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【み・らいず2の採用の秘密】なぜ若者は”み・らいず2”に集まるのか?(セミナーメモ書き)
平成30年度業務改善助成金について
【中小機構】2018年版中小企業白書・小規模企業白書(概要)について(セミナーメモ書き)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都豊島区を拠点に、東京23区で活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。コンサルティングなどの仕事の実際の中身は守秘義務の関係で書くのが難しいため、書評が中心となっている点は何卒ご容赦あれ。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
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◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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2018年06月24日

【み・らいず2の採用の秘密】なぜ若者は”み・らいず2”に集まるのか?(セミナーメモ書き)


福祉

 神奈川県よろず支援拠点のセミナー「人が集まる会社の秘密~みんなが幸せになる職場の作り方教えます~助成金を有効利用して、社内環境の整備、社員がいきいきと働ける職場作りをしませんか!」に参加してきた。第1部は「平成30年度業務改善助成金」についてであったが、第2部はNPO法人み・らいず2執行役員兼一般社団法人FACE to FUKUSHI事務局長を務める岩本恭典氏より、NPO法人み・らいず2の採用についてのお話があった。

 以下、セミナー内容のメモ書き。

 ・NPO法人み・らいず2は、大阪府、大阪府堺市、京都を拠点に、障害のある人、発達障害や不登校や引きこもりの子どもたち、高齢者への支援を行う団体である。「支援を必要としている人に支援を届け、必要な支援をつくり続けていくこと」をミッションとし、「だれもが、自分らしく地域で暮らせる社会」というビジョンの実現を目指して、育む事業(児童発達支援、大阪市不登校児童通所事業、課題早期発見フォローアップ事業)、学ぶ事業(個別学習塾・家庭教師派遣、放課後等デイサービス、堺市学習と居場所づくり支援事業)など6つの事業を展開している。正職員約30名、非正規職員約20名であり、直近の売上高は約3億円である。2012年より新卒採用を開始し、人手不足が特に深刻であると言われる福祉業界で、毎年一定数を採用している

 ・岩本氏は、「人材がほしいと思ってから採用活動をしているようでは遅い」と言う。み・らいず2の活動は、200~300人の学生ボランティアによっても支えられている。そのボランティアを募集するために、み・らいず2の職員が関西圏の各大学に対し、「講義の最後の5分だけでよいので、み・らいず2のPRをさせてください」と電話で依頼をしている。現在では、年間100校ぐらいを訪問しているそうだ。こうした地道な活動によって集まった学生ボランティアは、1年生のうちからみ・らいず2の活動にかかわっていれば、4年間みっちりとみ・らいず2の理念を叩き込まれることになる。その学生ボランティアのうち、2~3割が会社説明会に出席してくれている。

 最近、み・らいず2では中途採用も行うようになったが、一般的な中小企業と同じで、ハローワークに求人を出しただけでは満足な人材を採用することができない。そこで岩本氏は、学生ボランティアのネットワークを活用することができるのではないかと考えた。学生時代にみ・らいず2でボランティアをし、大企業に就職したものの、2~3年で退職してしまった人にアプローチする。彼らは既にみ・らいず2の理念も活動も十分に理解しているため、中途採用に至るケースがある。今後、こうした学生ボランティアのネットワークへのアプローチを強化する予定である。

 ・リクルーターから見ると、就職活動をしている学生は皆同じようなスーツを着て、同じような髪形をし、同じようなバッグを持っているため、見分けがつかない。そこで、学生の個性が見えるような工夫をしている。例えば、履歴書は一般の履歴書を使わず、「その人が写っている楽しそうな面白写真」を掲載する欄を設けたり、「好きな食べ物・その理由」、「好きな漫画・映画・本・小説などとその理由」を記入する欄を設けたりしている。以前は、「あなたをゴレンジャーに例えると何色ですか?」という質問欄を設けたこともあったそうだ。

 ・「2018年卒マイナビ学生就職モニター調査 3月の活動状況」によると、学生が企業を決める上で大切にしていることの第1位は「社員の人間関係がよい」ことである。また、「リクルートキャリア 就職白書2016」で、学生が企業を選ぶ時に最も重視した条件を見ると、就職活動が進むにつれて「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」が重視される傾向にある。

 よって、み・らいず2の新卒採用では、学生に「このNPO法人は雰囲気がよさそう」、「このNPO法人で働くと楽しそう」と思ってもらうことに重点を置いている。まずは【①】ブランディングに注力している。約5年に1度のペースで、パンフレット、ロゴ、名刺、HPを一新している。その費用は約500万円であり、売上高約3億円のNPO法人にとって決して軽くない。だが、働いた経験がない学生は、結局のところ見た目でしか判断できないので、見た目を重視している。

 とはいえ、デザイナーに丸投げするのではなく、職員たちが「自分たちのやりたいこと、事業にかける想い」を自由に語り、それをかっこよく表現してもらうようにオーダーを出している。また、自分たちのやりたいことは案外自分たちでも解っていないことから、デザイナーには職員から言葉を引き出してもらう役割も期待している。冒頭で、み・らいず2のビジョンは「だれもが、自分らしく地域で暮らせる社会」であると述べたが、当初は「だれもが、地域で当たり前に暮らせる社会」であった。ところが、「我々が目指すのは『当たり前』なのか?」という疑問が生じ、職員とデザイナーとの間で議論を深めた結果、「『自分らしく』地域で暮らせる社会」となった。

 5年に1度ブランディングを刷新すると、それまで築いてきたブランドがゼロに戻ってしまうのではないかという質問が参加者から出たが、岩本氏は「み・らいず2のやっていること、核心は変わらないが、それが社会からどのように認識されるかは変わる。だから、社会の認識に合わせる必要がある」と語った。また、ブランディングを定期的に見直すことで、対外的にも対内的にも、「この法人は攻めている」という印象を与えることができるとのことであった。

 次に、【②】①のブランディングと関連するが、会社説明会ではとにかく「楽しそうな動画」を流すことである。アップテンポの音楽と笑顔の写真を組み合わせて会社説明の動画を制作する。プロに依頼しなくても、Windows Movie Makerでそれなりの動画は作れる。セミナーではその動画も紹介されたが、岩本氏は「これを見ても、み・らいず2が何の事業をやっているか解らない。我々にも解らないのだから、学生が見たらもっと解らない」と自虐的に語っていた(笑)。だが、楽しそうな雰囲気が伝わることが重要であり、その点でこの動画が果たす役割は大きい。

 【③】①②だけを読むと、中身を軽視して上辺だけを綺麗に整えているように思えるが、実際には中身の作りこみも行っている。み・らいず2では、新卒採用を若手職員に任せている。学生と若手職員は距離が近いため、学生には親しみを持ってもらえるし、入職後の仕事のイメージも湧きやすい。また、会社説明会では、若手職員が自分の仕事やキャリア、み・らいず2の理念を思い思いに語る機会が多い。上層部が理念などを画一的に語るより、若手職員が多少表現に粗があったとしても自分で考えた言葉で語る方が、学生の共感を呼びやすい。最近の学生は、理念、事業内容、製品・サービスよりも「どんな人と働くことになるのか」をよく見ている。

 ・み・らいず2では、ペルソナ」を設定することで、ターゲットとなる学生増を具体化している。漠然と「中小企業への就職を希望する学生を採りたい」と考えるよりも、「理系出身で、地元の中小企業への就職を希望している学生を採りたい」と考えると、学生のニーズがより具体化される。前者であれば、「経営は安定しているか」、「業績は成長しているか」、「給与は年々上昇するか」といった程度のニーズしか想定できないが、後者になると「大学の選考で学んだことが活かせるか」、「転勤はないか」、「研究開発や新製品開発に積極的に投資しているか」、「エンジニア、設計開発者、研究職としてのキャリアパスはあるか」などといったニーズが想定される。ニーズが明らかになったら、そのニーズに合わせて企業側が適切な情報を発信する。

 ここで、「メリット」と「ベネフィット」を区別することが重要だと岩本氏は指摘する。メリットとは、顧客にとってプラスに働く製品・サービスの特徴のことであり、採用の場面で言えば、学生にとってプラスに働く企業の特徴である。一方、ベネフィットとは、顧客が製品・サービスから得られる満足感や将来の期待感のことであり、採用の場面で言えば、学生が企業から得られる満足感や将来の期待感である。メリットは企業目線に立っているのに対し、ベネフィットは顧客(学生)目線に立っているという違いがある。企業は往々にしてメリットを強調するが、仕事経験がない学生は、そのメリットをベネフィットに転換することが難しい。そこで、企業側があらかじめその転換を済ませておくことがポイントである。例えば、以下のように転換する。

 「研修制度が充実しています」⇒「資格を持っていなくても、働いてから資格が取れます」
 「社員の仲がよいです」⇒「困った時に親身になって相談に乗ってくれます」
 「産休・育休制度が整っています」⇒「子どもを産んでも働き続けられます」

 メリットをベネフィットに転換することで、学生はその企業で働く姿を具体的にイメージすることができ、働く上での不安を減殺し、企業から得られる利益を明確に認識することができる。

 ここからは私見。ペルソナはマーケティングでは有効だと言われているが、採用、とりわけ新卒採用においても有効かどうかは個人的には疑問である。マーケティングの世界では、製品・サービスの寿命が短くなっているから、新製品・サービスを開発するたびにペルソナを設定し、ターゲット顧客に確実に製品・サービスを提供して計画通りの収益を上げることが求められる。

 だが、新卒採用で入社した社員は、長くその組織で働くことが期待されている。採用の段階でペルソナを狭く設定すると、入社後に事業内容が変更になった時に、新しい事業が求める人材像と採用時のペルソナがミスマッチを起こす恐れがある。み・らいず2では、職員の「やりたい」という気持ちを重視しており、次々と新しい事業が生まれるというから、この点はなおさら心配である。新卒採用の段階では、「素直である」、「責任感がある」、「協調性がある」、「柔軟である」といった基本特性に注目すれば十分ではないかと考える(もっとも、ブログ別館の記事「『新しい産業革命―デジタルが破壊する経営論理(『一橋ビジネスレビュー』2016年AUT.第64巻2号)』」では、ターゲットを絞ってセンターピンを狙った方がかえって製品・サービスが多角化すると書いており、人材育成でも同じことがあてはまる可能性が全くないとも言えないが)。

 もう1つつけ加えると、ペルソナを具体的に設定しているということは、それがそのまま応募者をスクリーニングする基準になるはずだが、み・らいず2では今のところそのような選別を行っていないそうだ。現状では、面接官が勘によって、「一緒に働きたい人」を選んでいる。それはそれで重要であるものの、採用する人材が同質化するという課題を抱えている。異質な人材を受け入れるためには評価基準を明確に定める必要があると認識しているところだそうだ。同じことは、入社後の職員の評価についても言える。現在は明確な評価基準がない。辞めていく職員を見ていると、み・らいず2のお祭り・サークルのような雰囲気に何となく合わない人が多い。すると、残った人が同質化していくという課題に直面する。

 ・み・らいず2は「雰囲気のよさ」を学生にアピールしている一方、実際には福祉業界の仕事は3Kと呼ばれるように、よいことばかりではない。入職後のリアリティ・ショックを防ぐために、学生に対してはよい面も悪い面もありのままに伝えるように心がけている。これを採用の世界では"Realistic Job Preview(現実的な仕事情報の事前開示)"と呼ぶ。元々は大企業向けに提唱されたコンセプトであり、殺到する応募者を初期段階でスクリーニングするために、自社の悪い点も正直に告白することが推奨されているというものである。ところが、み・らいず2や中小企業が大企業の真似をすると、誰も応募してこなくなる。そこで、み・らいず2では、選考プロセスの中盤から終盤にかけて、悪い情報を伝えるようにしている。その際、単に「こういう悪い点がある」と言うのではなく、「現在はこういう課題を抱えているが、課題解決に向けてこのようなことを行っている」、「一緒に課題解決をしてほしい」と伝えている。

 ・み・らいず2は、特に採用難と言われる福祉業界で、毎年新卒採用に成功しているという実績があるから、私が何かを指摘するのははなはだおこがましいのだが、最後にセミナーを聞いてみ・らいず2が抱えているであろう課題を挙げてみたいと思う。

 ①事業戦略の明確化=障害者は人口に対する割合がほぼ決まっており、突然増えたり減ったりはしない。その点で、市場規模は予測しやすいと言える。み・らいず2が中長期的にどの地域までカバーしたいのか、その地域では障害者支援サービスがどの程度充実しているのか、不足しているサービスをみ・らいず2が提供できるのかといったことを検討していくと、将来のみ・らいずの売上目標が見え、それに伴って必要な組織規模も判明する。その組織規模と現状とのギャップを明らかにし、その差を埋める施策を展開するという戦略的な活動が求められる。

 ②業務プロセスの標準化=職員がやりたいことを優先して次々と事業が立ち上がっているということだが、ややもすると業務が属人化している可能性がある。障害者支援の場合、例えば1時間サービスを提供するといくらの収入が得られるかは法律などによって定まっている。福祉業界に携わる人は奉仕の気持ちが強く、目の前の顧客のために採算を度外視してまでもサービスを提供しようとする傾向がある。しかし、NPO法人として安定的な収益を確保するためには、業務プロセスをある程度標準化することも必要になるだろう。

 ③行動規範の策定=み・らいず2にはミッション、ビジョンはある反面、バリュー(行動規範)がない。今までは「雰囲気重視」で皆仕事をしてきたものの、み・らいず2がミッションやビジョンを達成する上で、それぞれの職員が従うべき行動規範や価値観を明らかにすることが欠かせない。その行動規範・価値観は、採用時のスクリーニングや、職員評価の基準にもなる。もっとも、全職員が完全に同じ価値観を持つ必要はない。それでは、現在み・らいず2が直面している同質化と同じである。理想は、基本的な価値観は共有しているが、それ以外にも各職員が固有の価値観も持っているという状態である。端的に言えば「半同質/半異質」である。異質な価値観の衝突は緊張をもたらすけれども、同時に貴重な創発的学習の契機となる。

 ④スキルマップの策定と戦略的なジョブローテーション=み・らいず2の職員としてどのような能力を習得する必要があるのかを明らかにしなければならない。その人材要件に基づいて、それぞれの職員の現在の能力レベルをマッピングする。同時に、み・らいず2のそれぞれの事業内の各ポジションでは、どのような能力を習得することができるかを整理する。これらの情報に基づいて、職員1人1人が望ましい能力を習得するために、どの事業のどのポジションを順番に経験していけばよいのかというキャリアパスを描く。日本のキャリア開発の現場ではどうも、社員が自分のやりたいことを自由に構想すればよいと思われている節がある。しかし、本当のキャリア開発とは、組織の側が個人に期待するキャリアを提示することから始まり、それに対して個人が自分の欲求や家庭の事情などを踏まえてどう考えるかを議論するものである。


2018年06月23日

平成30年度業務改善助成金について


給料

 神奈川県よろず支援拠点のセミナー「人が集まる会社の秘密~みんなが幸せになる職場の作り方教えます~助成金を有効利用して、社内環境の整備、社員がいきいきと働ける職場作りをしませんか!」に参加して、厚生労働省の「業務改善助成金」について話を聞いてきた。

 【概要】
 業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度である。生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する。

 【助成対象事業場】
 事業場内最低賃金が1,000円未満の中小企業・小規模事業者が対象となる。
 ※引き上げる賃金額により、支給対象者が異なるため注意が必要。

 【支給の要件】
 (1)賃金引上計画を策定すること。
  事業場内最低賃金を一定額 以上引き上げる(就業規則などに規定)。
 (2)引上げ後の賃金額を支払うこと。
 (3)生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと。
  ①単なる経費削減のための経費(例:LED照明の導入)、 ②職場環境を改善するための経費(例:冷暖房設備の導入)、 ③通常の事業活動に伴う 経費(例:PCの購入)は除く。
 (4)解雇、賃金引下げなどの不交付事由がないこと。
  ①当該事業場の労働者を解雇した場合(天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇した場合を除く)、その者の非違によることなく勧奨を受けて労働者が退職した場合、または主として企業経営上の理由により退職を希望する労働者の募集を行い、労働者が退職した場合。
  ②当該事業場の労働者の時間あたりの賃金額を引き下げた場合。
  ③所定労働時間の短縮、所定労働日の減少(天災事変その他やむを得ない事由のために事業の正常な運営が不可能となった場合、または法定休暇の取得その他労働者の都合による場合を除く)を内容とする労働契約の変更を行い、月あたりの賃金額を引き下げた場合。
 は不交付事由となる。

 【助成額】
 申請コースごとに定める引上げ額以上、事業場内最低賃金を引き上げた場合、生産性向上のための設備投資などにかかった費用に助成率を乗じて算出した額を助成する(千円未満端数切り捨て)。なお、申請コースごとに、助成対象事業場、引上げ額、助成率、引き上げる労働者数、助成の上限額が定められているため要注意。賃金引き上げの対象となる労働者は、6か月以上勤務している必要がある。ただし、雇用保険加入者以外であってもよい(同居親族は不可)。極端な話をすれば、1週間に1時間だけ働くパートの賃金引上げでも認められる。

業務改善助成金の助成率

 【事業場内最低賃金の計算方法】
 ・時給制のパート・アルバイトの場合は、時給で見る。
 ・月給制の場合は、実際に支払われる賃金から以下を除外したものが最低賃金の対象。
  (1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  (2)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  (3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  (4)所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  (5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  (6)精皆勤手当、通勤手当、家族手当

 (※)「(6)精皆勤手当、通勤手当、家族手当」は除外するのを忘れがちであるため要注意。
 《例①》基本給14万円、役職手当2万円、通勤手当1万円で、1日8時間、年間245日(年間休日120日)働く労働者の時給=(14万円+2万円)÷(8時間×245日÷12か月)=979.59円
 ⇒東京都の最低賃金958円(2017年10月以降)を満たすのでOK。
 《例②》基本給14万円、役職手当1万円、通勤手当2万円で、1日8時間、年間245日(年間休日120日)働く労働者の時給=(14万円+1万円)÷(8時間×245日÷12か月)=918.37円
 ⇒東京都の最低賃金958円(2017年10月以降)を満たさないのでNG。

 【生産性向上に資する設備・機器の導入例】
 ・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
 ・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
 (※)通常の補助金や助成金では一般的な自動車は対象外であるが、業務改善助成金においては、車両に対して付与されるナンバープレートの「車種を表す数字」が8で始まるもの、およびこれに準ずると考えられる「特種用途自動車(福祉車両など)」は認められる。
 ・顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
 ・専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上  など。
 >>>2017(平成29)年以前の助成事例はこちらを参照。

 【助成対象】
 機械装置等購入費・造作費をはじめ、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、原材料費、人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費、委託費が対象となる。
 (※)人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費(ただし、業務効率化のコンサルティングに限る)も助成対象となっているのがポイント。
 (※)過去に業務改善助成金を受給したことのある事業場であっても助成対象となる。よって、2017(平成29)年以前に受給した企業が受給できることはもちろんのこと、2018(平成30)年に受給した企業が同一年度に2回以上受給することも可能である。

 【生産性要件】
 生産性を向上させた企業が業務改善助成金を利用する場合、その助成率を割増する。ここで言う「生産性」とは、企業などの決算書類から算出した、労働者1人あたりの付加価値を言う。助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が6%以上である場合に割増される。なお、金融機関から「事業性評価(所轄労働局長が、助成金を申請する事業所の承諾を得た上で、事業の見立て〔市場での成長性、競争優位性、事業特性、経営資源・強みなど)を与信取引のある金融機関に照会し、その回答を参考にして、割増支給の判断を行うもの)」を受けている場合には、1%以上の伸びで可。

 一般企業の場合、
 生産性指標=(営業利益+減価償却費+人件費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数
で計算される。社会福祉法人、医療法人、公益法人、NPO法人、学校法人、個人事業主の生産性指標については、「業務改善助成金交付要領」p7以降を参照。

 【業務改善助成金の手続き】

業務改善助成金の手続き

 (1)助成金交付申請書の提出
 業務改善計画(設備投資などの実施計画)と賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)を記載した交付申請書(様式第1号)を作成し、都道府県労働局に提出する。

 (2)助成金交付決定通知
 都道府県労働局において、交付申請書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金の交付決定通知を行う。

 (3)業務改善計画と賃金引上計画の実施
 ・業務改善計画に基づき、設備投資などを行う。
 ・賃金引上計画に基づき、事業場内最低賃金の引上げを行う。
 (※)交付決定前に設備投資を行ったり、事業場内最低賃金の引き上げを行ったりしてはならない。事業場内最低賃金の引上げは、交付申請書の提出後から事業完了期日までであれば、いつ実施しても構わない。

 (4)事業実績報告書の提出
 業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書(様式第9号)を作成し、都道府県労働局に提出する。

 (5)助成金の額の確定通知
 都道府県労働局において、事業実績報告書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金額を確定し、事業主に通知する。

 (6)助成金の支払い
 助成金額の確定通知を受けた事業主は、支払請求書(様式第13号)を提出する。

 【問い合わせ先・申請先】
 ・問い合わせ先は、各都道府県に設置されている「働き方改革推進支援センター」。
 ・申請先は、「各都道府県労働局」。

 【講師からのアドバイス】
 ・厚生労働省の他の助成金に比べると、雇用保険への加入状況を詳しく調べられない。逆に、法人税や所得税、消費税を適切に納税していることを証明する必要がある。
 ・時間外労働が多いからといって不支給事由になるわけではない。
 ・最低賃金の改定は毎年10月に行われることが多いため、最低賃金が引き上げられるよりも前に(9月末までに)交付申請書を提出するとよい。
 ・事業場内最低賃金が1,000円未満の中小企業が対象であること、東京都の最低賃金は毎年25円前後引き上げられることを踏まえると、東京都の中小企業が業務改善助成金を活用できるのは、おそらく2018(平成30)~2019(平成31)年度までと思われる。

 【私見】
 厚生労働省の助成金は、賃金アップ、処遇改善を目的としたものが多い。賃金アップや処遇改善に対してなかなか前向きに取り組むことのできない中小企業に対して、多少のインセンティブを与えることでそれらを実現させ、ひいては国全体の雇用環境をよりよくしようというわけである。企業から見れば、助成金によって初期の費用は軽減されても、長い目で見れば実は負担は増えることになる。したがって、単に助成金がもらえるからという安易な理由で飛びつくと痛い目に遭う。業務改善助成金に関して言えば、機械設備の投資の大部分は助成金によって賄うことができるものの、事業場内最低賃金の引き上げによって人件費は増加する。その上昇分を補って余りあるほどの売上増の計画をあらかじめ立てておかなければならない。

 例えば、正社員3人、パート7人の飲食料品小売業を考えてみよう。正社員の月給は30万円、パートは全員フルタイムで働くとして、その時給は970円だとすると、この企業の人件費は、(30万円×12か月×3人)+(970円×8時間×20日×12か月×7人)=23,836,800円となる。「平成27年業種別経営指標」の「飲食料品小売業」を見ると、2015年の売上高対人件費率は約12.7%であるから、この企業の売上高はおおよそ23,836,800円÷12.7%=187,691,339円となる。

 ここで、パート7人の時給を30円アップして1,000円にしたとすると、人件費は(30万円×12か月×3人)+(1,000円×8時間×20日×12か月×7人)=24,240,000円となり、403,200円増加する。先ほどの売上高対人件費率を用いれば、この企業の売上高の目安は24,240,000円÷12.7%=190,866,142円になり、約317万円売上を増加させなければならない計算となる。この売上増の計画なくして助成金に飛びつくと、後々人件費の上昇に苦しめられることになる。


2018年06月01日

【中小機構】2018年版中小企業白書・小規模企業白書(概要)について(セミナーメモ書き)


中小企業

 中小企業基盤整備機構(中小機構)の虎ノ門セミナーに参加してきた。今回のテーマは「2018年版中小企業白書および小規模企業白書について」。私が中小企業診断士の勉強をしていた13年前は、中小企業白書は300ページぐらいだったと記憶しているが、近年急速にページ数が増えている上に、2015年からは小規模企業白書も加わって大変なボリュームになっている。全部読む時間がないので、1時間半の無料セミナーで概要だけでも把握しておこうというわけ(三流診断士)。セミナーは概ね、中小企業庁のHPで公開されている「2018年版「中小企業白書」「小規模企業白書」概要」に沿ったものであった。
 【2018年版中小企業白書の特色】
 <現状分析>
 ①中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大
 ②未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善

 <テーマ別分析>
 ③深刻化する人手不足。女性・シニアなどの掘り起こしが課題。
 ④IT導入などを行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。
 ⑤幅広い業種で多能工化・兼任化の取り組みが進展。生産性向上にも寄与。
 ⑥IT導入のきっかけとして重要なのは、地元のITベンダーなど身近な相談相手
 ⑦業務領域や一企業の枠を超えて連携ことでITの効果は飛躍的に高まる。
 ⑧生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。
 ⑨経営者の高齢化から休廃業・解散が高水準。事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加
 ⑩中小企業のM&Aは、生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題

 【2018年版小規模企業白書の特色】
 <現状分析>
 ⑪小規模事業者数は減少しているが、規模拡大する事業者や高い生産性の事業者も存在

 <テーマ別分析>
 ⑫小規模事業者では、経営者に業務が集中。IT導入などによる経営者の業務効率化が急務
 ⑬IT導入などにより小規模事業者の生産性は向上。
 ⑭小規模事業者では、ちょっとした工夫で生産性向上
 ⑮小規模事業者で施策を浸透させる上では、身近な支援機関の役割が重要
 ⑯小規模事業者は、兼業・副業やフリーランスなどの多様な働き方の受け皿
 「2018年版白書では、アンケート調査結果に加えて、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の事例を豊富に紹介している(2017年版の倍以上となる113事例を収録)。業務プロセスの見直し、人材活用面の工夫、IT利活用、設備投資、M&Aを中心とする事業再編・統合など、中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けたヒントが提供された実践的な内容となっている」というのが中小企業庁の売り文句である。

 2018年版の白書のテーマは、一言で言えば「生産性向上」と「IT導入」なのだが、日本企業の生産性が先進国の中でも下位であり、特に中小サービス業の生産性が低いことは、私が記憶している限り、既に10年以上前からずっと指摘されていることである。また、中小企業のIT導入が進んでいないことも、同様に10年以上前から課題であった。それが今年になってようやく、「人手不足の解消」という視点から真面目に取り上げられるようになった。目下の中小企業の課題は、事業承継、高齢社員が中心となる企業の新しい経営のあり方、外国人を活用したダイバーシティ・マネジメントなどであるが、これらの課題が白書で取り上げられるようになるには、おそらく10年ぐらいかかるだろう(外国人の活用については、不法就労の問題や外国人技能実習制度の悪用といった負の側面を掘り起こしかねないため、中小企業庁も及び腰であるに違いない)。

 事例紹介の特徴は、限定的ながら投資対効果が示されていることである。例えば、株式会社加藤製作所(岐阜県中津川市。プレス板金加工業)では、土日祝日の工場稼働を検討するも、人手不足が課題であった。そこで、「意欲のある人求めます。男女問わず。ただし60歳以上」といったキャッチコピーでシニア人材に限定した求人広告を実施した。同時に業務改善にも取り組み、一目で工程を理解できるように掲示物や作業指示書の文字を大きくし、写真やイラストを増やすとともに、シニア人材が操作しやすい工作機械も導入した。その結果、想定を上回る100名からの応募を得て、うち15名を採用し、人手不足を解消することができた。一方で、広告費用やシニア人材に配慮した職場環境整備のためのコストが発生した、といった具合である。

 ただ、中には投資対効果に疑問符がつく事例もある。A社(東京都八王子市。パン製造小売事業者)では、地元のIT販売会社から「IT導入補助金」利用の提案を受け、180万円(サポートサービスを含む)をかけてクラウド給与・就業管理を導入した。その結果、毎月の事務作業が7人日から3人日に減少した。だが、仮に1日の人件費が1万円だとすると、毎月のコスト削減効果は4万円であり、年間換算で48万円である。すると、投資が回収できるまでには4年近くかかる計算になり、この手のITとしては投資回収期間が長すぎる印象を受ける。また、事務スタッフがパートであれば人件費の削減につながるが、正社員であれば人件費は削減されない。IT導入によって浮いた4人日を別の付加価値の高い業務にあてないと、投資を回収することができない。

 B社(兵庫県姫路市。産業機械向け部品製造業者)は、姫路市の「ものづくりIT化推進補助金」を利用し、総額220万円をかけて工場内のWi-Fi化を進め、生産管理システムとタブレット端末との連携を実現した。これにより、作業員の無駄な時間が1人あたり1日15分、現場全体で1日9時間程度削減された。作業員の時給を高く見積もって3,000円とすると、1日あたりのコスト削減効果は2.7万円、年間換算で2.7万円×20日×12か月=648万円となって、4か月ほどで投資を回収できる。ただし、これが残業代の削減につながればよいが、所定労働時間内の効率化であれば意味を持たない。A社と同様に、浮いた15分を別の付加価値の高い業務にあてる必要がある。だが、たった15分で付加価値の高い業務を行うのは困難だから、作業プロセス全般を見直して、付加価値の高い業務にあてられるまとまった時間を捻出しなければならないと感じる。

 2つの事例ではいずれも補助金が利用されている(A社の場合は補助率3分の2、B社の場合は補助金100万円)。補助金によって企業の自己負担がかなり軽減されるため、投資対効果の見積もりが甘くなっていると思われる。これによって得をするのは、結局のところITベンダーである。別の補助金の話になるが、平成24年度の補正予算から毎年続いている「ものづくり補助金」というものがある。これは工場に工作機械を導入して新製品を開発する取り組みを支援する補助金である。工作機械は1,000万円以上するのが普通だが、数百万円単位で大幅に値引きされるのが業界慣行となっている。仮に、ある中小企業が1,500万円の工作機械を購入するとしよう。補助金がない場合、工作機械メーカーは300万円ほど値引きして1,200万円で販売する。工作機械メーカーの売上高は1,200万円、中小企業の自己負担も1,200万円である。

 ここで、ものづくり補助金を利用すると、補助率が3分の2とされているから、1,500万円の工作機械に対して1,000万円の補助金が出る。すると、中小企業の自己負担は500万円まで下がるため、工作機械メーカーは値引きをしてまでも販売するというインセンティブが薄れる。その結果、工作機械メーカーは丸々1,500万円の売上高を獲得することができる。つまり、補助金があることによって、工作機械メーカーの業績は大幅に上がるのである。同じことがIT導入に関する補助金にもあてはまるのではないかと考えられる。本来、もっと安く導入できるはずのITが、補助金のせいでITベンダーによって釣り上げられている可能性がある。

 白書の事例には、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金といった補助金を利用している企業が多いが、そもそも補助金を使っている企業を成功事例として扱うことに個人的には強い違和感を感じる。中小企業庁としては、補助金を使っている企業の情報を把握しているため、事例作成にあたって取材が容易であるというメリットがあるのだろう。また、自分が行っている補助金事業の成果をアピールしたいという思惑もあるのかもしれない。

 だが、私に言わせれば補助金とは生活保護の企業版である。さらに言えば、生活保護は憲法25条に根拠を持ち、「国民に生きていただく」ための恒久的な制度であるのに対し、補助金は自然淘汰を原則とする自由市場経済において、国が「企業を生かしてやる」臨時の制度である(現に、これらの補助金は全て補正予算で組まれており、いつ終わってもおかしくない)。白書の読者が期待するのは、そうした不安定な国の施策に依存する弱い企業ではなく、独力で創意工夫を凝らしながら高い業績を上げている強い企業の事例ではないだろうか?同じことは、中小企業庁が公表している「○○企業50選」のような事例集にもあてはまる。これも補助金を使っている企業が中心であり、しかもおそらくは中小企業庁が財務諸表を確認していないと思われるから、事例公開後に業績不振に陥る企業がある。中小企業庁に対しては、全国のネットワークを活用して強い企業を発掘し、優れた取り組みをヒアリングすると同時に、財務諸表を必ず入手し財務基盤が盤石であることを確認した上で、白書や事例集に掲載することを求めたい。

 安倍政権になってから、中小企業診断士の間では「補助金バブル」と呼ばれるほど数多くの補助金が支給されている。だが、この補助金によって、多くの人の思考回路がおかしくなっていると感じる。本セミナーでは中小企業庁の担当者が講師を務めたが、IT導入補助金の紹介パートで、「平成29年度補正予算で500億円の予算を手当てしたので、是非中小企業の皆様には積極的にご活用いただきたい」という発言があった(セミナー資料にも同様の記載があった)。私は思わず耳を疑った。前述の通り、補助金は「国が中小企業を助けてやる」制度である。だから、「補助金によって1回だけチャンスをやる。その代わり、ちゃんと儲けを出して法人税で返せ」ぐらい言えばいいのにと思う。「ご活用いただきたい」などと低姿勢に出るのはおかしい。

 診断士もおかしくなっている。補助金の申請支援をして、採択額の10%を成功報酬としてもらうという診断士が増えている。診断士の世間的な知名度はまだまだ低いのだが、私は「中小企業診断士=補助金の申請支援をする人」という変なブランドイメージが広まるのを恐れている。診断士は他の士業と異なり独占業務がないだけに、中小企業の経営者の中に誤ったイメージが植えつけられるのが怖い。私は、新しい取り組みをするのであれば、金融機関からの融資に頼るのが筋だと思っている。借入金の返済というプレッシャーがあるからこそ、新しい取り組みに対しても真剣に向き合えるようになる。私は本ブログで補助金に関する記事も何本か書いているけれども、私の方から中小企業の経営者に補助金を勧めることは”絶対にない”。先日、ある診断士が顧問先の中小企業を補助金漬けにした挙句、経営革新計画が認定されたことを自慢げに話していたのを聞いて、この人は一体何を考えているのだろうかと思った。

 《余談》

社外におけるITに関する相談相手

 診断士の知名度がまだまだ低いことに関するぼやき。上図は「社外におけるITに関する相談相手(複数回答)」を尋ねたものである。中小企業の相談相手に関するアンケート結果はしばしば白書にも登場するのだが、大抵は選択肢の中に診断士が入っていない。中小企業を支援する「認定支援機関制度」を別に設けるぐらいだから(以前の記事「認定支援機関制度で岐路に立たされる中小企業診断士」を参照)、中小企業庁は、自分が所轄する資格でありながら、診断士のことが嫌いなのではないかとさえ勘繰ってしまう。ただ、上図に関して言うと、出典元の三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)の中では診断士という選択肢があったものの、回答数があまりに少なかったため、白書のグラフからは割愛されたとのことである(元のレポートがインターネットでヒットしないのだが、もしありかをご存知の方がいらっしゃったらご教示いただきたい)。



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