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【中小機構】2018年版中小企業白書・小規模企業白書(概要)について(セミナーメモ書き)
ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(2)
ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(1)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都豊島区を拠点に、東京23区で活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。コンサルティングなどの仕事の実際の中身は守秘義務の関係で書くのが難しいため、書評が中心となっている点は何卒ご容赦あれ。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2018年06月01日

【中小機構】2018年版中小企業白書・小規模企業白書(概要)について(セミナーメモ書き)


中小企業

 中小企業基盤整備機構(中小機構)の虎ノ門セミナーに参加してきた。今回のテーマは「2018年版中小企業白書および小規模企業白書について」。私が中小企業診断士の勉強をしていた13年前は、中小企業白書は300ページぐらいだったと記憶しているが、近年急速にページ数が増えている上に、2015年からは小規模企業白書も加わって大変なボリュームになっている。全部読む時間がないので、1時間半の無料セミナーで概要だけでも把握しておこうというわけ(三流診断士)。セミナーは概ね、中小企業庁のHPで公開されている「2018年版「中小企業白書」「小規模企業白書」概要」に沿ったものであった。
 【2018年版中小企業白書の特色】
 <現状分析>
 ①中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大
 ②未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善

 <テーマ別分析>
 ③深刻化する人手不足。女性・シニアなどの掘り起こしが課題。
 ④IT導入などを行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。
 ⑤幅広い業種で多能工化・兼任化の取り組みが進展。生産性向上にも寄与。
 ⑥IT導入のきっかけとして重要なのは、地元のITベンダーなど身近な相談相手
 ⑦業務領域や一企業の枠を超えて連携ことでITの効果は飛躍的に高まる。
 ⑧生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。
 ⑨経営者の高齢化から休廃業・解散が高水準。事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加
 ⑩中小企業のM&Aは、生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題

 【2018年版小規模企業白書の特色】
 <現状分析>
 ⑪小規模事業者数は減少しているが、規模拡大する事業者や高い生産性の事業者も存在

 <テーマ別分析>
 ⑫小規模事業者では、経営者に業務が集中。IT導入などによる経営者の業務効率化が急務
 ⑬IT導入などにより小規模事業者の生産性は向上。
 ⑭小規模事業者では、ちょっとした工夫で生産性向上
 ⑮小規模事業者で施策を浸透させる上では、身近な支援機関の役割が重要
 ⑯小規模事業者は、兼業・副業やフリーランスなどの多様な働き方の受け皿
 「2018年版白書では、アンケート調査結果に加えて、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の事例を豊富に紹介している(2017年版の倍以上となる113事例を収録)。業務プロセスの見直し、人材活用面の工夫、IT利活用、設備投資、M&Aを中心とする事業再編・統合など、中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けたヒントが提供された実践的な内容となっている」というのが中小企業庁の売り文句である。

 2018年版の白書のテーマは、一言で言えば「生産性向上」と「IT導入」なのだが、日本企業の生産性が先進国の中でも下位であり、特に中小サービス業の生産性が低いことは、私が記憶している限り、既に10年以上前からずっと指摘されていることである。また、中小企業のIT導入が進んでいないことも、同様に10年以上前から課題であった。それが今年になってようやく、「人手不足の解消」という視点から真面目に取り上げられるようになった。目下の中小企業の課題は、事業承継、高齢社員が中心となる企業の新しい経営のあり方、外国人を活用したダイバーシティ・マネジメントなどであるが、これらの課題が白書で取り上げられるようになるには、おそらく10年ぐらいかかるだろう(外国人の活用については、不法就労の問題や外国人技能実習制度の悪用といった負の側面を掘り起こしかねないため、中小企業庁も及び腰であるに違いない)。

 事例紹介の特徴は、限定的ながら投資対効果が示されていることである。例えば、株式会社加藤製作所(岐阜県中津川市。プレス板金加工業)では、土日祝日の工場稼働を検討するも、人手不足が課題であった。そこで、「意欲のある人求めます。男女問わず。ただし60歳以上」といったキャッチコピーでシニア人材に限定した求人広告を実施した。同時に業務改善にも取り組み、一目で工程を理解できるように掲示物や作業指示書の文字を大きくし、写真やイラストを増やすとともに、シニア人材が操作しやすい工作機械も導入した。その結果、想定を上回る100名からの応募を得て、うち15名を採用し、人手不足を解消することができた。一方で、広告費用やシニア人材に配慮した職場環境整備のためのコストが発生した、といった具合である。

 ただ、中には投資対効果に疑問符がつく事例もある。A社(東京都八王子市。パン製造小売事業者)では、地元のIT販売会社から「IT導入補助金」利用の提案を受け、180万円(サポートサービスを含む)をかけてクラウド給与・就業管理を導入した。その結果、毎月の事務作業が7人日から3人日に減少した。だが、仮に1日の人件費が1万円だとすると、毎月のコスト削減効果は4万円であり、年間換算で48万円である。すると、投資が回収できるまでには4年近くかかる計算になり、この手のITとしては投資回収期間が長すぎる印象を受ける。また、事務スタッフがパートであれば人件費の削減につながるが、正社員であれば人件費は削減されない。IT導入によって浮いた4人日を別の付加価値の高い業務にあてないと、投資を回収することができない。

 B社(兵庫県姫路市。産業機械向け部品製造業者)は、姫路市の「ものづくりIT化推進補助金」を利用し、総額220万円をかけて工場内のWi-Fi化を進め、生産管理システムとタブレット端末との連携を実現した。これにより、作業員の無駄な時間が1人あたり1日15分、現場全体で1日9時間程度削減された。作業員の時給を高く見積もって3,000円とすると、1日あたりのコスト削減効果は2.7万円、年間換算で2.7万円×20日×12か月=648万円となって、4か月ほどで投資を回収できる。ただし、これが残業代の削減につながればよいが、所定労働時間内の効率化であれば意味を持たない。A社と同様に、浮いた15分を別の付加価値の高い業務にあてる必要がある。だが、たった15分で付加価値の高い業務を行うのは困難だから、作業プロセス全般を見直して、付加価値の高い業務にあてられるまとまった時間を捻出しなければならないと感じる。

 2つの事例ではいずれも補助金が利用されている(A社の場合は補助率3分の2、B社の場合は補助金100万円)。補助金によって企業の自己負担がかなり軽減されるため、投資対効果の見積もりが甘くなっていると思われる。これによって得をするのは、結局のところITベンダーである。別の補助金の話になるが、平成24年度の補正予算から毎年続いている「ものづくり補助金」というものがある。これは工場に工作機械を導入して新製品を開発する取り組みを支援する補助金である。工作機械は1,000万円以上するのが普通だが、数百万円単位で大幅に値引きされるのが業界慣行となっている。仮に、ある中小企業が1,500万円の工作機械を購入するとしよう。補助金がない場合、工作機械メーカーは300万円ほど値引きして1,200万円で販売する。工作機械メーカーの売上高は1,200万円、中小企業の自己負担も1,200万円である。

 ここで、ものづくり補助金を利用すると、補助率が3分の2とされているから、1,500万円の工作機械に対して1,000万円の補助金が出る。すると、中小企業の自己負担は500万円まで下がるため、工作機械メーカーは値引きをしてまでも販売するというインセンティブが薄れる。その結果、工作機械メーカーは丸々1,500万円の売上高を獲得することができる。つまり、補助金があることによって、工作機械メーカーの業績は大幅に上がるのである。同じことがIT導入に関する補助金にもあてはまるのではないかと考えられる。本来、もっと安く導入できるはずのITが、補助金のせいでITベンダーによって釣り上げられている可能性がある。

 白書の事例には、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金といった補助金を利用している企業が多いが、そもそも補助金を使っている企業を成功事例として扱うことに個人的には強い違和感を感じる。中小企業庁としては、補助金を使っている企業の情報を把握しているため、事例作成にあたって取材が容易であるというメリットがあるのだろう。また、自分が行っている補助金事業の成果をアピールしたいという思惑もあるのかもしれない。

 だが、私に言わせれば補助金とは生活保護の企業版である。さらに言えば、生活保護は憲法25条に根拠を持ち、「国民に生きていただく」ための恒久的な制度であるのに対し、補助金は自然淘汰を原則とする自由市場経済において、国が「企業を生かしてやる」臨時の制度である(現に、これらの補助金は全て補正予算で組まれており、いつ終わってもおかしくない)。白書の読者が期待するのは、そうした不安定な国の施策に依存する弱い企業ではなく、独力で創意工夫を凝らしながら高い業績を上げている強い企業の事例ではないだろうか?同じことは、中小企業庁が公表している「○○企業50選」のような事例集にもあてはまる。これも補助金を使っている企業が中心であり、しかもおそらくは中小企業庁が財務諸表を確認していないと思われるから、事例公開後に業績不振に陥る企業がある。中小企業庁に対しては、全国のネットワークを活用して強い企業を発掘し、優れた取り組みをヒアリングすると同時に、財務諸表を必ず入手し財務基盤が盤石であることを確認した上で、白書や事例集に掲載することを求めたい。

 安倍政権になってから、中小企業診断士の間では「補助金バブル」と呼ばれるほど数多くの補助金が支給されている。だが、この補助金によって、多くの人の思考回路がおかしくなっていると感じる。本セミナーでは中小企業庁の担当者が講師を務めたが、IT導入補助金の紹介パートで、「平成29年度補正予算で500億円の予算を手当てしたので、是非中小企業の皆様には積極的にご活用いただきたい」という発言があった(セミナー資料にも同様の記載があった)。私は思わず耳を疑った。前述の通り、補助金は「国が中小企業を助けてやる」制度である。だから、「補助金によって1回だけチャンスをやる。その代わり、ちゃんと儲けを出して法人税で返せ」ぐらい言えばいいのにと思う。「ご活用いただきたい」などと低姿勢に出るのはおかしい。

 診断士もおかしくなっている。補助金の申請支援をして、採択額の10%を成功報酬としてもらうという診断士が増えている。診断士の世間的な知名度はまだまだ低いのだが、私は「中小企業診断士=補助金の申請支援をする人」という変なブランドイメージが広まるのを恐れている。診断士は他の士業と異なり独占業務がないだけに、中小企業の経営者の中に誤ったイメージが植えつけられるのが怖い。私は、新しい取り組みをするのであれば、金融機関からの融資に頼るのが筋だと思っている。借入金の返済というプレッシャーがあるからこそ、新しい取り組みに対しても真剣に向き合えるようになる。私は本ブログで補助金に関する記事も何本か書いているけれども、私の方から中小企業の経営者に補助金を勧めることは”絶対にない”。先日、ある診断士が顧問先の中小企業を補助金漬けにした挙句、経営革新計画が認定されたことを自慢げに話していたのを聞いて、この人は一体何を考えているのだろうかと思った。

 《余談》

社外におけるITに関する相談相手

 診断士の知名度がまだまだ低いことに関するぼやき。上図は「社外におけるITに関する相談相手(複数回答)」を尋ねたものである。中小企業の相談相手に関するアンケート結果はしばしば白書にも登場するのだが、大抵は選択肢の中に診断士が入っていない。中小企業を支援する「認定支援機関制度」を別に設けるぐらいだから(以前の記事「認定支援機関制度で岐路に立たされる中小企業診断士」を参照)、中小企業庁は、自分が所轄する資格でありながら、診断士のことが嫌いなのではないかとさえ勘繰ってしまう。ただ、上図に関して言うと、出典元の三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)の中では診断士という選択肢があったものの、回答数があまりに少なかったため、白書のグラフからは割愛されたとのことである(元のレポートがインターネットでヒットしないのだが、もしありかをご存知の方がいらっしゃったらご教示いただきたい)。


2018年01月02日

ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(2)


事業計画書・マーケティング

 ※補助金を初めて受ける企業に読んでいただきたい記事
 【シリーズ】補助金の現実
 【第1回】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない
 【第2回】補助金の会計処理は、通常の会計処理よりはるかに厳しい
 【第3回】補助金=益金であり、法人税の課税対象となる
 【第4回】《収益納付》補助金を使って利益が出たら、補助金を返納する必要がある
 【第5回】補助金の経済効果はどのくらいか?
 ※以前まとめた「ものづくり補助金申請書の書き方」
 「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)(2)(3)(4)(5)
 「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)
 【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について
 (前回の続き)

 その2:将来の展望
 (本事業の成果の事業化に向けて想定している内容及び期待される効果)
 ◆市場規模
 ○図2(再掲):成人の週1回以上運動・スポーツを行う者の割合の推移
成人の週1回以上運動・スポーツを行う者の割合の推移

 上記の図2に基づいて、成人の週1回以上運動・スポーツをする者、週3回以上運動・スポーツをする者の割合が線形的に増加すると仮定すると、平成33年、平成36年における、成人の週1回以上運動・スポーツをする者、週3回以上運動・スポーツをする者の割合は図7のようになる。

 ○図7:成人の週1回以上運動・スポーツを行う者の割合の推移(将来予測を含む)
成人の週1回以上運動・スポーツを行う者の割合の推移

 ○表1:市場規模と当社シェアおよび売上高の推移予測
市場規模

 この値から、平成30年~平成34年の5年間における、成人の週1回以上運動・スポーツをする者、週3回以上運動・スポーツをする者の割合を計算すると、表1の①②となる。これに、総務省統計局が公表している日本の将来人口の予測値(③:20歳以上の人口のデータが得られなかったため、便宜的に15歳以上の人口を成人とした)をかけると、成人の週1回以上運動・スポーツをする者、週3回以上運動・スポーツをする者の人数(千人)は④⑤となる。⑤から④を引くと、成人の週1~2回運動・スポーツをする者の人数(千人)が得られる(⑥)。

 センシング繊維活用アンダーウェアは、まず成人の週3回以上運動・スポーツをする者が先行して購入すると予想され、平成30年~平成34年の普及率を1%⇒2%⇒4%⇒6%⇒8%と仮定した(⑧)。一方、成人の週1~2回運動・スポーツをする者の普及率はそれよりも低く、0.2%⇒0.5%⇒1%⇒1.5%⇒2%と仮定した(⑦)(ウェアラブル端末が2013年の実績で約457万台〔普及率約0.4%〕、2020年には1,160万台〔普及率約9.7%〕に増加する見込みであるという、総務省『平成28年版 情報通信白書』のデータを参考にしている)。

 成人の週1~2回運動・スポーツをする者でアンダーウェアを購入する人は1人1着購入すると仮定し、成人の週1~2回運動・スポーツをする者(⑥)に普及率(⑦)をかけると、購入枚数が算出される(⑨)。成人の週3回以上運動・スポーツをする者でアンダーウェアを購入する人は1人3着購入すると仮定し、成人の週3回以上運動・スポーツをする者(⑤)に普及率(⑧)をかけ、それを3倍すると、購入枚数が算出される(⑩)。⑨+⑩=⑪が枚数ベースの市場規模となる。

 想定競合他社数は、平成30年が3社(後述)であるが、平成31年以降は新規参入が相次ぎ、10社⇒20社⇒25社⇒30社と増加すると予測する(⑫)。当社の市場シェアは、平成30年は販売開始前であるため(後述)0%だが、平成31年には3%を目指す。その後、4%⇒5%とシェアを拡大するものの、平成34年には競合他社の増加による競争激化で市場シェアが4%に下がると見込んでいる(⑬)。通常のアンダーウェアは2,000円~10,000円程度と幅があるが、当社のセンシング繊維を活用したアンダーウェアは付加価値を加味して小売希望価格を図1(※前回の記事を参照)の通り14,980円と想定する。顧客であるスポーツウェアメーカーへの納品価格は、約2割の2,980円とする。この単価に市場規模(⑪)と市場シェア(⑬)をかけると、当社の毎年の売上高は⑮となる(なお、この試算では最終消費者の買い替えサイクルは考慮していない)。
 【POINT】開発しようとしている製品・サービスの市場が確かに存在し、自社の事業として成立するだけの市場シェアを獲得する見込みがあることを示す。市場規模に関するデータは、市場調査会社などが公表しているものがあればそれを用いればよいが、今回のように適当なデータがない場合は、様々なデータを組み合わせ、いくつかの仮定を置いて推測することになる。市場シェアの目標を設定する際には、将来の競合他社の数も考慮しなければならない。時折、市場シェアを20%も30%も獲得したいという事業計画書を見かけるが、本当に妥当かよく検証するべきである。

 審査項目の「【事業化面】②事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か」とも関連。
 ◆競合他社および競合他社に対する優位性
 現時点で直接の競合となるのは、ウェアラブル端末である。だが、ウェアラブル端末は心拍数や体温といった基礎的なデータしか取得できない、水に濡らすことができないなどのデメリットがある。センシング繊維は、心拍数や体温に加えて、心電図や加速度など様々な身体情報を取得することができるため、より多面的に最終消費者の健康をモニタリングすることができる。また、ウェアラブル端末と異なり、センシング繊維は洗濯が可能である。

 現時点で、当社のセンシング繊維と類似の製品を開発している競合他社は次の3社である。3社とも当社より企業規模が大きいが、技術面、生産量の面では当社が競争優位に立っているため、前述の通り平成31年には市場シェア3%を達成したい。

 【A社】
 大手アパレルメーカーとのコラボ高機能繊維などで自社ブランド力をアップし、事業の収益源としている。導電性繊維を活用し、ウェアラブル装置を装着できるウェアを発表した。近年新製品開発に苦戦しており、この分野に力を居入れてくる可能性が高い。
 ⇒【A社に対する当社の優位性】
 当社は自社生産設備が整っており、生産量の制約が少ない。

 【B社】
 スポーツ衣料向け繊維が強く、ユニフォームなどが好調である。ただし、原材料費の高騰の影響を受けて、収益は厳しい状況が続いている。近年は海外市場向けの特化製品に注力している。また、ウェアラブルウェアへの参入を発表した。
 ⇒【B社に対する当社の優位性】
 B社に比べ、高機能繊維技術に関する特許が多い。

 【C社】
 炭素繊維が好調であるが成長が鈍化している。高機能繊維強化のためにベンチャー企業を買収した。これを機に高機能繊維にも注力してくる見込みである。その際、海外市場への製品投入を先行させると予想される。
 ⇒【C社に対する当社の優位性】
 導電性繊維、フィルムなどの高機能製品ラインナップが多い。
 【POINT】競合他社は誰か、その競合他社に対して自社はどのような点で優位に立つのかを明らかにする。往々にして、中小企業は自社の競合他社を十分に把握していないことが多いが、市場で戦うためには競合他社の戦略を分析・理解し、相手の出方を予測することが重要である。上記の例では示していないが、自社製品と競合他社製品の価格、機能、性能を一覧で比較できる表を作成するのが最も望ましい。

 審査項目の「【事業化面】③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か」とも関連。
 ◆ビジネスモデルと事業化に向けたスケジュール
 今回の新規事業のビジネスモデルは図8の通りである。主たる顧客(スポーツウェアメーカー)としては、X社、Y社、Z社を検討している。X社は業界内での影響力が強く、X社に当社のセンシング繊維が採用されれば、他のスポーツウェアメーカーにも採用されることが期待できる。Y社はP社、Q社、R社といった販売チャネルとのつながりが強く、採用されると一定量の売上高が見込める。Z社は当社と長年のつき合いがあるメーカーであり、業界内での地位はそれほど高くないものの、他のメーカーと明確に差別化した製品の開発を検討している。よって、当社のセンシング繊維を活用してオリジナリティの高いアンダーウェアを開発してくれる可能性が高い。

 スマートフォンのアプリケーション開発に関しては、L社を検討している。当社は今までL社と取引したことがないが、L社は既にウェアラブル端末用のアプリケーションを開発した実績がある(アプリ名:「aaa」、「bbb」、「ccc」など)。また、将来的に当社のセンシング繊維を採用するスポーツウェアメーカーが増えて、各社が独自のアプリを希望したとしても、それに応えられるだけの十分な開発・運用・保守体制を有している(社員数○○名)。L社の開発には、当社がスポーツウェアメーカーとともに積極的に関与し、アプリの品質をモニタリングする予定である。

 ○図8:今回の新規事業のビジネスモデル
ビジネスモデル

 補助事業終了後の事業化に向けたスケジュールは図9の通りである。平成30年内に、スポーツウェアメーカーに向けて集中的に営業活動を行う。また、10月に幕張で開催される衣料・繊維業界向けの展示会「XXX展示会」に出展する。平成30年の終盤から平成31年の中旬にかけてスマホアプリを開発する。それと並行して、スポーツウェアメーカーにはセンシング繊維活用アンダーウェアを開発してもらう。平成31年の中旬から最終消費者に向けて販売を開始する。

 ○図9:補助事業終了後の事業化スケジュール
補助事業終了後の事業化スケジュール
 【POINT】新製品・サービスを開発して終わりではなく、補助事業終了後に事業化につながる道筋がついていることを示すことが重要である。技術的課題その他の残課題がある場合には、それらをいつまでにどのようにして解決するのかを示す。事業化に向けては、特にマーケティング・営業の方法を具体的に記述することがポイントとなる。新製品・サービスを購入してくれる可能性が高い有力な顧客名がいくつか挙がっていると、計画の実現可能性が高いと映る。

 審査項目の「【事業化面】③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か」とも関連。
 ◆会社全体の事業計画
 既存事業、本補助事業を含む新規事業、ならびに両者を合算した会社全体の損益計算書は表2の通りである。

 ○表2:既存事業、新規事業、会社全体の損益計算書
損益計算書

 試算にあたっては以下の前提を置いている。

 <既存事業>
 ・売上高は国内市場の縮小に伴い、前年比マイナス3%で計算。
 ・売上原価については、売上高の減少に伴い変動費が減少するが、固定費は減少しないため、前年比マイナス2%で計算。
 ・販管費はコスト削減のために前年比マイナス5%で計算。
 ・減価償却費は一定とする。

 <新規事業>
 ・売上高は表1(※前回の記事を参照)の金額を使用。
 ・材料費(変動費)は売上高の70%と仮定。
 ・外注加工費(変動費)は売上高の5%と仮定。
 ・物流費(変動費)は売上高の3%と仮定。
 ・売上原価の労務費(固定費)については、平成31年に5名、平成33年に7名採用すると仮定。平均給与は450万円とする。また、各社員の給与は毎年2%ずつ上昇する。
 ・減価償却費(固定費)は、本補助事業で導入する生産設備(3,000万円)の分である。平成30年の後半に導入し、5年間で償却する。
 ・販管費の人件費については、平成31年に2名、平成33年に3名採用すると仮定。平均給与は450万円とする。また、各社員の給与は毎年2%ずつ上昇する。
 ・研究開発費については、平成30年に本補助事業の経費として、センサ・回路繊維開発費用(400万円)+電池部分繊維開発費用(200万円)を計上する。平成31年には一旦研究開発費が減少するが、以降も継続的に研究開発を進め、徐々に拡張していく。
 ・広告宣伝費については、平成30年に展示会の出展費用(400万円)を計上する。平成31年以降は100万円ずつ計上する。
 【POINT】申請書には会社全体の表のフォームしか用意されていないが、丁寧に試算するならば、既存事業の損益計算書、本補助事業を含む新規事業の損益計算書を別々に作成し、その上で両者を合算した会社全体の損益計算書を作成するのが望ましい。また、申請書には損益計算書の試算の根拠を書くスペースがないが、試算の根拠・前提は明記する必要がある。なお、通常の損益計算書とは異なり、経常利益を「営業利益-営業外費用」で計算する点に注意する。これは、中小企業の場合、営業赤字を営業外収益で賄って経常利益を捻出しているケースが見られるので、本来の儲ける力をより明確に可視化するための措置である。

 審査項目の「【技術面】①【革新的サービス】においては、中小サービス事業者の生産性向上ガイドラインで示された方法で行うサービスの創出であるか。また3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する取組みであるか/【ものづくり技術】においては、特定ものづくり技術分野の高度化に資する取組みであるか。また3~5年計画で「付加価値額」「経常利益」の増大を達成する取組みであるか」、「【事業化面】④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか」とも関連。



2018年01月01日

ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(1)


事業計画書・マーケティング

 ※補助金を初めて受ける企業に読んでいただきたい記事
 【シリーズ】補助金の現実
 【第1回】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない
 【第2回】補助金の会計処理は、通常の会計処理よりはるかに厳しい
 【第3回】補助金=益金であり、法人税の課税対象となる
 【第4回】《収益納付》補助金を使って利益が出たら、補助金を返納する必要がある
 【第5回】補助金の経済効果はどのくらいか?
 ※以前まとめた「ものづくり補助金申請書の書き方」
 「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)(2)(3)(4)(5)
 「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)
 【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について
 昨年12月に、経済産業省・中小企業庁は2017年度補正予算で、中小企業・小規模事業者を対象とした「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業(ものづくり補助金)」で1,000億円の予算を計上することを発表した。補助上限は原則として1,000万円とし、3年ぶりに1万社支援(2016年度補正での採択数は6,157件)を復活させる方針だ。公募は2018年2月に始まる予定である。過去の傾向からすると、公募は1か月ほどで締め切られる可能性が高いため、申請を検討している中小企業は今から準備を始めておいた方がよい。

 これまでも上記のように申請書の書き方に関する記事を何本か書いてきたが、これは申請書は基本的には中小企業が独力で作成してほしいという一介の中小企業診断士の願いからである。中小企業を支援するコンサルタント会社の中には成功報酬として採択金額の数十パーセントを取ったり、認定支援機関の中にはA4で1枚の確認書を書くだけで数十万円を請求したりするケースがあるらしく、中小企業庁が問題視している。中小企業の経営者は、こういう悪徳支援業者に引っかからないようにしていただきたいものである。

 なお、平成26年度補正予算ものづくり補助金の申請書の書き方の記事は、全体で5回もある割に、実際の申請書のフォーマットに沿った記述になっていなかった。その反省を踏まえ、今回は申請書のフォームを意識した記述例を紹介したい。ただし、今日はまだ公募前であり、正式な申請書が公表されていないため、便宜的に平成27年度補正予算ものづくり補助金の申請書に従った(毎年、フォーマットはほとんど変わっていないから、今回も昨年度とほぼ同じだと思う)。また、枠内の「審査項目」も、昨年度の公募要領からの引用である。記述例の作成にあたっては、高橋透『技術マーケティング戦略』(中央経済社、2016年)に記載されている架空の事例を私が編集した。これからお見せするサンプルは1万字程度だが、採択事業者から話を聞くと、A4で15ページ前後の申請書を作成しているところが大半である。

技術マーケティング戦略技術マーケティング戦略
高橋 透

中央経済社 2016-09-22


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 【事業計画名】
 導電性繊維技術を利用した、ウェアラブル装置に代わるセンシング繊維の開発

 その1:革新的な試作品開発・生産プロセスの改善の具体的な取組内容
 ◆当社の概要
 当社は1950年に創業した繊維企業である。創業当時から蓄積してきた紡績・織布/編成・染色加工・縫製における独自の技術を活かし、コットンやウール、麻など天然繊維をベースにした高機能・高感度の繊維製品を製造・販売している。近年は導電性繊維(※)・フィルム、炭素繊維などを開発し、多様な要素技術を有しているのが強みである。また、産官学でのオープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、他からの技術支援を受けられる体制が整っている。

 (※)導電性繊維=通常、繊維を形成する高分子化合物は絶縁体であるが、特に導電性を持たせた繊維を導電性繊維と言う。近年、石油化学工場における静電気による火災の防止、医薬品工業,精密電子工業におけるほこりの付着や放電の防止のために、優れた制電性を有する被服材料が要求されている。現在開発されている導電性繊維には,①合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させたもの、②ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、③有機物繊維の表面を金属で被覆したもの、④有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆したもの、などがある(「世界大百科事典 第2版」より)。

 ○主な取扱製品
 ①一般・カジュアル衣料品=シワ形状コントロール素材で、ビジネスカジュアルからヴィンテージまで幅広いファッションに対応できるテキスタイル素材。
 ②ユニフォーム関連=防炎性の優れたアクリル系繊維プロテックスと、製造段階でできた落綿を含むコットンを混紡。防炎機能とエコロジーを兼ね備えたテキスタイル素材。
 ③一般衣料品・生活雑貨・インテリアホームテキスタイル=糸の内部に空隙を持つ、軽くて膨らみ感のあるソフトな風合い、優れた吸水性を持つ特殊紡績糸素材。
 ④抗菌・抗ウイルス機能繊維=繊維上のウイルスの数を減少させ、細菌、真菌などの増殖を抑制。高機能と高い安全性、洗濯耐久性を実現。
 【POINT】審査員は公募企業のことを知らないことが大半であるため、最初に簡単に会社の概要を説明するとよい。特に、強みに触れるとベター。
 ◆開発の背景
 当社を取り巻く事業環境をPEST分析した結果、図1のようになった。

 ○図1:PEST分析の結果
PEST分析の結果

 ○図2:成人の週1回以上運動・スポーツを行う者の割合の推移
成人の週1回以上運動・スポーツを行う者の割合の推移

 我が国は高齢化の進行に伴って社会保障費が毎年1兆円ずつ増加する見込みであり、社会保障費の抑制が喫緊の課題になっている。そのためには、国民が健康を維持することが重要である。幸い、健康に対する意識の高まりとともにスポーツ人口(特に女性)は中長期的に見ると増加傾向にあり(図2)、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催もスポーツ関連需要の拡大を後押ししている。文部科学省も「できるかぎり早期に、成人の週1回以上のスポーツ実施率が3人に2人(65%程度)、週3回以上のスポーツ実施率が3人に1人(30%程度)となることを目標」とする「スポーツ基本計画」を掲げている。

 ところで、近年の注目すべき技術としてセンシング技術が挙げられる。ウェアラブル端末に代表されるように、体内の各種データを随時取得してモニタリングしたいというニーズが消費者の間で高まっている。そこで、当社は強みである導電性繊維とセンシング技術を組み合わせて、健康意識の高いスポーツ愛好者をターゲットに、ウェアラブル端末よりも多様なデータを取得することが可能な、センシング繊維を開発することとした。
 【POINT】開発する製品・サービスをいきなり説明するのではなく、開発の背景にも触れるとよい。その際、客観的な分析結果があると説得力が増す。なお、この後の記述にも共通することだが、図表は別添資料とせず、本文に入れ込むべきである。審査員の中には、別添資料を読まない人がいるためである。
 ◆開発する製品
 今回開発するのは、図3のようなセンシング繊維である。ウェアラブル端末で取得可能な心拍数、体温に加えて、センシング繊維では心電波形、加速度も取得できる。当社が製造したセンシング繊維を活用して、顧客であるスポーツウェアメーカーはアンダーウェアを製作する。アンダーウェアを購入した最終消費者はまず、モニタリング・解析用のアプリケーションをスマートフォンにインストールし、会員登録する。次に、アンダーウェアに記載されているQRコードを読み取り、会員情報と紐づける。最終消費者が複数のアンダーウェアを購入・使用する場合でも、同一IDの下に身体情報を蓄積・管理することが可能である。アンダーウェアが取得した情報は、Bluetoothを通じてスマートフォンのアプリケーションに転送される(図4。なお、アプリケーションはスポーツウェアメーカーがスマートフォンアプリ開発会社に開発委託することを想定している)。

 ○図3:センシング繊維の概要
センシング繊維

 ○図4:センシング繊維活用アンダーウェアからスマートフォンへのデータ転送イメージ
ウェアラブル端末からスマートフォンへの転送

 (※適当な画像がなかったため、こちらから拝借した。本当は、アンダーウェアとスマートフォンの連携の図を記載する)
 【POINT】審査員は、必ずしも応募企業の技術に詳しいとは限らない(むしろ詳しくないと考えた方がよい)。審査員に製品・サービスのイメージが湧くよう、ビジュアルを多用して表現するのが望ましい。

 審査項目の「【技術面】①新製品・新技術・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン・アイディアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか」とも関連。
 ◆技術的な課題と解決策
 センシング繊維を開発するにあたっての技術的な課題と解決策は以下の通りである。課題の達成度合いは下記の指標にて判断する。
 【要素技術開発】
 ①導電性繊維・フィルムの導電性アップ⇒素材、組合せの見直しによる効率アップ(目標効率=○○%アップ)。
 ②発電繊維による発電量の確保⇒ナノファイバーを利用し、摩擦発電と圧電効果による発電のハイブリッド構造により実現(目標発電量=○○μA)。
 ③電気回路の設置⇒印刷方式の回路を生地にプリントする方式を採用(目標品質=○○)。

 【設計技術開発】
 ①生地の伸縮性、肌との密着度、データ精度と着心地のバランス⇒既存スポーツ向け繊維に発電用の炭素繊維を織り込むことで伸縮性を確保しつつ、圧着による皮膚接触圧を確保、デー測定の安定を図る(目標データ精度=医療用との相関r=0.7)。
 ②洗濯耐久性⇒特に課題となる、回路やセンサ部分を繊維、印刷加工にすること、フィルムコーティングすることで洗濯耐久性を確保(目標品質=○○)。

 【生産技術開発】
 ①発電、二次電池用炭素繊維の生産方法⇒溶融紡糸生産方式を用い、カーボンナノファイバー化することにより実現(目標生産量=○○)。
 ②生産キャパシティ、フレキシブルな生産⇒新規生産設備の導入(協力メーカーとの一部共同開発)(目標生産量=○○)。
 【POINT】技術的な課題は3~5個程度記述する。上記の例では文章でしか記述していないが(私が繊維業界に詳しくないため)、この部分も図面やポンチ絵などを用いてビジュアルで訴求したい。技術的な課題と解決策は審査の重要ポイントであるから、ここだけで最低でも2ページは記述がほしいところである。

 審査項目の「【技術面】②サービス・試作品等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか、③課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか」とも関連。
 ◆開発体制およびスケジュール
 開発体制および開発スケジュールは図5・6の通りである。回路の生地プリントについては、長年の協力企業である○○紡績株式会社からの支援を受ける。また、発電繊維に関する技術については、○○大学○○研究室と共同で研究を進める。

 ○図5:開発体制
開発体制

 ○図6:開発スケジュール
開発スケジュール

 <各タスクの説明>
 【要素技術開発】
 ①導電性繊維・フィルムの導電性アップ=森(フィルム技術)が中心となり、山口(炭素繊維技術)の支援を受けながら、○○シミュレーション方式、△△シミュレーション方式を用いて、素材u、v、wなど7種類の素材の中から最適な組み合わせを特定する。
 ②発電繊維による発電量の確保=・・・。
 ③電気回路の設置=・・・。

 【設計技術開発】
 ①生地の伸縮性、肌との密着度、データ精度と着心地のバランス=・・・。
 ②洗濯耐久性=・・・。

 【生産技術開発】
 ①発電、二次電池用炭素繊維の生産方法=・・・。
 ②生産キャパシティ、フレキシブルな生産=・・・。

 【試作品の生産・品質検証】=・・・。
 【POINT】開発体制を図で表し、責任者と担当者を明確にする。連携している協力会社や大学などがあればそれも記載する。自社に足りないリソースは外部から調達できる目途が立っていることを審査員にアピールすることができる。開発スケジュールはガントチャートで表した上で、それぞれのタスクの詳細(誰が、何を、どのように行うのか)を説明する。補助事業期間中に補助事業が完了するように留意する(補助事業期間は、年度によって1年を超える場合もあれば半年程度しかない場合もあるため、公募要領で確認すること)。

 審査項目の「【技術面】④補助事業実施のための体制及び技術的能力が備わっているか」、「【事業化面】①事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか」とも関連。
 (「ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(2)」へ続く)



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