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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2017年10月03日

『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?


月刊正論 2017年 10月号 [雑誌]月刊正論 2017年 10月号 [雑誌]
正論編集部

日本工業新聞社 2017-09-01

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 《参考記事》
 ○日本にとっては、朝鮮半島は南北分裂の現状維持がベスト。
 『「慰安婦」戦、いまだ止まず/台湾は独立へ向かうのか/家族の「逆襲」(『正論』2016年3月号)』―朝鮮半島の4つのシナリオ、他
 『トランプ大統領/進まぬ憲法改正/「生前退位」でいいのか/「死刑廃止」宣言(『正論』2017年1月号)』―朴槿恵問題は一歩間違えば朝鮮半島の”革命”を引き起こしていた、他

 ○朝鮮半島が社会主義国として統一される可能性がある。
 『巨頭たちの謀事/朴槿恵政権崩壊(『正論』2017年2月号)』―ますます可能性が高まった「朝鮮半島統一」に対してどう対処すべきか?
 『愚神礼讃ワイドショー/DEAD or ALIVE/中曽根康弘 憲法改正へ白寿の確信(『正論』2017年7月号)』―日本は冷戦の遺産と対峙できるか?

 ○アメリカが中国と手を組んで日本のはしごを外したら、ロシアと手を結ぶべき?
 『非立憲政治を終わらせるために―2016選挙の争点(『世界』2016年7月号)』―日本がロシアと同盟を結ぶという可能性、他
 『小池劇場と不甲斐なき政治家たち/北朝鮮/憲法改正へ 苦渋の決断(『正論』2017年8月号)』―小池都知事は小泉純一郎と民進党の嫡子、他

 一介の経営コンサルタントが書くアジア情勢に関する記事など、上記のように矛盾だらけで取るに足りない内容が多いのだが、その矛盾をさらに複雑にしかねない記事をこれから書くことをどうかご容赦いただきたい。ブログ別館の記事「牧野愛博『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』―アメリカも北朝鮮も本気で戦争をする気はないと思う」では、アメリカが北朝鮮の報復を抑えるために制圧すべき拠点、ミサイル基地などが膨大な数に上るため、アメリカは本気で北朝鮮を攻撃することはできないと書いた。しかし、本号には次のような記述があった。
 主戦論の民間における主唱者、ジョン・ボルトン元国連大使は、作戦計画をある程度知る立場から、ソウルに向けた北の高射砲群を大部分一斉破壊することは、「なしうる」(doable)と強調している。
(島田洋一「アメリカの深層 第26回 まさに開戦の時―」)
 現在、韓国には20万人強のアメリカ民間人や在韓米軍人の家族が滞在している。そのことを理由に米軍の攻撃開始はない、という見方をする向きも少なくない。自国民間人の命を危険にさらしてまで、米軍は攻撃を始めないし、始めるときは、彼らを退避させるはずだ、という理屈だ。また、日本に住む在日米軍人家族を含む米国人も退避させない限り、軍事攻撃はないと見る人もいる。

 本当だろうか。筆者は、彼らの退避はなくとも攻撃は始まり得ると考える。そのための手段があるからである。簡単に言えば、奇襲攻撃だ。(※この後、具体的な奇襲攻撃の説明が続くが、軍事面の詳細な話に入るため割愛する)
(香田洋二「アメリカが北朝鮮を攻撃しない理由は初めからない」)
 以前の記事「『北朝鮮”炎上”/日本国憲法施行70年/憲法、このままなら、どうなる?(『正論』2017年6月号)』―日本はアメリカへの過度の依存を改める時期に来ている」で、アメリカは北朝鮮の軍事力が上がるのを敢えて待っているのではないかと書いた。北朝鮮の軍事力が中途半端なままでは、インテリジェンス頼みのアメリカは十分な情報が収集できず、適切な対北戦略が立てられない。北朝鮮の軍事力が上がってくれば、巨大化した北朝鮮の基地を衛星写真で正確に知ることができるし、またサイバー攻撃を仕掛けて北朝鮮の機密情報を大量に入手することも可能になる。これらの情報に基づいて、様々な選択肢を検討しながら、北朝鮮を短時間で一気に潰す戦略を構想する。上記の引用文は、その戦略が相当程度まで完成していることを意味し、同時にやはりアメリカはこれまで時間稼ぎをしていたのだと私は感じた。

 朝鮮半島をめぐる各国の思惑を私なりに整理してみると以下のようになる。

 ・アメリカ・日本=北朝鮮を非核化する。南北分裂はそのままとし、現状維持を目指す。

 ・北朝鮮=核の恫喝によってアメリカから体制の維持を認めてもらう。というのは建前であって、実際には、アメリカをICBMで牽制しながら韓国を攻撃し、最終的には朝鮮半島を社会主義国家として統一したいと目論んでいる。

 ・韓国=北朝鮮を非核化する。だが、これもまた建前であって、左傾化が著しい韓国は、実は北朝鮮と一緒になりたいと願っている。文在寅大統領が、国連の制裁決議が通った後で、北朝鮮に対して人道支援を行ったのは、文大統領が左傾化していることの表れである。統一国家は親中国家となる。アメリカとの同盟は放棄する。北朝鮮の核に韓国の資金を投入して、強力な核保有国となる。共産主義の38度ラインを朝鮮半島の南まで押し下げて日本と対立する。

 ・中国・ロシア=香田洋二「アメリカが北朝鮮を攻撃しない理由は初めからない」では、中国・ロシアも北朝鮮の非核化には賛成しており、金正恩体制を崩壊させないのであれば、アメリカの軍事攻撃をギリギリ容認するだろうと書かれていた。しかし、中ロは、金正恩体制が存続さえしてくれれば、国際世論のほとぼりが冷めた頃に再び北朝鮮の核開発支援を再開するに違いない。日本では、北朝鮮の暴走に中ロが手を焼いていると報道されることが多いものの、中ロとしては、朝鮮半島に核保有国を作り、将来的には日本を奪取したいというのが本音である。

 こうして見ると、朝鮮半島に核保有国を誕生させたがっている国の方が多いことが解る。朝鮮半島の核保有国を容認すると、いわゆる「核ドミノ」が発生する恐れがある。具体的には、まず朝鮮半島の核に反応して日本が核を保有する。それにつられて、東南アジア諸国も朝鮮半島や中国の核に対抗するために核の保有を目指す。こうなると、核拡散防止条約(NPT)は事実上骨抜きになる。NPTに関しては、既にインドという例外を作ってしまっている以上、さらなる例外の発生は避けたいところである。それに、核保有国が増えることは、先般成立した核兵器禁止条約の流れにも逆行することになる。だから、何としてでも北朝鮮を非核化しなければならない。

 北朝鮮を非核化するには、①外交による解決と②軍事的手段の2つがある。まず、外交による解決だが、アメリカと北朝鮮が直接対話をする。アメリカは北朝鮮に対して核の放棄を迫る代わりに、北朝鮮はアメリカに対して金正恩体制の維持を約束させる。だが、北朝鮮の要求はこれだけにとどまらないであろう。前述の通り、北朝鮮の真の狙いは南北統一であるから、北朝鮮は韓国との戦いを優位に進めるため、在韓米軍の撤退を要求する。これは、アメリカとしては到底呑める条件ではない。ただ、韓国の文大統領がアメリカの意向に反して左傾化している現状を踏まえると、アメリカが韓国を捨て石にする可能性もゼロではない。朝鮮半島の非核化の価値と、米韓同盟の価値を天秤にかけた場合、アメリカは前者を選択するかもしれない。

 しかし、そもそもこの交渉は決裂するリスクが高い。
 仮に外交交渉等の非軍事的手段で北朝鮮の核ミサイル開発と使用を一時的に合意した場合、続く核ミサイル放棄交渉において北朝鮮が全面放棄に同意すれば本件は一件落着であり、正に万人の望む結果となる。問題は北朝鮮が同意しない場合であり、その際に次の交渉カードは最早残っていない。

 今述べた、交渉にこぎつけたものの核ミサイル廃棄交渉が決裂した場合及び現在の状況である北朝鮮との対立が続き、問題解決の糸口が見つからない場合の両ケースにおいて、米国をはじめとする国際社会が何もしない場合には、「ズルズル」と北朝鮮の核ミサイル開発と実戦化を黙認してしまうこととなる。
(香田洋二「アメリカが北朝鮮を攻撃しない理由は初めからない」)
 それに、仮に交渉が成功して北朝鮮の核放棄に成功したとしても、繰り返しになるが、金正恩体制が続く限り、中国とロシアが再び北朝鮮の核開発の支援を行う恐れがある。

 よって、北朝鮮を完全に非核化するには、金正恩体制を完全に崩壊させるしかない。つまり、トランプ大統領が発言したように、「北朝鮮という国を完全消滅させる」しかない。アメリカは、北朝鮮がアメリカ本土に届くICBMを完成させた頃を見計らって、自衛戦争と称して北朝鮮に攻め込むであろう(日本にとっては、集団的自衛権の行使が問われる初のケースとなるだろう)。冒頭の引用文のように、短時間で北朝鮮のミサイル基地や核関連施設を封じ込める作戦が本当にあるならば、アメリカの勝利の可能性が見えてくる。アメリカが気をつけるべき点は、100万人を超えるとされる北朝鮮の人民解放軍とのゲリラ戦にズルズルと巻き込まれることだ。アメリカがゲリラ戦に弱いことはベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争で経験済みである。

 アメリカが北朝鮮を攻撃すれば、北朝鮮VSアメリカ・韓国となる。当然、中国とロシアが出てくるから、中国・ロシア・北朝鮮VSアメリカ・韓国となる。だが、左傾化した韓国はアメリカを裏切って(米韓同盟を破棄して)北朝鮮側につくことも考えられる。すると、中国・ロシア・北朝鮮・韓国VSアメリカとなり、自ずと日本はアメリカを支援しなければならない立場に置かれる(ここで集団的自衛権の行使が問われる)。中国・ロシア・北朝鮮・韓国VSアメリカ・日本の結果がどうなるかは私には予想がつかない。仮に前者のグループが勝利すれば、朝鮮半島は社会主義国家として統一されるであろう。さらに悪いことに、朝鮮半島の非核化は達成されないままとなる。

 アメリカ・日本が勝利した場合、アメリカは北朝鮮の跡地に新たな国家を建設する。朝鮮半島では、北側にアメリカ主導で新しい資本主義・民主主義国家であり非核化された国家が生まれる一方で、南側には左傾化しアメリカを裏切った韓国が存在するという構図になる。つまり、朝鮮半島は、北側が資本主義国家、南側が社会主義国家という、現在とは正反対の配置になる。そして、北側の資本主義国家は中ロと南の韓国によって抑え込まれ、南の韓国は北側の資本主義国家と日米によって抑え込まれるという図式が成立する。

 ここで留意しなければならないのは、左傾化して中ロ側についた韓国が核開発に乗り出す可能性である。韓国と中ロの間には新しい資本主義国家が存在しているため、韓国と中ロのつながりは地理的には一応分断されており、中ロが北朝鮮に対してしたような直接的な支援はやや困難になる。しかし、韓国ほどの資金と技術があれば、中ロの支援をそれほど受けなくても、独自に核を開発することが可能かもしれない。とはいえ、韓国にとって核開発は一からの開発になるから、韓国と言えども一定の時間が必要になる。アメリカや日本をはじめとする国際社会としては、北朝鮮の核開発を20年以上も放置して現在の問題を招いた過去を反省し、韓国の早期封じ込めに注力することが今後の重要な課題となるのかもしれない。


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