お問い合わせ
お問い合わせ
プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都豊島区を拠点に、東京23区で活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。ほとんど書評ブログ。たまにモノローグ。

 中長期的な研究分野は、
 ①日本の精神、歴史、伝統、文化に根差した戦略論を構築すること。
 ②高齢社会における新しいマネジメント(特に人材マネジメント)のあり方を確立すること。
 ③20世紀の日本企業の経営に大きな影響を与えたピーター・ドラッカーの著書を、21世紀という新しい時代の文脈の中で再解釈すること。
 ④日本人の精神の養分となっている中国古典を読み解き、21世紀の日本人が生きるための指針を導くこと。
 ⑤激動の多元的な国際社会の中で、日本のあるべき政治的ポジショニングを模索すること。

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
YggDoreによる投げ銭(寄付)
YggDore

 本ブログは、他のブログでは読むことができないような独自の視点から、少しでも皆様のお役に立つ記事の掲載を目指しています。もし、「面白かった」と思ってくださいましたら、YggDoreから投げ銭(寄付)をしていただけると大変ありがたいです(※手順は「こちら」)。

 ※クレジットカード決済は本人確認費用と時間が発生するため、銀行振込をお勧めします。ただし、振込手数料は皆様にご負担いただきます。
 ※いずれの方法を選択した場合でも、振込者情報、銀行口座情報、クレジットカード番号などが私に通知されることはありません。
 ※寄付をしていただいても、広告掲載などの見返りは提供しておりません。あしからずご了承ください。
Facebookページ

2018年03月07日

『致知』2018年4月号『本気 本腰 本物』―「悪い顧客につかまって900万円の損失を出した」ことを「赦す」という話


致知2018年4月号本気 本腰 本物 致知2018年4月号

致知出版社 2018-03


致知出版社HPで詳しく見る by G-Tools

 その4つとは「一に勤行(ごんぎょう)、二に掃除、三に追従(ついちょう)、四に阿呆」です。(中略)最後の阿呆が難しい。お師匠さんも「人間は相手から嫌なことを言われるかもしれない。嫌な仕事を与えられるかもしれない。けれども、すべてのことに捉われてはいけない。すべて忘れ切り、捨て切り、許し切り、阿呆になり切る。これがなかなかなれんのや」と言われました。
(塩沼亮潤「人生生涯、一行者の心で生きる」)
 比叡山延暦寺で千日回峰行を成し遂げた塩沼氏に比べれば、私の悟りなど塵にも満たないだろうが、今日の記事では私の「阿呆」の体験談を書いてみたいと思う。誰しも、嫌な経験というのはなかなか忘れることができない。私も以前の記事「『致知』2018年3月号『天 我が材を生ずる 必ず用あり』―素直に「感謝」ができない私は人間的にまだまだ未熟」で過去に受けたひどい仕打ちを許そうと試みたものの、完全に許し切ることはできていない。

 ただ、「許す」ことはできなくても「赦す」ことはできるのではないかと思う。「赦す」とは、「手放す」ということである。手放すためには、一度その出来事を自分事としてとらえ直さなければならない。相手から不快な思いをさせられたとしても、自分の側にも原因があったのではないかと反省する。そうしてその出来事をまずは自分で完全に掌握した後に手放す。手放すとは、その出来事を世間一般の人の所有物にするということである。言い換えれば、自分と同じような辛い経験を味わう人が1人でも減るように、反省から得られた教訓を広く人々と共有することである。

 私は、2016年4月から2018年2月まで、ある資格学校(以下、X社とする)で講師を務めていた。この資格学校はe-Learning方式で講義を提供しており、私の仕事とは、e-Learningで配信する動画の収録と、講義で使用する資料(パワーポイント)の作成であった。X社との間で締結した業務委託契約書には次のようにある。
 第1条2項 X社は、谷藤氏に対し、X社が谷藤氏に実施を依頼した講義、講座、レジュメ、その他の資料(以下まとめて「本件講義等」という。)を提供(以下「本件委託業務」という。)することを委託し、谷藤氏はこれを受託する。
 この業務に対する報酬は、次のように定められていた。
 第2条1項 X社は、谷藤氏に対し、本件委託業務の対価として、谷藤氏が行った本件講義等による売上のうち15%(消費税別。以下「本件対価」という。)を支払うものとする。同一の資格又は科目について谷藤氏以外の講師が本件講義等を提供した場合、本件対価のパーセンテージについては、原則としては講義の時間数割にて計算するものとする。

 3項 X社は、本件対価について、本事業のウェブサイトにおいて本件講義等が一般に公開された後、毎年7月末日及び1月末日限り、該当日の前月までの半年分の本件対価の算出根拠及び金額を記載した書面(電子メールによる通知を含む。以下「本件精算通知」という。)を谷藤氏に提出するものとする。

 4項 X社は、谷藤氏に対し、本件対価の全部ないし一部の支払いとして、講義の収録を開始した月以降、毎月末限り、1時間当たり7,000円(消費税別)を谷藤氏の指定する銀行口座に振り込んで支払うものとする。また、本件精算通知に記載された本件対価から当該講義対価の支払を控除した差額分(当該差額分がマイナスである場合には0とする)について、X社は、谷藤氏に対し、本件精算通知を提出した月の翌月末限り、谷藤氏の指定する銀行口座に振り込んで支払う。
 整理すると、まず講義収録時間に対して、第2条4項に従い、1時間あたり7,000円の報酬が発生する。私は前述の約2年間で、①ITパスポート、②情報セキュリティマネジメント、経営学検定(③初級、中級〔④マネジメント、⑤人的資源管理/経営法務、⑥マーケティング/IT経営、⑦経営財務〕)、ビジネス実務法務検定(⑧3級、⑨2級)、中小企業診断士(⑩企業経営理論、⑪経営情報システム、⑫経営法務、⑬中小企業経営・中小企業政策)の13科目を担当し、約130時間分の講義を収録したので、約91万円の報酬をいただいた。問題は第2条1項の扱いである。これはいわゆるレベニューシェアの規定であり、半年ごとに売上高の一定割合を私の報酬とし、既に支払済みの講義収録に対する報酬は除外して、残りを私に支払うことを定めている。

 勘のよい方はお気づきになったかもしれないが、私が受託した業務は講義の収録と講義用資料の作成の2つである。講義収録の報酬については契約書に明記されているのに対し、講義用資料作成の報酬については位置づけが曖昧になっている。私は、第2条1項のレベニューシェアに含まれるのだろうと解釈し、先行投資だと思って講義用資料を作成してきた。ところが、2016年7月に、第2条3項に従ってレベニューシェアの金額を確認したところ、0円との回答が返ってきた。この時は、講義開始からまだ半年だから売れていなくても仕方ないかと思ったのだが、2017年1月に金額を確認しても、2017年7月に金額を確認しても、2018年1月に金額を確認しても0円との回答であった。この時点で、私が作成した講義用資料は約2,600枚に上っていた。

 約2,600枚もパワーポイントの資料を作って1円にもならないのでは、さすがに私も我慢の限界である。しかも、契約書では私が作成した資料の著作権はX社に属することになっている。約2,600枚もの講義用資料をタダで作らせておいて、著作権だけはちゃっかりもらおうというのはあまりにも虫がよすぎる。私は、契約書の第17条「本契約に定めのない事項及び疑義が生じた事項についてはX社と谷藤氏が協議のうえ誠意を持って解決する」という規定に従って、講義用資料作成の報酬についてX社と交渉することにした。

 私は、ランサーズでパワーポイント資料の作成案件の報酬がいくらぐらいに設定されているかを調べてみた。すると、幅はあるものの、2,000円~20,000円程度であることが解った。私はこのレンジの中央値を取って、1枚3,500円とし、3,500円×約2,600枚=約910万円を支払ってほしいとX社にお願いした。同時に、今まで「レベニューシェア-講義収録の報酬=半年ごとの報酬」となっていたところを、「レベニューシェア-(講義収録の報酬+講義用資料作成の報酬)=半年ごとの報酬」と修正してほしいとも依頼した。

 だが、X社は私の要求を頑なに拒否した。「そのような報酬を他の講師に支払ったことがない」というのが理由であった。業務委託契約は就業規則ではないのだから、他の講師との契約内容に縛られる言われはないのだが、X社があまりにも一点張りの主張を繰り返すので、アプローチを変えることにした。第2条4項には「X社は、谷藤氏に対し、本件対価の全部ないし一部の支払いとして、講義の収録を開始した月以降、毎月末限り、1時間当たり7,000円(消費税別)を谷藤氏の指定する銀行口座に振り込んで支払うものとする」とある。実は、ここには「講義時間1時間当たり7,000円」とは書かれていない点に着目した。

 この「本件対価」とは何かを遡って見ると、第2条1項に「X社は、谷藤氏に対し、本件委託業務の対価として、谷藤氏が行った本件講義等による売上のうち15%(消費税別。以下「本件対価」という。)」とある。さらに「本件委託業務」とは何かを遡って見ると、第1条2項に「X社は、谷藤氏に対し、X社が谷藤氏に実施を依頼した講義、講座、レジュメ、その他の資料(以下まとめて「本件講義等」という。)を提供(以下「本件委託業務」という。)」とある。つまり、第2条4項は「X社は、谷藤氏に対し、X社が谷藤氏に実施を依頼した講義、講座、レジュメ、その他の資料の対価の全部ないし一部の支払いとして、・・・1時間当たり7,000円・・・を支払う」と読み替えることができる。よって、講義用資料についても、作成時間1時間あたり7,000円を請求することにした。

 2016年4月から2018年2月の間、私は基本的に、土日まる2日をかけて6回分程度の講義用資料を作成し、火曜日に収録するというスケジュールで動いていた。当初は、2016年4月から2018年2月のうち、私が病気で休んでいた2か月間を除いた20か月について、稼働率40%で講義用資料を作成したわけだから、8人月分の報酬を請求しようとした。ただ、これではあまりにも計算が雑なので、講義用資料の最終更新日を全てチェックして、資料作成に何日費やしたかをカウントしてみた。例えばA、B、C、D、E、Fという6個のファイルがあったとすると、A、B、Cの最終更新日が土曜日、D、E、Fの最終更新日が日曜日であれば、2日間とカウントした。

 ただし、私の場合、収録の途中で資料の誤りなどに気づいて資料を上書き修正することがある。仮に、D、E、Fの最終更新日が日曜日ではなく、収録を行った火曜日になっていれば、この3つのファイルを日曜日に作成したことを証明できないので、カウントからは泣く泣く除外した。こうすると実際の作成日数よりも少なくなってしまうのだが、致し方がない。カウントの結果、講義用資料の作成には104日費やしていたことが判明した。よって、請求金額は104日×8時間/日×7,000円/時間=5,824,000円となる。最初の約910万円に比べれば、大幅な譲歩である。しかも、契約書に書いてある内容に従った請求である。これならさすがにX社も呑むだろうと思った。だが、期待した私が愚かであった。X社はあくまでも、講義用資料作成の報酬は第2条4項ではなく、第2条1項に従って支払うとの姿勢を最後まで崩さなかった。

 訴訟を起こすという手段も考えられたものの、私は前述の通り先行投資と思って講義用資料を作成した結果、貯金をほぼ全て切り崩してしまったため、訴訟のためのお金を用意することができなかった。また、ブログを昔から読んでくださっている方はご存知のように、私は双極性障害を患っているので、訴訟のようにストレスのかかる行為はどうしてもはばかられた(事実、3月には1か月間入院している)。私はやむなく、自分の主張を取り下げることにした。その後、X社から、2017年7月から12月のレベニューシェアを再計算したところ、約10万円という結果になったという知らせが来た。相変わらずほとんど講座が売れていない。それに、最初0円と言っていたのに、再計算したら10万円になったとは、X社の計算もいい加減である。約2,600枚の講義用資料の作成報酬が10万円。つまり、1枚あたり38円である。これではカラーコピー代と変わらない。

 ここからは、今回の件を「赦す」ために、私がこの出来事から学んだ教訓を7つ列記する。
 ①ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達を受けたり、ビジネスコンテストで優勝したりしているからと言って、優秀な企業であるとは限らない。
 X社はVCからそれなりの額の資金調達を受けていた。だが、VCはポートフォリオを組んでベンチャー企業に投資しており、99社が失敗しても1社が大化けすればOKと考えている存在である。よって、VCから出資を受けていても、その企業が優秀だと評価されているわけではない点に注意しなければならない。また、VCから投資を受けたことが、スタートアップ企業にとってかえって足枷になることもある。私はX社の社長とも何度か話をしたことがあるが、いつも「株主総会対策をしなければならない」、「VCへの説明資料を作らなければならない」とこぼしていた。売上高がたかだか数億円のX社にとって、VC対策は荷が重く、本業が阻害されているようであった。

 似たようなことはビジネスコンテストにも言える。ビジネスコンテストの審査員は、審査対象者のビジネスに何の責任も負っていないため、事業の実現可能性よりも、話題性が高いものを選ぶ傾向がある。だから、ビジネスコンテストは、経営者のプレゼンが上手なら優勝できてしまう。しかし、元々フィージビリティが厳密に審査されているわけではないから、事業計画の詰めが甘かったり、事業を実行する社員の能力が足りていなかったりすれば、事業は簡単に失敗する。

 ②委託された業務と報酬がきちんと対応しているか確認する。
 これは既に述べた通りである。私が受託した業務は、講義用資料の作成とe-Learningの講義の収録という2つであったが、それぞれに対応する報酬が契約書の中できちんと明確に定義されていなかった。X社の担当者は、他の資格を担当している講師との契約内容も同じようなものだと言っていた。だが、X社の提供している講座の中心は司法試験であり、弁護士の講師も含まれている。私は、彼らからは私のような要望は出ないのかとX社の担当者に聞いてみたのだが、そういう話は聞いたことがないとのことだった。こんな曖昧な契約内容でよしとしている弁護士は、ひょっとしたらバカ(直球)なのかもしれない。

 ③成果報酬は、こちら側が成果をコントロールできる場合に限定する。
 レベニューシェアは成果報酬の一種であるが、こういう形態を取る場合には、こちら側が成果創出の主導権を強く握ることができる場合に限定するべきである。本件において、私にできるのは品質の高い講義を納品するところまでであり、その講座が実際に売れるかどうかはX社のマーケティングや販促活動次第であった。しかし、私が調べた限り、X社は私の講座が公開されてもプレスリリースを打った形跡がないし、GoogleのAdWordsにも出稿していなかった。ビジネス実務法務検定は、元々別の行政書士の先生が担当していたのだが、受講者からのクレームがひどくて私が撮り直すことになった講座である(大して売れていないのにクレームがすごかったというのだから、よほどひどい内容だったのだろう)。私は、通常4か月以上かかるところを2か月で無理して収録したのに、X社は未だにWebサイトに前任者の顔写真を載せている。

 ④低価格を売りにしている企業には注意する。
 X社は、予備校に比べて運営コストを引き下げることで低価格を実現していると謳っていた。だが、今回の一件で、私は低価格戦略を掲げる企業にはよほど注意をしなければならないと感じた。低価格戦略であっても社員の生産性が高ければ問題ないのだが、私が経験したように、単に外注先を安く買い叩いてコストを下げているようであれば、そんな企業とはつき合うべきではない。その企業がどういう理屈、ストーリー、バリューチェーン、ビジネスモデルで低価格を実現しているのかをよく観察しなければならない。以前の記事「私の仕事を支える10の価値観(これだけは譲れないというルール)(1)(2)(3)」で、「自分を安売りしない」と書いたのに、結果的に自分を相当安くX社に売ってしまったことを後悔している。

 ⑤問題を長期間放置しない。
 私が2年近く問題を放置したことで、損害が大きくなってしまったことも敗因の1つであると考える。せめて、1年経った時点で交渉していれば、まだ請求金額も大きくなかったから、X社も交渉のテーブルに着いてくれたかもしれない。その際、担当者レベルではなく、社長を引っ張り出すべきであっただろう。2年近く経って900万円以上の金額をいきなり提示したものだから、X社は態度を硬化させた恐れがある。ただ、社員が10数名しかいないX社が、いきなり900万円以上の金額を請求された場合、それを拒絶しようとするならば、最初から社長が出てきて火消しに走りそうなものである。今回の交渉では、終始X社の担当者しか出てこなかった。思うに、X社の担当者は私のような要望は受けたことがないと言っていたが、実は他の講師から似たような要求を何度かされており、社長が末端の担当者レベルで揉み消すことに慣れていたのかもしれない。

 ⑥生産性の高い人ほど損をする契約にしない。
 仮に、講義資料作成時間1時間あたり7,000円という契約が認められ、5,824,000円の支払いを受けたとしても、これは私にとって不利である。私は一般の人よりもパワーポイント資料の作成スピードが速いと思っている。私と同じ30代半ばの社員を採用して、13科目を勉強させ、2,600枚の講義用資料を作成させたとしたら、間違いなく1年以上かかるに違いない。その間の採用費、教育費、人件費、福利厚生費、管理者の人件費、管理部門の間接費などを合計すれば、1,000万円は軽く超えるだろう。その仕事を、生産性の高い私がやると約600万円になってしまう。だから、報酬は時給単位ではなく、成果物単位にするべきである。

 余談だが、私は2013年7月から2017年2月まで、ある中小企業向け補助金の事務局に勤めていた。補助金の採択を受けた中小企業の伝票類をチェックして、補助金を支払うのが仕事である。出勤日数は週3日以上というのが条件であった。私は他の仕事もあったので週3日の出勤だったが、高齢の事務局員の多くは週5日びっしりと出勤していた。だが、それぞれの事務局員が担当する中小企業の数は皆同じである。つまり、多くの高齢の事務局員が週5日かかってやっていた仕事を、私は週3日でこなしていたわけだ。それなのに、事務局の評価は、私よりも週5日出勤する高齢の事務局員の方が高かった。お役所は生産性よりも稼働率を評価するらしい。

 ⑦顧客の担当者の情熱に騙されない。
 X社の担当者から最初にこの仕事の話をいただいた時、「当社は現在司法試験が収益の柱だが、これからは新規事業を強化していきたい。その中心に中小企業診断士を位置づけている。谷藤先生には、診断士の講座を引っ張ってもらいたい」と随分熱っぽく言われたのを覚えている。しかし、担当者が新規事業に熱を入れているからと言って、会社全体としてその新規事業に本気になっているとは限らない。私は担当者の熱意だけではなく、X社の全社戦略をもっとよく見極めるべきであった。X社の新規事業に対する態度を感じ取れるサインは確かに存在した。

 それは、私を担当するX社の社員が3回交代し、3人とも退職していたことである。2年弱の間に新規事業の担当が3人も交代するのは異常事態である。しかも、3人とも、私に対して何の挨拶もなしに突然退職していた。X社にとって、新規事業とはその程度の位置づけだったのだろう。X社としては、収益の柱はあくまでも司法試験であり、診断士などはWebサイトを訪れる潜在顧客に対して、メニューの豊富さを印象づけることができれば十分だったのではと思われる。


おススメの書籍


コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
  • ライブドアブログ
©2012-2017 free to write WHATEVER I like