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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都豊島区を拠点に、東京23区で活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。ほとんど書評ブログ。たまにモノローグ。

 中長期的な研究分野は、
 ①日本の精神、歴史、伝統、文化に根差した戦略論を構築すること。
 ②高齢社会における新しいマネジメント(特に人材マネジメント)のあり方を確立すること。
 ③20世紀の日本企業の経営に大きな影響を与えたピーター・ドラッカーの著書を、21世紀という新しい時代の文脈の中で再解釈すること。
 ④日本人の精神の養分となっている中国古典を読み解き、21世紀の日本人が生きるための指針を導くこと。
 ⑤激動の多元的な国際社会の中で、日本のあるべき政治的ポジショニングを模索すること。

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2018年02月26日

『世界』2018年3月号『辺野古基地はつくれない/中東・新たな危機』―国家の自衛は民主主義を超える、他


世界 2018年 03 月号 [雑誌]世界 2018年 03 月号 [雑誌]

岩波書店 2018-02-08

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 (1)
 宋さんの身体には慰安所で受けた傷痕がいくつも残っている。左の耳が難聴なのは、帳場にも軍人にも殴られた結果だ。左右、どちらの手か失念したが、親指と人差し指の間をカミソリで切られた痕があった。腿の付け根には刺し傷、そして脇腹には10センチ余りの刀傷の痕が残っていた。
(川田文子「宋神道の人生譚 戦場と「慰安所」の極限を生き抜いた在日女性」)
 宋神道さんは、在日の慰安婦裁判をただ一人の原告として闘った女性であり、昨年12月16日に他界した。この記事を読むと、普段は「慰安所の運営・管理には軍が関与していたが、慰安婦を強制的に連行した事実はない」という言説を信じている私でも、慰安所において女性がいかに劣悪な環境の下で働いていたかを思い知らされ、胸が詰まる。

 その慰安婦問題をめぐっては、2015年12月28日の「慰安婦問題日韓合意」によって、「最終的かつ不可逆的」に解決したはずであった。だが、日韓基本条約(1965年)において、日本から総額8億ドルの援助資金を送るのと引き換えに、韓国側が請求権を放棄したにもかかわらず、折に触れて賠償金を請求してくる韓国のことであるから、日韓合意もすぐに蒸し返されることは容易に想像することができた。事実、文在寅大統領はこの合意の見直しを検討しているし、合意後も韓国は相変わらず世界中に慰安婦少女像を建て続けている。

 韓国は慰安婦問題になると、全国民がトラウマにとらわれたかのような状態になり、ここぞとばかりに日本を総攻撃してくる。まるで、国民全体がディスチミア親和型のうつ病にかかったようである。従来のうつ病はメランコリー親和型と呼ばれ、几帳面・生真面目・小心な性格の人が、職場での昇進などをきっかけに仕事の範囲が広がると、責任感から無理を重ね、うつ病を発症するというものであり、自責的になる傾向が強い。他方、ディスチミア親和型のうつ病の場合は、若年層に多く見られ、社会的役割への同一化よりも、自己自身への愛着が優先する。ストレスに対しては他責的・他罰的に対処する。幼い頃から競争原理が働いた社会で成長した世代が多く、現実で思い通りにならない事態に直面した際に個の尊厳が破れ、自己愛が先鋭化するという特徴がある。まさに、現在の韓国の状態をよく表している。

 メランコリー親和型うつ病の場合、十分な休養と投薬治療によって回復が期待できる。これに対して、ディスチミア親和型うつ病の場合は、休養と投薬のみでは十分に回復せず、患者が元の環境に戻されると再び同じ症状を発する可能性が高い。国民全体がディスチミア親和型うつ病になっている韓国の場合、日本という国家が変わらず隣にいる限り、うつ病を発症し続けることになる。だから、韓国の心理的な傷を癒すには、日本が変化しなければならない。

 右派は、「強制連行の事実はなかった」ということを客観的な歴史的資料から明らかにすべきだと主張するが、韓国にとってはプラスの効果をほとんどもたらさないと私は考える。もちろん、慰安婦問題の真実がどうであったかを追求することは学問的には価値があるだろう。しかし、両国の国民の間でこのレベルの話をしても、事実があった、なかったの水かけ論に終始する恐れが高く、韓国民の意識をいつまでも20世紀前半に縛りつけて、ディスチミア親和型うつ病を悪化させるだけである。そうではなく、日本は未来志向にならなければならない。安倍首相が口先で言うだけではなく、実際に未来志向にならなければならない。

 つまり、強制連行の真偽がどうであれ、太平洋戦争期に女性の尊厳を傷つけたのは事実であるから、その反省に立って、女性の人権を重視する社会づくりを(遅ればせながら)本格化する。具体的には、国会議員や地方議会議員における女性の割合を高める、企業の管理職に占める女性の割合を増やす、女性の正社員比率を高める、男女間の賃金格差を縮小する、子育てがしやすい社会インフラを整備する、男女が家事を分担するように意識改革を促す、各種ハラスメントを防止する、DVや児童ポルノ、買春、その他性犯罪を抑止するなどの取り組みを行う。

 これらの施策を通じて、現在114位(2017年)と低迷している男女平等ランキングの改善を目指す。そして、もし韓国が受け入れてくれるならば、日本のノウハウを韓国とも共有する。韓国の男女平等ランキングは日本よりも低い118位であるから、日本の事例には関心を示すであろう。例えば「女性リーダーが活躍する社会の構築に向けて」といったシンポジウムを日韓合同で開催できるようになれば望ましい。さらに踏み込んで、韓国に進出する日系企業で管理職に昇進する韓国人女性が増加するといった動きが出てくればなおよい。こうして日本=女性を弄ぶ悪玉という印象を払拭できれば、韓国の他責的な性向も多少は変化するかもしれない。

 (2)本号の特集は「辺野古基地はつくれない」である。辺野古基地の近海のジュゴンやサンゴに悪影響を与えるから辺野古基地は作ってはいけないといった「情緒的」な内容だったらどうしようかと心配したが、各論文は辺野古基地が「技術的」に作れないことを示すものであった。技術的な問題点を明らかにしてくれたことに感謝したい。問題点が解れば、対策のしようもある。

 以前の記事「守屋武昌『日本防衛秘録―自衛隊は日本を守れるか』―基地の必要性を国民に納得させることはできない」でも書いたが、自衛のための基地をどこに作るかを住民に逐一説明することはできない。そんなことをすれば、国家の最高機密がダダ漏れになってしまう。それならばと、住民は裁判所に対して、基地建設差止訴訟を起こす。しかし、裁判所も、判決文の中で基地の必要性(あるいは不要性)について述べようとするならば、必然的に国家の防衛戦略について言及せざるを得ず、やはり国家機密に触れることになるから、「統治行為論」を持ち出して判断を回避するしかない。統治行為論とは、国家統治の基本に関する高度な政治性を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、それゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論のことである。

 結論を先取りすれば、自衛のための基地は民主主義を超える。国家の内部において国民には国民主権が与えられているのと同様に、国際社会においては国家には国家主権が与えられている。自衛権は国家主権に当然に付与される権利の1つである。そして、国民主権のない国家主権は存在するが(例えば独裁国家)、国家主権のない国民主権は存在しないことから、国家主権は国民主権に優先する。よって、国家が自衛の基地をどこに建設するかをめぐっては、民主主義の入り込む余地はないのである。さらにこの議論を拡大すれば、自衛権には民主主義の入り込む余地はない。したがって、自衛のための組織に対しては、文民統制をする必要もない。国家が外国からの攻撃を受けている時に、民主主義でどうしようかと話し合っていては時機を逸する。kの場合には、国家が国家主権の発動として条件反射的に自衛権を行使すればよい。

 ただし、自衛を超えて戦争となれば話は別である。戦争は、戦略論の大家カール・フォン・クラウゼヴィッツが述べているように、「政治的目的を達成するための一手段」である。政治は民主主義によって動く。だから、戦争を開始する時、戦略を変更する時、戦争を終結する時には国会の合意が必要である。また、軍隊にはシビリアンコントロールを利かせなければならない。

 (3)本号から「パチンコ哀歌(エレジー)」という奇妙な連載が始まった。最盛期には産業規模が30兆円を超え、パチンコファンは3,000万人とも言われてきたが、その斜陽化が激しいといった内容である。左派の雑誌の連載であるから、パチンコメーカーやパチンコホールを支えているのは中小企業であり、パチンコの衰退に伴って中小企業が淘汰され、雇用が脅かされるということをおそらくは書きたいのであろう。私自身はパチンコ業界に対して否定的である。商店街の空き店舗にパチンコホールが入って商店街の景観が損なわれているという中小企業診断士的な理由もあるのだが、一番の理由はもっと簡単で、以前の記事「DHBR2018年1月号『テクノロジーは戦略をどう変えるか』―伝統的な戦略立案プロセスを現代的な要請に従って修正する素案(議論の頭出し程度)」で書いた「社会的ニーズのテスト」に引っかかるからである。

 パチンコは以下の項目のいずれにも該当しない。よって、パチンコはない方がよい。
 ①顧客の健康をサポートするものであるか?
 ②顧客の生活の衛生面を保つものであるか?
 ③顧客の安全・安心な生活の実現に資するものであるか?
 ④顧客が貧困から脱却するのを助けるものであるか?
 ⑤顧客の自尊心を支えるものであるか?
 ⑥顧客が他者との人間的な絆を構築するのに役立つか?
 ⑦顧客の人間的・精神的成長を支援するか?
 ⑧顧客に有意義な時間の使い方を提供するものであるか?
 ⑨人的資源・地球資源の節約に貢献するものであるか?
 ⑩顧客の人生を社会的規範・道徳的価値観と合致せしめるものであるか?
 同じ理由で、自民党が進めているカジノ構想にも私は反対である。社会的ニーズを満たさない手法に頼ってまで経済を成長させる必要はない。それに、パチンコ業界のお金は韓国に流れているだけだが、カジノのお金は中東に流れる恐れがある。
 高橋:アメリカのカジノ企業が入ってくるという有力な憶測があり、一番懸念されるのはロシア系ユダヤ人シェルドン・アデルソンがオーナーのサンズです。アデルソンはラスベガスとマカオのカジノ・ビジネスで成功して、シンガポールにマリーナ・ベイ・サンズを建てた人です。ネタニヤフの熱烈な支持者でもあります。アデルソンは『ハヨム』という新聞をイスラエルで発行しています。「今日」という意味ですよね。これがイスラエルで一番読まれている新聞です。なぜならば無料で配布するフリー・ペーパーだからです。この新聞でネタニヤフを持ち上げているわけです。そういう資本家が日本のカジノに参入するのを許して良いのでしょうか。日本人が使った金が入植地に還流するようになります。
(栗田禎子、長沢栄治、黒木英充、高橋和夫、臼杵陽「中東の地殻変動をどう見るか」)
 本ブログで何度か書いた通り、アメリカやロシアなどの大国は、表向きは激しく二項対立しているように見せているが、本当に衝突すると双方が深刻な損害を受けるため、周辺の小国を同盟国にして代理戦争をさせようとする。朝鮮半島や中東がまさにその例である。小国が大国の代理戦争で被害を受けないようにするには、同盟国である大国にべったりとくっつくのではなく、対立する大国のいいところも取り入れて二項混合、二項動態とでも呼ぶべき状態を作ることである。そうすることで、その小国はどちらの大国の味方なのかが解りにくくなり、大国は安易に手を出しづらくなる。この二項混合、二項動態を得意とするのが日本である。そして、日本の外交方針は、他の小国が代理戦争に巻き込まれないように、二項混合化を支援することである。それなのに、カジノを通じてイスラエル対パレスチナの対立を扇動するようなことがあってはならない。


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