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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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(城北支部執行委員、青年部長、および国際部員を務めています)

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2017年07月25日

『ノーベル賞と基礎研究(『一橋ビジネスレビュー』2017年SUM.65巻1号)』―イノベーティブな知を創出し、評価する方法についてのヒント

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一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号
一橋大学イノベーション研究センター

東洋経済新報社 2017-06-16

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 ノーベル賞の受賞を目指して経営している企業はほとんどいないだろうし、私もノーベル賞の受賞を目指す企業の経営コンサルティングなどできるわけないのだが、本号を通じて、イノベーションや新しい知を創出するためのヒントはいくつか得られたと思う。
 第1に、科学的戦略ビジョンを有する経営リーダーを育成すること、第2に、科学技術にかかわるエコシステムおよび科学技術イノベーション政策を整備することで研究開発プロセスと成果物の市場化を促進すること、第3に、研究活動を整備し、優れた人材を海外から誘致することの重要性を説いている。
(原泰史、壁谷如洋、小泉周「ノーベル賞受賞者の特性分析から見える革新的研究の特徴」)
 この文章の「科学技術」などの文言を「イノベーション」としても、十分に意味は通じる。
 第1に、イノベーション戦略ビジョンを有する経営リーダーを育成すること、第2に、イノベーションにかかわるエコシステムおよびイノベーション政策を整備することでイノベーションプロセスと成果物の市場化を促進すること、第3に、イノベーションを整備し、優れた人材を海外から誘致することの重要性を説いている。
 先ほどの論文では、ノーベル賞を受賞した研究者が、受賞につながった主要研究を開始した年齢を分析している。その結果、興味深いことが判明した。
 主要研究を開始した年齢は、化学賞の場合は平均37.6歳、生理学・医学賞の場合は36.6歳、物理学賞の場合は37.1歳であった。(同上)
 主要研究を始める年齢は意外と遅いという印象であった。数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞するためには、20代のうちに顕著な成果を上げていなければならず、30歳を過ぎてからでは手遅れであるそうだが、ノーベル賞に関してはこれは該当しない。では、30代後半に主要研究を始めるまでに何をしているのかと言うと、
 後に受賞に至る主要研究を行うまでに、特に研究者キャリアの開始時に多様かつ複数の研究機関や職業を経験している
(赤池伸一、原泰史「日本の政策的な文脈から見るノーベル賞」)
そうだ。そういえば、『致知』でも筑波大学名誉教授の村上和雄氏が、研究活動で高い業績を上げている研究者は、若いうちに研究分野の大幅な転換を経験していることが多いと述べていたのを思い出した。これは、昨今のスペシャリスト信奉に対する1つのアンチテーゼである。

 最近は、若手社員でもゼネラリストよりもスペシャリストを志向する人が増えていると聞く。海外ではそれがもっと顕著で、職務定義書(Job Description)に書かれた職種以外の仕事はしないという人が、欧米だけでなくアジアにも広がっている。ベトナムの場合は、一時的な異動であっても、60営業日以内に限定しなければならず、3日以上前に事前通告する必要があるとわざわざ労働法に定められている。私はこういう動きを見て、若いうちから自分に適した仕事がはっきりと解っている人など果たしてどれくらいいるのだろうかとかねてから疑問に思っていた。その点、日本のジョブローテーション制度は、本人の向き・不向きを一旦棚に上げて、若いうちに色々な業務を経験させるということで、非常に優れた制度であると考える。

 冒頭の引用文の最後には、海外人材を誘致することの重要性が書かれている。ビジネス界で現在流行している言葉を使えば、ダイバーシティ・マネジメントを行うべきだということだろう。ただ、多様性を確保するために誰彼構わず海外人材をチームに入れればよいというわけでもない。メンバーが頻繁に入れ替わるチームは、メンバー間の信頼関係の構築に時間がかかり、チームに問題をもたらすリスクがある。アメリカの航空業界では、大小様々なインシデントを全てデータベース化しているが、そのデータベースによると、インシデントが起きるのは、パイロット、キャビンアテンダント、グランドスタッフ、グランドハンドリング、航空管制官などのチームメンバーが初顔合わせのケースが多いと言う。社会学者ジェームズ・マーチの研究だったと思うが、パフォーマンスが高い研究チームというのは、”時々”新しいメンバーが入るチームだそうだ。

 現在のビジネスは、チームプレーを求められることが圧倒的に多い。研究活動も同じである。オートファジーの研究でノーベル賞を受賞した大隅良典教授は、東京大学時代には1人でコツコツと研究していたが、基礎生物学研究所に移籍してからは、広いスペースと研究チームが与えられ、これが研究を新しい方向へ向かわせる契機となったそうだ(原泰史、壁谷如洋、小泉周「ノーベル賞受賞者の特性分析から見える革新的研究の特徴」より)。以上のことを総合すると、高い業績を上げるチームは、①若いうちに多様な分野を経験したミドルクラスがリーダーとなり、②時々、外部からの視点を取り込むために海外の人材を活用し(外部からの視点を取り込むという目的が達せられるのであれば、必ずしも海外人材である必要はない)、③3年程度でチームを転々とする20代のメンバーも含めてマネジメントすることが重要と言えるであろう。

 冒頭の引用文には「成果物の市場化」が大切であると書かれている。企業が外部と成果物をやり取りする具体的な方法としては産学連携が挙げられる。本号には、「スター・サイエンティスト」と企業の相互関係について分析した論文が収録されている。これによると、スターサイエンティストと企業の協業は、お互いに正の効果をもたらすと言う。
 ベンチャー企業のパフォーマンス指標として、特許、開発中のプロダクト、上市したプロダクト、の3つを取り上げた上で、それらと①スター・サイエンティスト、②全米トップ研究大学(必ずしもスター・サイエンティストが存在するとは限らない)、③ベンチャーキャピタル、とのつながりを概観した。(中略)以上より、ベンチャー企業のパフォーマンスに影響を与える最たるものとしては、スター・サイエンティストとの共著が有力であることが示唆される。
(齋藤裕美、牧兼充「スター・サイエンティストが拓く日本のイノベーション」)
 ここで考えられるのは2つの仮説である。1つはスター・サイエンティストがベンチャー企業に時間を割くようになると、研究時間とのトレードオフが起き、研究業績は下がるという可能性である。もう1つは、資金が集められるようになるなどといった理由から、むしろ、より研究業績が上がるという可能性である。結論として、後者の仮説が支持される。(同上)
 以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第48回)】Webで公開されている失敗事例通りに失敗した産学連携プロジェクト」で書いたように、私は前職のベンチャー企業において産学連携で手痛い失敗をしたので、産学連携について偉そうなことは言えない。ただ、この失敗から学んだのは、企業は企業の目的、研究者は研究者の目的を追求しているのであって、産学連携であるからと言って必ずしも共通の目的を設定する必要はないということである。以前の記事「【JETRO】ASEAN-JAPAN Open Innovation Forum(セミナーメモ書き)」の中でも示したように、企業は企業の、研究者は研究者のBSC(バランス・スコア・カード)の実現を目指せばよい。その上で、企業がある目標を追求すると、研究者側のある目標の達成に寄与する、あるいはその逆の関係が生まれるように協業を調整することが、産学連携を成功に導くコツであると考える。

 企業内における「成果物の市場化」で思いつくのは、ナレッジ・マネジメント・システム(KMS)の活用である。10年ぐらい前はKMSという言葉が通用したのだが、残念なことに現在googleでKMSを検索してもナレッジ・マネジメント・システムは上位に表示されず、ブームが去ってしまった感がある。ただ、KMSは依然として、社員のナレッジの標準化、高度化を進める上では重要なツールであると考える。ここでの問題は、KMSの効果をどう測定するのかということである。研究者の場合、業績評価指標として、①論文の本数(量)と②被引用回数(質)がある。ただ、この2つでは不十分であり、「厚み」という新たな指標を提唱している論文が本号にはあった。
 われわれは、論文の集積度(accumulation)を評価指標として導入しようと考えた(ここでは、指標としてam5インジケーターと呼ぶことにする)。

 論文を被引用回数によって降順に並べていき、それをプロットしてグラフにしたのが図3(※省略)だ。厚みがあるといえるのは、この面積が大きいときである。また、被引用回数が1番の論文だけが飛び抜けているのか、2番目以降の論文もそこそこの被引用回数を保っているのか、このグラフの形も重要となる。

 そこで、原点から45度のラインを引き、その交点の位置で面積を疑似的に表すという指標を設定した。つまり、被引用回数と論文数が一致する点を見つけることになる。
(小泉周、調麻佐志「大学の研究力をどのように測るか?」)
 この指標によると、50回以上引用されている論文が1本あるものの、それ以外は1回か2回しか引用されていない論文ばかりの大学よりも、どの論文も平均的に5~6回程度引用されている大学の方が厚みがあると評価されることになる。

 随分前の話だが、営業部門にKMSを導入していたある顧客企業が、営業担当者が次から次へとナレッジを登録するため、結局どのナレッジを使えばよいのか解らないという問題を抱えていたことがあった。当時の私は、KMSの中身を整理し、社員がたくさん参照・ダウンロードするナレッジだけを残して、残りはバッサリと削除してはどうかとアドバイスした。しかし、今振り返ると間違ったことを言ってしまったと反省するばかりである。その顧客企業は、規模も業種も異なる様々な顧客を相手にしていた。だから、汎用的なナレッジなど存在しない。多様なナレッジが適度な参照回数を保つようにKMSの設計を見直してはどうかと助言するべきであった。
 新入職員は、最初の3カ月間は、園生と一緒に生活することから始まる。実習時や就職時にも、ケース記録は見せてもらえないという。ケース記録とは、成育歴や病歴など園生の状況がわかるカルテのようなものであるが、川田園長(当時)は見せてくれと言っても駄目だと言って見せなかった。その理由は、ケース記録を見てしまうと、その人の障害や病気を見てしまい、その人自身がどういう人であるかを見なくなってしまうからである。障害を先に理解するのではなく、まず自分からかかわっていくことで、園生を人として見るようになる。
(露木恵美子、前田雅晴「こころみ学園/ココ・ファーム・ワイナリー 人が「働くこと」の意味を問い直す―知的障害者支援施設の挑戦」)
 研究活動でも、基本は先入観を捨てて「観察」することであろう。企業であれば、顧客を観察することからビジネスが始まる。ところが、これは我々コンサルタントも悪いのだけれども、いわゆるCRMシステムを導入したことによって、システム上の情報ばかりを頼りに顧客に接する営業担当者、サービス担当者が増えてしまったように思える。

 また、私は中小企業診断士という仕事柄、様々な企業の事業計画書を読むことが多いのだが、明らかにコンサルタントが代筆したものだと解るケースがある。それは、市場ニーズに関する記述が、公表されている統計データなどを定量的に分析したものにとどまっている場合である。では、コンサルタントに頼らずに自力で事業計画書を書いた人はもっと突っ込んだニーズ分析ができているかというと、必ずしもそうではない。単に「○○というニーズを持ったお客様が増えている」と書かれているだけで、具体的に誰が、いつ、どのような場面で、どういうことを言ったのか、言葉の隅々まですくい上げた計画書はほとんど見たことがない。

 私は、かつての日本企業は顧客をじっくりと観察するということを自然にやっていたと思っている(以前の記事「創業補助金の書面審査をして感じたこと(自治体はもっとしっかりせよ)」では、スーパーマーケットの例を出した)。ところが、アメリカからデータ重視のマーケティング手法が導入されたことで、観察力が鈍ってしまった。もちろん、CRMシステムにも利点はある。営業担当者が前任から顧客を引き継いだ時、その顧客について何も知らずに顧客の元を訪問するのはさすがに失礼である。ただ重要なのは、CRMシステムに登録されている情報を鵜呑みにしないことである。本号の井上達彦氏の言葉を借りれば、「色眼鏡を外す」べきだ。そして、観察を通じて、CRMシステムに登録されている情報を自分なりに更新していく。そこに、”その”営業担当者”ならでは”の存在価値があり、”その人らしい”仕事のやり方というものが成立する。

2017年07月17日

『韓国新政権と東アジアの未来/住宅保障 貧困の拡大をくいとめるために(『世界』2017年7月号)』―びっくりするほど呑気なリベラル、他

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世界 2017年 07 月号 [雑誌]世界 2017年 07 月号 [雑誌]

岩波書店 2017-06-08

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 以前の記事「『トランプ大統領/進まぬ憲法改正/「生前退位」でいいのか/「死刑廃止」宣言(『正論』2017年1月号)』―朴槿恵問題は一歩間違えば朝鮮半島の”革命”を引き起こしていた、他」でも書いたが、アメリカにとっては、朝鮮半島が南北に分裂したままの方が都合がよい。アメリカと中国・ロシアという大国が直接対立せず、代理戦争を朝鮮半島という狭い領域に閉じ込めておくことができるからだ。だが、最近は、アメリカがどう動いても(あるいは動かなくても)、朝鮮半島が社会主義国家として統一されることは避けられないような気がしてきた。そして、アメリカもこのことに気がついているはずである。

 まず、アメリカが動かない場合であるが、北朝鮮は国際社会の警告を無視して核兵器の開発を進める。以前の記事「『愚神礼讃ワイドショー/DEAD or ALIVE/中曽根康弘 憲法改正へ白寿の確信(『正論』2017年7月号)』―日本は冷戦の遺産と対峙できるか?」でも書いたように、北朝鮮がアメリカ本土にまで届く核兵器を開発する目的は、北朝鮮が韓国を侵略して韓国を奪取する際に、アメリカに邪魔されないようにするためである。これにより朝鮮半島が北朝鮮主導で統一された場合、韓国の財閥が握っている大量の資金が北朝鮮の核兵器に流れ、日本の隣に巨大な核兵器保有国家が誕生する恐れがある。ただ、北朝鮮としても、この作戦で犠牲になる人々があまりにも多すぎるので、実行には慎重にならざるを得ない。

 現在、アメリカは中国と協力して北朝鮮に圧力をかけている。この場合に起こりうるシナリオを以前の記事「『愚神礼讃ワイドショー/DEAD or ALIVE/中曽根康弘 憲法改正へ白寿の確信(『正論』2017年7月号)』―日本は冷戦の遺産と対峙できるか?」で書いたが、最も可能性が高いのは、金正恩政権が倒れ、親中政権が誕生するというものである。中国のおかげで北朝鮮の核武装は解除されるであろう。しかし、北朝鮮に誕生するのは中国の傀儡政権である。そして、これで喜ぶのは韓国である。文在寅大統領は生粋の親北・親中派であり、現在の韓国の世論も親北に傾いている。韓国はいきなり南北統一とはいかなくとも、連邦制など統一の道を模索するに違いない。現に、文在寅は南北の文化交流から始めることを検討しており、早速、平昌オリンピックの一部を北朝鮮で開催するとか、南北合同チームを送るなどと言っている。

 では、トランプ大統領が金正恩党委員長と交渉する場合はどうであろうか?まず、トランプは北朝鮮に対し、アメリカの方を向いている核兵器の縮小を迫る。金正恩は、その条件を呑む代わりに、アメリカ国内で北朝鮮の方を向いている核兵器の縮小を求める。ただ、米朝間交渉では、北朝鮮の方がアメリカよりもパワーを持っているため、交渉はこれだけにとどまらない。金正恩はトランプに対し、金正恩体制の承認を要求する。これに対しアメリカは、金正恩体制を承認する代わりに、北朝鮮がアメリカの同盟国である韓国に手出しをしないことを約束させる。さらに金正恩は、在韓米軍の縮小もトランプに求めるだろう。トランプはその要求を受け入れる代わりに、現在北朝鮮国境付近でソウルの方を向いている何千もの大砲を削減することを要求する。

 これによって、北朝鮮は、アメリカから核兵器で攻撃されることを心配せず、韓国の在韓米軍を恐れることなく、南北統一に向かうに違いない。「北朝鮮は韓国に手出しをしない」という約束を金正恩が破り、さらに韓国もアメリカを裏切ったことになるが、アメリカは韓国の大統領が文在寅になった時点で、ある程度覚悟を決めたのではないかと思われる。ただ、この場合も、一気に南北統一が実現するというよりは、まずは連邦制から始まると予想される。というのも、統一後の国家において、北朝鮮と韓国の政権のどちらを正統とするかという問題があるからだ。

 社会主義政権としては金正恩に分があるが、韓国民が金一族による支配をどれだけ受け入れるかは未知数である。一方の韓国政権については、韓国憲法の前文に「大韓国民は3・1運動で成立した大韓民国臨時政府の法統」を継承するとあるものの、「大韓民国臨時政府」とは1919年の3・1運動後、海外で朝鮮の独立運動を進めていた活動家によって、上海で結成された亡命組織であり、実は国際的に正統性が認められた政権ではない。内紛が絶えなかったことから国際的な評価を下げ、枢軸国・連合国双方からいかなる地位も認められず、国際的承認は得られなかったのである。その亡命政権の理念を受け継いでいるという韓国憲法の前文には無理がある。となると、現存の南北政権とは異なる第三の政権を新たに創造するしかない。

 「韓国新政権と東アジアの未来」という特集タイトルから、今後の東アジアの動静について、リアリスティックな分析を期待していたのだが、左派は拍子抜けするほど呑気であるというのが正直な印象であった。自国の北部に猛スピードで核兵器開発をする国がある中で行われた韓国大統領選挙について、「変化への熱望を集中できる革新的議題がない」(李南周「新政権が時代転換に貢献する道」)と述べられていたのには驚いてしまった。

 朝鮮半島がこのような状況にある時、日本には何ができるであろうか?私の個人的な見解は「何もしない」ということに尽きる。大国同士の対立にどっぷりと巻き込まれている小国同士の対立に、日本のような小国が安易に近づくのは危険である。というのに、左派はアメリカがキューバと国交を回復したのに倣って、日本も北朝鮮と国交を回復せよと進言する。
 現状を基本的に維持したままということは、日本は経済制裁を維持したまま、北朝鮮は核兵器を保有したまま、拉致問題の従来の回答を維持したままで、国交を樹立して、その新しい基盤の上で、一切を国交のある国同士の交渉で前進をはかるということである。
(和田春樹「北朝鮮危機と平和国家日本の平和外交」)
 自国民を拉致して殺害したかもしれず、凶悪な核兵器を持つ国とまずは国交を樹立せよと言うわけだ。例えるなら、自分の家族を誘拐して殺害した疑いがあり、現在もなお凶器を振り回す隣人とまずは仲良くせよと言っているようなものであり、無茶苦茶である。よしんば南北統一が実現して、中国寄りの国家になったとしても、その新国家が日本のような二項混合的な発想によって国創りをする、あるいはしようとしているのであれば、日本は新国家に支援の手を差し伸べる準備がある。そうではなく、中国にべったりで反米・反日を掲げ、現状と変わらないなら、古田博司氏が唱える「助けない、教えない、関わらない」という非韓三原則に従うのが賢明である。

 本号では、NHKスペシャル『憲法70年 ”平和国家”はこうして生まれた』への言及もあった。憲法9条の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という文言はGHQ案にはなく、日本人が独自に入れた文言である。よって、平和憲法は日本人によって作られたものだ、というのが番組の趣旨であった。しかし、これは重大な事実誤認を含んでいる。

 終戦後、憲法改正に着手した日本政府は大日本帝国憲法の一部条項を修正し、陸海軍をまとめて「軍」とする、軍事行動には議会の賛成を必要とする、という規定のみを盛り込んで済ませるつもりであった。1946年(昭和21年)2月8日に憲法問題調査委員会(松本烝治委員長)がGHQに提出した「憲法改正要綱」(松本案)では、次のような条文となっている。
 憲法改正要綱
 五
  第十一条中ニ「陸海軍」トアルヲ「軍」ト改メ且第十二条ノ規定ヲ改メ軍ノ編制及常備兵額ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムルモノトスルコト(要綱二十参照)
 六
  第十三条ノ規定ヲ改メ戦ヲ宣シ和ヲ講シ又ハ法律ヲ以テ定ムルヲ要スル事項ニ関ル条約若ハ国ニ重大ナル義務ヲ負ハシムル条約ヲ締結スルニハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要スルモノトスルコト但シ内外ノ情形ニ因リ帝国議会ノ召集ヲ待ツコト能ハサル緊急ノ必要アルトキハ帝国議会常置委員ノ諮詢ヲ経ルヲ以テ足ルモノトシ此ノ場合ニ於テハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ報告シ其ノ承諾ヲ求ムヘキモノトスルコト
 この草案には、平和主義の要素など全くない。これに対して、GHQでは戦争と軍備の放棄の継続が画策されていた。その意思は、憲法草案を起草するに際して守るべき三原則として、最高司令官ダグラス・マッカーサーがホイットニー民政局長(憲法草案起草の責任者)に示した「マッカーサー・ノート」に表れている。その第二原則には次のようにある。
 国権の発動たる戦争は、廃止する。日本は、紛争解決のための手段としての戦争、さらに自己の安全を保持するための手段としての戦争をも、放棄する。日本はその防衛と保護を、今や世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる。日本が陸海空軍を持つ権能は、将来も与えられることはなく、交戦権が日本軍に与えられることもない。
 9条の制定過程の紆余曲折はここでは省くが、9条の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という文言は、第90回帝国議会の衆議院帝国憲法改正小委員会での審議過程において、芦田均によって第9条に加えられた修正(いわゆる芦田修正)であり、マッカーサー・ノートにおける「日本はその防衛と保護を、今や世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる」が復活したものである。だから、9条は日本人の手によるものとは到底言い難い。
 小西豊治『憲法「押しつけ」論の幻』(講談社現代新書)のように、日本国憲法の「国民主権」の概念が、日本人憲法学者鈴木安蔵の発案であることを以て、日本国憲法は日本人によって作り上げた憲法だ、などと主張する向きもある。だが、これは、「憲法制定権力」の問題を無視した暴論であり、自身の主張そのものが「幻」である。日本国民から「憲法制定権力」が奪われ、全く日本国民の与り知らぬ間に憲法が強制されていた。これが歴史の真実であり、だからこそ、戦後一貫して保守派は、憲法の改正、あるいは自主憲法の制定を訴えてきたのである。
(岩田温「どうしてそうなるの?左曲がりの憲法改正論」)
月刊正論 2016年 10月号 [雑誌]月刊正論 2016年 10月号 [雑誌]
正論編集部

日本工業新聞社 2016-09-01
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 上記引用文にあるように、日本国憲法は自主憲法とはとても呼べない。右派は国防をアメリカに依存しつつ、憲法はアメリカからの押しつけだと批判する。右派は基本的に現実的でいいところ取りのスタンスであるから、こうした矛盾、アメリカに対するあべこべな態度が成立する。ところが、左派は論理的に筋が通っていないと許せないタイプなのだろう。平和主義をうたった憲法は是が非でも守りたい。しかし、それがアメリカからの押しつけであるというのでは具合が悪い。そこで、どうにかして日本人の手によるものであると言おうとしているように見える。

 NHKは以前にも重大な誤報をしている。2016年8月6日に放送された『決断なき原爆投下』がそれである。詳細は『正論』2017年2月号の有馬哲夫「驚くべきNHK特番はここにも・・・ トルーマンは原爆投下を決断していない?」をご参照いただきたいが、NHKはトルーマン大統領が原爆投下の意思決定をしていないと放送した。だが、実際には、

 ①アメリカ、イギリス、カナダの間ではケベック協定が結ばれており、原爆の開発と使用について3か国が同意していた。
 ②原爆の使用について討議し、大統領に諮問する「暫定員会」が設置されていた。
 ③トルーマンの日記には「私ほど原爆の使用に心を痛めている人間はいません」とあるが、トルーマンの日記には偽善的・自己弁護的な言葉が多く、現に「けだものと接するときはそれをけだものとして扱わなければなりません」という記述もある。
 ④皇室維持条項の入ったポツダム宣言を出せば日本が降伏すると知っていたにもかかわらず、トルーマンは敢えて皇室維持条項を削除した。

というのが事実である。

正論2017年2月号正論2017年2月号

日本工業新聞社 2016-12-28

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 衆議院においては結果において429人のうち421人でありましたが、とにかく殆ど全員に近きものをもって可決せられ、まして貴族院においてももとより深い議論はありましたが、結局において300人のうち2人を除いて298人によって可決させられたのであります。
(桐山桂一「「文一道」でゆく 憲法大臣・金森徳次郎の議会答弁(中)」)
 本号の別の箇所では、憲法大臣として連日国会の答弁に立った金森徳次郎の日記への言及もあった。帝国議会では、衆議院、貴族院のいずれにおいても、圧倒的多数の賛成によって憲法が成立したことが記されている。この事実をもって、日本国憲法は、国民が選挙で選んだ代表者によって制定された国民の手による憲法であると言いたいのだろう。しかし、実際にはこの選挙はGHQによって操作されていたことを指摘しておかなければならない。
 国会で議論されたことが重要なことであるかのように池上氏は主張しているが、これも重要な事実を隠蔽したうえでの主張に過ぎない。確かに、国会で憲法について議論がなされたのは事実だが、この国会議員の選び方にもGHQは関与していた。すなわち「公職追放」という形で、自分たちに都合の悪い政治家の立候補を不可能にしたうえでの選挙であったことを指摘しておかねば、「真実」とは言えないであろう。
(岩田温「シリーズ第10回 日本虚人列伝「池上彰」 中立を装った左翼 底の浅さが目に余る」)
正論2017年7月号正論2017年7月号

日本工業新聞社 2017-06-01

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2017年07月12日

『生産性―競争力の唯一の源泉(DHBR2017年7月号)』―生産性に関するデータを収集・分析する業界団体・シンクタンクが必要、他

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ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 07 月号 [雑誌] (生産性 競争力の唯一の源泉)ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 07 月号 [雑誌] (生産性 競争力の唯一の源泉)

ダイヤモンド社 2017-06-09

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 ○偏見を叩くだけでは効果は上がらない 差別の心理学:ダイバーシティ施策を成功させる方法(フランク・ドビン、アレクサンドラ・カレフ)
 2016年のマッキンゼー賞受賞論文である。ダイバーシティ・マネジメントが未だに女性活躍推進とほぼ同義で使われている日本企業に比べると、諸外国ではダイバーシティ・マネジメントが進んでいるだろうと勝手に思っていたが、実際にはそうでもないようだ。ダイバーシティ・マネジメント推進のための研修、業績評価制度における公正な評価の実施、公式な苦情申立制度などを導入しても、かえってマイノリティに対する偏見を助長するだけだと論文の著者は指摘する。

 ではどうすべきかというと、1つにはメンター制度が有効であると言う。ただ、同じ人事制度でも、業績評価制度はNGでメンター制度はOKであるという理由が判然としなかった。仮に、マイノリティ中心にメンターをつけたとすれば、それもやはりマイノリティに対する偏見を生むのではないかという疑念が拭えない。著者はもう1つの方策として、ダイバーシティ・マネジメントに関して社会的な説明責任を負わせることが重要であると言う。人は対外的に説明する責任を負うと、より公正であらねばならないと感じることが心理学の研究で明らかになっている。ただし、これもやはり、業績評価制度との違いを説明できないと感じた。というのも、業績評価制度においても、評価結果の根拠を少なくとも社内にはオープンにしなければならない。社内への説明では不十分で、対外的な説明なら効果があるとする理由が論文からは読み取れなかった。

 ダイバーシティには「表層のダイバーシティ」と「深層のダイバーシティ」の2層がある。表層のダイバーシティとは、人種、性別、年齢、障害の有無など、違いが目に見える属性のことである。これに対して深層のダイバーシティとは、価値観、考え方、文化、出身地、学歴、職歴、収入、コミュニケーションスタイル、所属組織、支持政党、宗教、結婚の有無、働き方のスタイルなど、目に見えない違いを指す。ダイバーシティ・マネジメント後進国の日本に住む私がこんなことを言うのはおこがましい話だが、ダイバーシティ・マネジメントは表層レベルのダイバーシティを追求してはならないと思う。深層レベル、特に考え方や価値観の多様性を追求することを第一とし、結果的に表層レベルのダイバーシティが実現されるという形になるのが望ましい。

 ダイバーシティ・マネジメントの目的は、市場の変化や多様性に対応することである。企業は放っておくと、市場/顧客と同じ考え方を持った社員が集まる。市場の変化が小さい時には、その方が効率的に製品・サービスを顧客に提供することができる。ところが、市場や顧客のニーズが変化すると、新しいものの考え方を組織に注入しなければならない。その新しいものの考え方を組織に取り込み、あるいは先取りして、新しい製品・サービスを開発・提供するためにダイバーシティ・マネジメントが必要となる。社会学者のニクラス・ルーマンは、組織が外部の複雑性に適応するためには、組織内部にその複雑性を取り込むことが重要であると述べている。

 もちろん、多様な考え方を持った社員を誰彼構わず採用すればよいというわけではない。企業には、企業として絶対に譲ることができない価値観が存在する。この価値観については、どの社員も共感している必要がある。これを第1層の価値観と呼ぼう。通常、第1層の価値観は5~10程度で簡潔に表現されることが多い。ところが、企業にはそれ以外にも大小合わせると多くの価値観が存在する。日常の意思決定やオペレーションには、実に様々な価値観が投影されている。これを第2層の価値観と呼ぼう。ダイバーシティ・マネジメントにおいては、この第2層の価値観について、企業側の価値観と社員の価値観の衝突を敢えて推奨する。そこから新たな価値が生まれる可能性があるからだ。よって、企業は、単に多様な考え方を持った社員を採用するのでなく、価値観の衝突を上手にマネジメントできる能力を有する社員を選ぶ必要がある。

 ○生産性向上が社会の格差と不満を解消する 知識労働とサービス労働の生産性(ピーター・ドラッカー)
 ドラッカーが1991年に著した論文である。ドラッカーは、知識労働者の生産性を上げるための処方箋として、①必要のない仕事をやめる、②仕事に集中する、③生産性の意味を考える(量が重視されるのか、質が重視されるのか、量と質の両方が重視されるのか)、④労働者をマネジメントのパートナーとする(このように書くと、マネジメントが知識労働者の方に歩み寄るかのような印象を受けるが、実際には、知識労働者に対し、生産性と成果に対する責任を組み込むことが重要であると述べている)、⑤継続して学習する、⑥他人に教える、という6つを挙げている。

 製造業では、IEの発達などによって、生産性を図る指標が整備されている。他方、サービス業では、生産性を図る統一的な指標が存在しない。私は一応IT業界の出身であるのだが、IT投資をめぐっては必ず投資対効果(これも一種の生産性である)が問われる。工場の建設であれば、導入した機械の種類や整備した生産ラインの形状などから、1日あたりの生産量をほぼ正確に計算できる。ところが、ITの場合は、例えば販売管理システムを導入するとどのくらいの投資対効果があるのか、在庫管理システムの場合はどうなのか、などといった問いに答えることができなかった。システムを導入する企業の規模、業務プロセスの複雑さ、プロジェクトの期間や難易度などによってバラバラであると答えるのが精一杯であった。

 ただ、このままではいつまで経っても顧客企業に対して説得力のあるIT投資提案ができない。そこで、IT投資対効果に関するデータを業界全体で収集し、標準的な投資対効果を算出しようという機運が高まった時期があった。現在の私はIT業界から離れてもう長いため、今どのような動きになっているのかご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたい。

 私の前職は組織・人事コンサルティングと教育研修サービスを提供するベンチャー企業であったが、この世界もまた、生産性に関する標準的な指標がない世界であった。一応、経験則的に、「この作業ならばこのぐらいの時間が標準的」というものは存在した。コンサルティングのプロジェクトでは、書籍や資料を読み込み、関係者にヒアリングをし、パワーポイントやワードで資料を作成し、プロジェクトメンバーや顧客企業と会議を行い、会議の議事録を残すというのが大まかな仕事の流れである。私がマネジャーから教わったのは、書籍や資料は1時間あたり約60ページ読み、ヒアリングは相手が経営者であれ現場社員であれ30分~1時間、パワーポイントは1時間で1枚、ワードは1時間で1,000字、進捗会議は30分~1時間、顧客企業と重要な意思決定を行う会議は2時間(逆に言うと、進捗確認や意思決定以外の会議は行うな、ということでもあった)、議事録は会議に費やした時間と同じ時間で作成する、というものであった。

 コンサルティング業界は、業界団体らしい団体が存在しない珍しい業界である。理想的なのは、コンサルティングの業界団体ができて、生産性に関するデータを収集し、作業ごとの標準的な時間を明らかにすることである。そして、これはコンサルティング業界に限らず、他の知識・サービス労働の業界全てに共通して言えることである。業界ごとに生産性に関するデータが集まれば、今度は業界横断的に生産性を研究するシンクタンクが設立されて、どの業界にも共通する生産性の指標が開発され、その指標の数値について業界ごとの比較ができるようになるとよい。そうすれば、日本のサービス業の生産性向上に大きく寄与するに違いない。

 ○1312社のデータ分析に基づく提言 日本企業の生産性は本当に低いのか(永山晋)
 しばしば、日本企業の生産性は低いと言われる。OECDが発表しているランキングでも、日本は下から数えた方が早いくらいである。この現実に対し、本当に日本企業の生産性は低いのか、上場企業の従業員数と営業利益のデータを使って検証した論文である。論文の著者は、日本企業の生産性は必ずしも低くないと結論づけているものの、ちょっと待ってほしい。分析の対象は上場企業1,312社となっているが、この上場企業の内訳が問題である。

 上場企業業種別企業数

 上のグラフは、上場企業3,805社の業種別割合を示している(「上場企業サーチ:上場企業データベース」より作成)。グラフから解るように、上場企業の半分近くは製造業である(ちなみに、日本の全企業数約400万社のうち、製造業は約40万社で1割程度にすぎない)。そして、これもまたよく言われているように、日本の製造業の生産性は、世界でもトップクラスである。だから、上場企業の生産性を分析すれば、その数値が高めに出るのは当然である。この論文は、我々が既に知っている常識を単に裏書きしているにすぎない。

 日本の生産性の足を引っ張っているのは、日本企業の99.7%を占める中小企業である。これは中小企業庁が発行している『中小企業白書』からも読み取れる。もちろん、大企業を上回る生産性を達成している高業績の中小企業も存在するが、その割合はわずかにとどまる。全体を押しなべて見ると、下図のように、中小企業の労働生産性は大企業のそれを大きく下回る。

労働生産性と労働構成比

 (※)中小企業庁『中小企業白書2016年度版』「第1部 平成27年度(2015年度)の中小企業の動向 第3章 中小企業の生産性分析」より。

 これは、中小企業の作業効率が悪いというだけの問題ではない。中小企業は大企業に比べて、圧倒的に社員1人あたりの売上高が低い。そしてさらに悪いことに、売上高が伸び悩んでいるにもかかわらず、販路開拓に注力していない中小企業の割合が拍子抜けするほど高いのである。販路開拓は、普通の企業ならば普通に行うことである。その販路開拓を行っていない中小企業が20%も30%も存在するのは、はっきり言って異常である。日本の生産性を上げるためには、中小企業の営業力の強化こそが不可欠である。

1人あたり売上高の分布

 (※)中小企業庁『中小企業白書2016年度版』「第2部 中小企業の稼ぐ力 第6章 中小企業の稼ぐ力を決定づける経営力」より。

業種別、商品・サービス別に見た販路開拓の取組状況

 (※)中小企業庁『中小企業白書2015年度版』「第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍 第1章 中小企業・小規模事業者のイノベーションと販路開拓」より。


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