECを行う場合には、SNSとの導線を意識する必要がある。マーケティング理論にはAIDMAモデルに代わるAISASモデルというものがあるが、今時の外国人(特に若者)は、欲しい商品がある時にgoogleで検索しない。SNSで友達がある商品を使っている写真を見て、それがほしいと思うと、すぐにAmazonで検索する。アメリカ人の約50%は、気になった商品は直接Amazonで検索するという調査結果もあるという。よって、例えばアメリカに越境ECで商品を売りたい場合には、まず在米日本人に商品を使ってもらって、写真をInstagramに英語でアップしてもらい、アメリカ人のフォロワーに浸透するような仕掛けを行うとよい。

 ・商品を選んだ後に、販売先の国を決める。まずは、①その商品を使う文化がある国を選ぶ必要がある。ある企業は、和包丁を越境ECで販売しようとしたが上手くいかなかった。というのも、和包丁は定期的に砥石で研ぐ必要があるが、外国人にはその研ぎ方が解らないためである。それから、②大きなモールがあって、インターネットで商品を買う文化がある国でなければならない。さらに、③郵便事情のいい国を選択するべきである。商品の運送状況を配達先までトレースしている国は、日本を含めて世界で8か国しかない(実はアメリカは入っていない)。

 インドネシアは人口が多く、ECが急成長しており、クレジットカードも普及しつつあるので、インドネシアで越境ECをしたいという人が多い。しかし、この手のマクロ指標は全くあてにならない。インドネシアは島国であり、物流事情が非常に悪いため、商品が届かないリスクが高い。よって、こういう国は除外するべきである。越境ECサイトで顧客の住所を入力させる際に、国名だけは、配達可能な国をプルダウン形式で選ばせるようにするとよい。

 ・商品、国、ターゲット顧客を決めたら、最後は販売サイトをどうするか決めなければならない。自社サイトで販売するという方法もあるが、自社サイトで成功している企業はほとんどないという。となると、モールに出店する方が成功確率が高い。ただし、テンセント(京東全球購〔JD Worldwide〕)やアリババ(天猫国際)は保証料や年会費で何百万円もかかる。これは、両社が出店企業からお金を取るモデルで成り立っているビジネスであるからだ。講師は、中国に越境ECで商品を売りたいと相談に来られる方に「予算はいくらですか?」と聞くのだが、大体500万円ぐらいという答えが返ってくる。その場合は、中国に進出するのは止めた方がよいとアドバイスするそうだ。これに対して、Amazon.comは、Amazonプライム会員(アメリカに約6,500万人)を収益源とするモデルであるため、出店企業はコストを抑えることができる。

 ・越境ECで頭を悩ますのが運賃の設定方法である。アメリカ人の約78%は、サイトに運賃が表示された瞬間に購入を諦めるというデータがある。運賃には、①送料込、②従量制、③定額制、④従価制という4つがある。①送料込は日本人には良心的に見えるものの、海外では送料が非常に安いか、商品が非常に安いかのどちらかだと思われる。よってお勧めできない。②従量制も顧客からは敬遠される傾向がある。よって、③定額制か④従価制にする。③定額制は、購買層が若い場合に有効である。④従価制は、購買層の所得が高い場合に有効である

2017年07月28日

【JETRO】タイ投資シンポジウム―アジアの次世代ハブを目指して(シンポジウムメモ書き)

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タイシンポジウム

 JETROが主催する「タイ投資シンポジウム―アジアの次世代ハブを目指して」に参加してきた。以下、シンポジウムの内容のメモ書き。

 タイ政府は長期的な国家計画として、6つの領域、6つの主要戦略、そして4つの補強戦略から構成される「国家戦略20年計画(6-6-4 計画)」を打ち出している。「6つの領域」とは、

 ①安全保障
 ②国の競争力強化
 ③人材育成
 ④社会的平等
 ⑤グリーン成長
 ⑥不均衡是正および公共セクターの開発

 「6つの主要戦略」とは、

 ①人的資源の能力の向上と開発
 ②公正の保証と社会的格差の縮小
 ③経済強化と持続可能な手段による競争力強化
 ④持続可能な開発に向けたグリーン成長の促進
 ⑤発展と持続可能性を目指す国家開発に向けた国の安定化
 ⑥公共部門管理の効率化及び良好なガバナンスの推進

 「4つの補強戦略」とは、

 ①インフラ整備と物流システム
 ②科学技術、研究、イノベーション
 ③都市、地方、経済区域の開発
 ④国際的開発協力

である。タイでは2017年4月6日に新憲法が発布され、この国家戦略の内容も盛り込まれている。今後、8か月かけて関連法律を整備し、2018年末までに総選挙を行う予定である。タイは現在軍事政権であるが、徐々に民主主義に戻りつつある。

 そのタイが現在打ち出しているコンセプトが「タイランド4.0」というものである。国家経済社会開発庁(NESDB)によれば、これまでの発展は次の3段階に区分される。第1段階(1.0)は農村社会であり、家内工業が中心となった時代で、いわば工業化以前のタイである。第2段階(2.0)は、戦後の天然資源や安価な労働力を活用した軽工業をテコに成長した時代である。そして第3段階(3.0)は外資企業の進出をテコにした重化学工業が中心となった1980年代後半から現在までの期間を指す。そして、第4段階(4.0)が「タイランド4.0」で、「イノベーション」、「生産性」、「サービス貿易」をキーワードとして持続的な付加価値を創造できる経済社会と定義された。

 2017年2月15日、バンコクで「オポチュニティ・タイランド」と名付けた大規模な投資セミナーが開催された。セミナーの冒頭で、プラユット首相は「タイランド4.0」を説明すると同時に、その実現に資する外国企業の投資に過去最大の優遇措置を付与する新投資戦略を明らかにした。バンコク東部に位置するチョンブリ県、ラヨン県、チャチュンサオ県の3県を「東部経済回廊(EEC)」として、大規模な投資優遇策を伴いながら、積極的に開発を進める方針を打ち出した。







 これらタイ湾東部地域は約30年前から開発が進み、現在では石油化学、自動車産業が集積している。自動車産業が集積した、チョンブリー県のレムチャバン港を中心とした地域は「東洋のデトロイト」と呼ばれる。タイ政府は今後5年間で、同地域に1兆5,000億バーツ(約430億ドル、約4兆8,000億円、1バーツ=約3.2円)の投資を官民で行い、地域のさらなる発展を図る。

 <空港や港湾整備など5プロジェクトを優先>
 ウタマ・サバナヤナ工業相は、先に触れた2月15日開催のセミナー「オポチュニティ・タイランド」で、現在EEC地域で開発が計画されている15プロジェクトのうち、2017年に開始する優先順位の高い、以下の5プロジェクトを発表した。

 ①ウタパオ空港・・・投資額は2,000億バーツ(約57億ドル)。現在の滑走路の東側に新たな滑走路を整備する。さらに、旅客ターミナル、商業施設、自由貿易区域、メンテナンス・修理施設、航空産業向け研修施設を新設する。

 ②レムチャバン港開発(第3期)・・・投資額は880億バーツ(約25億ドル)。PPP方式で開発し、世界でトップ10に入る港を目指す。コンテナ取扱量を現在の年間700万TEU(20フィートコンテナ換算)から1,800万TEUに、自動車輸出能力を年間100万台から300万台に増強する。

 ③高速鉄道の敷設、既存鉄道の複線化・・・投資額は1,580億バーツ(約45億ドル)。PPP方式を採用する。ドンムアン空港~スワンナプーム空港~ウタパオ空港間に高速鉄道を敷設する。これにより、ドンムアン空港とウタパオ空港を1時間以内、スワンナプーム空港とウタパオ空港を45分で移動することが可能になる。また、レムチャバン港~マープタプット港間の既存の鉄道を複線化する。レムチャバン港~ラヨーン間、マープタプット港~タラット間までの新線を整備する。

 ④EEC内への特定産業の誘致・・・投資額は5,000億バーツ(約143億ドル)。最先端食料生産・加工技術、自動車・同部品、電子、ロボット、航空機・航空機メンテナンス関連、医療産業(メディカル・ハブ)などをEEC内で発展させる。

 ⑤都市開発・・・投資額は4,000億バーツ(約114億ドル)。チャチュンサオ、チョンブリーに国際教育機関などの集積を目指す。パタヤ、サタヒップは観光都市として開発する。

 <EEC地域への投資促進に向け恩典>
 投資委員会(BOI)は、EEC地域をさらに発展させることを目的に、次世代自動車、スマートエレクトロニクス、高所得層向け観光および健康観光、食品加工、自動機械およびロボット、航空、バイオ化学・環境配慮型石油化学、デジタル、医療の中核拠点、公共インフラ・物流システム開発、観光資源開発、技術面の研究開発・支援サービスへの投資を重点的に誘致する。対象企業に付与される4種類の恩典は以下の通りである。

 ①既に法人所得税を免除されたグループA(法人税を3~8年間免除)の企業に対する恩典として、EEC地区に立地している場合は、さらに5年間の法人税50%減税の権利が付与される。ただし、2017年中に投資申請書を提出する必要がある。

 ②EECの特別促進地区で実施する戦略的プロジェクトの場合、特定産業競争力強化法により、最長15年の法人税免除と、補助金を付与する。

 ③重要性の高い投資プロジェクト実現のため、各組織の支援を統合するとともに、障壁となる規制を緩和する。地域内の利便性向上のためのワンストップサービスも提供する。

 ④財務省の恩典として、EEC内に本社と施設を有する対象業種の企業の経営者、投資家、専門家に対して、個人所得税を17%に軽減する可能性がある。

 本シンポジウム当日の6月7日には、シンポジウムに先立って、世耕弘成経済産業大臣とウタマ・サバナヤナ工業相が、ソムキット副首相の立会いの下、「東部経済回廊および産業構造高度化に向けた協力に関する覚書」に署名した。覚書は、経済産業省とタイ工業省との間で、EECを中心としたタイ産業の高度化に向け、日本産業界の声を伝えるための日タイ対話の実施、インフラを含めたEECに係る情報共有等の協力を表明するものである。

 足下のタイ経済は決して好調とは言えない。GDP成長率は2014年に0.92%にまで落ち込み、その後2015年に2.94%、2016年に3.23%にまで回復した。一方、1人あたりGDPは、2012年の5,850.30ドルから2013年には6,157.36ドルへと増加したが、2014年には5,921.09ドル、2015年には5,799.39ドルと減少している。タイは典型的な「中所得国の罠」に陥っていると言えよう。

 そのため、今回のシンポジウムでも、タイがいかに価値ベースの経済に転換することができるかが焦点となった。ポイントは2つある。1つ目は、これまでは外資を呼び込むために投資額のみに着目していたが、今後は技術力や付加価値の向上、人材育成を重視するということである。もう1つは、タイ1国の経済を考えるのではなく、CLMVを含めた「CLMVT」全体の経済を成長させるというものである。CLMVTには20の大都市、70~80の小都市が存在する。これらの都市間の連結性を高めていくことがタイにとっての大きな課題となっている。そのための施策の1つとして、越境経済特区を10か所に設ける予定である。

 個人的には、タイに進出している日系企業のパネルディスカッションを楽しみにしていたのだが、タイ政府関係者のプレゼンテーションが思いの外熱を帯びてしまい、パネルディスカッションの時間が短縮されてしまった。最後に、パネルディスカッションの内容を記しておく。

 <日立>
 日立はIoT時代のイノベーションパートナーとなるべく、IoTのプラットフォームとして"Lumada(ルマーダ)"を開発した。イギリスでは2017年に高速鉄道が開通し、その車両を日立が提供しているが、そのメンテナンスなどはこのLumadaを活用して行われている。日立はタイをエレベーター/エスカレーター事業の拠点としており、製造からメンテナンス、トレーニングまでを行っている。現在、タイから周辺のASEAN諸国、中東への供給体制を整えている最中である。

 タイでも鉄道はPPP方式が採用される予定だが、ライダーシップリスク(どれだけ乗客が乗ってくれるのかについてのリスク)を誰が取るのかが大きな問題である。PPP方式で鉄道を導入したイギリスでは、イギリス政府がリスクを負ってくれた。タイにおいても、政府の強いコミットメントがないと、当社としても金融機関から資金を調達するのが難しくなると思われる。

 <ヤマトホールディングス>
 国際事業はBotBのフォワーディングから始まり、ロジスティクス、デリバリーへと展開してきた歴史がある。海外で宅急便を開始したのは2010年であり、タイでは2011年に開始した。シンガポール、マレーシアに進出した際には、ドライバーの訓練に苦労し、離職率の高さに悩まされたという経験があるため、タイではSCGと合弁会社を作って宅急便を展開することとした。2016年には南北経済回廊、南部経済回廊で存在感のあるOTLを買収し、宅急便とのシナジーを期待している。具体的には、タイの農作物をマレーシアの店舗や個人へ届ける、中国から越境ECの商品をタイの個人に届けるといったことが可能になる。当社はDHLやUPSに比べると後発であるため、「小口で多頻度」を差別化要因としていきたい。

 タイ政府に対しては、①物流業で外資がマジョリティを取ることができない現在の外資規制の緩和、②輸入通関の透明化・迅速化、③食品輸送の規制緩和(特に食肉)を希望している。

 <トヨタ>
 トヨタがタイに進出した歴史は古く、1962年にまでさかのぼる。現在では年間55万台を生産し、31万台を輸出できる体制になった。当社では「環境チャレンジ2050年」として「二酸化炭素排出量90%減」という目標を掲げている。しかし、当面は内燃機関に頼らざるを得ず、HV、PHVが必要となるため、引き続きタイはアジアにおける重要な生産・輸出拠点となる。

 当社は、バンコクの渋滞解決プロジェクトでリーダーを務めている。大がかりな社会実験のように思われるが、やっていることは小さなことの積み重ねである。例えば、バンコクの信号機は警察官が手動でコントロールしている。そこで、当社が交通量のデータを活用して信号の切り替えのタイミングを最適化するシステムを導入した。また、ビルから出てくる車の交通整理をしたり、学校の送り迎えのためのピックアップを信号付近で行うことを禁止したり、車が混雑しやすい場所にあるバス停を移動させたりなどした。このプロジェクトには多くの省庁が関与している。省庁単独で見ると投資とメリットが見合わない案件でも、省庁横断的に見ると大きな効果が期待できるプロジェクトは多い。今後は官官の連携がもっと進むことを期待している。


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