2017年08月13日
【中小企業診断士】中小企業経営・中小企業政策 解答・解説(2/2)【平成29年度1次試験】
試験に出やすい中小企業政策をまとめましたので、こちらもご参照ください。
中小企業政策などまとめ【中小企業診断士試験対策】
中小企業診断士1次試験(中小企業経営・中小企業政策)問題
中小企業診断士1次試験(中小企業経営・中小企業政策)解答
(※)(一社)中小企業診断協会HPより。
(前回の続き)
【問13:ウ】
中小企業の定義は、
①製造業、建設業、運輸業=資本金3億円以下、または従業員数300人以下
②卸売業=資本金1億円以下、または従業員数100人以下
③サービス業=資本金5,000万円以下、または従業員数100人以下
④小売業=資本金5,000万円以下、または従業員数50人以下
【問14(設問1):ウ】
「小規模企業振興基本法」第6条に定められた「4つの基本方針」とは、
①国内外の多様な需要に応じた商品の販売または役務の提供の促進、および新たな事業の展開の促進を図ること、
②小規模企業の経営資源の有効な活用、ならびに小規模企業に必要な人材の育成および確保を図ること、
③地域経済の活性化、ならびに地域住民の生活の向上および交流の促進に資する小規模企業の事業活動の推進を図ること、
④小規模企業への適切な支援を実施するための支援体制の整備その他必要な措置を図ること、である。
【問14(設問2):ウ】
「小規模企業振興基本法」に基づく「10の重点施策」とは、①ビジネスプランなどに基づく経営の促進、②需要開拓に向けた支援、③新事業展開や高付加価値化の支援、④起業・創業支援、⑤事業承継・円滑な事業廃止、⑥人材の確保・育成、⑦地域経済に波及効果のある事業の推進、⑧地域のコミュニティを支える事業の推進、⑨支援体制の整備(支援機関など/国・地方公共団体)、⑩手続きの簡素化・施策情報の提供、である。
【問15(設問1):イ】、【問15(設問2):ア】
「経営力向上計画」とは、経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取り組みを記載した計画のことであり、事業所管大臣から認定されると固定資産税の軽減措置や各種金融支援が受けられる。なお、「経営革新計画」とは、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書のことである。 国や都道府県に計画が承認されると、様々な支援策の対象となる。
【問15(設問3):エ】
「経営力向上計画」には、「経営力向上の目標および経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」を記入する欄があるが、基本方針に従って計画を策定する場合は、「労働生産性」を記載する。労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量(労働者数または労働者数×1人あたり年間就業時間)」で計算する。計画期間が3年の場合は1%以上、4年の場合は1.5%以上、5年の場合は2%以上の向上が必要である。なお、「事業分野別指針」に基づいて計画を策定する場合は、指針に記載された労働生産性以外の指標を用いてもよい。
ちなみに、「経常利益」と「付加価値額」を用いるのは「経営革新計画」である。経営革新計画では、付加価値額を年率3%以上、経常利益を年率1%以上増加させることが要件である。
【問16(設問1):ウ】
「下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づく振興基準」を参照。p11に「親事業者は、下請代金の支払は、発注に係る物品等の受領後、できるり速やかに、これを行うものとする。また、下請代金はできる限り現金で支払うものとし、少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとする」とある。
【問16(設問2):エ】、【問16(設問3):エ】
前掲の「振興基準」のp12に、「下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、繊維業90日以内、その他の業種120日以内とすることは当然として、段階的に短縮に努めることとし、将来的には60日以内とするよう努めるものとする」とある。
【問17(設問1):エ】、【問17(設問2):イ】
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」では、サービス生産性向上の取り組みを「付加価値の向上」と「効率の向上」の2つに大別している。
○付加価値の向上はさらに、①新規顧客層への展開、②商圏の拡大、③独自性・独創性の発揮、④ブランド力の強化、⑤顧客満足度の向上、⑥価値や品質の見える化、⑦機能分化・連携、⑧IT利活用、の8つから構成される。
○効率の向上は、①サービス提供プロセスの改善、②IT利活用、の2つから構成される。
【問18:ア】
「事業承継ガイドライン」は、事業承継のステップを次のように定めている。
<親族内・従業員承継の場合>
①事業承継に向けた準備の必要性の認識、②経営状況・経営課題等の把握、③事業承継に向けた経営改善、④事業承継計画策定、⑤事業承継の実行
<社外への引継ぎの場合>
①事業承継に向けた準備の必要性の認識、②経営状況・経営課題等の把握、③事業承継に向けた経営改善、④マッチング実施、⑤M&Aなどの実行
事業承継をスムーズに行うためには、できるだけ経営課題が残っていない状態で次世代経営者にバトンタッチすることが重要である。
【問19(設問1):ウ】
【問15(設問3)】で書いた通り。
【問19(設問2):エ】
「経常利益」については、【問15(設問3)】で書いた通り。製造業の場合は、「中小ものづくり高度化法」に基づく12の「特定ものづくり基盤技術」に関連する試作品開発が補助金の対象となる。なお、「中小企業等経営強化法」とは、経営力向上計画の根拠となっている法律である。
【問20:エ】
ア:「新連携計画」は、「異分野連携新事業分野開拓計画」という正式名称からも解るように、異業種との連携でなければならない。
イ:創業年数、会社設立年数は要件とはなっていない。
ウ:中小企業者2者の連携でも可である。
エ:正しい。「新連携計画(異分野連携新事業分野開拓計画)」は「中小企業等経営強化法」に基づいて認定される。
【問21(設問1):ウ】
「JAPANブランド育成支援事業」の支援対象は、商工会、商工会議所、組合、NPO法人、中小企業者など4者以上である。
【問21(設問2):ウ】
「JAPANブランド育成支援事業」の公募要領p3によれば、①市場調査(ブランド戦略策定のための場調査など)と②海外市場開拓(ブランド確立、海外販路開拓のための専門家の招聘、新商品開発、展示会出展など)の2つのメニューがある。①市場調査は定額補助(上限200万円)で、1年に限り支援を受けられる。②海外市場開拓は最大3年間補助を受けることができ、補助率は3分の2(各年とも2,000万円が上限)となっている。
【問22(設問1):エ】
「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」は、引き続き1年以上事業を行っている中小企業者が利用することができる。共済金は無担保・無保証人である点に特徴がある。
【問22(設問2):ア】
掛金は800万円まで積み立てることが可能である(「⑤掛金の掛止め」を参照)。また、貸付けを受けた場合は、共済金の貸付額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除される(「③貸付条件(4)貸付利率」を参照)。
【問23(設問1):ア】、【問23(設問2):イ】
「中小企業者等の法人税率の軽減特例、2年延長へ~平成29年度税制改正大綱~」(Professional Journal、2017年1月6日)を参照。中小企業者については、各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額については、19%の軽減税率が適用される。
また、15%の軽減税率の対象となる法人は、①普通法人のうち期末資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(資本金の額等が5億円以上である法人などによる完全支配関係があるものを除く)、または資本金の額もしくは出資金の額を有しないもの、②公益法人、③協同組合、④人格のない社団、である。