このカテゴリの記事
【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について
中小企業診断士を取った理由、診断士として独立した理由(6)【独立5周年企画】
「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)

お問い合わせ
お問い合わせ
プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
アクセスカウンター(PV)
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

最新記事
タグクラウド

Top > ものづくり補助金 アーカイブ
2016年11月25日

【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について


給料

 《参考記事》
 「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(例)
 【シリーズ】「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)

 平成28年度補正予算ものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)の公募が11月14日から開始された(締切は2017年1月17日)。従来は賃上げへの取り組みを表明すると加点要素となったが、今回は賃上げへの取り組みにより、下表の通り補助上限額が引き上げられることとなった。ただし、全社員(雇用保険対象者)の賃金額、勤務地のほか、雇用保険被保険者証番号、氏名などの必要事項を全国事務局が採択決定後に用意するインターネット上のシステムに入力する必要があるなど、事務処理が大変になる。補助上限が最大で3倍になるのだから、それ相応の負担は覚悟せよということなのだろう。

平成28年度補正ものづくり補助金_類型・補助上限額

 補助上限の増額の要件は下記の通りだが、なかなか複雑なので、自分の理解を深めるためにも今回の記事で一度整理してみることにした。

平成28年度補正ものづくり補助金_雇用・賃金拡充への取組み

 【Ⅰ】まず、補助上限額が2倍となるのは、以下の3要件を全て満たす場合である。
事業終了時点から遡及した6ヵ月間と、前年同期間(6ヵ月間)を比較して、
 ①全社員の平均賃金を5%以上増加する。
 ②従業員の最低賃金グループの平均賃金を5%以上増加する。
 ③雇用者を維持・増加する。
 例えば、補助事業が2017年12月に完了する予定の場合は、2017年7~12月の6ヶ月間と、その1年前にあたる2016年7~12月の6ヶ月間を比較する。

 ①について、
 ・社員とは、本社、国内の支社・営業所・工場等のすべての雇用保険対象となる者を指す。契約形態は、正社員の他、雇用保険対象であるパート、アルバイト、契約社員(有期・無期を問わない)、非正規社員、出向者および嘱託員を含む。

 ・平均賃金は6ヶ月間の平均時間単価を採用する。平均時間単価は、賃金÷勤務時間で計算されるが、(a)賃金には通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外勤務手当、休日出勤手当、深夜勤務手当、賞与を含まない(ほぼ基本給と等しいと考えればよい)。賃金に時間外勤務手当などを含まないため、(b)勤務時間には残業時間を含めず、所定労働時間で計算する。

 ・事業終了時点から遡及した6ヵ月間と、前年同期間ともに在籍した社員の平均賃金を比較する。例えば、前年同月期にA、B、C、D、Eの5名が所属していた企業において、補助事業終了までにA、Bが退職し、F、Gが入社した場合は、C、D、Eの3名の平均賃金を比較する。

 ・上記の留意点に基づいて全社員の平均賃金を比較し、5%以上増加することが要件となる。平均賃金を計算するExcelのフォーマットを作成してみた。白抜きセルに入力すると、朱色のセルが自動計算される(社員数30名までに対応。それ以上の場合は行を追加してください)。パート、アルバイトは基本的に時給が決まっているため、本来は計算しなくてもよいのだが、例えば朝シフトと昼シフトで時給が異なる、月の途中で昇給するといったケースが考えられるため、賃金÷勤務時間で計算するようにしてある。なお、夜シフトの時給が深夜手当込みになっている場合などは、割増賃金相当分を控除する必要がある。
 >>平成28年度ものづくり補助金 賃上げ計算用Excel

平成28年度補正ものづくり補助金_賃上げ

 ②について、
 ・「最低賃金グループ」とは、社員のうち、賃金が低い下位10%の社員グループ(全社員数の10%相当)を指す。最低賃金グループを構成する人数の基準となるのは、実績確認期間の前年同期間における賃金が低い10%に位置する範囲であり、全社員数を10で割って小数点切上げにより算出する(例:社員数が1~10人の場合⇒1人、従業員数が11~20人の場合⇒2人)。

最低賃金グループ

 ・上記の例は社員数30名の場合を表している(以下同)。左表では平均賃金が高い順に並んでいる。最低賃金グループに所属するのは、30名÷10=3名であり、左表の従業員番号28、29、30の社員が該当する。補助事業が2017年10月に完了した場合、実績確認期間は2017年5~10月、前年同月期は2016年5~10月となる。従業員番号28、29、30の社員の平均賃金が右表のように変化した場合、3人の平均賃金の合計額が前年同月期より5%以上アップしているため、要件を満たす(従業員番号29よりも26、27の平均賃金が低くても問題ない)。

最低賃金グループ③

 ・最低賃金グループに属する平均賃金と同額の社員が複数いる場合は、その社員も最低賃金グループに含める。上記の例では、下位3名は従業員番号28、29、30であるが、従業員番号27の社員と従業員番号28の社員の平均賃金が同じであるため、従業員番号27の社員も最低賃金グループに含め、4人とする。

最低賃金グループ②

 ・上記の例では、公募時点では従業員番号28、29、30の3名を最低賃金グループとしていたが、補助事業期間中に社員に変動があった場合を表している。従業員番号28、29の社員が退職したことにより、比較対象となる最低賃金グループは、従業員番号28、29、30の3名ではなく、退職者を除く下位10%、すなわち、従業員番号26、27、30の3名となる。

 ③について、
 ・雇用者とは、①における社員と同義である(社員とは、本社、国内の支社・営業所・工場等のすべての雇用保険対象となる者を指す。契約形態は、正社員の他、雇用保険対象であるパート、アルバイト、契約社員(有期・無期を問わない)、非正規社員、出向者および嘱託員を含む)。雇用者の減少には、解雇の他、社員の定年退職や自発的離職者、契約満了も含むため、雇用維持の要件を満たすにはその分の人員補充が必要となる。

 【Ⅱ】【Ⅰ】に加えて、さらに補助上限額が1.5倍となるのは、次の条件を満たす場合である。
 ④社員の最低賃金グループの平均賃金を10%以上増加する。
 (※)ただし、前年同期間において最低賃金グループに属する社員のうち、平均賃金が時間給(時間換算額)で1,000円以上の者がいる場合は、④の増額要件の適用を受けることはできない。
最低賃金グループ

 ・上図のように、賃上げ後に平均賃金が1,000円を超えるのは問題ない。

最低賃金グループ②

 ・上図のように、公募時に想定していた最低賃金グループに属する社員が補助事業期間中に退職したことにより、最低賃金グループの構成が変更となった場合、その中に平均賃金が1,000円を超える者(従業員番号26の社員)がいると、要件を満たさなくなる。


2016年07月06日

中小企業診断士を取った理由、診断士として独立した理由(6)【独立5周年企画】


人脈

 【シリーズ】中小企業診断士を取った理由、診断士として独立した理由
  1.中小企業診断士という資格を知ったきっかけ(7月1日公開)
  2.中小企業診断士を勉強しようと思ったきっかけ(7月2日公開)
  3.ベンチャー企業での苦労(7月3日公開)
  4.長い長い病気との闘いの始まり(7月4日公開)
  5.増え続ける薬、失った仕事(7月5日公開)
  6.点と点が線でつながっていく(7月6日公開)
  7.これから独立を目指す方へのメッセージ(7月7日公開)
 6.点と点が線でつながっていく
 2012年の残りはリハビリのつもりでほとんど仕事をしなかった。代わりに、今までほとんど顔を出したことのなかった診断士の会合に顔を出すようになった。そこで徐々に人脈を作っていくと、2013年に入って少しずつ仕事を任せてもらえるようになった。だから、私が診断士として本格的に活動を始めたのは2013年からだと言える。面白いもので、2013年から今までに私がやってきた仕事は、ほとんど全てを線で結ぶことができる。つまり、ある仕事をすると、そこから別の仕事が派生したり、別の診断士の先生を紹介してくれたりするのである。

 私は診断士になってから初めて、自分が所属する(一社)東京都中小企業診断士協会 城北支部の新年会に参加した。そこで私は、臆面もなくある先生に、「どうやったら独立診断士で食べていけるようになるか?」と尋ねてみた。するとその先生は、「まずは公的機関からの仕事(窓口相談員など)を受注して、収入のベースを作るとよい」とアドバイスしてくれた。ただ、どうすれば公的機関からの仕事が受注できるのかまでは、さすがに簡単には教えてくれなかった。

 その後、城北支部が持つ特定非営利活動法人NPOビジネスサポート(NPO-BS)という団体の会合に出席した。NPO-BSは、城北エリア(板橋・練馬・台東・荒川・北)の中小企業・小規模事業者向けに、リーズナブルな価格で経営コンサルティングを提供している。その会合で、元支部長の青木先生と知り合いになった。青木先生に「君はどんな仕事ができるのか?」と聞かれた時、「コンサルティング会社にいたので、データの統計的処理はある程度できる」と答えた。すると、荒川区で区内中小製造業約2,000社の経営実態調査をやるから、その事務局に入って分析作業を手伝ってほしいとお願いされた。これが、診断士としての仕事の受注第1号である。

 事務局メンバーとして荒川区役所に通うようになると、青木先生から今度は「紹介したい企業が1社ある」と言われた。「ものづくり補助金で採択されたのだが、事務局に提出する書類の用意ができなくて困っているので手伝ってほしい」という。私はこの時初めて「ものづくり補助金」なるものの存在を知った。補助金の事務処理の手引きは100ページほどあった。この冊子に書かれた全ての要件を満たさなければ、補助金は支払われないという。そのため、私は冊子を隅々まで読み、紹介された中小企業の社長に頼み込んで様々な書類を用意してもらった。この仕事のおかげで、今まで単なるバラマキだとしか思っていなかった補助金の内実が理解できた。

 もう1つつけ加えると、この中小企業とやり取りをするために、私は自宅にFAXつきの固定電話を購入した。というのも、この企業は取引先とFAXで見積書などをやり取りしており、社長がそれをPDFに変換する方法を知らなかったので、帳票類を私に送るにはFAXしか手段がなかったからだ。当時は、手書きの帳票でやり取りする企業があること自体驚きだった(もっとも、様々な中小企業を訪問して場数を踏んだ今となっては、帳票が手書きであることは決して珍しいことではないとはっきり言える)。そして、この固定電話が、次の仕事を呼び込むことになる。

 ある時、当時の古川支部長から自宅の固定電話に電話があった。単刀直入に「君は今何の仕事をしているの?」と尋ねられたので、荒川区の仕事以外に大して何もしていなかった私は、「特に何もないです」と正直に答えた。すると、「実は、補助金の事務局員という業務があって、週に3日程度の勤務だがどうか?」と打診された。補助金で採択された中小企業のその後のフォローをするのが仕事だという。日当は決して高くなかったものの、固定収入が得られるという点で、新年会で教わったことにも合致すると思い、快諾した。それに、青木先生からの紹介でものづくり補助金の案件をやったことが、この事務局業務で大いに役立った。

 ところで、なぜ古川先生は私を選んでくださったのか疑問であった。事務局に行ってみたら、周りは皆50代、60代の診断士か企業OBばかりで、私のような若造はほとんどいなかったからだ。ある時、古川先生と直接お話しする機会があったので、そのことを聞いてみた。すると、古川先生は「支部の名簿を見て誰に電話するか決めようとしたのだが、あいうえお順にたどっていくのでは芸がない。最後からたどっていったら谷藤先生に当たった。そして、支部名簿に登録されていたのは携帯電話ではなくて固定電話の番号だった」と柔和な笑顔でおっしゃった。

 おそらくこれは古川先生なりのジョークだったと私は解している。実は、2012年末に板橋区中小企業診断士会の会合に出席して、古川先生とご挨拶をさせていただいている。その場で、実は9月に退院したばかりであり、今は仕事がないと素直に告白した。その時の古川先生は「体調にはくれぐれも気をつけて」と一言おっしゃっただけであった。だが、古川先生はその時のことを覚えていて、仕事がなくて困っていた私に優先的に仕事を紹介してくださったのだと思う。それをあのようなジョークで切り返すところに、古川先生の気配りが感じられた。

 補助金事務局には他支部の診断士が多くいたため、貴重な人脈を得ることができた。ある先生からは、城西支部の先生でコンサルビューション株式会社の代表である高原先生を紹介していただいた。高原先生は海外ビジネスリスクマネジメントという分野でコンサルティングを行っている。私は、恥ずかしながら海外に駐在した経験も長期滞在した経験もなく、海外進出を検討している日本企業の事業戦略立案を国内にいながら支援した程度である。そのぐらいの経験しかない私にも高原先生は仕事を作ってくださり、海外ビジネスに関する研修を一緒に開発したり、りそな総研から小冊子を発行したりすることができた(本ブログの右カラムを参照)。

 また、ある先生からは、(一社)城西コンサルタントグループ(JCG)を紹介してもらい、JCGに所属する先生との共著で本を出版することができた(本ブログの右カラムを参照)。診断士の中で、共著を出している方は多い。だから、出版は簡単だと高を括っていたが、思いの外大変であった。まず、共著者の知識のレベル感を合わせる必要がある。原稿の中で、それぞれの言葉はどういう定義で使うのかを細かく決めておかなければならない。原稿ができ上がったら、相互チェックを何度も繰り返す。事前に知識レベルを合わせても、今度は文章のスタイルがバラバラになったり、各章間の矛盾が露呈したりする。そこで、全体の統一感を出すために、推敲を重ねる。この仕事のおかげで、出版に至るプロセスとはどういうものなのかがある程度解った。

 補助金事務局に勤めたことで、補助金の仕組みについては随分と詳しくなった。そのため、城北支部の勉強会で何度か補助金について話をさせていただいた。その時の参加者の1人が、友人の弁護士に私の資料を見せたらしい。すると、その弁護士の顧問先で、中小企業に補助金を使ってもらって自社の設備を販売したいという機械メーカーがいるから、会ってくれないかと頼まれた。私はその企業の社長に、補助金はバラマキの印象が強いが、実際に補助金を受けるには様々な事務処理などがあり大変だという話をした。すると社長は、我が社のユーザ企業向けに、是非そういう補助金の基礎知識を学べるセミナーをやってほしいとのオーダーをいただいた。

 最初に仕事を受注した荒川区とはその後、国の特定創業支援事業でお世話になった。同事業の事務局をNPO-BSが受注し、私は事務局メンバーとして参画した。窓口相談員の管理、相談報告書の取りまとめ、セミナーの企画、講師のアテンド、集客用のチラシ・HPの作成、受講者管理、レジュメ印刷の手配、セミナー当日の運営、アンケートの集計、受講者の事後フォローなど、多岐に渡る仕事をやらせてもらった。窓口相談員ではなかったため、創業希望者と直接話をする機会は少なかったが、一般的な創業希望者が創業準備の段階において、どういうところで悩みや問題を抱えることが多いのかが何となく見えてきた。


2016年02月07日

「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)


工場

 2016年2月5日(金)より、「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」の公募が開始された。公募要領に「革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等を支援」すると書かれている通り、今回のものづくり補助金は従来と異なり、設備投資に対する補助が中心である。試作開発を行いたい場合は、下記の「小規模型」を選択する。なお、この「小規模型」は、対象が小規模事業者(商業・サービス業では従業員5人以下、製造業その他では従業員20人以下)に限定されるということではなく、補助金の額が小規模であるという意味である。

 事業類型 補助対象経費 補助率 補助上限額
 (下限額)
 一般型 機械装置費
 技術導入費
 運搬費
 専門家経費
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 1,000万円
 (100万円)
 小規模型 機械装置費
 原材料費(※)
 技術導入費
 外注加工費(※)
 委託費(※)
 知的財産権等関連経費(※)
 運搬費
 専門家経費
 クラウド利用費(※)
 (※は設備投資のみの場合
 対象外)
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 500万円
 (100万円)
 高度生産性 
 向上型
 機械装置費
 技術導入費
 運搬費
 専門家経費
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 3,000万円
 (100万円)

 今回新たに追加された「高度生産性向上型」は、「IoTなどを用いた設備投資」によって生産性を向上させる取り組みを支援するものである。「IoTなどを用いた設備投資」とは、「IoTを用いた設備投資」、「最新モデルを用いた設備投資」のいずれかを指す。「最新モデルを用いた設備投資」とは、各メーカーの中で、下記のいずれかのモデルを用いた設備投資を行うことを言う。

 ①一定期間内(機械装置:10年以内、工具:4年以内、器具:6年以内、ソフトウェア:5年以内)に販売が開始されたもので、最も新しいモデル。
 ②販売開始年度が取得などをする年度およびその前年度であるモデル(当該年度に販売が開始されたものであれば、その販売時期は問わない)。

 単に最新モデルの工作機械を導入するだけでも「IoTなどを用いた設備投資」に該当するわけで、これのどこがIoTなのか?と疑問に思うのだが、どうも役人の考えていることはよく解らない。

 募集期間は2月5日(金)~4月13日(水)(※当日消印有効)。採択結果の発表は6月中とされている。補助事業実施期間は、交付決定後から2016年12月31日(土)まで(小規模型の場合は2016年11月30日(水)まで)である。以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」でも書いたが、採択後すぐに補助事業を開始できるわけではない。交付申請という2回目の審査を受ける必要がある。過去の事例からして、交付申請を行ってから交付決定が下りるまでには約1か月かかる。

 だから、採択後すぐに交付申請を行っても、補助事業が開始できるのは早くて7月中である。一方、補助事業の終了は12月31日(土)(小規模型の場合は11月30日(水))に設定されているから、今回は超短期決戦を覚悟しなければならない。とりわけ、小規模型で試作開発をする場合、使える時間はわずか4か月ほどである。この期間で試作品を完成させるのは至難の業だろう。だから、例えば試作開発プロジェクトを技術課題ごとに3つのフェーズに分けて、今回の補助金ではフェーズ1の達成を目標とするなど、一工夫が必要かもしれない。
 【重要な注意点】《2016年2月24日追記》
 上記の通り、今回は補助事業実施期間が非常に短い。だが、期間内に機械装置を購入して、代金を支払えばそれで十分というわけではない点には注意が必要だ。機械装置を導入した後、ある程度試運転を行い、新製品を製造する必要がある。そして、生産工程がどの程度短縮されたのか、品質や精度がどの程度向上したのかなど、定量的な成果を報告しなければならない。

 機械装置は発注から納品まで数か月かかるのが通常である。しかし、採択企業からの発注が特定の機械メーカーに集中した場合、納期が延びる恐れがある。すると、上記の補助事業期間中に機械装置が納入されないという、重大な問題が発生することも考えられる。機械メーカーとは事前に十分協議をすることをお勧めする。
 《参考記事》
 「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)(2)(3)(4)(5)
 「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(賃上げに関して)

 申請書の具体的な書き方については上記の過去記事を参考にしていただくとして、今回の記事では形式的な細かい注意点を整理しておきたいと思う。何分、非常に多くの応募が予想されるため、形式要件を満たさない申請書は足切りされることが十分に予想される。せっかく質の高い事業計画をまとめたのに、つまらないミスで不採択になるのは避けたいところだ。

 【様式1】
 ☑左上の宛先は、全国中小企業団体中央会と、書類を提出する都道府県の中小企業団体中央会の連名とする。
 ☑右上の受付番号は空白とする(受付番号は事務局が採番する)。
 ☑右上の日付は、平成28年4月13日以前とする。
 ☑応募者欄のうち、代表者役職・氏名の欄については、代表者役職を忘れずに記入する。
 ☑応募者欄の印は、角印ではなく代表者印とする。

 【様式2】 
 ☑平成24年度補正~平成26年度補正ものづくり補助金に応募したことがある場合は、その時の受付番号を記入する。応募したことがあるのに記入がない場合、虚偽記載となる。

 《(1)応募者の概要等》
 ☑法人の場合は、法人番号を忘れずに記入する。自社の法人番号が解らなければ、「国税庁法人番号公表サイト」で検索できる。
 ☑代表者の役職および氏名欄は、代表者役職を忘れずに記入する。
 ☑補助事業の実施場所が本社所在地と異なる場合は、「補助事業の実施が本社の所在地と異なる場合の実施場所」に住所を記入する。申請書の提出先は、補助事業の実施場所がある都道府県の中小企業団体中央会となる。なお、採択された後、交付申請の段階で補助事業の実施場所を変更することは、原則としてできない。仮にこれが許されてしまうと、採択率が都道府県によって若干異なっていることから、公募は採択率が高い都道府県で行い、交付申請時に採択率が低い都道府県に補助事業の実施場所を移す、といったことができてしまう。
 ☑主たる業種には、日本産業分類の中分類を記入する。必ず、「2桁の中分類コード+中分類名」という形式で記入する。
 ☑創業・設立日は、登記簿謄本の会社設立の年月日と一致させる。
 ☑株主等一覧表の右上の日付を、【様式1】の右上の日付(提出日)以前とする。
 ☑株主等一覧表の出資比率の合計が100%となるようにする。
 ☑役員一覧に記載する役員は、登記簿謄本と一致させる。監査役も忘れずに記入する。
 ☑経営状況表の数値は、損益計算書と一致させる。

 《(2)事業内容》
 ☑事業計画名、事業計画の概要は、採択後にHPで公表される可能性がある(過去の事例を見ると、事業計画名は公表されている)。審査員に伝わるよう解りやすく書く必要はあるものの、あまり具体的に書きすぎるとノウハウの流出につながる恐れもあるため注意する。
 ☑本事業で取り組む対象分野となる業種には、日本産業分類の中分類を記入する。必ず、「2桁の中分類コード+中分類名」という形式で記入する。(1)応募者の概要等で記入した業種=会社全体の業種と異なっていてもよい。
 ☑事業類型は、「一般型」、「小規模型(試作開発等)」、「小規模型(設備投資のみ)」、「高度生産性向上型(IoT)」、「高度生産性向上型(最新モデル)」の5つのうち1つだけを選択する。
 ☑事業計画は、補助事業単独ではなく、会社全体の数字で作成する。以下にサンプルを掲載した。余白に金額の単位を補記しておく。この表においては、経営革新計画に倣い、経常利益=営業利益-営業外費用で計算する(営業外収益は加算しない)。したがって、損益計算書の金額とは必ずしも一致しない。計算式が色々と複雑なため、フォーマット(Dropbox)を用意した。黄色セルを入力すれば、残りのセルは自動計算されるようにしてある。
ものづくり補助金事業計画(例)

ものづくり補助金事業計画(フォーマット)

 ☑革新的サービスの場合、付加価値額が年平均3%以上、経常利益が年平均1%以上増加するような計画とする。例えば5年計画の場合、5年後の付加価値額が直近期末に比べて3%×5年=15%以上、経常利益が直近期末に比べて1%×5年=5%以上増加していなければならない。
 ☑高度生産性向上型の場合、投資利益率(上表の4年後の列の一番下)が5%以上となるような計画とする(投資利益率=2年後~4年後の「営業利益+減価償却費」の増加額の平均÷1年後の設備投資額。設備投資額=本補助金によって導入予定の機械装置の価格)。
 ☑単に上表を完成させるだけでなく、数値の根拠を明記する(添付資料としても可)。

 《(3)これまでに補助金または委託費の交付を受けた実績説明(申請中の案件を含む)》
 ☑申請時点から過去5年間の補助金・委託費の実績を記入する。補助金・委託費の実績があるのに故意に記入しなかった場合は虚偽記載となる。

 《(4)経費明細表》
 ☑冒頭の表の通り、事業類型ごとに使用可能な費目が決まっているため、それ以外の費目は使用しない。
 ☑一般型、高度生産性向上型は、単価50万円(税抜き)以上の機械装置費が必須である。
 ☑高度生産性向上型(最新モデル)の場合、機械装置費に最新モデル以外の機械装置を含めてはならない(例えば、本体は最新モデルであるが、オプションが旧モデルの場合、オプションは補助対象とはならないので要注意)。
 ☑高度生産性向上型(最新モデル)の場合、ここで言う「モデル」とは、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則で言うところの「型式」のことである。型式があるということは規格品であり、したがって、型式のないカスタマイズされた機械装置は補助対象外である。
 ☑一般型、高度生産性向上型の場合、機械装置費以外の補助金は500万円が上限である。
 ☑外注加工費と委託費の補助対象経費の合計は、補助対象経費総額の2分の1以下とする。
 ☑委託費に含める間接経費または一般管理費は、直接経費の10%を限度とする。
 ☑知的財産権等関連経費の補助対象経費は、補助対象経費総額の3分の1以下とする。
 ☑技術導入費、外注加工費、委託費、専門家経費は、同一の法人・個人に支出できない。
 ☑専門家経費(謝金、旅費)には上限が定められているため、公募要領を参照のこと。
 ☑(A)事業に要する経費(税込み)には消費税込みの金額を、(B)補助対象経費(税抜き)には消費税抜きの金額を記入する。海外から輸入するなど消費税がかからない場合は、(A)=(B)としてよい。その際、積算基礎欄にもその旨を記載する。
 ☑汎用性があり、目的外使用になりうるもの(例:事務用パソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機など)は補助対象外である。たとえ、タブレットやサーバなどが今回の補助事業専用に使用するものであっても不可である。その他、補助対象外となる経費については、公募要領を参照のこと。
 ☑各費目の(C)補助金交付申請額の欄には、(B)補助対象経費(税抜き)の3分の2以内の金額を記入する。1円未満は必ず切り捨てる。
 ☑計算上、(C)補助金交付申請額が0円となる場合は、当該費目の(A)事業に要する経費(税込み)、(B)補助対象経費(税抜き)を計上することはできない((A)~(C)全て空白とする)。
 ☑(A)、(B)、(C)の合計が合っているか確認する。また、(C)の金額が事業類型ごとに定められた上限額と下限額の範囲内に収まっているかも確認する。
 ☑積算基礎欄には、購入する物件の単価(税込み)、数量を記入する。可能であれば、購入予定のメーカー名、技術指導者・専門家名も記入する。

 《(5)資金調達内訳》
 ☑以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」で書いたように、ものづくり補助金は事後精算のため、補助金を受領するまでの間、つなぎ融資が必要である。自己資金で賄う場合は問題ないが、金融機関から借り入れる場合は必ず金融機関と交渉しておく。「取引銀行にこれからお願いする予定」程度の柔らかい話ではNGである。なお、無事に採択されて将来的に補助金をほぼ確実に受領できると解っている場合でも、金融機関が融資に応じないケースが稀にあると聞く。金融機関は、補助事業だけでなく会社全体の財務状況、返済状況、融資枠などを見て総合的に判断するためであるらしい。

 《(6)その他》
 (※ここは特に注意点はなし)

 【様式1、様式2】
 ☑ページ最下部中央に必ず通しページを記入する。

 【認定支援機関確認書】
 ☑左上の宛先は、全国中小企業団体中央会と、書類を提出する都道府県の中小企業団体中央会の連名とする。
 ☑右上の日付は、平成28年4月13日以前とする。
 ☑認定支援機関の印は、角印ではなく代表者印とする。
 ☑全国の認定支援機関は、「認定経営革新等支援機関 活動状況検索システム」(中小企業基盤整備機構)で検索することができる。普段自社と取引のある金融機関、税理士はたいてい認定支援機関となっているため、まずは金融機関、税理士に相談するとよい。

 【機械装置費に関する追加書類】
 ☑機械装置を購入する場合、有効期限が2016年6月以降の見積書、カタログ、パンフレットを提出する。単価50万円(税抜き)以上の機械装置を購入する場合は、入手価格の妥当性を証明できるよう、自社と資本関係にない2社以上の相見積を取得する。子会社、関連会社からの調達は認められない。また、相見積とは、Aという製品について代理店Xと代理店Yから見積書を取得することであり、製品Aと、Aと機能的に類似する製品Bの見積書を取得することではない。相見積が取れない場合は、業者選定理由書(書式自由)を提出する。
 ☑「業者選定理由書」は書式自由となっているが、過去のものづくり補助金で各都道府県事務局が用意した雛形がある。例えば、大阪府中小企業団体中央会のページからダウンロードできるWordの<参考様式7>を利用するとよい(左上は提出先の都道府県の中小企業団体中央会宛てとする)。なお、選定理由としては、技術的な理由、その企業からでなければ調達できない理由を書く。「見積を取る時間がない」、「古くから取引がある」などはNGである(神奈川県中小企業団体中央会「平成26年度補正ものづくり補助金 業者選定理由書の注意点」を参照)。

 (※)2016年6月までの有効期限というのは、採択発表時期を意識してのことだろう。だが、その後の交付申請では、交付申請時点で有効な見積書が必要となる。さらに言えば、最後の実績報告時に、発注時点で有効な見積書を提出しなければならない。したがって、何度も見積書を取り直す手間を省くために、機械メーカーには見積有効期限を長めに設定してもらうとよい(期限を「次回見積まで」、「成り行き」などとするのが最も簡単である)。

 ☑事業類型「高度生産性向上型(最新モデル)」を選択した場合は、最新モデルであることを証明する書類を提出する。この点だけは私もよく理解できていないのだが、このルールは「生産性向上設備投資税制」に倣ったものと思われる。だとすると、例えば工作機械については、一般社団法人 日本工作機械工業会に、ソフトウェアについては一般社団法人 情報サービス産業協会依頼すれば、証明書を発行してくれるのかもしれない。



  • ライブドアブログ
©2012-2017 free to write WHATEVER I like